人工透析の原因は腎不全の患者さんです。腎不全は色々な病気が原因で起こります。透析人口は2014年で32万448人です。人工透析の三大疾患の死亡原因は1位が心不全、2位が感染症、3位が脳血管障害の脳卒中(脳梗塞・脳出血)です。
人工透析の原因として起こるのは1位が糖尿病、2位が原発性腎症、3位が腎硬化症です。人工透析になる前に、予防することで将来の行動範囲が決まってきます。人工透析になる前に予防をしましょう。人工透析の原因について調べてみました。
腎不全とは
まずは、腎不全について知っておきましょう。
どういったことが原因で腎不全になるのでしょうか?
腎臓とは
腎臓にはいつも多量の血液が流れ込んでいます。腎臓の血管や血流が障害を起こすと、腎臓は機能低下して腎臓病を発症します。細かい血管の障害を起こす糖尿病や、動脈硬化が起こりやすい高血圧など、腎臓病となります。
腎臓病の主な病気
- 慢性腎炎・・・高血圧、血尿、タンパク尿、むくみなどの症状が長期にわたり続きます。
- 糖尿病性腎症・・・糖尿病の合併症で、尿が徐々に出なくなります。
- ネフローゼ症候群・・・高脂血症で原因不明の特発性ネフローゼ症候群と、原因の解っている続発性ネフローゼ症候群があり、むくみ、大量のタンパク尿などの症状がでます。
- 腎硬化症・・・腎臓の血管に動脈硬化が起きて、血管が狭くなって、腎臓に流れる血流が少なくなって腎臓の機能が低下します。
- 多発性嚢胞腎・・・遺伝性の病気で腎臓に水が溜まる袋が沢山出来て、腎臓の機能が低下します。
- 腎臓がん・・・腎臓にがんができます。
- 慢性腎不全・・・腎臓の機能低下が徐々に起こる病気です。腎不全になると人工透析の事も、視野に入れなければならなくなります。
腎不全
腎臓病を放置していると腎不全になります。色々な原因によって、腎臓の働きが衰えて腎臓機能低下に、なった状態を腎不全と言います。腎不全には急性腎不全と、徐々に悪くなる慢性腎不全があります。
急性腎不全は急に腎臓の機能低下で起こりますが、早急な適切な治療を行えば回復できます。慢性腎臓病の場合は、腎機能がある程度まで低下しないと、症状に現れないため、早期発見が難しく一度失った腎機能は、回復することが難しくなってきます。
腎臓の働きが機能低下すると、尿として排泄された老廃物が身体の中に溜まって、尿の異常や高血圧、部分的な浮腫みなどの症状が起こり、末期的になると尿毒症となって重篤な場合全身けいれんなどの症状が起こります。末期の治療は腎臓移植か人工透析しかありません。
詳しくは、腎不全とは?原因や症状、治療方法を知っておこう!を読んでおきましょう。
人工透析とは
人工透析というのは、腎臓の機能の衰えた人を、人工的に機能を動かすことです。尿毒症で腎不全になった人を死亡させないためです。電解質維持、老廃物除去、水分量維持の働きを人工的に行います。この治療を血液浄化療法と言って、やり方の方法としまして、血液透析療法、腹膜透析療法、オンラインHDF療法などがあります。
腎臓の機能が低下して10%以下になった時には、血液の濾過が十分行えなくなります。そして濾過できないと、水分や老廃物の仕分けができなくなり、血液を人工的に浄化しないといけなくなります。この血液濾過して身体に戻す、血液浄化療法を行うことを、人工透析と言います。人工透析の原因は腎臓の機能低下によるものです。
人工透析を受ける人
人工透析を受ける人は、腎臓の機能が10%以下に落ちた人で、現在30万人も超える人たちがこの治療を受けています。人工透析の血液濾過するこの療法を受けるには、1回あたり3~5時間、週2~3の病院通いが必要となります。
これでも十分な治療にはならず、薬や食事や運動による、生活習慣の改善が必要となってきます。
人工透析の原因
人工透析の直接の原因は腎不全です。しかし腎不全になる前の病気は色々あります。
糖尿病
糖尿病は生活習慣病
人工透析の原因となっている一番多い病気が糖尿病です。目に糖尿病が現われた場合は、糖尿病網膜症で失明の危険が出てきます。また神経に現れたときは、糖尿病神経障害です。
糖尿病神経障害になると、最悪足の切断することもあります。そして腎臓に現れると糖尿病腎症疾患となります。糖尿病は生活習慣病です。日ごろの生活習慣が起こす病気です。
腎不全の症状
腎不全で最も多い原因は糖尿病で、糖尿病性腎症が正しい言い方です。腎臓内部の血管が、糖尿病の高血糖で内皮細胞が障害をうけて、老廃物が排出しにくくなります。腎不全になることで腎障害がおこりタンパク尿が漏れ、血液の中のタンパクの減少が起こります。
息切れやむくみの症状がでるネフローゼを起こし、症状は手のしびれや発熱、顔色の悪さ、筋肉のこわばり、痛みなどの症状が出てきます。こうなると血糖コントロールや低たんぱく食、水分量の制限などが必要となり、病気が可なり進行しているといえます。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症とは糖尿病の三大合併症の一つで、進行すると腎不全となります。糖尿病で高い血糖値の状態が続いて、全身の動脈硬化が進んで、腎臓の糸球体の毛細血管の血管が破れたり、詰まったりして濾過する機能が低下して、糖尿病腎症になります。
糖尿病腎障害は糖尿病から腎症になるまでに、10~20年掛かります。腎症3期になるとタンパク尿が出現してきます。
原発性腎症
腎臓自体の腎機能が障害を起こす病気で、慢性糸球体腎症は2番目に多く、その他に腎硬化症や多発性嚢胞腎などの腎臓病があります。これは根本的な治療がないため、慢性腎不全になってしまいます。
腎臓自体に障害が起こる原因不明の物を、原発性と言って一次性とも言います。腎臓以外で起こるものを続発性と言って二次性とも言います。慢性腎臓病(CKD)急性腎臓障害(AKI)が国際的に提唱され広く使われるようになりました。原発性腎症から慢性腎不全になる割合は30~40&%です。
腎硬化症
腎臓の動脈硬化です。腎臓にも動脈硬化が起こるのです。
原因は痛風を起こす高尿酸血症や高血圧や脂質異常によるもので、腎機能が低下すると腎不全となり、透析患者さんの中でも3位に位置づけられる病気です。
自己免疫疾患
4番目に多い原疾患で、膠原病やリウマチなどの自己免疫疾患から、ループス腎炎に進行して、難治性の場合は、これもまた慢性腎不全になってしまいます。
腎臓がん
腎臓がんになって2つとも腎臓を摘出した場合、人工透析か、腎臓移植を行わなければなりません。
腎不全には一時的に腎臓の機能が落ちる急性腎不全と、永久的に機能の落ちる慢性腎不全があり、慢性腎不全患者は人工透析か、腎臓移植が必要となります。
詳しくは、腎臓がんの生存率はどのくらい?原因や症状、治療法について!を読んでおきましょう。
膀胱炎
膀胱炎から透析なんて考えられなかったですが、膀胱炎になると腎臓と膀胱は尿管で繋がれているので、細菌によって膀胱炎になった場合、細菌が増殖して腎臓に細菌が侵入して腎炎などを起こし、放置することで腎不全になって人工透析の原因となります。
人工透析の方法
透析療法には3種類の物があります。
一つはオンラインHDF療法、二つは血液透析療法、腹膜透析療法の人工的に行う透析療法があります。
オンラインHDF療法
オンラインHDFという血液濾過透析を、超純粋透析液を使用して行います。多くの老廃物を除去するのが可能な治療法で、通常透析+血液濾過を合わせた治療を行います。透析膜も高性能膜を使用することが可能です。
透析膜は腎臓の役目をしているので、高性能な膜を使用することは、とても大事なことです。このHDFはオンライン方式と、オフライン方式とに分かれていて、その違いは老廃物を濾過する、補充液の量の違いにあります。
血液透析
ダイアライザー
血液透析の方法はダイアライザーと呼ばれる透析器、これは人工腎臓ともいわれ、この器具を通して、血液浄化を行います。この器械で血液を体外に出し、老廃物を取り除きます。初めに血管内の老廃物が最初に浄化し、血液が体内を巡ると、細胞外液に移動するので、ダイアライザーで除去します。
細胞外液は老廃物を血液に供給し、細胞内液の老廃物は細胞外液に移動することにより、全身の血液が浄化されます。尿毒物質を排出して、ナトリウム・カリウムなどの電解質の濃度、ph、体液量調節されてきれいな血液となり体の中に再び戻されます。
体重50kgの人の血液量は約3.8リットルです。ダイアライザーを血液が通過する量は、48リットルで血液量の12倍で、約4時間かかります。
シャント
透析をするときは、腕の動脈と静脈を繋ぐシャントという、取り出し口を作る手術をします。透析を行うときは、必要な血液流量を血管から連続的に取り出すため、接合部分を一時的に太くしてここに針をさして、血液を体外に取り出します。
シャントを作る場合腕の静脈が適切でない場合、人工血管移植術(人工血管グラフト)を行うことがありますが、グラフトの場合シャント閉塞や感染を起こす、危険性が非常に増しますので、注意して行わなければならないです。
シャントを増設すると、シャント血圧圧迫、血圧低下によるシャント閉塞等その他にも色々な合併症を伴い、循環動態の乱れによる高拍出性心不全なども起こりますので、注意が必要です。
血液透析は以前は中分子除去が苦手でしたが、現在はハイパフォーマンス膜と言う透析膜が開発されて、中分子除去も可能となりました。
腹膜透析
透析液を出し入れするカテーテルと呼ばれるチューブを、手術して腹部に埋め込んで、お腹の中に透析液を入れて、体内で血液を浄化する方法です。近年は透析液に高カルシウム濃度の透析液を用いるのが一般的になっています。
心血管への負担が少なくて、自尿が維持されやすく、食事制限が穏やかに済みます。しかし長い事腹膜透析をしていると、被嚢性腹膜硬化症の合併症のリスクがあるため、4~5年したら血液透析に移行します。またカテーテル侵入部への感染症があるため、清潔に保つには、患者本人が行わなければならない。
腹膜透析と血液透析の違い
腹膜透析と血液透析の違いについては、血液濾過は中~高分子量物質の優れた除去ができます。血液透析の小分子量物質除去能は、血液透析より高い血液浄化が必要な場合に行われます。
透析は患者自体の生活状況と、病態によって透析の仕方を使い分けてます。腹膜透析は時間制約がない代わりに、自分で全てやらなければなりません。
その他の療法
腎不全になった場合の、その他の治療方法について紹介します。
音響免疫療法
この音響免許療法は、腎不全になった患者さんも人工透析をしないで、音楽を聴いて治す療法です。新しい試みの様ですが、効果を上げ今話題になっています。
血液温度と体温の上昇
37℃~38℃に体温を上げるため、音楽を聴きます。音楽を聴く聴覚時間が長ければ長いほど、体温は確実に上昇します。体質や病状、聴覚時間、体験回数など異なります。
音楽を聴くことによって、血液の流れの悪い部分が痛み出します。長い時間かけて音楽の波動エネルギーを脊髄に感じると、血液が温まり臓器が活性化病状が改善されます。長時間音楽を聴くことで、臓器が活性化され病状の好転を自ら感じることが出来ます。
食事療法(食事制限)
腎機能障害の人は生活習慣の改善が必要となってきます。それに加えて食事療法、薬物療法基本となっています。食事療法は腎臓疾患の進行を防ぎ、症状を改善することが目的ですが、通常何も問題もなく体外に排泄されていたものが、腎機能が低下することで、老廃物が身体に溜まりやすくなっていますので、栄養バランスの崩れた食事をしていると、むくみや倦怠感、高血圧と言った症状が現われてきます。
その為人工透析をされている方は、食事に気を付けることが必要です。食事のポイントは次の様な事が上げられます。
タンパクの取りすぎ
タンパク質は分解されると老廃物が出るのに対し、炭水化物や脂質は分解されても老廃物がでません。血液中に溜まった老廃物は尿から普通の人は排泄されますが、人工透析を行っている人は、腎臓が正常に機能していないため、血液中に溜まった老廃物を尿から排泄することができません。タンパク質も必要量は大切に摂取しないといけませんが、過剰なタンパク質は病気を悪化させます。
カロリー不足
カロリー不足になると、体は体の中のタンパク質を分解してエネルギーに変えようとしますがこの時に老廃物が出ます。脂質と炭水化物を摂って、カロリー不足になるのを防ぎましょう。
水分制限
人工透析をしている人は、腎臓機能が低下しているため、尿が出にくくなります。一日の水分量は食事も合わせて1000㏄程度に抑えないと、水分をとればとるほど、身体に蓄積されます。
塩分
腎臓の機能低下した腎疾患では、塩分排出もうまくできないので、塩分を摂りすぎることで高血圧になったり、身体が浮腫んだりしますので、塩分は控えめにすることが大切です。
カリウム
カリウムを過剰に摂取すると、高カリウム血症になります。カリウムの多い果物や芋類、野菜類などに注意して、心臓に負担を掛けない様にしましょう。
リン
リンの摂りすぎは、脳梗塞や心筋梗塞のような血管の病気を引き起こしたり、関節の石灰化の助長などなります。乳製品やインスタント食品、加工食品などリンの多い食品には注意して摂取することが大切です。牛乳、ヨーグルト、しらす干し、シシャモ、うなぎ、あなご、はも、卵、魚、大豆製品、ハム、ソーセージ、かまぼこ、
飲酒と煙草
煙草は血管を傷つけるので禁煙が第一です。飲酒の方は決められた範囲の水分量なら飲酒しても良いそうです。
日常生活
日常生活で気を付けることは以下の通りです。
体重管理
人工透析をしている人は、排泄機能低下になっているので、水分量を調節し体重管理をする必要があります。ドライウェイトと言われる体の中の、余分な水分を取り除いた体重が、透析後の体重の一つの基準になります。医療機関ではその数値を見ながら、治療を管理します。その数字を記憶しておく必要があります。
シャント管理
人工透析をする時に作るシャント(人工血管)は、日常シャントのある腕で血圧測定をしない、腕枕をしない、感染に気をつけて、清潔にしておくことが大切です。
人工透析と障害年金について
人工透析を受けられるようになると、障害年金が申請できます。
- 初診証明がとれない・・・受信状況等証明書添付できない申立書を提出
- 初診の日時の考え方・・・障害年金上の初診日は症状を自覚して初めて医師の診療を受けた日です。初診日をまちがえると、後で必要以上の医証が必要となり、決定までに時間がかかりすぎますので、最初に提出するときは、間違えないようにすることが大事です。
- 申請時に初診日にアンケートを摂りますが、この書類も診断書、病歴就労状況申立書と食い違いのないようにしないと、審査の参考にされます。
- 障害認定日・・・人工透析を初めて受けた日を起算して3ヶ月を経過した日(初診日から起算して1年6ヶ月を超える場合を除く)
障害年金について詳しく知りたい方はhttps://shougai-support.com/kijun-jinzou/で詳しいポイントなどが掲載されていますのでご覧ください。
まとめ
如何でしたでしょうか?
人工透析という大変な作業を行わないと、命に関わることになる前に腎臓をチェックして、今以上に腎臓の負担を掛けさせ無い様にしないといけないと、思われたでしょうか?人工透析は日本では近年とても増加しています。
これも食の文化が昔と今と変わったためです。いつまでも健康な体でいるために、腎臓を休ませることも大切です。尿検査と血液検査で腎臓病をチェックできますので、今日から腎臓にやさしい食生活をしてみませんか。
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