仮性球麻痺ってなに?症状や原因、治療方法、リハビリ方法を知ろう!

仮性球麻痺という病気をご存じでしょうか?

例えば、舌が痩せてきたり、麻痺を起こしたりすることで、むせたり、発話や食事が難しくなる、などの症状が現れる病気です。

この仮性球麻痺は、脳の病気や、有名なホーキング博士も侵されているALSという病気が原因で引き起こされると言われています。

そこでここでは、仮性球麻痺の原因や症状、治療法などを紹介していきます。

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◆仮性球麻痺とは?

麻痺

まず、球麻痺とは、延髄部分が原因のまひ症状の一種です。

脳の下には、延髄と呼ばれる部分があり、生命維持に必要な神経が集まっています。その形を外側から見ると、ボールのように球形をしています。その中の運動神経をつかさどる部分に障害があると、舌やくちびる、のどの部分の神経や筋肉が麻痺して発音が正しくできなくなったり、そしゃくしたり飲み込んだりすることが難しくなったりします。これが、「球麻痺」です。

それに対して、「仮性球麻痺」は、一見すると球麻痺のように見えるけれども、「仮性(見せかけ)」ですよ、ということです。

人間が運動する場合、脳から運動の指示が出されます。その指示の通り道に皮質核路と言われるものがあり、この通り道は、首から上を意識して動かす場合に関係しています。

この経路は左右にありますが、そのどちらにも障害が現れると、仮性球麻痺の症状が現れます。別名、偽性球麻痺とも呼ばれています。

○球麻痺との違いは?

球麻痺の場合、声帯の筋肉が麻痺してしまうため、しわがれた声になってしまったり、口がきちんと閉じないために鼻声になったりします。

それに対して、仮性球麻痺の場合には、実際には延髄が麻痺しているわけではないのですが、延髄から脳への伝達経路のどこかに障害が生じているため、声帯は動くものの、母音がわかりづらい話し方になります。

また、球麻痺は筋肉のぴくつきがありますが、仮性球麻痺の場合には、それがない、という特徴があります。

○仮性球麻痺の原因は?

仮性球麻痺の原因として、脳血管障害の一種である「多発性ラクナ梗塞」や「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」、「多発性硬化症」などがあると言われています。

多発性ラクナ梗塞

ラクナ梗塞とは、細い血管(動脈)が詰まってしまうことで起こる小さな脳梗塞のことです。

この場合、他の種類の脳梗塞と違って、大きな発作として現れることはなく、初めは自覚症状がない状態から、手足の麻痺やしびれなどがだんだん進行していきます。

これは、小さな脳梗塞が脳のいろいろなところに発生していくためです。

これを、「多発性ラクナ梗塞」といい、脳の左右にラクナ梗塞ができることで、仮性球麻痺の症状が現れます。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)

全身の筋肉がやせ衰えていく進行性の病気で、現在、日本には約8,300人前後の患者さんがいると考えられています。運動をつかさどる神経のニューロンを変化させてしまうため、仮性球麻痺の症状が現れていきます。

それは、脳から運動の指示が伝わらなくなってしまうからです。ALSについては、ALSの初期症状とは?痛みやしびれが現れたら要注意!を参考にしてください。

多発性硬化症

脳の神経ニューロンには、情報を伝達するための軸索という部位があり、この部分は、髄鞘というカバーのようなもので覆われています。

多発性硬化症は、この髄鞘が一時的に問題を起こすことで生じます。

再発しては症状がおさまる、といったことを繰り返すのが、この病気の特徴です。

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◆仮性球麻痺の主な症状

飲み込む

それでは、仮性球麻痺になると、具体的にはどのような症状が現れるのでしょうか?

詳しく紹介していきたいと思います。

○構音障害

構音障害は、仮性球麻痺の症状として、その程度は異なるものの一番多く見られるものとされています。

構音障害とは、言葉をしゃべるために必要な唇や舌、声帯などが麻痺したりすることで、声の出し方や発音が上手にできなくなる状態のことを言うとされています。

コミュニケーションが取りにくくなるため、人との関わりを持つことが嫌になる人もあるようです。

○嚥下障害

嚥下障害とは、液体などを飲み込むことが難しくなるという症状です。

人間が液体を飲み込む場合、自分の意志で脳から喉の神経に、飲み込んで下さいという指示を出します。

ところが、仮性球麻痺になると、神経の通り道に問題が生じているため、この指示が伝達されにくくなってしまいます。固形物の場合には、喉の筋肉が反射で飲み込もうとするのですが、液体の場合には、飲み込みにくくなってしまうのです。

例えば、唾液を飲み込むのが難しくなって、口の中に唾が溜まったり、むせたり、よだれが出たりします。

○下顎反射亢進

そもそも反射とは、感覚が刺激を受けると、脳の判断を介さずに一定の反応を示すことをいいます。よく知られているのは、ゴム製の槌などで膝の皿の下を叩くと、とっさにピンと膝が伸びる検査でしょう。

反射の検査を行うことで、神経の通り道のどこに異常があるのか、分かることがあります。

患者の口を軽く開け、唇の下の下あごを軽くハンマーで叩くと、通常は開いたままですが、異常があると、ほっぺたの筋肉が縮んで、口が閉じるという反応がみられます。

これが下顎反射亢進です。

○錐体路徴候

錐体路とは、脳が運動の指示を出す通り道の一種で、延髄にある錐体を通るため、錐体路と言われます。

ここに障害があると、錐体路障害と言われ、何らかの症状が現れます。その症状のことを、錐体路徴候と言います。

仮性球麻痺は、この部分に障害が出ることがあるため、症状として現れる場合があります。例えば、足が棒のように突っ張って歩きにくくなったり、筋肉が痩せて、力が入りにくくなったりします。

○原始反射

原始反射とは、元々お母さんのお腹の中で、赤ちゃんが生き、成長するために必要な反射のことです。おなかに宿ってから5~6ヶ月経つと発達しはじめ、通常は、脳の発達に合わせて生後2~4ヶ月でなくなります。

仮性球麻痺の場合には、脳の病気のため、原始反射が再び現れることがあります。例えば、手のひらにものが触れると握ってしまうなどの反射です。

○強迫笑い

強迫笑いとは、ささいな精神の興奮や、深呼吸によって引き起こされるようで、次の項目で述べる「強迫泣き」とともに生じる場合が多いようです。

例えば、ちょっとした感情の高まりや、心中の不安を調節できず、普通なら抑えることができるレベルのおかしさや楽しさが、つい大笑いとなって自分で止められなくなる、などの状態になります。

○強迫泣き

強迫笑いとともに生じる場合の多いのが、強迫泣きです。仮性球麻痺の半数近くに起こると言われているのが、この強迫泣き、強迫笑いの症状です。

こちらは、ちょっとした感情の高まりや、悲しみなどの調節ができず、涙を流し、声を上げて大泣きしてしまい、自分では止められなくなる、などの状態になります。

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◆仮性球麻痺の治療法

リハビリ

ここまでは、仮性球麻痺の原因や、その症状などについて見てきました。では、実際に仮性球麻痺になったら、どのように治療すればよいのでしょうか?

ここからは、仮性球麻痺の治療法について紹介していきたいと思います。

○リハビリ

食事で食べ物を飲み込めないと、そのまま食べ物を誤嚥してしまうため、主に、食べ物を飲み込むリハビリを行います。

リハビリには間接訓練と直接訓練の2種類があり、入院した次の日から、さっそく訓練が始まります。間接訓練とは、食べ物を使わずにトレーニングする方法で、口や舌を動かしたり、ごっくんとのみこむ練習をしたりします。

この方法は、危険性は少ないのですが、食べ物を使わない分、効果は少ないようです。一方、直接訓練とは食べ物を使って行うトレーニング方法で、危険性はありますが、効果も高いと言われています。

1ヵ月以上リハビリを行っても、どうしても食べられないという人は、「胃ろう」といって、おなかに穴を開けて、チューブを胃に通し直接栄養を送り込む方法が摂られます。

その間、口から食べるトレーニングをして食べられるようになれば、胃ろうを閉じるという方法もあります。退院時に胃ろうだった人も、トレーニングを続ければ、口から食べられるようになると言われています。

リハビリには、誤嚥しにくいゼリーのようなものが用いられます。

○原因となっている病気への対処

仮性球麻痺とは、症状の総称であるため、リハビリを行いつつも、症状の原因となっている病気の治療が重要になってきます。

例えば、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、脳炎、梅毒などの脳に関する病気で、神経ニューロンが障害を起こして球麻痺の症状を起こしていることが多いため、その原因を取り除くことが重要です。

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◆まとめ

食事・笑顔

いかがでしたか?

仮性球麻痺という言葉を、初めて聞いたという人もいたかもしれませんが、ここまで見てきたとおり、仮性球麻痺は、様々な病気から引き起こされる症状の総称であり、特に、多発性ラクナ梗塞などがその原因として挙げられます。

日本人にとって、脳梗塞は見過ごせない病気であり、特に、この多発性ラクナ梗塞という脳梗塞は日本人に多いタイプの脳梗塞なのです。

その脳梗塞によって引き起こされるのが仮性球麻痺なのですから、高齢化の進んでいる日本社会においては、いつ自分がこのようになるかもしれない、という可能性を考えておかねばならないと言ってもいいでしょう。

その中でも、嚥下障害という症状は、誤嚥性肺炎が引き起こされかねないため、肺炎を重ねて発症し、死亡してしまう例も少なくありません。

心当たりの症状がある人は、近くの神経内科を受診するとよいでしょう。また、できるだけ食べ物に気をつけて予防に心がけ、血液中のコレステロール値をコントロールして、さらさらな血液を維持するようにしましょう。

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