心臓弁膜症の手術について!症状・原因・治療法を知ろう!

心臓弁膜症は心臓の中にある弁という部分に障害が起こり発症する病気です。皆さんもご存知の通り、心臓は生命活動を維持するのに重要な機能の1つです。弁の機能が低下することで、様々な症状を起こしますが、始めは自覚症状を感じない程度の場合がほとんどです。

しかし、治療をせずに放っておくと心臓に負担がかかり、心臓全体の疾患に進行しやすい病気です。ここでは、心臓の仕組みや心臓弁膜症の症状、原因、治療方法などについて詳しくご紹介します。

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心臓弁膜症について

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ここでは、心臓弁膜症の概要や心臓のしくみついてご紹介します。

心臓弁膜症とは?

心臓弁膜症とは、血液の逆流を防ぐ役割をもつ「弁」という機能に障害が発生し、本来の役割を果たせなくなった状態のことです。この症状の中でも2つのタイプがあります。弁が固くなり開き具合が悪く狭まることで、血液が上手く流れない「狭窄」タイプと弁の閉じ具合が悪くなることで血液が逆流する「閉鎖不全」タイプです。両方とも同時に発症する場合もあります。

心臓弁膜症を治療せずに放っておくと、病気が進行し心臓を動かしている筋肉に負担をかけ始め、心臓全体の病気になる可能性があります。心臓全体の病気になってしまった場合、手術で弁を取り替えてもその他の心臓の働きを改善することは出来ません。

弁の機能が低下した場合、自然治癒は難しいので、病院で治療が必要になります。心臓全体の問題になるのを防ぐ為にも、早期発見、早期治療することがとても重要になります。

心臓の仕組み

心臓弁膜症の病気を理解するには、心臓の働きを知る必要があります。心臓は、体のすみずみまで血液とともに栄養素や酸素を送る、ポンプのような働きをしてます。体のすみずみまで、血液を送り届けた後は、心臓の右心房から右心室、肺動脈を通って肺に送られます。

肺から新しい酸素を供給された後に、肺に流れた血液は、心臓の左心房から左心室をとおり、大動脈を通って体のすみずみに血液を届けるという一連の流れで、血液が体の中を循環しています。この一連の働きは、1日におよそ10万回も行われていると言われています。

心臓には右心房、右心室、左心室、左心房と呼ばれる4つの部屋があります。この4つの部屋を血液が通る時、血液が逆流をおこさないように、弁と呼ばれる蓋のような機能が各部屋に備わっています。弁は部屋ごとに別名を持ち、下記のように呼ばれています。

  • 右心房と右心室の間の弁:三尖弁
  • 右心室と肺動脈の間の弁:肺動脈弁
  • 左心房と左心室の間の弁:僧帽弁
  • 左心室と大動脈の間の弁:大動脈弁

また、心臓弁膜症が発症する弁の場所によって、病名も異なり、大動脈弁狭窄症、僧帽弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症等などと呼ばれています。

弁の障害が起こる場所は、「大動脈弁」と「僧帽弁」に起こりやすいと言われており、この2つの部分に発症した場合は、主に手術をする必要があります。

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心臓弁膜症の症状とは?

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心臓弁膜症が起こると、心不全や不整脈、血栓塞栓症などの様々な症状が現れます。しかし、軽症であれば自覚症状がないことが多く、 症状はゆるやかな状態で進行していくので、体が慣れてしまい、異変に気づかない方もいます。ここでは、心臓弁膜症の症状についてご紹介します。

心不全

心不全とは、心臓の働きが弱まり、体のすみずみまでキレイな血液を送れなくなることです。これにより下記のような様々な症状が起きます。

■尿量が減り、体重が増加する

腎臓で尿が作られにくくなり、トイレに行く回数が減ります。水分を多く取っているにも関わらず、水分が尿として排出されにくくなる為、排出されない水が体の中にたまり始めます。このように、体の中に水がたまり始め、体重の増加が見られるようになります。

■むくみ

血液のめぐりが悪くなると、体のあちらこちらに水がたまりやすくなり、むくみが生じます。特に足や手、顔などの部分に現れます。

■息切れ・咳・痰・呼吸困難

肺の中に水分がたまり始めると、酸素の取替えが上手くできなくなり、息苦しさを感じ始めます。また、呼吸がしずらくなると咳やピンク色の泡状の痰が出始めます。症状がひどくなると、座っていないと息がしずらい状態が続き、呼吸困難に陥る場合があります。

■消化器症状

血液がうまく循環されなくなると消化器官の粘膜にも、むくみを生じ始めます。その結果、消化器官に異常がおこり、食欲低下、吐き気、消化不良、体がだるい、肝臓のあたりが重いと感じます。

不整脈

不整脈とは、心拍数やリズムが一定でないことを言います。心拍数やリズム一定であったとしても、心電図上で異常が見られた場合も不整脈と診断されます。

異常な刺激により起こる「期外収縮」や心房が震えることにより起こる「心房細動」、心房に負担がかかることで起こる「心房粗動」といったタイプの不整脈を合併する可能性が高いです。

詳しくは、不整脈の原因とは?症状や治療方法も合わせて紹介!を参考にしてください!

血栓塞栓症

心臓弁膜症が起こると、血管内に血のかたまり(血栓)が出来始めます。この血栓が生じると血管が詰まり、血液の流れを妨げます。この血栓は脳や腹部腎臓、手足の血管にできやすいです。血管は血液の流れをコントロールしており、全身に張り巡らされています。中に血栓ができると、詰まると、下記のような症状が現れます。

  • 脳の場合:舌のもつれ、めまい、しびれ、脱力感、半身麻痺、視野の異常が起こります。
  • 腹部腎臓の場合:腹痛、腰痛が起こります。
  • 手足の場合:指先にしびれや痛みを感じたり、手足の冷えや色が青く変化します。
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心臓弁膜症の原因について

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ここでは、心臓弁膜症になる原因についてご紹介します。

リウマチ熱

A群連鎖球菌(れんさきゅうきん)(溶連菌(ようれんきん))などの菌に感染することで発症する病気です。

主な症状は、強い関節の炎症や39度以上の高熱です。患者さんの70%が強い関節痛を訴え、半数以上が心炎を起こします。心炎は初期の段階では症状が現れませんが、心臓の弁の機能が低下し始めると、徐々にむくみや頻脈、疲れや心不全などの症状が現れ始めます。適切な治療が行われないと、心臓弁膜症が後遺症として残ります。

リウマチ熱にかかる年齢は5歳~15歳に多いです。日本では、現在は抗生物質の普及によりリウマチ熱にかかることは、ほとんどなくなった為、リウマチ熱による心臓弁膜症は見られなくなりました。

しかし、発展途上国では今もなお発症し、恐ろしい病気の1つと考えられています。

動脈硬化

心臓弁膜症になる主な原因は動脈硬化だと言われています。動脈硬化とは、動脈の部分にコレステロールや中性脂肪などがこびりつき、血液の流れを妨げて詰まったり、血管が固くなる状態のことです。

動脈硬化を起こすと、血液の流れが悪くなり、酸素や栄養素が体全体に行き届きにくくなります。血管に負担がかかった状態が続くと、血管だけでなく、弁も硬くなり、もろくなります。

高齢化に伴い、動脈硬化の方が増えてきており、その結果、心臓弁膜症になる可能性も高くなってきています。動脈硬化は弁の障害だけでなく、日本人の死因の原因として多く挙げらている、心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳卒中、脳梗塞、脳出血など)を引き起こす可能性があります。動脈硬化を予防することは、心臓弁膜症だけでなく、その他の病気を引き起こさない重要な予防策になります。

心筋梗塞

心筋梗塞は、動脈硬化によって血管が詰まり血液が流れなくり、筋肉の一部が壊死する病気です。心筋梗塞の主な症状は、焼け付くような激しい胸の痛みや圧迫感です。痛みを感じる部分は、前胸部、胸骨下が多く、あごや左上腕、首、心窩部と胸の周り全体に感じます。

発症してから30分以内に血圧低下が見られ、冷や汗、顔面蒼白、吐き気、息苦しさを感じるようになります。また、これらの症状に伴い、不整脈が起きている場合は大変危険な状態です。心筋梗塞が原因となり、心臓に負担がかかることで、心臓弁膜症が残る場合があります。

詳しくは、心筋梗塞の前兆は?症状を知って適切な処置を!を読んでおきましょう。

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心臓弁膜症の治療方法

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ここでは、心臓弁膜症の治療方法についてご紹介します。

内科的治療方法

内科的治療方法では、弁を治すという根本治療ではなく、薬により症状を緩和させたり、進行を防ぐことを目的とした治療方法です。主な内容は、心臓の筋肉の収縮力を強化させる強心剤や血液の量を減らして心臓の負担を軽減する利尿剤、血管を拡張して血液の流れを穏やかにする血管拡張剤などを投与します。

これらの薬によって、心臓にかかる負担を軽減させます。根本治療でない為、定期的に検査を行い、薬の効果を確認しつつ、内科治療を続けるか、外科的治療が必要かを判断する必要があります。

心臓弁膜症に使用される主な薬は下記の通りです。

強心剤

心臓の収縮力を強化し、全身に血液が流れやすくします。

利尿剤

体の中にある余分な水分を尿として排出するように働きかけ、血液の量を減らすことで、心臓への負担を軽減します。
■血管拡張剤

血管を拡張することで、血液の流れをスムーズにし、心臓への負担を軽減します。

■抗不整脈剤

不整脈が起きている場合に用いられる薬で、脈を安定させ、不快な症状を緩和させます。

■抗血液凝固剤

血液を固まりにくくし、血栓が出来るのを防ぎ、血管内が詰まらないようにします。

■降圧剤

血管を広げるもしくは、血液量を減らすことで血圧を下げ、心臓にかかる負担を減らします。

外科的治療

外科的治療では、「弁形成術」と「弁置換術」という2つの手術方法があります。弁形成術は、弁が悪くなっている部分に補助的装置をつけて回復させる方法で、弁置換術とは弁を人工弁に取り替える手術内容です。どちらのタイプを選ぶかは、患者さんの弁の状態や発症した弁の場所による為、医師と相談の上で決定します。どちらの手術にせよ、根本的な治療が出来る為、弁機能が低下したことで起きた症状を改善することができます。

心臓の弁が悪くなった場合、基本的には進行状態はゆるやかに進みます。その為、日常生活に異常を感じない人も多いです。しかし、心臓の筋肉や周りの機能が弁の障害を補おうと過剰に働き出す為、負担がかかり、適切な治療を受けないと、心臓全体の病気へと発展する可能性があります。症状をあまり感じていない段階でも、手術はできるだけ早い方心臓の回復が早かったり、心臓全体への病気へと発展することを防ぐことが出来ます。

■弁形成術

人工弁輪と呼ばれる補助的装置を取り付ける手術を行います。患者さんの弁の一部やその周辺を補うことことで、弁の機能を回復させる手術方法です。弁置換術と比較すると、弁形成術の方が、手術後に感染症を引き起こしたり、血栓塞栓症になるリスクが少ないことや手術後の回復が早いことが利点として挙げられます。

一般的に、弁形成術を受けた後2ヶ月間は、抗血液凝固療法による薬の投与が必要になります。この手術は開心術と呼ばれる、胸部にメスを入れ、心臓を切り開いて行われる手術方法で行われます。手術中は、心臓を止めて、心臓と肺の機能を代行する人工装置を使います。近年では人工装置を用いて手術できることで、開心術は安全な手術方法の1つになってきました。

弁置換術

弁置換術は、機能しない弁を、人工の弁に取り替える手術方法です。人工弁のタイプは「生体弁」と「機械弁」と呼ばれる2つのタイプがあります。患者さんの症状や年齢、手術後の生活などに合わせて、適切な弁を選びます。この手術も、弁形成術と同様に、開心術と呼ばれる方法で行われます。

・生体弁の場合

素材は牛や豚などの生体組織で出来ており、弁のまわりに血栓ができにくいことが特徴です。耐久性は10年~20年ほど言われおり、手術後には、抗血液凝固剤療法を3ヶ月程度行う必要があります。年月とともに弁が劣化や損傷がみられる為、再手術を行う可能性が高いです。

将来、妊娠希望されている方、仕事やスポーツの為に抗血液凝固剤を長期に渡り服用が難しい方、消化器系潰瘍や肝機能障害、腎不全のある方、別の手術を予定している方は、特に生体弁のタイプがおススメだと言われています。

・機械弁の場合

素材は、チタンやパイロライトカーボンなどの金属で出来ており、弁の周りに血栓ができやすいことが特徴です。耐久性は20年~30年と半永久的で、劣化や損傷があまりみられないことから、再手術をする可能性は低くなります。

しかし、弁の周りに血栓が出来やすい為、抗血液凝固剤療法を生涯にわたり服用する必要があります。また、取り付けた後は弁が開け閉めするたびに音がします。

弁形成術と弁置換術のどちらの手術を行うか?

弁形成術と弁置換術のどちらの手術を行うかは、患者さんの状況や発症した弁の箇所によって異なります。ここでは、発症する弁の箇所によって、どのような手術方法を行う傾向が多いかご紹介します。

・僧帽弁の場合

僧帽弁で発症した場合は、形状や場所などの理由から、弁形成術で治したほうが良い場合が多いです。特に僧帽弁閉鎖不全症は、医師はまず始めに弁形成術を行うことが可能か確認する傾向にあります。弁形成術では完全に治せないと判断した場合には、弁置換術を行います。

・大動脈弁の場合

大動脈弁の構造上などの理由から、弁形成術を行うのは一般的に難しいと言われています。その為、弁置換術が行われることが多くあります。

・三尖弁や肺動脈弁の場合

三尖弁や肺動脈弁の多くは、弁形成術による治療が一般的だと言われています。

経カテーテル大動脈弁治療(TAVI)

経カテーテル大動脈弁治療とは、心臓弁膜症の新しい治療方法の1つで、症状の重い大動脈弁狭窄症に対して主に行われます。

この手術では、カテーテルと呼ばれる柔らかい管を利用して人工弁を設置します。手術中は、開胸する必要がなく、心臓や肺の人工装置を使うことがない為、手術で身体にかかる負担を軽減することができます。

一般的に、大動脈弁狭窄症は人工の弁に取り替える「弁置換術」を行いますが、患者さんの年齢やその他の病気をわずらっているなど患者さんの病状によっては、手術に耐えられないと判断される場合があります。

昔はこのように、手術ができないと判断された患者さんは、内科的治療以外に方法はありませんでした。しかし、現在この経カテーテル大動脈弁治療方法により、手術の負担を出来るだけ軽減させて、根本治療することが出来るようになりました。

カテーテルと呼ばれる管を挿入する方法は2通りあります。1つは、太ももの付け根辺りの血管から挿入する方法で「経大腿アプローチ」と呼ばれています。2つ目は肋骨の間に少しだけメスを入れ、心臓の先端から挿入する方法で「経心尖アプローチ」と呼ばれています。

アプローチの仕方は異なりますが、手術方法は同じです。小さくした生体弁をカテーテルに付け、太もももしくは心臓の先端の血管に挿入して、心臓の弁まで運びます。生体弁が弁の位置に届いたら、バルーンを膨らませて生体弁を元の大きさに戻します。生体弁をつけたあとは、カテーテルを取り除きます。

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まとめ

心臓弁膜症は、心臓の弁という部分が障害を起こす病気です。症状が現れ始めた際には、日常生活にあまり支障がないですが、弁の障害を補うように心臓の他の機能が過剰に働く為、心臓全体の疾患へと繋がりやすい病気です。

手術などで根本治療を行うことで、他への疾患を防ぐことが出来る為、医師と相談の上、手術の時期に関して早期に決めることが重要です。

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