咳をすると頭が痛い人が結構おられるようです。咳と頭痛はどのようにつながっているのか、私たちの体の構造を考えてみると、その答えは分かるようです。
しかし咳をすると頭が痛い原因が1つではないので、危険性があるものもありますから、症状が一過性でなく長く続く場合は、病院で医師にお聞きになることが必要です。
咳をすると頭が痛い原因についてみてみました。
咳について
咳は私たちの体を守っているのです。咳をすることで身体に入ってきた、異物を外へ排除しています。
咳の役割
咳は各器官から異物が入ってきたのを、外に押し戻すために重要な、防衛機能の役割があり、ほこりなど吸い込むと一過性では、ありますが咳がでたりします。
異物が入らなくても薬の副作用や、精神的な刺激や緊張状態の時に、咳が止まらなくなることがありますが、これも防衛反応が起こっているのです。
咳をする前は血管は収縮しています。咳が起こると同時に血管は一気に膨張します。両側の頭がズキンと痛む症状は、血管の収縮と拡張の差によるもので、血管が拡張することで神経に触れてしまったために、頭痛が起こる症状なのです。
咳が起こるメカニズム
咳は短く息を吸うと声門が閉じ、声門が肺の圧力で上がると勢いよく開いて、気道にある異物を押し出すのが咳です。
咳受容体に異物が鼻、喉、気管、肺に感知して刺激が伝わると、脳がキャッチして脳内の咳中枢の咳をコントロールするところから、、気管支に咳をだしなさいと命令をだします。
異物が体の中に入り込んでくると、免疫細胞はウイルスや細菌に抵抗するために、白血球を増やす行動をとります。
白血球を増殖し活発化させるには、血液の循環を良くして、血液の流れを良くしなければなりません。免疫細胞は白血球を増殖活発化させ、血流を良くしようとして、血管を膨張させます。
血管が膨張するとその周りの神経は刺激されて、ズキズキとした脈をうつような頭痛が起こってくるのです。これが咳をすると頭が痛くなるメカニズムなのです。
異物が入ってきたときの流れ
咳は体を守る反応で、異物が口の中に入ってくると、食道と気管に分かれている、どちらかに入り込みます。
片方は胃につながり、もう一方は肺につながって、二つの入り口は弁がついていて、片方だけ開くようになっています。
たまに気管支の方に食べ物が入ることがありますが、これは咳で押し戻される方法がおこなわれています。
コンコンと気管支に食べ物が入った訳でもないのに、咳をする肺炎や気管支喘息といった病気があります。
これはウイルスが気管支にとりついて、肺に新鮮な酸素を吸い込むことができない、気管支炎症を起こしている状態なのです。
炎症が起こっていると気管支が細くなっていて、脳が新鮮な酸素を取り込まなければと判断した時に、空咳をして炎症を何とか抑えて、酸素を取り込もうとしているのです。
咳の種類
咳には乾性咳嗽と湿性咳嗽とがあります。
乾性咳嗽(かんせいがいそう)
痰は出ませんが乾いたコンコン、ケンケンといった咳です。一過性のものなら心配ありませんが、何度も出る場合は危険性が、潜んでいることもありますので、内科でみてもらうことも必要です。
湿性咳嗽
痰をともなう、ゴーゴー、ゼイゼイといった咳で、咳を鎮めると、病気が悪化することもあります。痰には細菌や、白血球の細胞が死んだものが、気管支や喉の分泌液に混じってでてきます。
このような咳が出る場合は、医療機関で検査してもらうことが大切です。
咳をすると頭が痛い原因
咳をすると頭が痛くなる原因には次のような原因が考えられます。原因が分かるとなるほどと理解できるのではないでしょうか?
頭蓋内圧が亢進するため
アセチルコリンという物質が、咳をすることで分泌されます。頭蓋骨という骨で脳は守られていて、余分な隙間が頭蓋骨の中には存在しません。
血管を拡張する作用のある、アセチルコリンという物質は、脳内の血管をも広げて、頭蓋内圧が高くなるので、脳の神経も圧迫するため頭痛の症状がでてくるのです。
肩や首のコリが起こるため
咳をすると体力を消耗します。それは横隔膜・首・胸・背中・肩などのたくさんの筋肉が動くため、咳が続くことで肩や首筋や背中に、かけて筋肉がこわばるためです。
筋肉がこわばると血流が悪くなり、このため首を通って血液を脳に送っている、血管が緊張し細くなって血流がわるくなり、頭痛の症状が起こってくるのです。
咳をすると頭が痛い場合に考えられる病気
咳をすると頭が痛くなる病気には、どのようなものがあるのでしょうか?
関係性のないような病気も見受けられ、個人差により症状は異なりますが、両方起こる病気について見てみました。
咳と頭痛が起こる病気
1次性咳嗽性頭痛
咳やりきんだ時に突然誘発される頭痛で、頭蓋内に病気はなく、症状は個人差があります。爆発的な鈍痛、刺すような痛み、脈打つような30秒から2時間痛みがつづきます。高齢者の男性に多く、2次性咳嗽性頭痛をアーノルド・キリア奇形I型という病気の患者の40%がおこします。
2次性咳嗽性は別の病気が引き起こす頭痛のことをいい、1次性咳嗽性頭痛は頭痛が病気の原因であることをいいます。
感染性呼吸器疾患
- マイコプラズマ肺炎
- クラミジア肺炎
- インフルエンザ
- 細菌性肺炎
- 急性気管支炎
- ジフテリア
- 真菌性肺炎
- 肺結核
- 百日咳
これらの疾患はウイルス、マイコプラズマ、細菌、カビなどが炎症を起こして発症します。この中で予防接種が受けられるのは、インフルエンザ、肺炎球菌(7価結合型・23価多糖体)ジフテリア、結核、百日咳などの予防接種があります。
マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという菌が、肺で炎症を起こす病気で、14歳以下の子供が8割を占めています。
しかし大人でも感染し、大人がマイコプラズマ肺炎に感染した時は、自覚症状があまりはっきりとせず、痰の絡まない乾いた咳から湿った咳に移行して、症状が重くなり易い特徴を持っています。高齢者は特に重症化するケースが高いです。
肺炎
肺炎は風邪の症状+胸の痛み、倦怠感、胸の痛み、高熱、脈や呼吸が早くなる症状がでてきますので、風邪だと放置していると、細菌やウイルスが肺まで到達し、肺で炎症を起こしてしまいます。
風邪と肺炎の見分け方は、痰が黄色または緑色の粘着性のある痰と、せき込みがとても激しいのが特徴です。呼吸困難や倦怠感などの全身症状が現われるのが特徴で、4日以上高熱と咳が続いている場合は肺炎を疑う可能性があります。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎は胃液や唾液と一緒に、細菌が肺に流れ込んで起こる病気です。誤嚥は70歳以上が70%、誤嚥性肺炎でなくなります。口腔内の常在菌が一番多いので、高齢者になると特にお口のケアが必要です。
肺炎は死亡原因の3位で、75歳以上が94%をしめている日本です。脳血管障害のある人は特に誤嚥性肺炎に気をつけないといけません。
精神疾患
社会的、心理的なことが引き金になって、うつ病や心身症、神経症など、咳と頭痛がでますが、精神疾患ででる咳は乾いた咳です。
良性咳嗽性頭痛(りょうせいがいそうせいずつう)
男性に多く見られる症状で、1分程の痛みなのですが、くしゃみや大笑いをした時に起こる頭痛です。原因はハッキリと分かっておりません。
硬膜下出血
転んだり事故によって頭を打撲した場合に起こり、緊急の場合は手術して治します。慢性の場合は受傷1~3か月後に、咳、歩行障害、認知機能低下が起こりますが、比較的簡単な手術で完治します。
髄膜炎
インフルエンザ後に激しい頭痛や発熱が続いたら、髄膜炎を疑うことが必要です。髄膜炎は髄膜の内部にある髄液に病原体が、感染して炎症を起こす病気ですが、髄膜は脊髄と脳を覆っている膜です。
病原体は一般にいるウイルスや細菌で、脳にはバリアシステムが備わっています。免疫力が落ちてない時は、このバリアシステムが機能しますが、風邪をこじらしたりして、バリアシステムが正常に働かなかったりした時に、病原菌が脳や髄膜に入り込んでしまい、髄膜炎をおこします。
副鼻腔炎
副鼻腔の中で炎症が起こった時に、うつむくと痛みが増す場合があり、咳をするとこめかみの当りや、頭痛がおこります。
感染症
ウイルスや病原菌、細菌に感染した後に、ウイルスや病原菌が脳の髄膜に感染し、炎症を起こす病気です。
咳、発熱、頭痛、意識障害などを伴う場合もあり、早急に治療が必要となる場合がありますので注意が必要です。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は咳やくしゃみが出て、鼻ずまりによる酸素不足が起こり、頭痛が起こってきます。
アレルギー性鼻炎の症状は、咳やくしゃみ、鼻ずまりですが、二次性症状として鼻ずまりによる、酸素不足から頭痛が起こります。
アレルギー性鼻炎の合併症は蓄膿症ですので、アレルギー性鼻炎に罹ったかなと思ったら、医師の指示を仰いで、合併症を起こさないように注意することが必要です。
頚椎椎間関節症・頚椎症
加齢で起こることがある、頚椎症や頚椎椎間関節症がありますが、咳やくしゃみでも頚椎椎間関節症の人は、変形した部分が神経にさわるので、頭痛を起こすことがあります。
咳をすると頭が痛い時の対処方法・治療法・予防法
最後に咳をすると頭が痛い対処法や治療法、予防法について見てみたいと思います。初めに対処法にはどのようなことをしたら良いのでしょうか?
対処法
呼吸を整える
咳をすることで頭痛がおこりますので、咳をする期間を伸ばして、ゆっくりと呼吸を整えながら咳をすることが必要です。
咳を我慢しない
口を閉じて咳を我慢しようとすると、口の内圧が高まり脳内の圧力が高まります。脳内の内圧が高まると頭痛を誘発する可能性がでてきます。
咳を無理に我慢しないで小さな咳になるよう、呼吸を整えたりして工夫するようにするとよいでしょう。
頭痛する部分を冷やす
痛む部分を冷やすことで、頭の中の血管拡張を抑える事が必要です。頭の血管が膨張することで頭痛が発生するので、血管を冷やしたり、圧迫することで血管の膨張を抑えます。
肩や首を温めてマッサージ
肩や首を温めてマッサージするのは、自律神経から来る頭痛は、血行の改善が必要なので、肩や首の血行を良くしてマッサージしてほぐすことで、緩和されます。
ツボを押す
風府(ふうふ)
太い二本の筋肉に挟まれた、少しくぼんだ後頭部と首の境にある部分で、肩こりにも効果的です。
風池(ふうち)
左右対称にする位置の、風府と耳の下端を結ぶ直線の真ん中付近で、頭痛だけでなく、肩こりや首コリ、眼精疲労にも効果を発揮します。
この2つのツボを押すことで、頭痛が解消されることもありますので、一度やってみたらいかがでしょうか?
治療法
咳が出て頭痛が長引く場合、脳神経外科などを受診して、検査してもらうことが必要です。
咳をすると頭が痛い時の治療法
頭痛には一次性頭痛と、二次性頭痛があります。またこれと異なる視点から「インドメタシン反応性頭痛」というものがあります。
これは頭痛には鎮痛剤が効かないのですが、なぜかこのインドメタシンが著効する頭痛があるのです。その頭痛には
発生性偏頭痛、持続性偏頭痛、一次性穿刺様頭痛、一次性咳嗽頭痛、一次性労作性頭痛、性行為に伴う一次性頭痛など
がありインドメタシンが頭痛の効果を発揮します。
風邪による頭痛の治療
風邪による頭痛の治療の場合、風邪薬と頭痛薬の併用を行うと「薬物乱用頭痛」という2次的頭痛が引き起こされますので、風邪薬を使用しているのに、頭痛がひどいからと頭痛薬を飲むと起こりますので、必ず医師に併用前相談してください。
咳の解消ポイント
咳と頭が痛いのが同時に起きた場合、一番最初に考えなければいけないのは、咳を先にとめるのか?頭痛を先に治すのかを考える事です。
頭痛だけなら咳がなくても起こります
頭痛はクモ膜下出血や脳梗塞など、神経が血管に触れる事で起こる様々な原因で起こります。ですから咳と頭痛は分けて考えなければなりません。咳があってからの頭痛であることに注目することです。
咳の原因を突き止めることが一番大切
咳や痰やクシャミが起こる原因は、全て異物が身体に侵入し、気管が体外に排出する防御反応です。咳自体悪くありませんが、咳の原因を突き止める事が必要です。
ウイルスが侵入して炎症を起こしているばあいは、これを治さないといけません。炎症が起こっている場合免疫力が低下しています。
咳を止めて頭痛を直すには、免疫力をアップさせることが必要です。その為にはバランスの良い食べ物をたべ、適度な運動をして、規則正しい生活が必要となります。
目先の咳と頭痛が起こっている場合は、暖かいお茶や生姜湯や焼きネギスープなどをできるだけ飲んで、腹式呼吸をして、ゆっくりとぬるめのお湯のお風呂に入って、リラックスすることが大切です。そうすることで、咳と頭痛を解消することができる事があります。
咳をすると頭が痛いのを予防する方法
咳をすると頭が痛い予防方ですが、あくまでもこれは一過性の症状で、症状が長引く場合は医療機関で医師に診てもらうことが大切です。一時的な頭痛ですと、鎮痛薬などを使用します。
薬を使用する
良性咳嗽性頭痛と分かっている人は、「インドメタシン」をしようしたり、鎮痛薬などを利用します。
アレルギーにならない
アレルギーを起こさない環境を整えます。咳が出ない工夫をします。
うがいやマスクを使用する
副鼻腔炎が起こらない様な予防として、マスクを着用したり、うがいをしたりして、副鼻腔炎が起こらないようにすることが大切です。
免疫力を高める
免疫力を強くするため、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠をとる生活環境の改善が必要です。
子供の咳をすると頭が痛い予防法
子供の場合は正確性のある訴えがまだできませんから、大人はできるだけ注意深く観察し、子供から情報を集めて「咳、頭痛い」その他の症状があれば、病院で診察してもらうことが良いでしょう。
そのためには掛かりつけの、医者を見つけておくことが大切です。インフルエンザの後の頭痛が続く場合、髄膜炎の可能性も捨てきれません。
知恵コレで「インフルエンザ後に、頭が割れそうに痛い」という質問者の記事が載っていました。それに回答する回答者のなかに、自作自演の常習者がいて、速攻でBAを決めているそうです。
知恵袋も色々な人がいるようですので、それだけを信じて判断するのも、やはり間違いのもとになります。何事も参考にしてもよいですが、専門家に見てもらうことが一番間違いは起こりません。
ネットで調べるのも大切ですが、やはり子供の場合は訴える内容が正確性に掛けますので、ネットの情報を参考にしても、それをうのみにせず、専門家の判断を仰ぐ方が間違いないでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?咳をすると頭が痛いについて見てきましたが、私たちの体は血管や神経がつながっていますので、咳をすることで頭痛が起こる事は、当たり前といえば当たり前です。
それは一過性の時は心配いりませんが、長く咳と頭痛が続くときは、医療機関を受診することをおすすめします。
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