頭蓋内圧亢進とは?症状・原因・診断方法を紹介!治療は早期発見が大事?

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頭蓋内圧が亢進すると、脳ヘルニアという病気を発症します。

頭蓋内圧が亢進するということは、脳の中の圧が高まることで脳が逃げ場を探し、本来存在している部位から移動しようとし、他の脳を損傷し、「脳ヘルニア」となります。「ヘルニア」とは、ある臓器が本来存在している部位から脱出することを言います。今回は、それが「脳」である場合です。

では、頭蓋内圧が亢進する原因や、それによって引き起こされる症状、必要な診断や治療について説明をしていきます。

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頭蓋内圧亢進の原因

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頭蓋内圧が亢進することによって引き起こされる脳ヘルニアを説明にするに当たって、基礎となる頭蓋内圧についても説明していきます。

頭蓋内圧について

まず、頭蓋骨の内部について説明をします。頭蓋骨内には、脳が80%、血液が10%、脳脊髄液が10%占めています。

これら、脳・血液・脳脊髄液によって圧が生じるものを、「頭蓋内圧」と呼びます。これらの量は一定に保持されており、頭蓋内圧も正常値である120~180mmH2O(6~12mmHg)の一定値に保持されています。

脳、血液、脳脊髄液のいずれかの体積が増幅することで頭蓋内圧が亢進し、20mmHgを超えると症状が出現する可能性が高まります。

脳容積の増加

脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった脳血管障害によって、脳浮腫が引き起こされます。

これによって、脳内の容積が増加し、脳の圧が高まり、脳の一部が逸脱してヘルニアを引き越します。

血液量の増加

脳血管拡張症や脳静脈灌流障害(のうじょうみゃくかんりゅうしょうがい)といった脳血管障害によって脳血液量が増幅し、これによって脳圧が亢進し、脳ヘルニアを引き起こします。

脳血管拡張症とは、高CO2血症などによって生じます。脳静脈灌流障害は、うっ血性心不全や、頚静脈の圧迫、咳、くしゃみや排便といった障害や動作によって、胸腔(きょうくう)・腹腔(ふくくう)の内圧が上昇することで、身体から脳へ送られてきた血液を心臓へ戻すことが障害されるものです。

脳脊髄液量の増加

脳脊髄液量の増加とは、即ち「水頭症(すいとうしょう」のことを指しています。脳室の内部の出血や、その他の占拠性病変によって、脳脊髄液の通路が閉塞されることで、脳室内の脳脊髄液の流れが障害されます。また、うっ血乳頭や脈絡叢乳頭腫などによって、脳脊髄液の産生が過剰となる可能性があります。

これらによって、正常の脳と比較すると、脳室が拡大し、頭蓋内圧が亢進することで、脳の皴(しわ)である脳溝(のうこう)という脳の溝(みぞ)が、潰れてしまい見えにくい状態となります。これらが、水頭症の特徴です、

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脳ヘルニアの種類

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頭蓋骨の中は、硬膜で仕切られています。この硬膜は、「小脳テント」と言います。小脳のテントの上は左右の大脳半球(大きな脳)、テントの下は小脳(小さい脳)が位置しています。

脳幹は、大脳から脊髄へ繋がっています。脊髄へ行くまでに、「テント切痕」と言う孔(あな)を通過します。テント下に行くと小脳の前を通過し、頭蓋骨の下にある大後頭孔(だいこうとうこう)という孔も通過します。そして、頭蓋骨の外へ出て脊髄へ繋がります。

この流れの過程で、頭蓋内圧の上昇によって生じる脳ヘルニアは、ヘルニアが引き起こされる部位や脳が逸脱する部位によって名前や症状が異なります。どういったものがあるか、幾つか紹介をしていきます。

テント切痕ヘルニア(鈎ヘルニア)

まず、なぜテント切痕(せっこん)ヘルニアと呼ばれるかを説明します。テント切痕ヘルニアは、大脳半球の広範囲に生じる脳出血によって、頭蓋内圧が亢進し、引き起こされます。脳出血とは、脳血管が何らかの原因で出血することです。これによって、側頭葉(頭蓋骨の左右側面側)の内側に位置する鈎が、テント切痕部に移動します。そして、テント切痕部に位置する脳幹の一部である中脳を損傷します。よって、この脳ヘルニアは、「テント切痕ヘルニア」と呼ばれます。

鉤ヘルニアは、病変がテント上にあります。上記に記したような流れでヘルニアを引き起こします。症状としては、瞳孔不同といった動眼神経麻痺や、片麻痺、意識障害、除脳硬直といったものが見られます。

テント切痕ヘルニア(中心性ヘルニア)

中心性ヘルニアも、鉤ヘルニアと同様、病変がテント上にあり、脳幹(中脳)が垂直に移動することで生じます。

症状は、縮瞳、呼吸異常、意識障害、除脳硬直などが見られます。

大後頭孔ヘルニア(小脳扁桃ヘルニア)

こちらは、病変がテント下にあります。

これにより、小脳扁桃が大後頭孔へ移動し、脳幹の一部である延髄に障害をきたします。

症状は、呼吸異常や項部硬直などです。

上行性テント切痕ヘルニア

病変はテント下にあり、小脳の前方部がテント切痕に移動することで、脳幹の一部の中脳に影響を及ぼします。鈎ヘルニアと同じ部位が障害されるため、症状は鈎ヘルニアと類似します。

大脳鎌ヘルニア(帯状回ヘルニア)

大脳鎌(だいのうかま)ヘルニアは、別名、帯状回(たいじょうかい)ヘルニアと言います。これの病変はテント上にあります。

帯状回は、前頭葉(頭の前方面)から頭頂葉(頭のてっぺんの面)の主に、前頭葉側に位置します。大脳鎌は左右の大脳半球を正中線上に分けている硬膜(こうまく)です。

硬膜とは、脳の硬い膜のことです。大脳鎌ヘルニアの場合は、帯状回が正中方向へ移動し、大脳鎌を越えて反対側へ逸脱し、ヘルニアを引き起こします。症状は重篤なものは見られません。

蝶形骨縁ヘルニア

蝶形骨は前頭葉と側頭葉の間に位置し、蝶形骨隆起という盛り上がった部位があります。

病変があるテント上から、前頭葉の底面が蝶形骨隆起を超えて、側頭葉が存在する中頭蓋窩(ちゅうとうがいか)に移動し、蝶形骨縁(ちょうけいこつえん)ヘルニアを引き起こします。こちらも、重篤な症状は生じません。

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頭蓋内圧亢進の症状

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脳ヘルニアの種類の項目でも、病類別に簡単に症状を説明しています。

それぞれの症状と、その他の症状について詳しく説明をしていきます。

頭蓋内圧亢進の3徴候

頭蓋内圧が上昇すると、初期症状として3徴候が出現する可能性があります。それは、「頭痛」、「嘔吐」、「うっ血乳頭」の3症状です。

「頭痛」は、頭蓋内圧が上昇することで頭の中の硬膜や脳血管が有する痛覚の受容器が牽引(けんいん)されたり、圧迫を受けることで頭に痛みが生じます。

「嘔吐」は、嘔吐中枢が延髄にあり、頭蓋内圧が症状することで延髄が圧迫を受けると生じます。延髄が影響を受けると、悪心(おしん)や、「今、吐きそう!」といった前兆を伴わずに唐突に吐きます。自分で止めようとするといったコントロールはできません。

「うっ血乳頭」は、頭蓋内圧が上昇すると眼球の奥に存在する網膜中心静脈が圧迫されます。すると、その奥の視神経乳頭が閉塞されていく可能性があります。これによって血が止まりそうになる、詰まりそうになるといった、うっ血性乳頭を生じます。

意識障害

頭蓋内圧がどの程度亢進するかによって、意識障害の程度は異なります。JCSⅠ-1の判定では、日付がわからないなど、自身でも気づくことが可能な軽度のレベルの意識障害です。

「なにか、いつもと違う!」と気づいたら直ぐに病院へ受診しましょう。

血圧の上昇、脈が徐脈になる

頭蓋内圧が亢進する・上昇するということは、頭蓋内の脳実質への血液が送りこみにくくなることで、脳へ血液を送り込もうとして脳の血圧が上昇するということです。この反応は、脳への血流・血液量を維持しようとするホメオスタシス(恒常性)が働き、防御反応として作用しているために起きます。

これらの作用によって、収縮期血圧(血管が収縮する時の血圧)は上昇し、拡張期血圧(血管が拡張する時の血圧)は上昇しません。そして、脈圧が拡大して、脈は徐脈となります。この反応を、「クッシング現象」と呼びます。

運動麻痺の出現・悪化

頭蓋内圧が上昇すると、運動系の神経伝導路も圧迫されたり、障害を受ける可能性があります。これによって、片麻痺を発症したり、元々片麻痺を有している患者は、片麻痺が悪化する可能性があります。

片麻痺を生じると、痺れや様々な感覚障害、筋力の低下、筋緊張の亢進または減弱や腱反射の問題など、あらゆる障害が生じてきます。

姿勢障害

「片麻痺の出現・悪化」にも記したように、頭蓋内圧の上昇によって、脳に障害が生じ、筋緊張が亢進・減弱するといった異常が見られる場合があります。筋緊張を簡単に説明すると、筋緊張が亢進している状態は、筋肉が強く収縮し続けいている状態で、減弱している状態は、筋肉の収縮が弱く力が入らない様な状態です。

障害されてしまった筋緊張を自身でコントロールすることは困難であり、これによって姿勢障害を生じる可能性があります。

広範囲に大脳皮質が障害される場合は、除皮質硬直(じょひしつこうちょく)と言い、上肢が屈曲、下肢は内転、足部は足底方向に伸びている姿勢になります。脳幹の中でも中脳や橋上部が障害される場合は、除脳硬直(じょのうこうちょく)と言い、上肢は伸展・回内、手関節は屈曲している状態になります。下肢は、除皮質硬直と同じ肢位です。

呼吸の異常

呼吸中枢は延髄に存在しています。頭蓋内圧の上昇による脳ヘルニアでは、この延髄が障害されるため、呼吸の障害が生じる可能性があります。

メインは延髄ですが、その他にも中脳や橋(いずれも脳幹部)、大脳半球も呼吸機能が関与しており、各々、特徴的な呼吸機能障害を生じます。両側性の大脳半球の障害ではチェーン・ストーク呼吸、中脳下部、橋上部の障害では中枢神経性過呼吸、橋中部・下部では吸気時休止性呼吸、橋下部・延髄上部の障害では群発性呼吸、延髄では失調性呼吸といった特徴が見られます。

眼の障害

頭蓋内圧が上昇することで、眼にも影響が出てきます。

眼の周囲にある神経の内、外転神経麻痺や動眼神経麻痺といった障害を生じます。それぞれ、どういった症状が出現するかを簡単に説明します。

・外転神経麻痺

外転神経は、脳幹に位置する橋から出ている、眼に関与する神経です。外眼筋という、眼の眼球を外側に動かす筋肉が眼の外側に付着しています。この外眼筋を操作するために、外転神経が作用しています。外眼筋に至るまでの走行距離は脳神経の中でも最も長いです。

よって、頭蓋内圧の上昇の影響によって、外転神経が圧迫されやすいとされています。これにより、片側性または両側性の眼球を外側に向けることが困難となり、複視になる可能性があります。複視とは、1つの物が2つに見える視力障害の症状です。

・動眼神経麻痺(片側性)

動眼神経は、テント切痕部の中脳の近くに位置しています。頭蓋内圧が上昇すると、圧迫を受けやすいです。鈎ヘルニアや上行性テント切痕ヘルニア発症の前兆症状として、動眼神経が麻痺して視力障害をきたす可能性があります。特に、広範囲の被殻出血による頭蓋内圧の上昇では、部位が脳の左側・外側になり、鈎ヘルニアを引き起こしやすいこともあり、動眼神経は影響を受けやすいです。

動眼神経の作用では、外眼筋が眼球を外側に動かしたり、上眼瞼挙筋により眼瞼を上に上げたり、瞳孔括約筋により瞳孔(黒目の部分)を縮瞳(ちいさくする)させたり散大(おおきくする)させて光の反射や量を調整するといったことを行っています。

これが障害されることで、障害を受けた動眼神経とは反対側の眼の対光反射の減弱や消失、瞳孔不同といった視力障害を生じます。瞳孔不同とは、瞳孔が散大することで瞳孔の直径に左右差が出ることです。瞳孔の直径の正常値は3~4㎜で、散大は5㎜以上、縮瞳は2㎜以下とされています。左右差が0.5㎜未満の場合は、病的なものとは判断されません。

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頭蓋内圧亢進の診断

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頭蓋内圧の上昇によって、脳幹の圧迫を受けたり、脳ヘルニアを発症します。これによって、死亡する危険性もあります。

以下のような検査を適時行い、早期に対処していく必要があります。

バイタルサインのCheck

症状によっては、血圧が上昇したり、徐脈や脈圧が上がったり、呼吸機能に異常がでてきます。

バイタルチェックによって脈拍や血圧、酸素量などを確認していく必要があります。バイタルサインについては、バイタルサインとは?目的や正常値を知っておこう!測定方法も紹介!を読んでおきましょう。

意識障害の診断

Japan Coma Scale(JCS)やGlasgow Coma Scale(GCS)といった標準化されている意識障害の検査を行います。

運動麻痺の検査

片麻痺の発症や、悪化する可能性があるため、Br.Stage(ブルンストローム)テストという運動麻痺の検査や、様々な感覚検査、筋力検査が必要となる場合があります。

頭蓋内圧モニター

モニターの利用によって、頭蓋内圧の持続的な測定が可能です。これを使用することで、どれだけ脳圧が亢進しているかを計測します。

測定方法は、頭蓋骨に小さな穴を開けて、脳実質または脳室の中に圧センサーを留置するという方法です。この圧センサーにて持続的に頭蓋内圧を測定し、治療の際の補助器具としても利用します。

また、留置される圧センサーは、脳室ドレナージの効果もあります。脳室ドレナージを施行することで、脳室から脳を圧迫している脳脊髄液を排出し、頭蓋内圧をコントロールすることができます。この時は、センサーとドレナージをチューブで合わせます。

画像診断による所見

以上の検査に加え、単純CT画像やMRI検査といった画像診断によって、頭蓋内圧の口唇状態や、脳幹の周囲にある脳槽や第4脳室の圧迫、その他の圧迫部位の確認をしていきます。脳幹が圧迫されていることが確認できたら脳ヘルニアの可能性が高いです。これらによって、どういった治療を行うかを判断していきます。

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頭蓋内圧亢進の治療法

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脳ヘルニアによって脳幹が障害を受け、致命傷を負う可能性は十分にあります。いかに、前兆症状に気づいて脳ヘルニアにならないように対応するかが重要となります。

では、どういった治療が行われるか、簡単に紹介していきます。

外科的治療

外科的治療では、頭蓋骨内の占拠性病変を除去します。つまり、頭蓋内圧を上昇させている原因因子となっているもの、脳出血部位や、腫瘍部位、ヘルニアになっている部位などを除去します。以下に、3つの方法を紹介します。

髄液ドレナージは、診断で紹介した脳圧センサーにて脳室ドレナージを行う方法を用いて、外に脳脊髄液を排出する方法です。これにより、脳圧が低下します。

外減圧術は、外科的な手術により、頭蓋骨の一部を除去して脳の圧を外に逃がすことで、脳圧を低下させる方法です。術後には、慎重な体位変換が必要な為、看護につく看護師が状態を認識する資料を部屋に貼り、対応していきます。

内減圧術は、脳組織の切除を行います。切除する部位は、切除を行っても症状が出現さらにくい部位です。

内科的治療

頭蓋内圧を低下させるために、各症状に対して内科的治療も施行されます。呼吸機能の異常に対しては人工呼吸器の利用により、呼吸状態の安定を図ります。この際に、静脈内灌流静脈を障害しないように気をつけます。

また、麻酔薬を使用することで、脳代謝や頭蓋内圧を低下させ、脳の細胞膜や静脈内灌流の圧を安定させます。

その他、副腎皮質ホルモン剤といった薬物の抗炎症作用を利用して、細胞膜や毛細血管を強化し、血液などの保護・修復を行うことで、脳腫瘍による脳浮腫などを防ぎます。

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まとめ

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頭蓋内圧が上昇していくと、髄液が溢れ、脳組織が圧迫されていき様々な症状が出現していきます。取り返しがつかなくなる前に、嘔吐や頭痛といった前兆症状が見られる際には、様子を見るのではなく、早急に病院へ駆け込む様にしましょう。

設備が整っていない小さな施設では緊急の検査や治療ができないことが多いです。救急外来なども行っており設備の整っている大規模の病院を選ぶと良いでしょう。

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