肥大型心筋症はどんな病気?症状や原因、診断方法や治療方法を知ろう!

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「肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)」という病気、ご存知ですか?心筋と聞くと心筋梗塞などを思い浮かべる方も多いでしょう。実はこの肥大型心筋症という病気は難病に指定されています。

心臓に関係のある病気なのでまずは心臓の仕組み、そしてこの病気がどのような病気なのか、その症状や原因、診断方法、治療法などを詳しく説明します。

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肥大型心筋症とは?

心臓

肥大型心筋症とはどのような病気なのでしょうか。まずは心臓について説明します。

心臓はどんな働きをしている?

心臓の働き

心臓は人間だけでなく、生き物にとって大変重要な器官ですね。心臓が休むことなく動くことで私たちは生きていくことができます。

心臓は全身に血液を送り続けるポンプの働きをしています。1回の拍動では約50mlの血液を送り出します。人の拍動は1分間にだいたい60〜80回なので、3〜4リットルの血液を送り出していることになります。

その心臓は筋肉で出来ています。右と左それぞれに「腔」があり、さらに上下に分かれていて、上にあるのを「心房」下にあるのを「心室」と呼びます。合計4つの部屋が心臓にあるということになります。4つの部屋はそれぞれ「右心房」「右心室」「左心房」「左心室」と呼ばれています。

それぞれ心房、心室は筋肉と繊維で分けられていて血液が混じり合わないようになっています。血液の流れは全身を巡り戻ってきたらまず大静脈から右心房にそして右心室に入ります。そのあと右心室が収縮することによって肺動脈を通り肺へと送り出されます。血液は肺で酸素を取り込み肺静脈で左心房に戻り、左心房から左心室に送り出されます。そしてまた左心室の収縮によって大動脈を通って全身に血液が送られる、という仕組みになっています。

心筋とは

では心筋とはどこを言うのでしょう。簡単に言うと「心臓を動かす筋肉」ということになります。心臓を構成し、心臓の収縮を行う筋肉が「心筋」なのです。

肥大型心筋症とは

では肥大型心筋症とはどのような病気なのでしょうか。肥大型心筋症は原因が不明で「特発性心筋症」の一つです。

心肥大を引き起こす高血圧や弁膜症などの原因となる他の病気がないのに、左室または右室の心筋の異常な肥大が起こる病気です(主に左室)。このことによって、先に述べた「左房から左室へ血液が送り出される」ところの障害が起きてしまいます。

心筋が厚くなることにより心臓内部の空間は狭くなります。そうすると心臓が十分な血液を体に供給できなくなってしまいます。肥大は不均一となっていて非対称性であるのもこの病気の特徴です。左室収縮能は正常もしくは過大で左室の拡大も見れらません。

そして肥大型心筋症には「閉塞性肥大型心筋症」と「非閉塞性肥大型心筋症」があります。

閉塞型肥大心筋症

閉塞性肥大型心筋症では左心室の内腔が小さくなってしまい、さらに収縮によって流出路狭窄と言って、左心室から全身に血液を流出する部分に狭い部分ができてしまうことで全身へ血液を送り出す機能の低下が起こります。

この機能の低下により僧帽弁が心臓出口を塞いでしまうという症状が多く起こります。こうなると全身へ血液を送り出しづらくなり、僧帽弁の収縮時の形が変形してしまい僧帽弁閉鎖不全という僧帽弁逆流が起こってしまいます。

非閉塞性肥大型心筋症

非閉塞性肥大型心筋症はさらに「心室中部閉塞性肥大型心筋症」「心尖部肥大型心筋症」「拡張相肥大型心筋症」に分けられます。「心室中部閉塞性肥大型心筋症」は心筋の肥大に伴って心室の内部に狭窄が起こってしまうものです。「心尖部肥大型心筋症」は心肥大が心尖部という箇所に限局するものです。この病気は日本人に多いと言われています。

また「拡張相肥大型心筋症」とは肥大した心筋の壁の厚みが薄くなっていき心室の内腔が拡大してしまうもので、これは病気の進行によるものです。この場合は心臓移植の対象になってしまうことがあります。

患者さんの男女比や年齢は?

この病気の患者さんは難病情報センターによると人口10万人に対して日本人では17.3人といわれています。

男女比は2.3対1と男性の方が多い結果となっています。男女共60代にピークが認められるようですが思春期以降の若い人にも患者さんはいます。

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肥大型心筋症の症状や原因は?

心臓の図

肥大型心筋症の症状はどのようなものがあるのでしょうか。そして原因は何なのでしょうか。これらについてわかりやすく説明します。

肥大型心筋症の症状

閉塞性肥大型心筋症では胸の圧迫感、胸の痛み、動悸、疲労感なども現れることがあります。

また胸痛は運動時でなくても生じることがあります。

非閉塞性肥大型心筋症では症状であることも多いのですが、年齢を重ねるごとに症状が出ることがあります。一般的な症状としてまずは「息切れ」や胸部の不快感が現れます。最初は運動時に生じますがだんだん心機能が低下すると安静時にも症状が出るようになります。

また無症状のまま過ごしていた方が、たまたま健康診断の心電図などで発見されることもあります。

その他の症状としては失神、立ちくらみ、めまい、目の前が暗くなる(眼前暗黒感といいます)などが生じることもあります。失神は運動時に起こリやすく、また飲酒の時や急に立ち上がった時などに起こりやすくなります。

これらは肥大した心室、そして不整脈の影響で生じる症状です。不整脈は心房細動と呼ばれる持続性不整脈という症状となります。

また肥大の度合いが進むと突然死などの心停止が生じてしまう恐れもあります。

肥大型心筋症の原因

家族性の発症が約半数に認められているおり遺伝性の疾患の一つといえます。これは家族性肥大型心筋症と呼ばれます。原因遺伝子によって経過や症状も異なってきます。

遺伝子の異常の場合は、心筋の収縮に関する蛋白質の遺伝子変異やミトコンドリアの遺伝子、また代謝の遺伝子変異などもあげられます。今16を超える遺伝子、900種類以上の変異が報告されています。

ただ遺伝子異常があっても発症しないこともあり、不明な部分もあります。その他ウィルス感染や免疫異常なども考えられますが原因としてまだはっきりしたことはわかっていません。

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肥大型心筋症の診断、治療は?

医者

肥大型心筋症の診断はどのようにするのか、検査はどんなことをするのか。またその治療についても説明します、

肥大型心筋症の診断

では肥大型心筋症の診断はどのように行うのでしょうか。特に症状がなくても健康診断での心電図検査の異常や心雑音を指摘されて病院へいく場合もありますし、動悸や息切れで受診する場合もあります。

検査は問診や聴診器での診察のほか、心電図、心エコー図を診ます。また胸部レントゲンも撮ります。

心電図では上室性不整脈、心室性不整脈、徐脈性不整脈などの不整脈、ST異常、T波異常など様々なことがわかります。

あまり聞きなれない検査についてここで説明します。

心エコー検査

心エコー検査は有用な検査で、この病気と診断された場合の家族のスクリーニングにも利用されています。

心エコー検査とは心臓超音波検査ともいい超音波を心臓に発信、返ってくる反射波(エコー)を受診したものを画像に映し出すものです。この検査には放射線による被曝の心配がないので、例えば妊婦さんや小さな子供でも安心して受けることができます。

心エコーでは心臓の形の異常はもとより、動きも見ることができます。この病気で特に重要な心室や心房の壁の厚さも見ることができますし、壁や弁の動きも追うことができます。さらにカラードップラー法を行うと、心臓の血液の流れを確認することができ、壁や弁の異常を発見しやすくなる重要な検査です。

心臓MRI

その他の検査で心臓MRIというものがあります。これは磁気そして電波を利用し、体の中にある水素の電子核の状態を画像にする方法です。磁気は地球の磁気の数万倍の強さを持ちます。

この磁石が取り付けられて装備されている筒状の検査装置に体を入れて電波を照射して検査をするのです。かなりの音がするのですがやはりこれも被曝の心配はありません。

ただ強い磁力を検査に用いるので体内に金属が入っている人、ペースメーカを装着している人の検査はできない可能性があります。

かつては静止画だけでしたが今は動きを見ることもできるようになっています。

心臓核医学検査

心臓核医学検査という検査はどんな検査なのでしょう。心臓核医学検査には「心プール検査」と「心筋シンチ検査」というのがあります。心臓のポンプのはたらきを見るのには「心プール検査」が用いられ、心筋の中の血管の流れを調べるには心筋シンチ検査が行われます。。

この検査は放射性物資を使います。放射性同位元素の薬剤を注射してシンチカメラで心臓の撮影を行います。投与するアイソトープの量は2〜3ccと本当にわずかで半減も早く尿からも排泄されやすいものですので、核医学というとなんとなく怖い感じがしますが恐れる必要もなく安全な検査です。血管造影の検査に時々ある造影剤のアレルギー副作用はほとんどないので安心して受けられます。

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査いう検査はどんな検査なのでしょう。手足の動脈からカテーテルと呼ばれている細い管を心臓の血管まで送ります。そしてカテーテルの先端から「造影剤」を注入します。造影剤が注入されたらX線で撮影します。さらに動きを撮影します。これにより狭くなっている血管や左心室のはたらきが低下していないかを確認したり、右心カテーテル検査の場合は右心房右心室の圧や肺動脈のことも調べることができます。

検査前は水分摂取しないなどの制約がありますが、ほとんど痛みもなく、検査後安静にした後は水分もとることができます。2,3日の入院が必要な場合もありますから、患者さんの状態や病院によって変わることもあると覚えておきましょう。

心筋生検

心筋生検という検査を行うこともあります。心筋生検は体の内部の組織を採取するための特別なカテーテルを左心室または右心室に挿入します。そして病気を思われる組織の筋肉をつまみ、採取するのです。これは病理検査され、心筋の病気の診断に役立ちます。

他にも生化学検査として、血液検査、尿検査も行う場合があります。

高血圧が原因による心疾患など他の原因との区別が重要なポイントとなります。

治療や予防は?

ではこの「肥大型心筋症」、どのような治療をするのでしょうか。

薬物治療

肥大型心筋症に対する治療は、薬の服用があります。β遮断薬を投与して、活発化した交感神経にはたらきを抑え、過剰になっている心収縮性を抑える治療を行います。

そして心不全が悪化しないように動悸や頻脈を抑えます。またカルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)の服用もあります。カルシウム拮抗薬は血管を広げて血圧を下げてくれます。

心房細動への治療

心房細動は肥大型心筋症において高い頻度で見られる持続性の不整脈です。心房細動により心拍出量が減少してしまい心不全の症状の悪化が見られます。脈が大変早くなる頻拍性心房細動という症例になると心臓のポンプ機能が低下するので脳への血液が減り、めまいや失神を起こす危険もあります。ここでもβ遮断薬、カルシウム拮抗剤、不整脈薬などを使います。

薬物での治療が芳しくない場合はカテーテルアブレーションという治療もあります。

心不全への治療

心不全では血管拡張薬(ACE阻害剤)、アルドステロン拮抗薬、利尿剤などを投薬します。また場合によってはβ遮断薬を投与することもあります。

閉塞性肥大性心筋症での心不全には「左室内圧較差」への治療が必要になります。

これは閉塞部より心尖側の左室内圧が上昇し、大動脈側の左室圧、大動脈圧の低下が起こることで圧較差というものが生じます。この左室内圧較差によって動いた時に生じる呼吸困難、胸の痛みだけでなく失神を起こしたり、心不全や突然死までに至ってしまうこともあります。これも症状や状況にあった薬物が選択され治療することとなります。

薬の効果が芳しくない時は心臓ペースメーカを植え込むこと治療をすることもあります。

薬以外の治療

薬物療法以外の治療法もあります。薬物の治療成績が芳しくなかった時や突然死のリスクが高いと診断された場合はICDという植え込み型除細動器を使用することもあります。とはいえ、肥大型心筋症ではまだ突然死の予防効果があるかどうか十分には解明されてはいません。

その他に筋切除術といって肥厚した心筋を切除する手術を行って心臓からの血流改善を行うことがあります。

また左室流出路狭窄において、症状が著しい時は心筋の一部を限定的に破壊してしまう心筋の焼灼術「アルコールアブレーション」という処置を行うこともあります。

注意点や予防

突然死の予防が大変重要となっています。肥大型心筋症は若い人の突然死の原因となっています。

特に失神したことがあったり、家族や親戚など血縁のある関係者に突然死の方がいる場合は運動については特に慎重になる必要があります。

運動や競技などは禁止しなくてはなりません。また心臓の機能の低下が見られる時は塩分の摂取制限が必要になります。

レクリエーション程度のボーリングやビリヤードのような軽い運動はできる場合もあるようなので、よく医師と相談することが必要です。また症状によっては安定していればハイキングやゴルフなどが許可されることもあります。

飲酒は病状が悪化するので、やめておきましょう。

また若い女性の場合の妊娠出産はほとんどの場合安全にできるので、こちらもしっかり医師と相談することが大切です。

肥大型心筋症で特に閉塞性の肥大型心筋症の方は感染性心内膜炎にかかるリスクがあるため、注意をする必要があります。

心臓の調子が悪いと思ったら

家族、親戚など血縁のある方に、突然死をした方がいる、または肥大型心筋症と診断された方がいる場合は念のために、専門医の診断を受ける方が安心ですね。

また普段からどうも動悸が頻繁に起こる、胸が痛いなどの症状があるときも、放っておかず病院に行って相談をしてみましょう。

なんとなくこの程度なら大丈夫、とか行くのが怖い、などと考えてしまいがちですが、絶えず動いてくれている心臓のためにも勇気を出してチェックすることが必要なのではないでしょうか。特に日頃からあまり健康診断に行く機会のない主婦の方などは特に積極的に健康診断を受け、病院で受診するようにすると良いですね。

また学校や職場の健康診断の結果で、専門医に行くように言われた場合もすぐに相談に向かうようにしたいものです。

家族の誰かが診断を受けた場合は、家族性の可能性もあるのでみんなで医療機関に相談し診断を受けるのも大切ですね。

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まとめ

家族

肥大型心筋症は国の難病に指定されている病気です。もしもこの病気と診断された場合は、専門の病院にかかるようにしましょう。疑問点がある場合は「難病情報センター」というサイトもありますのでそこを読んでさらに調べたり、医師に直接相談したり患者さんの会などを探してみるのもいいですね。同じ病気の人と励ましあうのも一つの治療と言えるのではないでしょうか。

突然死などと聞くと怖くなりますが、日々医療は進歩しています。心配しすぎるのもストレスになってしまうのでお医者さんの言うことをよく守り治療に専念しつつ、日常の生活が送れる方は十分気をつけて生活していくのが大切です。家族同士、自分を責めず気遣い合いながら過ごしていけるようにしたいですね。

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