早食いは体に負担をかける食べ方の1つです。短時間で大量の食べ物が体内に入ってくると、体はその処理にエネルギーを使わなければなりません。量が多ければそれだけ負担が大きくなるのは当たり前のことですよね。
早食いを自覚していない、癖として身についてしまっていると生活習慣病などの病気の原因になってしまうことがあります。では、この早食いのデメリットや克服の方法についてみていくことにしましょう。
早食いのデメリットとは
早食いはなかなか自覚できるものではありません。自分の食べるスピードが普通と思っている限りは、なかなか直すのも難しいでしょう。ふと、周囲の誰かに「食べるの早いですね」といわれて初めて気付くものです。
早食いのデメリットは、体に悪影響を与えてしまうということ。年齢が若いうちはそれほど影響がないものですが、歳を重ねるほど病気のリスクも高まります。具体的には以下のデメリットがあるでしょう。
胃腸に負担がかかる
まず第一のデメリットは胃腸に負担がかかるということです。例えば口でよく咀嚼された食べ物は、唾液と混ざり液状になります。胃や腸がこの状態の食べ物を消化・吸収することは容易です。
一方で早食いであまり咀嚼されていない食べ物を消化するのは時間がかかります。食べ物が長く胃腸内に残るほど、胃腸は働かなければなりませんから、負担がかかってしまうのですね。
それはちょうど仕事と同じかもしれません。大きな仕事を一気に任されると疲れてしまいますよね。小さな仕事を少しずつ任された方が仕事の負担としては軽いのです。
肥満の原因になる
体にはお腹が空いた時に働く摂食中枢とお腹がいっぱいと感じたときに満たされる満腹中枢が備わっています。そして、満腹中枢が重要で食事を始めてから15分程度で満たされるといいます。つまり、この時間内であれば、ある程度の量を食べ続けることができてしまうのですね。
早食いの人は満腹中枢が満たされる時間内で、たくさんの食事を食べることができ、それが肥満の元になります。カロリー過多の食事は当然太る原因になりますよね。
早食いの人ほど太っている。この特徴は一概には言えませんが、ラーメンなどの早食いがしやすい食べ物をよく食べている人は、太っている傾向にあるといえるでしょう。
口臭の原因にも…
早食いであるということは、咀嚼の回数が少ないということです。咀嚼の回数が少なければ、唾液の分泌量が減少します。唾液は口内の衛生環境を保ってくれていますが、少なくなれば口臭の原因になるのですね。
口が臭いというのはなかなか自分で自覚できないものですが、早食いである人はもしかしたら周囲にそういったことを思われているかもしれませんね。口臭ケアをすることも大事ですが、よく噛むことも忘れないようにしましょう。
早食いをする人の体内では何が起こっている?
早食いをする人の体内では、他の人とは違う生理作用が起こっています。たかが早食いですが、その習慣が続くと体に深刻な病気を招くことがあり、注意が必要です。
具体的には以下のことが挙げられます。
血糖値の急激な上昇
血糖値は血液中のブドウ糖の量のことです。ブドウ糖は体のエネルギーになる成分で、絶えず私たちの体を循環しています。食事から炭水化物などの食べ物を摂取すると血糖値は上昇します。
上昇した糖を下げる役割があるのがインスリンと呼ばれるホルモンです。これは食事をして血糖値が上がったとき、膵臓という臓器から分泌されます。インスリンはブドウ糖を細胞に渡し、エネルギー消費量を促進する効果があります。
さて、早食いは血糖値を上げる炭水化物などが短時間で大量に入ってくる状態です。これにより、血糖値が急激に上昇してしまうのですね。早食いはこういった状態を招く原因になるのです。
膵臓が疲弊する
血糖値の急上昇に合わせて、インスリンを分泌する膵臓のフル稼働し始めます。インスリンをできるだけ分泌して、血糖値を下げなければならないからです。しかし、そんな日が続くとやがて膵臓は疲弊してしまいます。
すると、膵臓の機能・活動が低下し、インスリンの分泌量が低下してしまいます。そして、血糖値は高い値のままになってしまいます。血糖値が高い状態が糖尿病ですね。糖尿病には様々なタイプがありますが、膵臓が疲弊し、インスリンの分泌量が減ってしまうと発病することがあります。
消化液が大量に分泌される
インスリンの分泌のほか、消化液も大量に分泌されるようになります。当たり前と言えば当たり前なのですが、大量に胃腸に流れ込んだ食べ物を消化するためには、量に応じた消化液を分泌する必要があります。
先に述べたようにこういったことが、胃腸などの消化器系の負担を増加させる原因になります。消化液を出すためには胃腸機能を上げなければなりませんが、それが必要以上に上げてしまうこともあるでしょう。
また、消化にエネルギーを注力する一方で、胃腸に血液が使われその他の臓器機能が低下することもあります。食後眠くなるのは脳への血流が減少するからといわれています。早食いの人はそういった体調変化が起こりやすいともいえるでしょう。
腸内環境が悪化することも…
きちんと咀嚼されなかった食物は、形を残したまま腸内へ送られることがあります。通常であれば、腸内細菌が食べ物を分解してくれるのですが、固形物の状態では時間がかかってしまいます。また、固形物が長時間腸に残り、腐敗し、悪玉菌を増やす原因になることがあります。
腸内の環境を良くする方法として食物繊維を食べるといったことがすすめられますが、それでもきちんとした咀嚼が必要です。何を食べるかというもの大切ですが、どうやって食べるかということにも気を配るようにしましょう。
では、どうやって早食いを克服する?
早食いを克服するためには、いくつかのポイントがあります。早食いはいわば癖・習慣のようなものですから、右利きから左利きに変えるような意識を持つ必要があります。
以下の克服法を実践してみましょう。
まずは「気付く」
早食いをしているという事実に、自分が気付くことが大切です。習慣というのは無意識に行われているものですから、普段の食事で早食いをしていてもなかなか気づかないものです。
食事のたびに、自分が早食いをしていることを気付く。それが克服の第一歩と言えるでしょう。あらかじめ周囲の人や一緒に食事を食べる同席者に「早食いをしていたら言ってね」と伝えておくのも、気付くためのコツです。
料理を食べた後にしゃっくりがよく出るという人は、早食いをしている可能性があります。しゃっくりは横隔膜が痙攣を起こすことで起こりますが、胃の急激な膨張がきっかけになることがあります。
よく噛む
気付くことができたら、次は行動を改善していきます。まず第一は「よく噛む」ということ。咀嚼は満腹中枢を刺激し、食事量が少なくても満腹感・満足感を得る効果があります。
目安としては30回。最初はそのぐらいを目標として噛んでみてください。噛み始めると分かりますが、顎の筋肉が痛くなってくることがあるかもしれませんね。普段から咀嚼回数が少ないと筋肉が痛くなるということが起こります。
口に運ぶ食べ物の量を少なくする
早食いで問題になるのは、たくさんの食べ物を食べられることです。ですので、箸に乗せるご飯の量を減らし、一度に口に入れる量を減らしてみてください。そうすると、咀嚼するのも簡単になります。
ご飯をかきこむ人がたまにいますが、それこそ早食い・大食いの元になってしまうでしょう。口に運ぶ食べ物の量そのものが少なければ、ゆっくりと咀嚼ができるのです。
心を落ち着ける
早食いをしてしまう背景には、休憩時間が短かったり、体が疲れているなどの理由があるでしょう。そういったときは、どうしても食事に時間が取れなくなってしまうものです。看護師など職業的に食事時間が短い人もいるでしょう。
食事の時、なんだかそわそわしている気持ちになっていると、食事の速度が早くなったりするものです。ついつい食べてしまったり、なんだか物足りないと感じることもあるかもしれませんね。
食事をするときはまず心を落ち着け、食事に集中することが大事です。よほど急ぎでは無い限り、ゆっくり食事の時間が取れないということはないでしょう。余裕を持って食事をすることも大切ですよ。
食事に集中する
食事中にテレビを見たり、スマホをいじったり。こういったことをしていると、食事にした気にならないかもしれません。そうすると、満足感は満たされないものです。
特にスマホをいじることには注意したいものです。街中の飲食店ではスマホを操作しながら食事をする人が多いですが、それではせっかくの食事がもったいないですよね。
食事に集中する、食事を楽しむ。こういったことは食事をする上でとても重要なことです。他のことに集中していると、早食いに気付くことも難しいでしょうから注意してくださいね。
早食い以外でも注意したい食べ方
早食い以外でも、体に負担をかけてしまう食べ方があります。
食べ方は1つとっても、体への負担は大きく変わるため、これからご紹介することに心当たりがあるようでしたら改善することをおすすめします。
いつも満腹まで食べる
いつもお腹がいっぱいになる程食べている…こういった人は食べ方を改善したほうがいいかもしれません。お腹がぽっくりと出るほど食べ物を食べているということは、やはり消化器官に負担をかけている可能性があります。
例えばラーメンを食べるときには必ずご飯をつける。物足りないと思って、コンビニのおにぎりなどもう一品何かを食べてしまう。人より多く食べている時点で、それは食べ過ぎなのかもしれませんね。
おすすめしたい食べ方は腹八分を意識すること。ちょっと物足りないと感じたり、お腹の空きがなくなった時点で食事を終えます。物足りない状態で食事を終えても、満腹中枢が時間差で満たされるので、それほど苦にはなりません。
カロリーが高く、栄養が少ない食事
私たちの体は当たり前ですが食べたものから作られています。また内臓活動なども食べ物から摂取する栄養素無くして、活動することができません。体の健康を考える上で、栄養を摂取できるかどうかが大切です。
一方で、カロリーが高く、栄養素が少ない食品を食べてばかりいると、肥満の原因になります。代謝機能が低下し、脂肪だけが増えていってしまうのですね。こういった食べ物をエンプティカロリーといいます。菓子パンやハンバーガー、スナック菓子などがあげられます。
こういったものを普段からよく食べているようであれば、なるべく減らすようにしてみてください。カロリーだけが高く、体にはあまり良い効果をもたらさないので注意です。
間食ばかりしている
間食ばかりしていると、どうしてもカロリー過多になってしまうことがあります。それも先ほどのべたエンプティカロリーの食べ物など、手軽で食べやすい食べ物を食べているケースが多いです。
体は常に血糖値が上がっている状態であったり、お腹がいつも空いてしまう状態を作りだしてしまい、肥満の元になります。
ついつい小腹が空いてしまう気持ちもわかりますが、健康を考えるのであれば、食べ物から遠ざかることも大切です。すぐに食べられるものを買わないようにしたり、家に置かないようにするといった工夫をしてみてください。間食はほどほどに。栄養は朝・昼・晩の食事からきちんと取るようにしましょう。
食事に偏りがある
揚げ物が大好きでいつもそればかり食べている。ラーメンが大好きでいつもそればかり食べている。このように食事に偏りがあるのも、健康を考える上で避けたいことの1つです。一人暮らしの男性なんかは注意が必要かもしれませんね。
食事の偏りは栄養の偏りや食の好みの偏りも作ります。塩分・糖質が取り過ぎであったり、しょっぱいものしか食べられないような状況を作ってしまうかもしれませんね。
現代社会では食事に困ることはなくなり、好きなものを食べられるようになりました。しかし、そういった自由な選択肢の中でも、健康を考え洗濯していく必要があるのだと思います。
食事と健康
日々の食事は体やエネルギーを作ります。体に良いものを食べれば健康でいることは簡単ですが、体に悪いものを食べれば病気になってしまいます。そして、問題はすぐに悪影響がでないということでしょう。
エンプティカロリーの食べ物を食べたからといって、すぐに病気になるわけではありません。それゆえ、美味しいということにとらわれ、大量に食べてしまうのかもしれませんね。しかし、それは将来の健康を害する可能性があります。
日々の食事が将来の健康を作る。そして、食事というのは食べ物だけではなく、食べ方も含んでいます。早食いをすればそれだけ、体に負担がかかり、健康を害してしまうのです。このことを考えながら、日々の食事に向き合うことが大切でしょう
ダイエットとしての効果
早く食べることは肥満の原因になるということは、様々な研究でわかってきています。これは血糖値の上昇に伴うインスリン分泌過多であったり、たくさんの食べ物を食べられてしまうといったことが理由として考えられます。
反対に遅く食べることは実はダイエット効果があります。食事量が減り、ダイエット効果が期待できるのも事実です。テレビなどで放送されているダイエット法を実践したり、ダイエット食品を食べるよりも、遅く食べることの方が、ダイエット成功の確率を高めてくれるかもしれませんね。
今日から食習慣を変える
早食いを改善は今日の食事から始めることができます。ちょっと多く咀嚼してみよう。ちょっと遅く食べてみよう。そういったことだけで十分改善することができます。先延ばしする理由もありませんよね。
これから食べる食事だけは、よく噛んでみると心に決めてみてください。それを毎日続けるだけで、体に大きな変化が現れることでしょう。
習慣の改善には時間がかかりますが、毎日ちょっとした意識の積み重ねです。気づいたときに方向転換して、体に覚えさせていく。そうすることで、早食いを改善することができるでしょう。
まとめ
気がついたら早食いをしてしまっている。そういう人は多いかもしれませんね。早食いと気づきているものの、何もしない人もいるでしょう。それは健康に非常に悪いことです。
いつまでも健康でいることができるかどうかは、目の前の食事の取り方にかかわっています。たかが食べ方と思うかもしれませんが、太る太らないは食べ方に関係している部分もあるのです。
痩せたい、健康でいたい。そう思っているのであれば、ぜひ食べ方を直してみてください。難しいことでもなんでもありませんから、少しずつやっていくことをおすすめします。
関連記事として
・痩せる食事の摂り方を知ろう!メニューや基礎代謝との関係を紹介!
これらの記事も読んでおきましょう。