皆さんは、健康診断で行った血液検査の結果、白血球の数が多いことがわかり、不安に思われた事があるのではないでしょうか?白血球の数の異常値が、全て白血病などの深刻な病気につながるわけではありませんが、白血球の数が正常値を超えるなんらかの原因があったということは確かな事です。
白血球のことをよく知れば、あなたが受け取った血液検査の結果から、あなたの体の状態がもっとよくわかるはず。今回は、白血球の基礎知識、そして白血球の数の増加の原因について紹介したいと思います。
白血球が多いことで発生してしまう病気やそれらの症状などについても紹介していきますのでこれらの問題に繋がらないように初期症状などを知っておいて、早めの対策が出来るようにしていきましょう。
最後に白血球を正常値に戻すために自分で行える日常生活で注意すべきことや改善法などについて紹介していきますので、合わせて参考にしてみてください。
白血球の基礎知識
まずは白血球について知っておきましょう。
白血球とは?
白血球は、人体の免疫を担当する細胞成分の1つです。外部から体内に入った細菌やウィルス、微生物などを取り込み、殺菌し処理するのです。白血球の働きは大変迅速で、体内に異物が侵入すると、すぐに確保しはじめます。
そして細菌やウィルスが強力な場合、すぐに白血球数を増加させていくのです。異物と白血球の戦いは、侵入者を完全に倒すまで続きます。この状態の時に白血球の数が増加するのです。
白血球の種類
白血球は、骨髄で作られます。幹細胞と呼ばれる前駆細胞から発生した白血球は、ほとんどが顆粒球であり、成熟したあと5種類の白血球へと成長します。
- 好中球/Neutro…末梢血白血球の約50~60%を占める。細菌などの異物を食べ、殺菌する役目。ウィルスより細菌に対して力を発揮するため、増加した場合は、体のどこかで細菌による感染が考えられる。好中球は最終型に辿り着く前に前骨髄球、骨髄球、後骨髄球、桿状核球、分葉核球という段階を経て成熟して完成した最終形態になります。
- リンパ球/Lymphocyte…末梢血白血球の30~40%を占める。免疫の働きに関係があり、非常に運動性の高い細胞です。リンパ球には、ヘルパーT細胞・キラーT細胞・B細胞・NK細胞などの細胞があります。ウィルス感染、細菌感染でリンパ球が増えます。又、リンパ腫・急性リンパ球性白血病などでもリンパ球が増加します。この場合はリンパ球増加症など特定の症状として扱われることもあります。
- 単球/Mono…末梢血白血球の約3~8%を占める。細菌などを取り込み消化する働き。感染症、膠原病、慢性骨髄単球性白血病、ホジキン病などで増加する。
- 好酸球/Eosino…骨髄芽球から派生した顆粒球になります。末梢血白血球の約2~4%を占める。アレルギーに反応する。アトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、膠原病、寄生虫の感染などで増加します。
- 好塩基球/Baso…好酸球同様、骨髄芽球から派生した顆粒球になります。末梢血白血球の約1%を占める。様々な炎症性反応やアレルギーなどに関係があります。血液中の悪いものを減らす働きをします。
成人では、1日に約1,000億個の白血球が作られています。
白血球の病気には、上記の5種類の白血球の1種類だけが関与しているものもあれば、複数又は、5種類全てが関与する病気もあります。
あなたがされた血液検査にもよりますが、白血球数(WBC)の他に、白血球像という項目名があれば、そこに5種類の白血球の比率の結果が出ているので、結果の横に記載されている基準値を参考にして、あなたの結果をチェックしてみて下さい。
白血球数と病気の関係
血液検査の中で、WBC(白血球)検査の目的は、感染症の可能性、免疫力の低下の可能性、慢性骨髄性白血病の可能性、造血機能の働きを確認するためです。
白血球の数からあなたの体の状態がわかるのです。しかしながら、白血球数は、日によっても数値が大きく変わることもあれば、個人差も大きいため、一概に基準値を決めるのは大変難しいことです。
血液検査の結果で、白血球が多いや少ないは、基準値をベースとした見方であり、その基準値は、検査機関や成書ごとに設定差があるので気をつけて下さい。
白血球の数が少ない:3,000/µl以下…悪性貧血、がんの骨髄転移、再生不良性貧血やエイズなどの可能性があります。
正常の白血球数:3,500-9,500/µl (内科学の代表的な教科書より参照)
白血球の数が多い:10,000-50,000/µl…自己免疫疾患の方、感染症、薬物中毒、白血病、ストレス、喫煙などから白血球の数が増えた場合などは、だいたいこのあたりの白血球の値がでます。
白血球の数がかなり多い:50,000/µl以上…白血球を作る骨髄に何らかの問題が起こっている状態です。白血病、敗血症、悪性腫瘍などが考えられます。
白血球数の数値だけでは確定診断はできません。目安として見て下さい。
白血球が多い事で発生する病気
白血球が多くなってしまうことで発生してしまう病気に関する初期症状について紹介していきます。もし、白血球が多い状態が血液検査で判明している場合はこれらの病気の症状に注意して行きましょう。
白血病
白血病は血液に発生してしまうガンになります。血液が骨髄で作られている段階で異常が発生し、癌化してしまったことによって異常に白血球などが増えてしまう病気になります。
初期症状としては体の慢性的なだるさ、風邪などの感染症にかかりやすくなり、治りにくくなります。さらに歯ぐきからの出血や血が止まりにくくなる、またはあざや内出血が起きやすくなります。リンパ節が腫れてしまうこともあるでしょう。
これらの症状が複数発生している場合は、白血病の初期症状である可能性があります。気になる症状が複数発生してしまた場合は病院での精密な検査を受けるようにしましょう。
敗血症
敗血症は血液が強すぎる感染症の影響を受けてしまうことで炎症反応を起こし、その影響が体内の重要な臓器に循環されてしまい、臓器障害を引き起こしてしまう病気になります。
初期症状としては、感染症から症状は始まります。基本的には通常の風邪やインフルエンザなどの菌やウイルスからの感染症から始まります。発熱や脈拍異常、異常呼吸、体のむくみ、低体温症、手足の冷え、体の不調などを感じやすくなります。
敗血症の症状が重症化してしまうと、大腸の破裂や重篤なショック症状を引き起こす場合もあり、集中治療室での治療が必要になります。
白血球が多くなっているときも少なくなっているときも、感染症に感染することがきっかけで病状が悪化しやすくなるので、早めに対策をして白血球を正常値に整えることが重要になります。
悪性腫瘍
白血球が多くなっている場合は悪性リンパ腫や血液悪性腫瘍の発生によって白血球の増加が引き起こっている可能性も考えられます。
これらの悪性腫瘍が原因であった場合には、放置しておくことでサイズがどんどん大きくんってしまったり、悪性の細胞がリンパ管などの循環器を通じて他の臓器などに転移してしまう可能性も考えられます。
悪性腫瘍=ガンになります。もし悪性腫瘍が発見されてしまった場合は、抗がん剤を飲んで進行を食い止めながら必要に応じて手術などを行ってがん細胞を取り除かないといけません。
まずは詳しい精密検査をしてみないとなんとも言えませんので、放置せずに専門家のいる科での検査を受診するようにしましょう。白血球が多かった場合に治療や検査を詳しく行う病院は血液内科になります。しかし、初診でいきなり行くのではなく、内科などでの検査の後に疑いのある場合に紹介状を書いてもらってからの検査になることが多いでしょう。
まず、何かしらの問題が発生していた場合は総合病院の内科や行きつけの内科などに行ってから紹介状を書いてもらいましょう。
白血球数の増加の原因
では、どういった原因で白血球は増加するのでしょうか。白血球が増加してしまう主な原因を見ていきましょう。
自分がその原因に触れる状態や、傾向があるかどうかを診断していきましょう。
主な原因
- 外傷
- 扁桃腺炎
- 肺炎
- 腎盂腎炎(じんうじんえん)
- 気管支炎
- 膀胱炎
- 虫垂炎
- 風邪
- インフルエンザ
- 喘息
- 鼻炎
- アトピー性皮膚炎
- 食物や植物アレルギー など
一時的なもの
- 運動:血液検査の前に運動すると白血球の数が増えます。血液検査を受ける前は、なるべく運動はさけて静かにしておいて下さい。上記の原因に当てはまらないのに検査に引っかかった場合は検査の前に激し運動などをしていたという覚えがないか確認してみましょう。
- ストレス/疲れ:1ヶ月未満の短期的なストレスから白血球の数が多くなる場合があります。反対に長期的なストレスからは、白血球の数が少なくなることもあります。
その他
- ヘビースモーカー:気管や気管支に慢性の炎症が起こるため、白血球が30%ほど増える傾向がある。又、動脈硬化の可能性もあります。
- 妊婦:白血球数が10000/μl〜12000/μlは高い数値の範囲に入りますが、妊娠中はこれぐらいの値を継続的に示すことがあります。
- 体質:体質により白血球の数が正常値よりも多い、又は少ない人が5%ほどいるとされています。
- ステロイド剤の内服:喘息や膠原病などで薬を内服している場合、白血球の数が増加します。
気をつけたい原因
・白血病
みなさんが、白血球の数が基準より高いと聞き、まず心配されるのがこの白血病ではないでしょうか?白血病とは簡単に言うと、血液のがんです。がんが増殖と共に炎症を起こします。
炎症が起こると炎症性の物質が発生します、そこに白血球が登場し攻撃するので、白血球数が増加するのです。 白血病の初期症状として白血球数の変化が見られます。
もちろん個人差はありますが、白血病の初期には、白血球数が20,000/µl以上になることがしばしばあります。白血病で白血球の数が減少することも初期にみられることですが、大部分が白血球の増加を示します。
白血病の早期症状
- 最近、貧血気味だ
- 最近、動悸がする
- 息切れしやすい
- 微熱が続く。高熱も時々出る
- 青あざが知らないうちに出来ている
- 歯磨きの時、歯茎からの出血が多い
- 首筋や脇下にグリグリとしたシコリを感じる
- 膨満感を覚えるようになった
2週間程、上記の症状が続くと要注意です。病院での検査をお勧めします。
・尿毒症
尿毒症は、腎機能が低下することにより、通常は尿と共に排泄されるべき尿素やその他の老廃物が血液中に残ってしまいます。尿毒症が進行すると白血球数の増加だけでなく様々な症状が現れます。
- 意識障害
- けいれん
- 顔のむくみ
- 頭痛・めまい
- 皮膚のかゆみ
- 食欲不振
- 視力の低下
- 呼吸困難・息切れ
- 不眠
- 尿臭
- 歯肉出血
- 味覚異常
- 吐き気
- 下痢 など
尿毒症は、治療を受けずにいると死に至る場合もある大変危険な病気ですので、思い当たる症状が複数ある場合は、出来るだけ早く病院で診察を受けて下さい。
白血球の数値を正常値に戻す対処法
増えてしまっている白血球の数値を正常な値にまで下げる方法を紹介していきます。しかし、もし病気に既につながっている場合には、しっかりと専門的な治療が必要ですし、白血球が高い状態が続いてしまっていればそれは病気である可能性があります。その場合は早めに治療を受けましょう。
それでは自分で出来る対処法について紹介していきます。
まずは感染症などを治す
白血球が多くなっている状態は、何かしらの感染症などの病気や、怪我などをして出血している場合に発生しやすい症状になります。なので体に発生している何かしらの問題を見つけ出してその問題を解決することが最も重要になります。
市販薬で売られている風邪薬を飲んで治療したり、体を休めて自己治癒力を高める、栄養価の高い食事をバランスよく取って体調を良くするなどの方法があります。
しっかり汗をかいたりすることでも自律神経が整い、免疫力が高まり治療に貢献できるでしょう。体が動かせる状態でしたら軽い運動なども取り入れるといいでしょう。
白血球が多い場合はまず、感染症などの病気にかかった記憶が無いか疑うことから、その他に運動やストレスの問題などを解決していきましょう。
白血球の数値を下げる食事?
白血球の数値が高い時に有効な食事というのは聞いたことが無い、というのが正直なところです。基本的には白血球は体に異常が発生してしまった場合にそれを治療するために増えるものですので、食事などで白血球の数値を下げることは考え方としてずれています。
白血球の数値が高くならないように、食事をしっかりバランスよく取って感染症などの病気にならないようにすることが正しい認識になります。
喉にいい食事や、腸内細菌のバランスを整える食事、体を温める食事などは免疫力を高めることに大きく貢献しますので、効果的と言えるでしょう。生姜や、ネギ、はちみつ、ヨーグルト、納豆などの食品が適しているでしょう。
バランスよく摂取して免疫力を挙げていきましょう。
病院での検査
直近に何かしらの怪我や、病気にかかった覚えがなく、普段は白血球の数値は正常なのに量が増えてしまっていると検査で判明した場合には悪性の腫瘍、内蔵内での出血や何かしらの病気にかかってしまっていることが考えられますので、早めに病院での検査を行うことをおすすめします。
始めに検査に行く場合は内科の受診で結構です。いつも行っている行きつけの病院でも構いませんが危険度の高い病気である可能性が高いため、経験豊富な総合病院や信用できる病院での検査が適切でしょう。
血液内科などの専門家が併設されている病院であれば、なおいいでしょう。まずは原因をいち早く明らかにして、適切な対応をしていけるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?白血球について多くのことを知っていただけたことと思います。白血球の数が正常値より少し多いからとやみくもに驚く必要はありません。まずは、原因となるものに身に覚えが無いか考えてみて下さい。
そして、深刻な病気の症状と同じ症状がしばらく続くようであれば速やかに病院で診察を受けるようにしましょう。通常時の状態で白血球の数が多い人も稀に存在します。病気でなかったとしても、自分の正常値や血液の状態の変化を知るために1年に1回の健康診断での血液検査は大変重要です。
検査の結果からわかる数値で、可能性のある病気や疾患をみつけたり、あなたの生活習慣をも見直す事ができるのです。ぜひこれを機会に年に一回は血液検査を受けるようにして下さい。
何かしらの異常が発生している可能性がある場合は、しっかり関連する病気について調べて初期症状などについての情報を知っておきましょう。
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