血が止まらないのは病気なの?原因や対処方法を紹介!

血が止まらないような怪我をしてしまうと、見慣れないことなのでびっくりしてしまうかもしれません。しかし焦らずに、落ち着いて対処しましょう。人間や動物には傷の修復や、血液を止める機能を持っています。

浅く小さい傷ならば、身体に備わっている治癒力でだいたい止血されます。大きな怪我や太い血管が傷ついて大量に失血している場合は、応急手当をして速やかに病院へ行きましょう。いざというときに対応できるように、止血の応急処置や血が止まりにくい病気などについて調べました。

血が止まるしくみ

血液

まず最初に、怪我をして血管が切れた場合、身体はどのようにして血を止めているのか見ていきます。

1:転んだり刃物で切ったりして怪我をすると、血管が切れて出血します。
2:血管が収縮して、切れた血管の穴をなるべく小さくしようとします。
3:血小板が集まってきて、「血栓」を作り、血管の穴を塞ぎます。(一次止血)
4:さらに血液を固めて皮膚の上に「かさぶた」を作ります。(二次止血)

これで身体の機能による止血は完了です。毛細血管が切れた程度なら大抵はこれで血が止まります。

血小板とは

止血をするためには、血液に含まれる血小板の活躍が欠かせません。血小板は、血液を構成する細胞のひとつです。骨髄で作られ、血を固めて止血したり、破れた血管を修復しています。身体の免疫力などにも大きく関わっています。

血小板の基準値は、血液1μlあたり15万~35万個です。8万~10万個あたりになると血が止まりにくくなってきて、血小板減少症ともいわれます。軽い打撲や圧迫などでもあざ(出血斑)ができるようになります。

逆に、血小板が多すぎると血がドロドロになって血流が悪くなります。多すぎても少なすぎても身体にはよくないのです。

血液凝固因子の働き

さらに血液の中の血小板の中には13種類の血液凝固因子という血を固める成分が含まれています。この因子は血小板が出血のショックと同時に壊れてしまった時に中から出てきます。そして他の物質と混ざり合い止血を行う効果を発揮します。

まずり合うことにより糸状の性質を持つようになり、その糸が絡み合って患部を塞いでいきます。この13種類の血液凝固因子は一つ一つに名前がつけられています。

フィブリノーゲン・フィブリン、プロトロンビン・トロンビン、組織因子、カルシウムイオン、プロアクセレリン、第VI因子(欠番)、プロコンペルチン、抗血友病因子、クリスマス因子、スチュアート・ブラウアー因子、血漿トロンボプラスチン前駆物質、ハーゲマン因子、フィブリンの安定化因子

となっています。これらの因子が一つでもかけてしまうと血液の凝固は起こらなくなってしまいます。血が止まらない代表的な病気の生まれつき血が固まりづらい血友病という病気はこの13種類の血液凝固因子のうち特定の因子が欠如していることにより起こります。

血が止まらない原因

肺胞出血 原因

血が止まらないのは血小板の異常よるものです。それにもいくつかの原因があります。

止血させる機能がうまく働かない

血小板が集まって、お互いがくっつき合うことで血栓が作られて血管や傷口を塞ぎ、出血を止めます。血小板同士がくっつくためには「血液凝固因子」が放出されるのですが、この凝固因子に異常があることがあります。

・血小板無力症

先天的に血小板の機能が低下していて、お互いを結合させられない病気です。

・血友病

凝固因子の一部が欠けていることで止血に時間がかかってしまう病気です。
この治療法として血液製剤が開発されましたが、HIV感染などを引きおこし、社会問題になりました。現在はそのようなことがないように安全性が向上していますが、根本的な血友病の治療法は見つかっていません。

血小板が少ない

骨髄で必要なだけの血小板が作られないことや、血小板がどんどん破壊されてしまう病気などがあります。

・血小板減少症

先天的に血小板だけが作られない疾患です。

・白血病、悪性リンパ腫など

いわゆる血液のがんといわれ、血液そのものが骨髄で十分に作られなくなってしまう疾患です。血液ができないので、血小板も少なくなってしまいます。

・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)

血小板を攻撃する抗体ができてしまう自己免疫疾患です。増産が間に合わないほどに破壊されてしまいます。

・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)

血栓を血液中にいくつも作り出してしまう疾患です。血栓を作るためには血小板をたくさん使うので、大量に消費してしまいます。

血小板が少ないことについては、血小板が少ないのは病気?症状や対処方法についての記事を読んでおきましょう。

薬の副作用

ワーファリンやヘパリンなどの血液をサラサラにする薬や、血栓を作りにくくするアスピリンの副作用として、血が止まりにくくなることがあります。

主な症状は歯茎からの出血や、鼻血、怪我をしたところからの出血、月経過多、血便、血尿などです。胃腸やお腹の中などの見えないところで出血することもあり、他の薬との飲み合わせにも注意が必要です。

女性の場合は特にピルの副作用としての不正出血が多くなっています。

飲酒、喫煙

アルコールは血の巡りをよくしてしまうので、血を止めたい時にはよくありません。喫煙は血管を収縮させますが、傷を治すのに必要な栄養が不足するので、傷の治りがかえって遅くなります。

また、口の中が切れている場合は、ニコチンなどの有害物質や血流不足が口の粘膜の機能を低下させることがあります。口の中にいる細菌が傷口に感染しやすくなって、炎症を引き起こすかもしれません。

血が止まらない症状

出血

出血する部位や症状ごとに血が出るケースを見ていきます。

・指、足の指などの切り傷、擦過傷、深い傷、裂傷

包丁、ピーラー、スライサー、ガラスなどで切ったときは出血が多いことがあります。特に手首などには大きな動脈や静脈などの血管が通っているのでこれらの血管が破れてしまった場合はかなりの量の出血が予測されます。

異常な出血が起こっている特はしっかり応急処置を行い病院での治療を行ってもらいましょう。ときには皮膚の縫合が必要になる場合もあります。その様な傷の場合放置しておくと歪な形に皮膚が隆起してしまったり、その他の神経や靭帯などを傷つけて感覚や運動機能などに異常が発生する場合もあります。絆創膏で済ませずに適切な処置を行いましょう。

・皮膚、顔、おでこ、顎

粉瘤、出来物、水ぶくれ、イボなどから出血することもあります。顔などの皮膚は比較的薄く血管も毛細血管で構成されていることがほとんどです。出血は軽度な物がほとんどですが、顔に出血が現れた場合は見た目の印象的に非常に多量の出血に感じられる場合もあります。

さらに切り傷、擦り傷、吹き出物、ニキビなどでの出血が起こった場合はきちんと処理をしないと大きく傷や凸凹などの肌の状態の悪化に繋がってしまう可能性があります。

非常に目立ってしまう事もありますので出来るだけ早めに対処しましょう。

・口の中

虫歯の治療、親知らずや矯正のための抜歯などは比較的大きな傷ができるので、出血がみられます。歯周病や歯肉炎などによって歯茎から出血する場合や、口内炎、口の中を噛んだり、舌を噛んだりすることにも注意しましょう。

口内の出血では、軽度の場合や病気による出血でない場合は唾液が消毒殺菌効果や治癒効果を持っているので、外用薬などの処置を行わなくても問題ありません。口内が不衛生に菌が繁殖しやすい環境にならないようにだけ、歯磨きやうがいなどを行えば問題なく自然治癒していくでしょう。

もし病気の可能性があれば歯科口腔外科などを受診しましょう。

・耳

耳かきをしすぎて内壁や鼓膜を傷つけると出血することがあります。耳からの血が出た場合は非常に怖いですが、外耳道部分が傷ついて出血している場合は特に問題ありません。

自然に血が固まり患部が治癒するのを待てばいいでしょう。しかし内耳や中耳など鼓膜よりも奥からの出血が確認される場合は注意が必要です。耳かきのしすぎでの出血でない場合は耳鼻科での診察を受けましょう。

さらに出血が起こっているときは耳かきをしないようにしましょう。

・鼻

鼻をいじったり、鼻の粘膜が弱くなっていると鼻血が出やすくなります。特に花粉症などのアレルギー症状を抱えている人は症状が出て居る時は粘膜の部分が敏感になっていたり、血管が膨張して出血しやすくなっているので鼻をかむだけでも出血が起こる場合があります。

・大腸

大腸がん、潰瘍性大腸炎などがあると腸の中で出た血が、血便や便と混ざって出てくることがあります。便の色が赤くなる血便だけでなく、もし腸の始まりの方での出血が起こった場合は便の色が真っ黒になる場合もあります。これは、腸内で血液が酸化し色がカサブタのように黒くなってしまった事により便が黒くなります。

異常に黒い便が長期間続く場合は一度検査を受けてみましょう。

・女性特有の原因

生理や不正出血、妊娠、出産、中絶、流産、またはピルやルナベル、マーベロンなどの低用量ピルの服用による女性ホルモンバランスの変化や、手術そのものによる出血などがあります。

女性の生理などでの出血は個人差がありますが、人によっては事情に出血が発生する場合もあります。生理用品などから溢れてしまうことも少なくありません。体調の変化でも、普段は出ないような量が出ることもありますので生理用品の換えを常に持っておくなど、緊急時の為の備えを忘れないようにしましょう。

血が止まらないときの応急手当

応急処置

カッターや包丁でうっかり切ってしまったときなど、すぐに手当てをしたい外傷の場合の応急処置の方法や鼻血などの生理的な出血に近いものの止血方法、対処法を紹介します。

切れた場所を心臓よりも高く上げる(高位保持)

傷口への血流を減らします。小さな傷ならこれだけでも止血できます。手などの持ち上げられやすい箇所の止血方法に向いています。

しかし、高位に傷を持っていったとしても位置を下げてしまった時に出血が再度発生する場合もあります。ガーゼやそれに変わる布などをあてがい抑えることでさらに効果を高めましょう。

時間的には傷口の程度によって変わりますが、軽度のものであれば5分程の高位保持で出血は治まります。しかし深いものになると高位保持だけでは出血は止まらないことがほとんどなので他の方法を合わせて行う必要があります。

傷口を圧迫する(圧迫止血法)

手当てをする道具や手を清潔にして、傷口を圧迫する方法です。傷口には清潔なガーゼやハンカチなどを当て、手のひらで圧迫して出血を抑える方法です。緊急的な場合は、清潔なビニール袋を手袋の代わりにすることもあります。

採血や注射の後の止血にも効果があり、高位保持と併用することもできます。ただし傷も痛むので、血が止まるほどに圧迫してはいけません。長時間血を止めていると予後が悪くなることがあります。

救急車や救急救命士が来るまでの緊急手当も同じ方法で行います。出血の緊急的な止血の95%は直接圧迫止血法で行うことが可能です。

患部より心臓に近い箇所を圧迫する(間接圧迫止血法)

イメージとしては、水道のホースを締め付けることにより水が出なくなる方法となります。手のひらよりも先の部分での出血が引き起こった場合は、手首を締め付けることで血流を止めます。指の場合はその指の根元で締め付けを行います、指の両脇を抑えることでも同様の効果が期待できます。

肘よりも先での手首などの出血の場合は肘の上をタオルなどで締め付けます。肩よりも下の部分での出血の場合は脇の上辺りの腕を押さえます。足の場合でも同様に患部よりも心臓に近い関節の部分でより患部に近い位置での圧迫を行います。無駄に出血が起こっていない部分まで止血をしないように最低限の範囲での圧迫を行います。

この止血法も長時間の止血は患部の壊死にも繋がる可能性があるので、病院に行くまでの応急処置に過ぎません。これらの止血法を行いながら早めに病院に駆け込み専門家からの診療を行いましょう。

出血の予防

血小板が本来持つ自然の治癒力を発揮するためにも、普段から健康管理を意識して生活しましょう。風邪をひかないようにうがい手洗いすることや、適度な運動を続けて体力や筋力を維持すること、基礎代謝を上げて身体を冷やさないようにすることは欠かせません。

寝不足が続くと疲労が回復しないので、疲れ気味になったり風邪を引きやすくなってしまいます。睡眠時間をたっぷりと確保しましょう。健康な身体は毎日の積み重ねのおかげです。生活習慣を一度見直してみるのもいいかもしれませんね。

まとめ

血が止まらない場合の原因や、止血方法などについてまとめます。

血が止まるのは、血小板が血栓を作り血管を修復するおかげです。
血小板が少なくなると血が固まりにくくなり、多すぎると血がドロドロして流れにくくなってしまいます。
血小板の働きを助けるためにも、止血が必要なときは飲酒や喫煙を控えましょう。
止血の応急手当は、出血がある傷口を心臓よりも高くキープします。
出血が多いときは傷口を押さえるように圧迫して、血が流れないようにします。

血をサラサラにする薬を服用している人は、副作用をおさえるためにも、医師の指示に従いましょう。勝手な判断で服用をやめたり、薬を減らさないで下さい。
医療は日々進歩していて、新しい発見や医療技術の開発も進んでいます。不治の病といわれていた病気も治療法が見つかり、助かるようになったものもあります。新しくて正しい医療を受けるためにも、病院に行って医師とよく相談するようにしましょう。

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