ついつい飲みすぎてしまった次の日に、頭に痛みを感じたことはありませんか?吐き気を伴う場合もあるし、気分が悪くなる場合も多くあります。
お酒の頭痛は、二日酔いになった時に発生するタイプの頭痛と、お酒を飲むという行動で発生するタイプの二つに分かれます。
今回はお酒の頭痛に関する記事を書いています。自分の頭痛がどちらのタイプかを把握して、適切な対処をする必要があります。お酒の頭痛に苦しんでいる人はぜひ読んでみてください。
お酒で頭痛が発生する原因
まずはお酒を飲むことで発生する4つの頭痛の原因について紹介します。
どの様な原因によって頭痛が自分に発生しているのか、明らかにして対策につなげていきましょう。
アルコールによるもの
摂取したアルコールはまず胃から体内に吸収されます。その後吸収されたアルコールは肝臓に到達しアルコール脱水素酵素によって分解されてアセドアルデヒドに変換されます。
このアセドアルデヒドがアルコールに含まれている毒素です。飲酒を重ねることで代謝上限を超えて摂取してしまった場合、初期症状として顔の赤らみ、吐き気、頭痛などの症状が現れます。
肝臓内で代謝できなかったアルコールについては血中に送られ、時間差で代謝が行われます。この時、脳に循環したアルコールが脳の血管を拡張したりプロスタグランジンという痛みを増強させる物質を生み出してしまうことで痛みが更に強くなります。
脈打つ度に痛みが強くなるのが特徴的な痛みになります。
脱水症状によるもの
低髄液圧による痛みがこれに当たります。お酒にはアルコールが含まれているので利尿作用が強く働くようになり、お酒から水分を摂取しているのに脱水症状になってしまいます。
失われた水分を補うために更にアルコールを飲みたくなるという悪循環から体内のアルコール濃度は更に上がり頭痛も発生しやすくなります。
水毒によるもの
水分を短時間に過剰に摂取してしまうことで血中ナトリウム濃度が低下して、低ナトリウム血症となり吐き気や頭痛、痙攣などを引き起こすのが水毒症の特徴です。
これもナトリウムを摂取するためにスポーツドリンクなどを欲して喉が乾きますので、悪循環により症状がひどくなりやすい傾向があります。
水分が血中に多くなることでその水分を外の細胞に逃して細胞がむくみ、ぽっこりお腹や身体のむくみ、脳のむくみに繋がります。
これによって血管周囲を覆っている神経が圧迫され炎症が発生し頭痛がひどくなります。
2日酔いによるもの
泥酔している状態で水分を補給せずに、体内の血中アルコール濃度が高いまま寝てしまうと必ず二日酔いになります。
アルコールという毒物が睡眠中も代謝できずに脳や神経を傷つけ続けるので起きたときにその反動が一気に来ます。
更にアルコールを飲んだ状態で睡眠することで寝返りが打てなかったり変な体勢で寝ている影響で状態が悪化することもあります。
二日酔いによる痛みは立ち上がった時に痛みが増強し吐き気も強くでるのが特徴です。
日によって二日酔いになったりならなかったり症状の重さが異なるのは、単に身体が疲れていたなどの体調の影響が大きいでしょう。
お酒を飲んだ時に関係する二つの頭痛
以下の二つの頭痛はお酒を飲まなくても発生する頭痛になりますが、お酒を飲んだときにも特に発生しやすい頭痛の特徴と原因を併せ持っています。
群発頭痛
群発頭痛は、お酒のアルコールが引き金となって発症する場合が多くあります。飲み始めから、40分前後に痛みが現れだして、えぐられるような痛みを感じます。
群発性頭痛は1ヶ月程の期間の間に頻繁に発生するタイプの頭痛になります。
群発頭痛については、詳しくは分かっていないことが多いのですが、血管の収縮運動が要因となっているようです。そのため、アルコールにより、血管が拡張することで、目の奥に痛みを感じるというケースがあります。群発頭痛の人は、群発期には禁酒したほうがいいでしょう。
また、お酒意外にも、喫煙などが原因に挙げられるので、飲みながらタバコを吸う人は要注意です。
緊張型頭痛
お酒を飲んで泥酔した状態で寝てしまった場合に発生しやすい頭痛になります。
お酒を飲んでいる状態で寝ているときは、浅い睡眠状態になっていますが、泥酔している場合は正常に寝返りが打てないので結果的に筋肉の緊張や凝りが発生してしまいます。
また、無理な体勢で長時間寝てしまう事も少なくなく、それが原因で寝違えや緊張型頭痛が発生します。
首や肩の筋肉の凝りが原因で発生している頭痛です。運動をすることで血行が良くなり痛みが和らぐことが特徴です。
お酒の頭痛ってどのくらいで治るの?
飲酒をして数時間で発生した頭痛や二日酔いでの頭痛はどのくらいで治るものなのでしょうか?非常にストレスですし、いつまで耐えればいいのか、薬を飲んだほうがいいのか迷いますよね。
痛みが軽減するまでの時間について考えていきましょう。
血中アルコール濃度の推移
出典: 「Alcohol Alert」 National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism
これは平均的な体重60kgの体型の男性の体内でのアルコール推移を表したグラフになります。
ほろ酔い程度の量である缶ビール1〜2本(日本酒1合、焼酎0.6合)のアルコールが代謝されるまでには3時間ほどの時間がかかります。
なので飲酒後の頭痛も朝に発生しているピークの痛みが発生しているときから3〜4時間程度の時間で回復していくでしょう。
薬は効かない!?
一般的な頭痛薬はお酒の頭痛には効果がありません。一般的な頭痛薬や鎮痛薬の効果は痛み増強物質の働きを抑える効果だけが高く、その他の頭痛の原因である脳のむくみや血管の拡張を抑える効果はありません。
なので結果的に飲酒での頭痛の痛みは和らげることが出来ないと言われています。
こちらについては実際に効果があったという人も居ますので一概に全てに該当するわけではありません。
プラセボ効果という全く意味のない薬を飲んでも体調が良くなったという現象もありますから、病は気からというところもあるのかもしれません。
お酒による頭痛の解消方法
お酒の頭痛を感じた時は、どのようにすれば解消できるのかを紹介します。
それぞれの症状ごとに有効な方法が異なりますので、症状にあった対策法を行いましょう。
冷やす
お酒によって頭痛を感じた時は、温めるのではなく冷やす様にして対処してください。
血管が膨らむことで痛みが生じているわけなので、血管を縮ませる必要があります。誤って温めると症状が悪化してしまう恐れがあります。
冷たいタオルなどで、痛みを感じる場所を冷やすようにしてください。これは二日酔いの場合でも、飲みすぎた場合でもどちらにも有効です。
温める
お酒ではなく、無理な姿勢で寝てしまった場合に緊張型頭痛が発生している場合は、軽い運動や、入浴で筋肉を温めてほぐすことで血行を良くし、頭痛を解消することが出来ます。
これも、他の頭痛と症状を見誤ると逆に血管が拡張して痛みがひどくなりますので注意が必要です。
カフェインを取り入れる
カフェインには血管を収縮させる効果があるので、お酒によって膨らんでしまった血管を縮ませましょう。
二日酔いの時は、徐々に回復してきたらコーヒーから摂取すれば、リラックス効果もあり効果が期待できます。コーラや緑茶にもカフェインは含まれているので、お酒を飲みすぎて頭痛を感じた時はおすすめです。
カフェインが効いてくるのには30分〜1時間くらいの時間がかかるので、お酒が弱い人はあらかじめ飲んでおくというのも良いでしょう。
ツボを押す
お酒の頭痛に効果的なツボを押すことで症状を改善できる場合があります。簡単に押せるツボを紹介します。
・完骨(かんこつ)
耳の後ろにある出っ張った骨の下にあるツボです。頭痛や顔のむくみなどに効果があります。
片腕で行うのではなく、両腕の親指や中指を使って押すことでバランスよくツボが刺激できます。
・百会(ひゃくえ)
頭のてっぺんにあるツボです。万能のツボで、頭痛のほかストレスなどにも効果的です。3〜5秒長押しして開放、を3回ほど繰り返して行うと効果があります。
・天容(てんよう)
完骨と同じラインにあり、顎のやや下にあるツボです。頭痛のほか自律神経を落ち着かせる効果があります。
以上がお酒の頭痛に効くツボになります。頭痛でなにも飲みたくない時などに押してみましょう。
暗いところで安静にする
頭が痛くてなにもしたくないという時は、なるべく光が当たらないところで休むようにしましょう。
光や音が原因となり、症状を悪化させてしまう恐れがあります。お酒を飲みすぎた時は耳から音が入ってくるのを防ぐようにして休みましょう。二日酔いの場合は、暗い部屋で安静にするのが良いでしょう。
水分補給
出来れば痛む前に水分を飲んで予防したい所ですが、痛みが発生してからも水分を摂取することで脱水症状や血圧の上昇を食い止めるなどの効果で頭痛を和らげることが出来ます。
出来れば、ポカリなどの吸収されやすいスポーツドリンクを飲んで効率よく水分補給をしていくと良いでしょう。
肝機能を高める
お酒で頭痛が発生している場合は、アルコール濃度が非常に高くなっていて代謝しきれていない状態になります。
アルコールを分解、代謝するのは肝臓ですので肝機能を高めることで効率よくアルコールの分解が出来ます。
肝臓の機能を高める食材としてはごま、かぼちゃ、玄米、アブラナ科の植物油などが有効になります。
薬を飲む
市販の解熱鎮静剤を飲んだり、ヘパリーゼや大正漢方胃腸薬やソルマックプラスなどの胃腸薬を飲んでも、気持ち悪さや頭痛の症状を軽減することが出来ます。
二日酔いに最も効果の高い頭痛薬は漢方成分を配合しているアルピタンでしょう。この薬はアルコールによる頭痛の原因である3つの要因に働きかけることで頭痛が改善されます。
しかし現在、二日酔いでの頭痛の治療を根本から行ってくれる治療薬は存在しません。
アセドアルデヒドを一発で分解してくれる特効薬は未だ開発されていないんですね。なのであくまでも緩和することでの処置になりますので、それを踏まえた上で用意しておくと良いでしょう。
寝る
痛みを一発で治せるという対処法は存在しません。自然にアセトアルデヒドが代謝されて痛みが取れることを待つしかありません。
しかし起きている状態で我慢し続けるのは苦痛ですので、寝てしまって過ぎ去るのをおとなしく待つのが最も楽な対策法でしょう。しっかり水分だけ補給して睡眠を摂るようにしましょう。
実際に最も多くの人が行っている対処法でもあります。仕事でどうしても休めない事もあると思いますが、休めるのであれば寝て安静にしておきましょう。
群発頭痛の場合
群発頭痛の場合は、上記の方法は通用しません。群発頭痛の対処方法を紹介します。
薬物療法
病院で診察を受けて、トリプタン系薬剤を処方してもらって服用してもらうようにしましょう。自分が群発頭痛持ちというのを理解しておくことも大切です。
純酸素吸入法
群発頭痛は、薬を服用しても症状が治まらないことが多くあります。そんな時に有効なのが、純酸素吸入法です。
方法としては、純度100%の酸素を吸入するという方法です。この酸素をマスクを通して、毎分7Lを15分ほど吸入します。これにより痛みが徐々に治まってきます。
群発頭痛が起きたら素早く行うことがポイントです。
お酒による頭痛の予防方法
お酒による頭痛は、発生してしまってからは自然に治まるのを待つしかありません。ですので何よりも予防することが一番大事だと考えられます。賢いお酒の飲み方をして、後に残さないようにしましょう。
二日酔いを予防する有効な対策方法を紹介します。
①水を挟む
特にお酒に弱い人は、水を間に挟みながら飲むことで頭痛の発生を予防できるでしょう。
お酒を飲むことでトイレに行く回数が増えます。これにより軽い脱水症状のような状態になり水分が体内から激減します。脱水症状は軽い頭痛を引き起こすことがあるので、水を飲むことで回避できます。こまめに水分補給を行いましょう。
さらに、アルコールの濃度を薄められるのが一番の利点といえます。濃度を薄めることで、内臓の負担を減らすことができ、いきなり頭が痛くなるといった状態を減らすことができます。
また、お酒を飲むことで利尿作用が働いて、トイレに行く回数が増えてしまいます。そういった点でも、水分補給は必要といえます。
さらに翌日の二日酔い防止にもなるので、お酒を飲んでいつも頭が痛くなるという方は、水を挟むことを意識しましょう。
・アセトアルデヒドの分解能力について
アセトアルデヒドの分解能力には個人差があります。もちろんアルコールの分解能力にも個人差があり、これらは別物となります。
例えば、アセトアルデヒドの分解能力が高い人は、お酒には酔いやすいですが、二日酔いにはなりにくいタイプです。アルコールの分解能力が高い人は、酔いにくいですが、二日酔いになりやすいといえます。
アセトアルデヒドを分解するのに水分が、必要なので、アセトアルデヒドの分解能力が弱い人は水分を多く取ることが一番の対策方法です。
②食べ物
お酒の席で食べるものを意識することで、頭痛が発生するのを抑えることができます。おつまみとお酒の相性を意識することで肝機能を高めてアルコールの分解能力を向上させます。
有効な成分は、「ビタミンB2」と「マグネシウム」の二つの成分になります。
- (ビタミンB2) 納豆・レバー・いかなご・ししゃも・ぶりetc
- (マグネシウム) なまこ・いくら・豆腐・あさり・するめetc
特に居酒屋などで食べられそうな食品を選んでみました。メニューにあればできるだけ食べるようにしましょう。
また、逆に頭痛を引き起こしやすくなる食べ物もあるので、避けるようにしましょう。頭痛を引き起こす成分は、「チラミン」と「亜硝酸」と「グルタミン酸ナトリウム」の3つの成分になります。
- (チラミン) チーズ・ワイン・チョコレート・キムチetc
- (亜硝酸) ソーセージ・サラミ・ベーコン・たらこetc
- (グルタミン酸ナトリウム) インスタント食品etc
これらのものは、お酒と一緒に食べると頭痛を引き起こす可能性が高くなるので、アルコールに弱い人はなるべく避けましょう。
③空腹を避ける
いつも飲むと頭痛を引き起こす人は、なるべく空腹を避けてから飲むようにして下さい。
空腹時に飲むと、アルコールの刺激がそのまま胃腸を刺激してしまうことになります。さらに血中アルコール濃度が高くなってしまうので、お酒が回るのも早くなって血管も膨張しやすくなるのです。
飲みにいく予定があるときは、少し前に軽食を食べておくだけで変わるので、空腹は避けましょう。
④飲酒前に飲むべきもの
肝機能を高めるウコン系のドリンクや二日酔い防止の健康飲料はたくさんあります。これらを飲酒の30分前程度に飲んでいると二日酔いの問題が発生しにくくなります。
その他にも胃からのアルコールの吸収を穏やかにする乳製品などが有効になります。牛乳などの乳製品は胃に膜を張って急激にアルコールを吸収することを予防してくれます。
もし空きっ腹の場合は牛乳だけでも飲んでおくなどして対策するといいでしょう。
まとめ
お酒による頭痛の種類
- アルコールによるもの
- 脱水症状によるもの
- 水毒によるもの
- 二日酔いによるもの
- 群発性頭痛
- 緊張型痛
お酒による頭痛の解消方法
- 冷やして、血管を収縮させる
- 温めて筋肉の凝りを解消させる
- カフェインを含むものを飲んで、血管を収縮させる
- ツボを押してみる
- 暗い部屋で安静にする
- 水分を取る
- 薬を飲む
- 肝臓の機能を高める
- 寝る
お酒による頭痛の予防方法
- お酒の間に水を挟む
- 頭痛を防ぐ食べ物を選ぶ
- 空腹状態を避ける
- 有効な飲み物
以上が今回の記事のまとめになります。お酒の強さは個人差があるものなので、自分がどれくらい飲めば、頭痛になるかということを知っておくことも大切です。お酒を飲む機会が多い人もいると思うので、しっかりと事前準備をして予防することに努めましょう。
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