心臓が痛い原因は?病気の可能性やストレスとの関係について

心臓は生命活動に関わる臓器なので、これに痛みがあると多くの人は不安を抱えてしまうと思います。心臓の痛みは、心臓の異常を知らせるサインであることはもちろん、心臓以外の病気によっても起こることがあるため、正しい知識を得て対応できるようにしておきたいものです。

また、心臓の病気の予防のためには日々の生活習慣の改善が大切です。今日からできる心臓の病気予防対策についても合わせてまとめました。

危険な心臓の病気の場合の症状や痛み方についても紹介していますので是非参考にしてみてください。もしかしたら病気の可能性のあるという場合はしっかり検査を受けて早期発見をし、専門医による治療を受けるようにしましょう。

心臓の仕組み

心臓

心臓は筋肉で出来た器官で、規則正しい収縮によって血液の循環を行っています。心臓の筋肉は不随筋と言って、自分の意志では動かす事の出来ない筋肉です。一日に十万回もの拡張・収縮を繰り返して体中に血液を送っており、心臓の機能が止まることは生命の維持に大きく関わります。

なぜこの心臓の筋肉は疲れて動かなくなってしまわないかというと、心臓の筋肉は意思で動かせる骨格筋の約20倍の血液が流れているため骨格筋のように疲れるということはありません。

静脈に乗って体から帰って来た血液は、まず右心房に流れ込みます。右心房、右心室を通った血液は肺へ送られ、肺で酸素を取り込んで左心室に入り、左心房から全身に送られます。そのため、左心房の収縮力はかなり強いものになっています。

その心臓に栄養を供給している血管が冠動脈です。冠動脈は心臓につながるおおきな血管から左右に枝分かれし、心臓をくるむように走っています。

また、心臓の筋肉は骨格筋のように筋肉痛になるということはありません。このメカニズムについてはまだ詳しく解明されていないのですが、恐らく骨格筋のように激しい伸び縮みなどの運動をしないからだと言われています。さらに、子供も5歳時までは筋肉痛が起こらないと言います。この二つの事柄が関連しているかは謎ですが、まだまだ人体に隠された秘密というのは多いようです。

心臓の痛みと病気について

心電図

アメリカの調査で、「心臓が痛いと言って病院に来た人の内、心臓病だった人は2割だった」といった結果があります。心臓が痛いように感じていても、実際には心臓の病気でないことが多いのです。

特に、ここが痛いとはっきり分かっている場合、心臓の病気ではないことが多いと言われています。目安としては「痛い所を指で押せるかどうか」「冷や汗があるかどうか」の二点があり、指をさせなくて冷や汗が出る場合が心臓の重篤な病気の可能性が高い状態と考えられます。

つまり、心臓が痛いと感じた際は心臓病でない可能性が高いということですね。心臓の痛みと言っても心臓には痛覚が通っていません。その為、正しくは心臓付近が痛む。ということになるでしょう。なので心臓が実際に原因になって病気を引き起こしているのではなく、その近くの臓器や筋肉や血管に異常が起こり痛みを発生させている可能性が高いでしょう。

心臓付近には多くの臓器があります。その臓器や器官が炎症を起こすなどして痛みを発生させている可能性を見ていきましょう。

心臓の痛みを引き起こす病気

木のハート

心臓の痛みは、心臓に原因があるものと他の原因があるものがあります。具体的に心臓付近に痛みを発生させる症状のある病気を紹介していきます。

これらの症状が危惧される場合は、落ち着いて循環器科や皮膚科や消化器科や呼吸器科などの専門病院に診察を受けに行きましょう。

心臓神経症

こころの病気の一つであり、胸痛、動悸、息切れ、呼吸困難やめまいなど心臓病の代表的な症状を示すにも関わらず、心臓に異常がない場合を指しています。

左胸の狭い範囲に痛みを感じた場合に疑われ、ちくちくとした痛みと表現されることが多いようです。また、手で圧迫することで痛みが強くなる傾向があります。運動などで痛みが強くなることはなく、安静にしている時に症状が現れます。自律神経の乱れが大きな原因になっているので睡眠などによってしっかり自律神経を整えることが重要です。

心の病気であるため心療内科などの範囲になりますが、他の心臓の病気では無いことを十分に確認する必要があるといえるでしょう。

心臓神経症の詳しい記述については心臓神経症の症状をチェック!原因や検査方法、治療方法を知ろう!本当に痛いわけじゃない?を御覧ください。

狭心症

血管が部分的に細くなり、一時的に心臓の筋肉に血流や酸素が供給されなくなり痛みが起こる病気です。血管が狭くなる理由は糖尿病や脂質異常症、動脈硬化、高血圧などで、発作的に胸の痛みや圧迫感を感じ、胸の痛みと共に胃が痛む心窩部痛という症状が特徴です。狭心症発作は数十秒〜数分間で、肩や左腕、歯まで痛みが広がることがあり、これも狭心症かどうかを判断する目安となります。

狭心症はやがて心筋梗塞につながる可能性が高いため、緊急の治療が必要です。

狭心症は、その発作の起こり方や原因によって以下のように分類されています。

発作の起こるタイミングによる分類

  • 労作性狭心症…階段を上がったり、歩行した時に痛みがあるものを指します。
  • 安静狭心症(冠攣縮性狭心症)…就寝中や明け方に発作が起こるものです。多くの場合冠動脈が一時的な痙攣を起こすために生じる症状です。
  • 異形狭心症…同じような時間帯に発作が起こる症状です。

規則性や発症部分による分類

  • 安定型狭心症…発作の起きる状況、強さなどがある程度規則性に従っており、いつも一定の範囲内で収まるものを指します。
  • 不安定型狭心症…発作が頻繁になり、動いた時だけでなく安静にしていても起こり始めるという症状で、心筋梗塞の前触れと言われています。発作を繰り返すうち、大きな発作がないまま心筋梗塞ができて心筋が壊死してしまうこともあり非常に重い状態になっています。
  • 微小血管狭心症(微細血管狭心症)…通常の狭心症は心臓に続く大きな冠動脈という血管に異常が起きて発病しますがこれは小さい血管に異常が生じて発病します。冠動脈は3mm程度ですがこの微小血管は0.3mmという非常に細い血管で痙攣が起きることで発症します。2010年に新しく確認された病気です。女性に発症の可能性が高い病気で女性ホルモンのエストロゲンの減少が発症と大きく関わっています。

血管が狭まっているということは、血管内部にプラークと呼ばれるコレステロールの塊があることを意味しています。不安定型狭心症の場合、このプラークが崩れやすくなっている場合が多く、血栓ができやすかったり、血管の痙攣が起こりやすいなど、特に注意が必要な病状といえます。

心筋症に関する詳しい記述は狭心症の症状をチェック!種類や原因、治療方法を紹介!を御覧ください。

急性心筋梗塞

心臓に栄養を送る冠動脈が突然詰まってしまう病気です。3人に2人は狭心症などの前兆がありますが、逆を言えば3人に1人は全く前兆なく心筋梗塞を起こすということになります。

狭心症の場合と同様に、胸の痛みと同時に胃が痛む心窩部痛の症状が出ます。突然激しい痛みを感じ、それが15分以上続く場合には心筋梗塞の可能性があるといえるでしょう。心筋梗塞と同様に、血管を広げる薬や治療が行われます。

血管が詰まっているので、時間が経つに連れて心筋が壊死します。すぐに救急車を呼んで下さい。今までに経験したことのないような痛みが心臓に起こるので、立っていられなくなり意識を失う場合もあります。そのまま搬送が遅れ死に至るケースもあるので、このような痛みを感じた際は急いで助けを呼ぶようにしましょう。

また自覚症状が乏しい無痛性心筋梗塞という心筋梗塞もあるので特に糖尿病患者の方は注意が必要です。

急性心筋炎

心筋炎は、かぜなどのウイルスが心筋に感染して発症するものです。風邪に似たような症状から始まり、何日かたって胸の痛みや不整脈が現れた際に急性心筋炎が疑われます。重症化すると横になるのが苦しいような心不全や血圧低下などのショック症状を起こすことがあります。

死亡に至るような重い症状になる場合はまれですが、心筋梗塞とやや区別がしづらい場合があることもあり適切な診断が不可欠です。

急性心筋炎に関する詳しい記述は心筋炎とは?原因や症状、治療方法を詳しく知ろう!を御覧ください。

急性心膜炎

心臓をつつむ心膜に炎症が起こる病気です。ウイルスの感染や、結核、肺がんなどを原因とする場合もあります。

発熱と心臓発作に似た胸の痛みが症状です。心臓発作に似たと言われても分かりづらいですが、左肩や左腕にまで広がるような痛みがあり、せきをしたり飲み込む動作で痛みが悪化するようなものを指しています。

炎症を抑えながら原因となる病気の治療を行います。また、心タンポナーデという心膜の間に液が溜まっている状態が起こって心臓が圧迫されている場合は、この液を排出する治療が行われます。

解離性大動脈瘤

まずは大動脈解離について説明します。大動脈は内膜と中膜と外膜の3つの膜によって覆われており十分な強度で心臓の血液の圧に適応しています。しかし、動脈硬化や高血圧などの原因でこの内の内膜に傷が出来て破れることで中膜の中にまで血液が溜まり大動脈が破れてしまうことを大動脈剥離と言います。

上記の原因の他にも先天的な病気、アラジール症候群やマルファン症候群などの病気の関係で大動脈が弱いなどのことも関係する場合もあります。

解離性大動脈瘤はその一歩手前の状態で中膜の中に流れた血液が、別の血流を生みその部分で血管が膨れ上がってしまった状態を解離性大動脈瘤と言います。

症状は胸や背中に突然何かが突き刺さるような痛みに襲われ症状が進行していくと痛みが胸から腹、腰から足へと広がっていきます。いきなりの激痛に意識を失ってしまったり、立てなくなる人も少なくありません。

さらに進行すると腎不全や下肢虚血症状や脳虚血症状や腸管虚血症状を併発し、意識喪失、神経麻痺、腹痛、下血などの症状も引き起こります。裂け目が広がり全身への血流不足が起こると虚血壊死によって臓器が壊死し死に至る可能性もあります。

急いで救急車を呼びましょう。足にまで痛みが出ている場合は緊急手術の必要性もあります。

帯状疱疹

皮膚病の一つで、水疱瘡を起こす帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。水疱瘡のウイルスは体の神経節に隠れていますが、普段の健康な状態であれば悪さをすることはありません。ただ、潜伏期間が非常に長く、免疫力が低下した隙に復活します。

自律神経失調症によって免疫力が低下し引き起こされる場合もあります。

免疫力は心因性の原因のストレスや怪我、病気や投薬、高齢化など様々な要因で低下し、それによってウイルスが活動し皮膚に疱疹を発生させます。

帯状疱疹は強い痛みが特徴で、体の左右どちらかに発生します。針で刺されたようなぴりぴりとした痛みが特徴的です。

帯状疱疹のウイルスは、水疱瘡になったことのある人であれば持っているもので、発症の可能性があるものです。一度帯状疱疹にかかった事のある人の場合やその症状が悪化してしまった場合は神経痛に痛みが変わり、皮膚になんの炎症などの症状が無いにも関わらず痛みが発生していると言う状態が発生することもあります。また発症は閉経後の女性に引き起こされるケースも多くあります。

帯状疱疹の可能性がある場合は、内科を受診するといいでしょう。もし掛かり付けの病院が無いようでしたら皮膚科や麻酔科でも大丈夫です。

帯状疱疹については、帯状疱疹はうつるの?治療するには薬が効果的?を参考にしてください。

肺炎

肺には痛みを感じる神経がありません。しかし、肺をつつんでいる胸膜には知覚神経があるため、ここで炎症が起こると鋭い痛みを感じます。

咳や痰などの症状がある場合や、背中まで痛みが広がっている場合にはこの病気の可能性が考えられます。また高熱や倦怠感や脈が早くなる感じなど、心臓にも症状が現れるので心臓の病気と感じる場合もあります。

風邪や気管支炎などの症状と似ている部分があります。しかし、風邪なら2〜3日で治りますが肺炎や気管支炎は自然治癒出来るものではありますが、時間がかかります。しかも重篤な合併症を引き起こす可能性がありますので4日以上このような症状が続くようでしたら、無理をせず病院での診察をした方がいいでしょう。

肺炎については、肺炎はうつるのか?種類によって変わる原因と予防方法を読んでおきましょう。

逆流性食道炎

意外な所で、食道の痛みを心臓の痛みと感じてしまうというものがこの病気による痛みです。逆流性食道炎は胃から胃酸が逆流する病気ですが、胃酸が通る時に食道が強く収縮し、つかまれるような痛みを感じます。心筋梗塞の痛みに似ていると言われており、こちらであれば治療法も確立されています。

この病気は下部食道括約筋という胃と食道のつなぎ目の筋肉の機能が低下することでこの病気を引き起こします。その為、昔は老化に伴う症状で高齢者に多いと言われてきましたが、最近では若い世代にも多く見られるようになりました。

その原因としては、食生活の欧米化で脂肪分の多い食事などが増えたことや便秘による原因などが挙げられます。この便秘も食生活の変化により多く見られるようになったので、不規則な食事や偏った食事を行っている人は注意が必要でしょう。

肋間神経痛

あばらとあばらの間にある神経が圧迫されて痛みを感じるものです。肋間神経痛は左右どちらにも起こる可能性があります。

左に起こった時には特に心臓の病気ではないかと感じてしまうかもしれませんが、痛みの種類は全く異なり、肩甲骨の内側や背なかまでの広い範囲に、瞬間的な痛みが走るようなものが肋間神経痛の特徴です。薬や注射で治療が可能です。

肋間神経痛については、肋間神経痛はストレスが原因なの?治療方法は?を参考にしてください。

心臓の痛みが出る原因

ストレス

ストレスにより自律神経が乱れ交感神経系が活発に動くようになると、血圧や血糖値が上がり、心拍数が増えることで心臓に負担がかかります。この状態が長く続くことで狭心症、心不全、心筋梗塞の原因となる場合があります。

また、心臓が痛いという不安感から、心臓神経症が起こることがあります。どのような病気でも共通して言われることですが、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。

また、無理な労働や睡眠不足により疲労が蓄積され、脳や心臓へ大きな負担を掛けることがあります。

また、血圧が高い、動脈硬化などの持病があると狭心症や血栓による心筋梗塞が起こりやすくなります。近年の肉類中心の食事は脂肪分の摂取し過ぎにつながり、これらの病気につながるため注意しましょう。特に食事による予防や対処法が有効なため以下のような食材がおすすめです。

魚を積極的に摂取する(n-3系脂肪酸)

急性心筋梗塞を起こす人が非常に少ないイヌイットの食生活を調べた所、魚やアザラシを多く食べていたという研究結果があり、魚類に含まれるDHAやEPAが心筋梗塞の予防に効果的であることが明らかになっています。

アジ、サバ、サンマなど青魚に多く含まれる栄養素ですが、どうしても青魚が食べられない場合はまぐろや鮭にも含まれているのでそちらで摂取しましょう。

カルシウム

骨の成分であるカルシウムは、実は心臓の筋肉を動かすためにも使われています。心臓は優先的にカルシウムを使おうとするため、摂取量が足りていないと骨からカルシウムを奪って使ってしまいます。

これによって血中のカルシウム濃度が崩れ、血栓が出来やすい体質になってしまうのです。

カリウム

カリウムは、心臓の筋肉を動かす信号を生み出す栄養素です。カリウムはナトリウムと組んで働いていますが、食事でナトリウムを採りすぎるとカリウムが足りなくなり、信号の生成に乱れが生じます。腎臓機能に障害がある方の場合採り過ぎは良くありませんが、そうでなければ積極的に採りたい栄養素といえます。

カリウムを多く含む食材として有名なのはバナナやトマトで、その他にもさつまいもやほうれん草、パセリ、アボガド、ナッツなどに含まれています。

食物繊維

食物繊維は血圧の低下に効果があり、食事で十分に採ることによって冠動脈の病気を予防することができます。

和食は基本的に食物繊維の多く含まれるメニューが多いのでおすすめです。また、食物繊維は野菜やまめ、海藻、しいたけ、切り干し大根などに含まれているので、普段の食事から気をつけておくと良いでしょう。

まとめ

心臓の痛みを感じると、もしかして命に関わる病気なのではと不安になってしまいますが、心臓の痛みの8割は別の病気を原因としています。さらに心臓が痛いと強く不安を感じてしまうと、心臓神経症を発症してしまうこともあります。

どんな病気であるとしても、できるだけ早く病院に行き治療を受けることで治る可能性が高くなります。また、心筋梗塞などの場合は、自分で車を運転して病院に行くのはお勧め出来ません。周りの方に状況を伝え、救急車を呼ぶようにして下さい。

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