噛むたびに痛みを感じたり、冷たい飲み物がしみたりして嫌になってしまう虫歯。
早く治療した方がいいのだけれど、忙しくて虫歯を放置してしまっている人も少なくないはずです。放置していると、症状がどんどん悪化して、神経もやられてしまう場合もあります。
そして意外と気がついていない人も多くいるのが、虫歯が原因で頭痛が発生していることがあるということです。
頭痛を治そうと様々な方法を試しても治らないのは、虫歯の治療が出来ていないからという場合があります。
今回は、虫歯による頭痛についての記事を書いています。虫歯と同時に頭痛が起こって不安になっている人はぜひ読んでみてください。
虫歯が起こす頭痛について
まず虫歯が原因となって引き起こされる頭痛には、どのような種類の頭痛があるかを紹介します。
痛みの種類から自分に発生している症状を明らかにして対策していきましょう。
・緊張型頭痛
最も多いのが、虫歯以外の原因でも発生することがある緊張型頭痛です。頭をキリキリと締め付ける感じの痛みが特徴です。激しい痛みはあまりなく、弱い痛みが長い時間続く場合があります。
筋肉の緊張や肩こり首の筋肉の凝り、顎の筋肉の凝りなどから関連して発生する症状で、数日間継続して痛みが発生することがあるのが特徴です。
筋疲労や体の疲労が溜まっていたりストレスが蓄積していると、良く発生しやすい症状になります。
・顎関節症による痛み
虫歯ができていることで、歯の噛み合わせが狂ってしまい「顎関節症」を発症させてしまうことで痛みを感じている場合があります。
逆に歯並びが悪い人は虫歯になりやすいので、元から顎関節症になる可能性を秘めており、虫歯をきっかけに顎関節症を発症して頭痛に繋がっている可能性があります。
口を大きく開けない。口の開閉時に異音や引っ掛かりがある。顎の痛みが発生している場合は顎関節症の疑いがあります。
歯科もしくは口腔外科を受診しましょう。
・脳静脈血栓症による痛み
虫歯を放置したことで出来る脳静脈血栓症によって、頭痛を感じている場合があります。こちらは早期の治療が必要となります。
虫歯の菌を長期間放置していることで発症する可能性がある症状で脳内炎症を引き起こす事があります。この頭痛は血液の滞りによる問題が頭痛に繋がります。
頭痛の他に、痙攣、嘔吐、運動障害、言語障害などの症状も同時に引き起こる場合があります。危険な症状になりますので、たかが虫歯と軽視しないようにしましょう。
もしこの病気の危険性が考えられる場合は一刻もはやく、脳神経外科などが併設されている大きな要因でのCT検査などの受診が必要です。
・歯性上顎洞炎
緊張型頭痛を引き起こす元となる可能性がある症状になります。
虫歯が進行し、上顎洞と呼ばれる上顎の部分から菌が侵食し、鼻腔にまで菌が到達してしまい蓄膿症の様な症状を引き起こしてしまう症状になります。
上顎洞炎になると鼻腔の痛みの症状から頭痛の症状に発展します。虫歯の痛みも頭痛も合わせて痛みが強くなりやすく、治療も困難になります。
上顎洞炎はほとんどの場合が鼻に発生した鼻炎から発生することがほとんどで、虫歯から発展するのは患者全体の2割ほどになります。
奥歯の虫歯を長期間放置した時に発生する可能性のある症状になります。
それぞれの頭痛の対処法
ではそれぞれの頭痛について紹介します。自分がどの頭痛かを判断して適切な処置を受けるようにしましょう。
症状ごとに痛みが発生している原因や痛みの対処法について紹介します。
①緊張型頭痛によって起こる痛みについて
虫歯が起こった時に発生しやすいのが、緊張型頭痛です。
虫歯が発生している部分で、食事を行うと痛みを感じる場合に反対側の方ばかりで噛んでいることで発生してしまいます。片側ばかりで噛むことで、首や肩を痛めてしまい緊張型頭痛を発症してしまうのです。
また虫歯が引き金となっているだけで、デスクワークやパソコン業務が多い人は首回りの筋肉を酷使しているために、緊張型頭痛を発生しやすくなってしまいます。その場合肩や首に負担を感じる場合があり、虫歯と同時に張りがある場合は緊張型頭痛の可能性が非常に高くなります。
しかし緊張型頭痛は、症状を緩和できる方法があります。
緊張型頭痛は、筋肉の張りによって血行不良が起きていることで発生しているので、患部を温めてあげることで痛みを和らげることができる場合があります。
しかし根本的には、虫歯を治療しないことには、筋肉の張りを感じやすくなってしまうのでなるべく早く虫歯の治療を行うようにしましょう。
②顎関節症によって起こる痛みについて
虫歯により、歯の組み合わせがずれてしまったり、歯の片側だけで噛む「偏咀嚼」を行ったりしている場合に発症してしまう可能性があるのが「顎関節症」です。
特に多いのが、偏咀嚼を行っている場合です。虫歯の痛みを避けてしまうために偏咀嚼を行ってしまう人は多くいます。そうなると片側の顎に負担がかかってしまうことで、顎関節症を引き起こしやすくなるのです。
顎間接症によって起きる頭痛の特徴は、こめかみ部分が痛むことです。顎を動かしているのは、こめかみ付近にある側頭筋という筋肉です。この側頭筋に負担がかかりすぎることで、こめかみに痛みが生じてしまい頭痛を引き起こすのです。
顎関節症の症状として
・思いっきり口を開けられない
・しっかり口を閉じられない
・顎に痛みを感じる
・顎を使用すると、音が発生する場合がある
・肩や首の筋肉に違和感を感じる
以上のような症状が現れます。虫歯と共にこのような症状が見られる場合は顎関節症が発症している場合があります。
顎関節症は、症状によって治療方法が変わってくるので一度病院へ行って、診察をしてもらう必要があります。虫歯も治療もする必要があるので早めに病院へ行くようにしましょう。
③脳静脈血栓症によって起こる痛みについて
脳静脈血栓症は、虫歯によってできた空洞に菌が入り込むことで発症してしまいます。
虫歯を放置することで、穴がどんどん大きくなって口の血管に繋がってしまう場合があり、そこから血中に虫歯菌が混ざり込んでしまう場合があります。そうなることで虫歯菌を含んだ血液が脳まで運ばれてしまい、脳の静脈で炎症が発生して血栓ができてしまうのが脳静脈血栓症です。
症状は頭痛の他に、めまいや吐き気を初期症状として伴う場合があります。特に頭痛は激しい痛みを感じる場合があります。また症状が悪化していくと、意識が朦朧としたり、痙攣が発生したりする場合もあり最悪死を招く場合もあります。
立っていられないような痛みやめまいを感じたら、すぐに病院へいきましょう。早期発見をすることが、命を守るうえでは大切になってきます。
④歯性上顎洞炎によって発生している痛みについて
歯性上顎洞炎の症状は虫歯を長時間放置して、進行してしまった場合に発生する症状になります。食べかすが虫歯の中に詰まっていたり、虫歯治療を行った銀歯の内部で虫歯が進行して問題に発展する場合もあります。
CT検査やレントゲン検査を行って上顎洞の中に菌や膿が溜まっていないか確認する必要があります。
上顎洞炎から、鼻の奥の痛みが強く発生し、頭部全体に痛みが発生するようになり頭痛に繋がります。虫歯や鼻腔の痛みやストレスから筋肉の緊張が発生し緊張型頭痛に繋がることも頭痛に繋がる原因になります。
上顎洞炎の場合は緊張型頭痛の対策を行うと、逆に虫歯や上顎洞の痛みが強くなってしまう可能性があります。ですので、しっかり病院で治療を行うことが先決でしょう。
原因となる症状の治療法について
もし、上記の症状の可能性が発生していると考えられる場合は、何科の病院へ行ってどの様な治療を行う必要があるのかについて紹介します。
これ以上症状を悪化させないようにしっかり治療をして対処していきましょう。
緊張型頭痛
緊張型頭痛の元になっている虫歯の治療が最優先です。
片方で偏って噛むことを止めて左右バランスよく顎の筋肉を使用できるようにしましょう。歯科に通院して虫歯の治療を行います。
場合によっては抜糸や麻酔を使用した治療を行う可能性があります。
すでに痛みが発生している状態の虫歯に関しては必ず麻酔を使用して治療することになるでしょう。虫歯菌が神経に達している可能性もあります。
この場合には大きく虫歯が進行しているのに痛みがあまり感じられない物で、痛みが少ないから長期的に放置してしまうことが多くあります。
重症化すると顔の形が変形してしまう程の影響が出てくることがありますので、そうなる前に早めに歯科にいくようにしましょう。
顎関節症の治療法
顎関節症の場合は歯科もしくは口腔外科で治療を行う事ができます。
マウスピースを制作して治療したり、場合によっては穴を開けて中の骨を削ったり、掃除することがあります。
噛合せの問題で顎関節症が発生している場合は、歯列矯正などが必要な場合があります。基本的に歯列矯正は保険適用外治療になりますが、医者が必要と判断した場合は保険適用での治療が行なえます。
顎関節症の問題の場合まず歯科を受診して歯を見てもらって、顎の事に関しての相談を行って口腔外科を紹介してもらうという流れがスムーズでしょう。
運動療法で行える治療法もありますので、しっかり治療していきましょう。
脳静脈血栓症
脳静脈血栓症の治療は非常に複雑で、症状に合わせた的確な治療が重要になります。
脳神経外科にかかって治療を開始するようにしましょう。まずはCTでの検査を行って症状の状態を確認します。その後、高血圧治療薬などいくつもの薬を的確に投与し、手術が必要な場合は減圧開頭術、血管内手術などの手術を行います。
この症状の死亡率30%と非常に高くなっています。治療を行っても後遺症が残ってしまう可能性の非常に高い症状になります。
神経に繋がる虫歯から血管内に菌が侵入し、脳に炎症を広げて血栓を作ってしまう病気ですので、そうならない内にしっかり虫歯の治療をしておくことが重要です。
歯性上顎洞炎
この症状は歯科での治療を行います。
虫歯の放置、治療中の虫歯からの悪化、治療済みの虫歯の劣化からの症状の悪化が原因になります。定期的に虫歯の状態を確認しにいくことや、少しでも歯に痛みを感じたら検査することが重要です。
まずは抗生物質と痛み止めで痛みを抑えて炎症が治まるのを待ちます。
その後健康な歯が残っていれば治療を行います。歯の修復が困難である場合は抜糸を行って、抜歯した穴から上顎洞の中を洗浄することもあります。
稀に虫歯で無くとも外傷が原因で折れた歯の部分から口内の菌が上顎洞に侵入して問題に繋がってしまう場合や、重度の歯周病から上顎洞炎に発展するケースもあります。
口臭が気になる人は歯や歯ぐきに何かしらの問題が発生している可能性が非常に高いですので検査をしたほうが良いでしょう。
まとめ
虫歯が原因で起こる頭痛
- 緊張型頭痛
- 顎関節症による頭痛
- 脳静脈血栓症による頭痛
- 歯性上顎洞炎による頭痛
注意すること
- 神経に到達する虫歯に要注意
- 口臭が気になったら歯科にいく
- 歯周病や歯が折れたときにも注意が必要
- 虫歯から死に発展する症状に発展することもある
虫歯で頭痛が発生している場合にはどこの病院へ行けばいい?
- とりあえず歯科で相談
- 口腔外科を紹介してもらおう
- 言語障害や運動障害まで発生している場合は脳神経外科
以上が今回の記事のまとめになります。
このように、虫歯が原因で頭痛を引き起こすことがあるということを覚えておいてください。頭痛の原因が虫歯によるものなのか、その他の原因によるものなかを把握しておかないと、頭痛の症状が長引いて生活の質を下げる可能性があります。
また、脳静脈血栓症や顎関節症は虫歯を放置しすぎることも原因となっています。ついつい治療を後回しにしがちになってしまいますが、虫歯は早く治さないと命に関わる場合もあります。そのことを理解しておけば、自然と治療を優先するようになるのではないでしょうか。
歯磨きをしっかり行って虫歯が発生しないように対策していきましょう。
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