耳たぶがかゆい場合とは、どの様な事が起きているのでしょうか?耳たぶがかゆい場合色々な事が考えられます。
春先になって花粉の飛び交う季節には、花粉症による耳たぶのかゆみが現れることがあります。皆様も経験されたことがあるでしょうか?
また耳掃除のやりすぎで、耳の入り口がかゆく、耳たぶがそれに連なってかゆみが起こる場合があります。
かゆい耳たぶについてみてみました。
耳たぶと迷走神経
耳たぶとは一般に耳と呼ばれている、耳介の下に垂れ下がった、やわらかい肌の外耳の構成要素で、「耳たぼ」「耳朶(じだ)」「耳垂(じすい)」と別名があります。
耳たぶについて
人間の耳の付き方について、2種類の分離型と密着型があります。これは遺伝によって異なるようです。
- 分離型・・・垂れさがっている耳たぶが頭部から離れている場合です。
- 密着型・・・輪郭を描いて頭部と繋がっている耳たぶです。
厚いものを触った時に耳たぶに触る事があります。それは何故なのかといいますと、人間の体の中で一番耳たぶが、低温の部分だと言われているためです。
迷走神経(めいそうしんけい)
耳掃除をすると何故気持ちよく感じるのでしょうか?耳かきをやりすぎる理由は、耳の中に迷走神経が通っているので、迷走神経の気持ちよいと感じる、神経が刺激されることで、迷走神経の刺激が脳に伝わって、気持ちよいという反応がおこるためです。
耳かきは1ヶ月に1度程度やると良いと言われますが、中々耳がかゆくなると、気持ちが良いという感情が先になって、つい耳かきをしてしまいます。
耳かきを何故やりすぎるのかというと、上に述べましたように迷走神経が、耳の中を通っているので、つい耳かきに手が出てしまい、耳かきをやってしまいます。
迷走神経の危険
迷走神経が刺激されると、脈拍が遅くなって血管が拡張し、脳血流が低下することで失神することもありますので、耳かきをするときには特に注意して行ってください。
耳は音を聴いたり平均感覚を保つ機能で、とてもデリケートな器官ですので、本当に耳かきのやりすぎには特に注意して、外耳道を傷つけないようにしてください。
耳たぶがかゆい原因の病気
耳たぶがかゆくて必要以上に掻いてしまうと、色々な影響が出てくることがあります。耳たぶや耳の中がかゆくなったときの、疾病には次のようなものがあります。
耳介湿疹
赤ちゃんなどがよく起こる症状で、湿疹ができかゆくなり、掻けばかくほど痒くなる病気で、掻かないようにすることが必要です。
しかし赤ちゃんに掻くなといっても到底無理なので、ガーゼなどをあてて、耳を掻きむしらないように工夫するか、ガーゼの手袋などをするとよいです。
乳幼児の特にアトピー性皮膚炎の乳幼児に多く、創傷などができると細菌感染が起こり、悪化することがありますので注意が必要です。
しっしんの要因は、アレルギー、アトピー、化粧品や化学物質、ハウスダスト、紫外線などがあげられます。
耳介湿疹はヘアケア用品の薬剤や、化粧品などによる刺激や、体質などによるものでおこることもあり、頭や顔にできた湿疹が耳たぶにできることがあります。
耳介軟骨膜炎
耳介は軟骨部の上に軟骨膜の薄い皮下組織があり、皮膚に覆われていますが、耳の外傷や、虫刺され、打撲などによる細菌感染が原因で、軟骨膜に炎症が起き耳介全体に波及し、耳たぶにまで及んで、痛み、かゆみ、腫れなどの症状が出てきます。
耳介軟骨膜炎は耳介の腫れや血種、変形などが起こりますので、早期に治療をしないと耳の変形に繋がりますので、専門医の早期の治療を必要とします。
外耳炎
不快な痛みやかゆみを耳の中に感じたら、外耳炎を疑うことが必要です。外耳炎とは耳の入り口から鼓膜までの外耳道に、細菌が侵入して炎症が起こる病気です。
耳掃除で耳の入り口などの場所に、傷をつけてそこに細菌が侵入して、最初はかゆみであったのが痛みに変わり、灼熱感をともなう痛みが酷くなり、悪化すると耳が詰まったり、耳垂れが出たり耳が聞こえにくい状態になります。
外耳道湿疹
耳の入り口付近にできる湿疹で、傷などができた時に細菌が感染して、炎症を起こしたときに良く起こります。
耳かきをして掻きすぎる事で耳汁がでて、耳垢が湿った状態になりますが、耳垢が湿った状態になったら耳かきのし過ぎです。
慢性中耳炎の耳垂れによる刺激が関係したり、耳掃除のやりすぎや体質などが関係します。水っぽい耳垂れがでたり、かゆみや熱感の症状を伴います。
耳掃除をするときにマッチ棒やヘアピンなどの、硬いものは絶対使用したらいけません。耳はデリケートにできていますので、すぐに傷がついて傷だらけになってしまいます。
急性限局性外耳炎
急性限局性外耳炎は細菌が皮脂や耳垢のでる線から感染して、入口付近にある外耳道軟骨部に発症し、特徴として頭痛や歯痛のような痛みがでます。
炎症が酷くなると耳たぶ辺りにあるリンパ節が腫れたり、悪寒や発熱をともないます。
中耳炎
中耳炎は子どもの場合は細菌が耳管に侵入して起こり、大人の場合は耳掃除のし過ぎで、細菌が侵入して炎症を起こし、初期症状は激しい痛みを伴います。
外耳道に細菌が侵入し中耳まで、炎症が起きた場合に起こります。また鼻に菌が溜まっている場合に、鼻を思いっきり噛んだ時にも起こります。
中耳炎が進行すると、聞こえが悪くなり内部に膿が溜まり、鼓膜に圧力がかかり、耐えられなくて鼓膜に小さな穴が開き、耳垂れがでてきます。
耳垂れがでてくるようになると、かゆみが起こります。耳垂れが出ると痒みが起こりますが痛みがなくなっていきます。痛みがなくなると自然に鼓膜の穴も塞がっていきます。
急に症状がでて1~2ヶ月で徐々に回復しますが、症状がでたら耳鼻科医の治療が必要となります。
膿は耳鼻科で吸引してもらい、腫れが強いときや熱があるときなどは抗生物質を投与したりします。
びまん性外耳炎
外耳道の奥の外耳道骨部に炎症が起こる外耳炎で、外耳道湿疹、急性限局性外耳炎、中耳炎によって耳垂れが出ますが、これらの耳垂れの後にこのびまん性外耳炎は発症します。
外耳道真菌症
外耳道真菌症という耳かきなど掻きすぎて、外耳道に傷がついたりすると、そこに真菌が感染して、耳の中にカビが生えてしまいます。
外耳道に水が入る事で、耳が湿ったり、耳あかがふやけると細菌感染が起こりやすく、皮膚が傷つけられて、カンジダやアスペルギルスなどの真菌が、耳の中の殺菌作用が弱くなって、侵入するために起こります。
夏場は真菌にとって増殖しやすい環境に、なりますので起こりやすくなります。外耳道湿疹に続いて発症することが多く、自分で使用した抗菌剤や、ステロイド剤で発症する場合があり、激しいかゆみや痛み、聴力低下をまねいたり、耳垂れが出たり、耳閉感などの症状がでます。
外耳道炎
外耳道炎の時は皮膚に常在している、黄色ブドウ球菌や真菌などの病原体に感染して、外耳道炎を起こします。
耳は湿り易く、傷つきやすいため、またできた傷に対して回復力も余りないのですが、その時に黄色ブドウ球菌や真菌の病原体に感染して、外耳道炎を起こすことになります。
外耳炎の治療
外耳炎の治療は耳垢やかさぶた、膿、菌のかたまりなどを除去して、専用器具を使って消毒洗浄をします。
外耳炎の種類によっては、ステロイド剤や抗菌剤を含む、軟膏や点耳薬を使ったり、外耳炎が進行し膿が見られるばあいは、切開して取りのぞき炎症の酷いばあいは内服薬を処方します。
角化型疥癬(かくかがたかいせん)
感染症で小さな「ヒゼンダニ」というダニが、皮膚の角質に寄生します。疥癬には「角化型疥癬」「通常疥癬」とあり角化型疥癬のほうが、ヒゼンダニが多く寄生し感染力が高いです。
この病気は高齢者に多く、昔と比べ衛生環境が整っていても、老人ホームや介護施設などで、感染力が強いため増えていますので、早期発見早期治療が必要です。
免疫力が低下している時に起こりやすく、酷くかゆみを感じる場合と、かゆみを感じない場合があります。
粉瘤
粉瘤は皮膚の良性腫瘍の一つですが、痛みやかゆみを伴うことがあるのは、細菌感染を起こしたときです。
粉瘤は自然に消えることはなく、少しずつ大きくなることの方が多いので、できるだけ小さいときに炎症部位が、起こらない前に取り除くことがよいです。
痛風
痛風になると血中の尿酸の濃度が高くなって、耳たぶが腫れたり、かゆみや痛み、しこりができたりすることがあり、白血球が尿酸の結晶に攻撃を仕掛けるために、白血球が炎症を起こします。
耳たぶは外気に触れやすく、心臓から離れているので、冷えやすくなっていて、尿酸が結晶化されやすいのです。
その為症状が耳たぶに出やすく、尿酸が7.0を超えたら要注意といわれていますが、発作が起こらない人もいて、高尿酸値と気が付かないまま重症化したりしますので注意が必要です。
痛風で耳たぶにかゆみや痛みが出ている人は、重症化しないように注意が必要となります。
耳たぶがかゆかゆくなる病気以外の原因
耳たぶがかゆい原因に、病気によるものを上に書きましたが、病気以外で耳たぶがかゆくなる原因についてみてみました。
アレルギー
体内が花粉などによって敏感になり、花粉症やアレルギー性鼻炎などによって、アレルギー症状を起こし、耳の中がかゆくなることがあります。
植物の花粉から花粉症になって耳がかゆくなり、口、目、鼻、耳は体内で繋がっているので、鼻や口や目から侵入した花粉は、耳の奥に耳管を経由してたどり着きます。
花粉症の耳のかゆみは突然襲ってきて、口、目、鼻、耳のかゆみがムズムズ続くと、その不快感は相当なものとなり、花粉症が原因で耳がかゆくなった場合は、花粉を取り除かないと耳のかゆみはおさまりません。
花粉の危機説が終わると、嘘のようにかゆみはおさまりますが、花粉はスギだけでなく、一年中イネ科やブタクサなどの花粉が続くでしょう。
またアトピー性皮膚炎などや、イヤホンなど付けた時に、皮膚にかぶれて接触皮膚炎でかゆくなることがあります。
異常がなく耳がかゆい場合、花粉症由来によるものが多いです。耳の内側はとてもデリケートにできていますから、違和感を感じて余り耳の入り口や耳の中を耳かきで掻くと、すぐ傷だらけになって、色々な耳の病気を引き起こす可能性がでてきます。
爪などで引っ掻くのももってのほかで、引っ掻いて分泌物が出てきたりすると、そこから細菌が入って、化膿して色々な耳の病気を引き起こします。
金属アレルギー
普段ピアスやイヤリングをしている人は、金属アレルギーで、耳たぶがかゆくなることがあります。
金属アレルギー反応で、酷くなると赤みを帯びて腫れあがり、膿が出たり炎症が起きたりします。更に進行すると金属イオンが血流にのって、全身性皮膚炎を起こす可能性がありますので注意が必要です。
乾燥
肌のバリア機能が失われて、皮膚表面が乾燥することで、かゆみを引き起こして、湿疹ができる場合があります。
刺激が乾燥している肌に加わる事で、かゆみや湿疹ができる可能性があります。乾燥肌の人は特にかゆみや湿疹ができやすくなります。
耳は皮脂分泌が盛んなのに、乾燥しやすいのが耳の皮膚なのです。そして紫外線を浴びやすい位置にあるため、カサカサになったり知らないまに耳が黒く日焼けしたり、臭いが出るようになったりもします。
耳はお風呂に入ったら、手で優しく洗い洗った後は保湿を忘れないようにいます。お顔を手入れするときに残った、化粧水や乳液などを耳に使うだけで良いのです。
耳は乾燥させない事が一番大切です。そして耳たぶが切れていたりする時は、薬を使用します。症状がひどい場合は自己判断で悪化させないよう、皮膚科に受診することが大切です。
虫さされ
寝ている時にダニや蚊に刺されて、耳たぶがかゆいことがあります。幼児は成人よりも反応が強くでます。
家の中でダニに噛まれる場合は、イエダニかツメダニです。イエダニは畳やカーペットに存在し昆虫を餌にしています。イエダニは鳥やネズミなどに寄生しているダニです。
寝ている時に耳など噛まれるときがありますが、知らないでかゆくて耳を必要以上に掻いてしまうと、細菌などが侵入して、耳の病気をおこしますので注意しましょう。
耳たぶがかゆい時の対処法
耳の中で分からない事が起こっている時は、自己判断で対処していると、思わぬ危険性が起こる可能性がありますので、専門の耳鼻科医に見てもらうことが必要です。
冷やす
かゆみが出ていることは、耳たぶが炎症していることですので、掻かないで冷やしたタオルを患部に当てると、かゆみがなくなり掻かなくてすみます。
かゆみ止めの薬を使う
かゆみ止めに適した薬を病院の医師に処方してもらうことです。
抗ヒスタミンの飲み薬などもあり、ステロイド外用薬だけではありません。
保湿する
乾燥してかゆみを生じる場合、保湿クリームを塗ったり、加湿器などを利用して、肌を保湿すると良いです。
患部への接触を避ける
痒いからと掻きむしると、細菌がそこから感染して症状を悪化させたりします。ですからできるだけ患部に触らない様にして、かゆみが収まるまでがまんします。
手袋を着用する
耳たぶがかゆいとき、起きている時は良いのですが、寝ている時に無意識の状態で掻きむしることがあります。
また乳幼児などは掻かないでといっても、かゆくなれば掻いてしまいます。そのような時にガーゼのような手袋を装着すると、患部を掻きむしることがなくなります。
綿棒を使用しない
綿棒は外耳道周辺を優しく綺麗にするものであって、外耳道に入れてはいけません。その理由は
- 外耳道は耳垢によって守られています。
- 鼓膜は耳垢によって守られています。
- 耳垢を自然に外に出すように耳の構造はなっています。
綿棒をなぜ外耳道に入れたらいけないかというと
- 綿棒を外耳道にいれると、耳垢が押されて鼓膜の方の奥に進んでしまうため、外耳道を詰まらせる結果になるからです。
耳垢は食事をするときに、物を噛む顎の動きで、外側に補助自動的外耳道から移行して、外耳道の他の小さな粒子や汚れ、ほこりをからめて耳垢は自然に排泄されるのです。
かといって全く耳垢掃除をしないと、耳垢は溜まってしまいます。ですから人によって違いがありますが2~3週間に1回ぐらい、あるいは1ヶ月に1回ぐらい耳かきで、耳垢を取る方がよさそうです。
綿棒はどうしても汚れを奥へ押し込んでしまいますので、耳かきの方が取り易いように感じます。耳垢が耳栓をすることになって、耳鼻科で取ってもらうことにならないよう、ある程度は耳垢もとらないといけませんね。
まとめ
色々耳たぶがかゆい原因について見てきましたが、耳たぶがかゆい場合は、耳の中も痒くなっていることが多いですし、また耳の病気が潜んでいることもありますので、本当に耳たぶがかゆくてどうしようもなく、長く続く場合は耳鼻科を受診されることをおすすめします。
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