何度も陰部の腫れ、違和感や痛みを感じると、「ひょっとしたら、変な病気かな?」と不安に思ってしまいますよね。
でも、場所が場所だけに、人に聞くのも恥ずかしいですし、病院に行くのも躊躇してしまう、という人が多いのではないでしょうか。
しかし腫れの症状が発生している場合、性病の可能性が非常に高いので、その状態で放置していても自然に治癒するにはかなりの時間も要しますし、性感染症をどんどん広げてしまいます。ですので、一刻もはやく婦人科や性病科に通院して治療を開始することが重要といえます。
そこでここでは、陰部が腫れる原因とその対処法をそれぞれ紹介していきます。どの様な病気の可能性があるかについて明らかにして治療を開始していきましょう。
◆陰部の皮膚は薄くてデリケート
陰部がデリケートゾーンと呼ばれているのは、大事な部分であると言うこともありますが、実際に皮膚が非常に薄く、感覚に敏感になっているためでもあります。
その理由について紹介します。
デリケートゾーンは角質が非常に薄くなっている
私たちの皮膚の表面には、「角層」という薄い膜があります。厚さはだいたい50分の1ミリで、ほぼラップと同じぐらいの厚さです。
この角層は、体内にバイ菌などが入るのを防ぐバリアのような働きをしていますが、角層は体じゅう同じ厚さではなく、部位によってそれぞれかなり違いがあります。
例えば、腕など、体の大部分は角層が14層から15層ですが、それに対して手のひらは50層、足の裏は70~80層、かかとは100層と非常に厚みがあり、それだけ傷つきにくくなっています。
一方、角層の薄い部分もあり、顔は10層、まぶたは7~8層しかありません。ところが、それよりももっと薄い部分があるのです。それが陰部で、角層はわずか4~5層です。
角層が薄いところは、自由に伸縮させることができるのですが、その半面、外部から保護する機能が弱く、刺激を受けやすい場所と言えます。
そのため、陰部は、体の部位の中でも、特にデリケートなのです。
◆陰部の腫れる原因とは?
陰部が腫れる原因のほとんどは、細菌や真菌に感染して起きる炎症です。
例えば、下着で擦れてしまったり、性行為などで陰部が傷つくと、そこから菌が入り込み、炎症を起こして、陰部が腫れてしまうのです。
また、腫れの他にも、赤みやかゆみ、痛みといった症状を伴うことがあります。
では、陰部が腫れやかゆみ、痛みがでてしまう病気とはどのようなものがあるのか、そのいくつかを紹介しましょう。
亀頭包皮炎
これは男性のみですが、亀頭包皮炎とは、ペニスが炎症を起こしている状態のことです。ペニスの先端部分である亀頭から、その亀頭を包む皮膚である包皮に炎症が発生します。
性病というイメージを持つ人がいるかもしれませんが、亀頭と包皮の間に垢が溜まり、そこに細菌が感染することで起こるため、実際には子どもにも起こりうる病気です。
一般的に、菌の潜伏期間は1~7日程度だとされ、その間は症状がなく、文字通り体にひっそりと潜伏しています。症状としては、陰部の先が赤くなったり、腫れ上がったりして痛くなります。
また、白いカスが亀頭周辺にたまったり、包皮が赤く腫れてかゆくなり、悪化すると水ぶくれができる場合もあります。
排尿時にも痛みを伴うため、場合によっては手術が必要になることがあります。
・亀頭包皮炎の原因は?
亀頭包皮炎の原因菌は、カンジダや雑菌が多いようです。カンジダは、真菌というカビの一種で、人間の体内には常に存在している「常在菌」です。
通常は人体に害を与えず、病原体の侵入を防ぐ働きをしながら共存していますが、風邪を引いたり、疲労がたまっていたり、睡眠不足やストレス状態になると、免疫の働きが弱くななり、カンジダが異常に増殖して、かゆみや腫れなどの炎症を起こすのです。
また、病気で抗生物質などを服用すると、悪い菌だけでなく、消化管などに常在して真菌が増殖するのを抑えている有益な細菌も死んでしまい、真菌が異常に増えてしまうことがあります。
同じく、黄色ブドウ球菌や大腸菌などの雑菌も常在菌ですが、カンジダと同じように抵抗力が弱くなると増殖しやすく、免疫の働きが弱い子どもや病人、高齢者には、症状が強く現れることがあります。
ペニスを不潔にしていると、付着した尿や老廃物などを栄養してこれらの菌が増殖します。そこに、性行為や自慰行為、洗いすぎによって、ペニスに傷がついてしまうと、そこから菌が入り込んで炎症を起こしてしまうのです。
さらに、ペニスが包茎の状態だと、亀頭周辺の湿気が多くなるため菌が増えやすくなるようです。
外陰炎・カンジダ膣炎
こちらは女性のみの症状ですが、外陰炎とは、外陰部が赤くただれて激しい痛みやかゆみが起きた状態をいいます。炎症が続くと、皮膚や粘膜が白っぽくなり、かゆみが慢性化してしまいます。
外陰部の炎症が長期に渡って治癒せず、繰り返したり、慢性化したりしている場合には、外陰部の皮膚が厚くなって腫れる、白っぽく変色するといった「硬化性苔癬」という症状が現れることがあるため注意が必要です。
症状が悪化すると、外陰部意外にも足の付根側の部分や、肛門付近にまで広がることがあるので注意しましょう。
・外陰炎の原因は?
外陰炎の原因は、下着の摩擦や蒸れ、おりものや月経血の刺激、また、外傷や外陰部の洗い過ぎ、性感染症など、さまざまな場合があります。
外陰部がかぶれたぐらいなら、特に治療をしなくても、数日そのままにしていれば治るようですが、ストレスや疲労などで免疫力が低下していると、細菌が増殖しやすくなり、腫れも治りにくくなってしまいます。
例えば、カンジダというカビが原因の外陰炎だと、白いおりものがポロポロと出て、外陰部に激しいかゆみが生じます。おりものが付着すると、陰部が赤く腫れて痛くなることもあります。
症状が進行すると、外陰部だけでなく、膣にも発熱や腫れが生じることがあります。
外陰炎にはトリコモナス膣炎・カンジダ膣炎など菌によって名称が異なります。
尿道炎
尿道炎とは、尿が膀胱から体の外に排出されるまでの管である「尿道」が細菌に感染して炎症を起こしている状態をいいます。
この病は、男女ともに発生する可能性があります。陰部の腫れ以外の症状としては、通常、排尿の時に痛みを覚えたり、頻尿になったりします。
尿道炎を放置したまま治療を怠ると、結果として尿道が狭くなってしまうことがあり、こうなると、膀胱や腎臓に感染症の発生するリスクが高まります。さらに悪化すると、尿道の壁にできた膿瘍が破れてしまい、皮膚や腟、直腸などまで穴が通って、そこから尿が流れ出ることもあります。
・尿道炎の原因は?
尿道炎は細菌、カビ、またはヘルペスウイルスなどのウイルスに感染することによって発生します。
女性患者の場合、健康な時にも腸に生息している細菌が、尿道に入り、疲れやストレスなどで免疫力が落ちることによって繁殖して炎症が起きる場合が大半です。女性の尿道は、男性と比べて3分の1ほどしかないので、細菌が尿道から膀胱にたどり着きやすく、膀胱炎を併発することが多いようです。
男性の場合は、尿道の開口部が肛門から離れた位置にあるため、細菌が肛門から尿道に入り込むことは珍しく、発症の可能性は女性と比べると低くなります。
ただし、淋菌という細菌によって引き起こされる尿道炎もあり、主に性行為によって2~7日の潜伏後に発症することもあるようです。「淋病」とも言われます。
男性がかかると、膿の出現や、尿道の不快感、かゆみ、排尿困難などの症状が現れます。
女性が淋菌に感染した場合は、尿道への痛みは少ないのですが、排尿困難や頻尿などの症状を伴う「子宮頸管炎」につながったり、子宮内膜を通って卵管および骨盤腹膜へと感染が広がり、骨盤内炎症性疾患を引き起こす可能性もあります。
この骨盤内炎症性疾患を繰り返した場合には、患者の5人に1人程度が不妊になると言われているため、注意が必要です。3日以上経っても治らず、黄緑色の膿が出て来るようならば、淋病性の尿道炎の可能性が高いと思われます。
バルトリン腺炎・バルトリン腺膿瘍
バルトリン腺という膣の外に存在している分泌腺が詰まることや細菌感染を起こすことで炎症や腫瘍などを形成する病気になります。
バルトリン腺は性行為の際に、滑りを良くしたり、膣内を酸性からアルカリ性に変化させて妊娠しやすくするなどの効果を持っているバルトリン腺液を分泌する器官になります。
このバルトリン腺はちょうど膣の5時と7時の位置に存在していて、膣のしたのほうが腫れていたり、炎症している場合にバルトリン腺炎・バルトリン腺膿瘍どちらかの病気の可能性が考えられます。
症状としては、腫瘍の部分の激痛、皮膚の赤らみ、腫瘍の場合には最大2cm以上の大きさに膨れ上がることもあり、手術によって治療を行います。再発することもありますので、その場合はまた追加手術を行って再発を食い止める治療を行います。
バルトリン腺膿瘍の場合は左右どちらか片方のみに発生します。両方が腫れるということは基本的にありませんので、その点を特徴として知っておきましょう。
バルトリン腺炎・バルトリン腺膿瘍の原因は?
バルトリン腺炎の原因は大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌などの便に含まれている菌からの感染症が主な原因になります。女性器は肛門と近い位置に粘膜や器官が存在しているので、拭き取った際などに付着しやすくそれが原因で感染しやすい傾向があります。
また淋病や性器クラミジアなどの性感染症となる菌が原因となって問題が発生する場合もあります。
バルトリン腺膿瘍の原因は上記でも挙げた細菌から管の詰まりを発生させて膿が内部に溜まってしまった状態になります。ですので、炎症が進行した状態が膿瘍という症状になります。
ある程度の大きさに成長するまでにはかなりの時間がかかりますが、ある程度膿が溜まってくると激しい痛みが発生し、その周囲は熱を持ちますのですぐに理解るでしょう。
感染経路は、不衛生な性行為や自分の糞便からの感染が主な感染経路になります。
◆陰部の腫れの対処法は?
陰部の腫れの対処方法について紹介します。以下の方法で膣に問題が発生しないように予防することや、症状の治癒を早めるなどの効果を得る事ができます。
早く治ることに越したことは無いので、しっかり対処していきましょう。
規則正しい生活
陰部が腫れるのは、体内にいる菌が異常繁殖して起こることが多いですから、普段から体の抵抗力が下がらないよう、規則正しい生活や十分な休息、栄養バランスのよい食事、適度な運動などを心がけるようにしましょう。
清潔に保つ
陰部に細菌が繁殖している場合には、清潔にすることが大事になります。こまめに入浴し、トイレを我慢せずにきっちりと排尿するようにしましょう。
また、陰部が腫れる主な原因菌となっているカンジダは、湿った環境に繁殖しますから、外陰部で雑菌が繁殖しないよう、生理中はこまめにナプキンを交換するようにしましょう。
特に問題になるのが、蒸れになります。蒸れが雑菌を繁殖させる最も影響力の高い問題となりますので、通気性の良い綿のパンツを使用することなどで対応して、菌が過度に増殖しない環境作りをしていきましょう。
免疫力を高める
もし、雑菌の増加などが発生したとしても、免疫力が高い状態で維持されていれば、感染症に繋がる危険性はかなり低くすることが出来ます。
体温を高めることや、腸内環境の善玉菌を増やすなどして腸内フローラを整えることで免疫力は6倍近く高めることが出来ます。
逆に体温が低下している場合や、便秘などが発生していて腸内の環境が良くない場合には、免疫力が低下しているときなので、しっかり予防を意識的に行う必要があります。
膣内の状態を良くしておくためにも、栄養は欠かせないので、食生活などにも気を使って粘膜の修復に必要なビタミンなどを消費してしまう脂質や糖質などを過剰に摂取しないようにしましょう。
コンドームを使用する
これらの陰部の炎症は、性行為の際に菌が感染することも多くあります。コンドームを正しく使用することが効果的です。
性感染症の場合、ピンポン感染といって、卓球のピンポン玉のやりとりのように、パートナー同士で病原菌の感染を繰り返すこともあります。
これを防ぐために、もし炎症が起きたら、パートナーも検査を受けたほうがよいでしょう。
コンドームを使用する目的は避妊だけではなく、性病を予防する事が大きな目的でもありますので、ピルでの避妊をして安心などと思わず、固定のパートナー以外と性行為をする場合は必ずコンドームを使用するようにしましょう。
サプリメントを飲む
最近のサプリメントには安価で高品質なものがあり、手軽に服用することができるものも現れています。
経口の抗菌薬などもあり、一般的に7日間ほど内服を続ければ、治ることも多いようです。
抗生物質の内服薬を服用すれば、通常であれば1日~2日間程度で症状が良くなると言われています。ただし、症状が良くなったとしても、続けて服用しないと再発する可能性があるので、きちんと処方通りに服用し、その後はもう一度診察を受けて、治癒したかを確認するようにしましょう。
また、細菌の種類によっては抗生物質が効きづらいく治りが遅くなる場合もありますので、医師に確認してもらい薬の種類を変えるか、治癒してるかを必ず確認してもらうようにしましょう。
何科に行けばいい?
性病の場合には性病科に行くことが王道ですが、女性の場合には婦人科という選択肢があります。婦人科のほうが安心して相談できる雰囲気がありますし、何より行きつけの病院がある場合には、婦人科の方が治療が受けやすいでしょう。
性病科を選択する場合でも女性と男性でしっかり待合所や、診察室などが別れている配慮がされている病院に通うことをおすすめします。
女性の先生の病院であればなお治療や相談などはし易いでしょう。
まとめ
今回は陰部が腫れた時の原因と対処法を紹介しましたが、いかがでしたか?
普段から陰部を清潔にし、ストレスをためずに規則正しい生活を送るのが大事なことが、お分かりいただけたかと思います。
陰部はデリケートな部分ですから、少しの腫れや痛みでも日常生活に支障が出ることがあります。人に聞くのは恥ずかしい部位ですから、病気についての知識を身につけておくことは大事なことかもしれません。
ご紹介したように、陰部が腫れても、必ずしも怖い性病というわけではないようですが、自己判断せず、医療機関への受診も前向きに考えましょう。
また、自分に症状が現れた時には、感染の心配がありますので、パートナーに伝えることも1つのマナーかもしれませんね。
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