人工透析の余命はどれくらい?他の治療法は?

「人工透析」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを思い描きますか?

「1週間に何度も治療を受けなきゃいけない><」とか、「あ〜あ、普通の暮らしはできないんだなあ・・・><」

多くのみなさんは、人工透析治療に対して、このようなネガティブな印象をお持ちなのではないでしょうか?

お医者さんから、「人工透析治療が必要です」と宣告されたあなたのために、これから人工透析と余命についてお話ししましょう。

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腎臓って何をしているの?

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人工透析のお話しする前に、まずは、人工透析治療の対象である腎臓について、お話ししましょう。なぜかというと、人工透析治療は、腎臓のお仕事を、腎臓の代わりに人工的にしているからです。

なんらかの原因によって、腎臓がお仕事できなくなってしまったので、代わりに治療装置くんに、腎臓のお仕事をしてもらっているんですね。

なので、人工透析を知るには、まず腎臓が、体内でどのような働きをしているのかを知っておく必要があります。

腎臓の働き

腎臓は、人体の中に二つあります。

腎臓の場所は、脊柱の両側(腰のあたり)の背中側に左右1つずつ位置しており、こぶしの大きさほどで120グラムぐらいの重さです。

心臓や胃、肝臓などは1つなのに、腎臓だけは2つあるんですね。それは、きっと腎臓が忙しすぎて、体内に2つないと、お仕事が終わらないからかもしれません^^

体内を循環している血液中に含まれる老廃物を濾過して、尿を生成して体外に排出するのが、腎臓の主な役割の一つです。

では、腎臓の働きをお話ししましょう。

  1. 排泄処理
  2. 恒常性の維持
  3. 内分泌(ホルモン産生)

排泄処理

腎臓には、心臓から送り出される血液の20%程度が送り込まれ、臓器の重量あたりの血液循環量は、心臓の約5倍、脳の約8倍であり、臓器の中でも一番血液の流れる量が多い臓器です。

腎血流量と呼ばれる腎臓に流れる血液量は、1〜1.2リットル/分あり、約150〜180リットルにもおよぶ原尿と呼ばれる尿のもとを生成し、原尿をいくども繰り返して濾過します。

そして、最後には、約1.5リットルまで濾過した後、尿として排出するのです。

心臓から送り出された血液は、全身に、栄養や酸素などを体内の消費エネルギーや成長ホルモン生成のために運搬します。

たんぱく質が、体内に摂取され、体内でエネルギーとして運動によって消費されると、尿素や尿酸、クレアチニンなどの老廃物が生成されます。そして、栄養などを運搬した血液は、消費したエネルギーなどの体内にたまった老廃物や余った水分を持ち帰ってきます。

全身から、老廃物や余剰水分を持ち帰ってきた血液は、腎臓で何度も濾過され、残った毒素は尿として体外に排出されるのです。

腎臓できれいになった血液は、心臓へと戻り、そしてまた、新しい栄養や酸素を全身に運搬するのです。

恒常性の維持

腎臓は、恒常性の維持と呼ばれる体内の調節も司っています。

  1. 体液量(体内総ナトリウム量)の調節
  2. 血液浸透圧(体内水分量)の調節
  3. 酸塩基平衡の調節

体液量(体内総ナトリウム量)の調節

人体の体液量は、体内ナトリウム量に伴って変化します。

体内ナトリウム量が増加すると、体液量も供給過多となり、浮腫(ふしゅ)となって、身体がむくみます。体内ナトリウム量が少ない場合は、体液量不足を引き起こし、脱水症状を起こします。

ナトリウムは、糸球体で濾過されます。その後、体内総ナトリウム量に応じて尿細管で再度吸収することになります。

このようにして、体内ナトリウム量は調整されているのです。

血液浸透圧(体内水分量)の調節

血液は、動脈を通って全身を巡り、細胞へ栄養素を運搬し、消費したエネルギーによって生成された老廃物を細胞から運んできます。

このとき、栄養素や老廃物は、細胞膜などの膜をしみこんで受け渡しされます。水分は、このような膜を通じて、濃度の薄い細胞内液などから血液など濃度の濃い液に移動するのですが、このとき水分移動にかかる力のことを「浸透圧」といいます。

血液の浸透圧は、血液中の水分量、血液中のナトリウム濃度によってほぼ決まります。

すなわち、血液の水分量が減ると、血液中の浸透圧もナトリウム濃度も上がり、口から水分を摂取するなり、腎臓で水分の排泄を抑えるなどして、血液中の浸透圧やナトリウム濃度の上昇を最小限にとどめることができるようになっています。

血中の浸透圧が上昇すると、脳下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモン量が増加して、腎臓の集合尿細管に働きかけて、水分の再吸収を促進、尿の水分量を減少して血中水分の低下を防ぐ働きをしています。

酸塩基平衡の調節

腎臓は、血液中の酸性度を調節する機能もそなえています。人体は、代謝の過程で絶え間なく酸を生成していますが、血液中の酸性度は弱アルカリ性を維持しており、この均衡が崩れると病気の原因となります。

血液中にある水素イオン(酸)は、アルカリ性である重炭酸イオンで中和され、血液の酸性度を下げる機能を果たしています。また、糸球体で濾過された重炭酸イオンは、ほとんどが尿細管で再吸収され、余分な水素イオンは尿中に排泄されます。

さらに、腎臓は、新しい重炭酸イオンを生成し、その量を維持する機能あります。

内分泌(ホルモン産生)

その他の腎臓の大切なはたらきに、ホルモン生成があります。

エリスロピエチンという造血ホルモン生成では、骨髄に赤血球の産生を促します。また、活性型ビタミンDの生成では、小腸での食物中のカルシウム吸収を促進します。

腎臓はさらに、レニンというホルモンもまた生成しますが、このホルモンは、血圧を上昇させるホルモンである「アンギオテンシン」や「ナトリウム」の再吸入を増大させるホルモン産生に必要なアルドステロンを生成するために必要となります。

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人工透析ってどんな治療なの?

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ここまで、腎臓の働きについてお話ししてきました。

腎臓は、人体内で、排泄機能や酸塩基平衡、ホルモン産生など大切な役割を果たしていることがお分かりいただけましたでしょうか?

それでは、腎臓がどのような状態になると、人工透析治療が必要になるのでしょうか?ここからは、腎不全と人工透析についてお話しします。

腎不全ってなに?

腎不全という病気を耳にされたことのある方も多いでしょう。でも、実際に、腎不全とはどのような病気なのでしょうか?

辞書で調べてみましょう。

腎臓の機能が低下した状態。尿毒症。

広辞苑第五版 岩波書店

「腎臓の機能が低下した状態」だけでは、定義が曖昧すぎて、具体的にイメージできないですね。

今度は、「尿毒症」について、調べてみましょう。

腎臓の機能不全のため、尿として排出されるべき成分が血中に溜まることによって起る中毒症状。重症の腎臓疾患の末期に現れるもので、嘔吐・下血・意識障害・貧血・肺水腫・漿膜炎などを生じ、ついには痙攣・昏睡に陥る。

同書

人体にとって、腎臓が大切な役割をしていたことは、前述しましたが、この定義を読むと、腎臓が機能しなくなると、重症となることがよくわかりますね。

それでは、腎臓が機能しなくなった時の治療はどのようなものなのでしょうか?

人工透析のあれこれ

腎臓の働きが、健常時の1割にも満たなくなると、腎臓は、本来腎臓がそなえている機能である血液の濾過が十分にできなくなります。

すると、水分や老廃物のコントロールができなくなるので、人工的に血液を浄化しなければ、人は生きていけなくなります。

このように、人工的に血液を浄化する治療が「人工透析」なのです。人工透析には、大きく分けて2つの方法があります。

  1. 血液濾過透析
  2. 腹膜透析

血液濾過透析

血液透析は、血液を機械に通して濾過します。腹膜透析に比べて、血液透析を受ける患者さんの割合が圧倒的に多いようです。

腕の血管に針を刺し、チューブを通して体外に血液を取り出します。体外に取り出された血液は、ポンプを使用してダイアライザー(透析器)を循環して濾過されたのちに、体内に戻されます。

ダイアライザーは、直径0.2〜0.3mmと、細長い透析膜の管を約1万本束ねています。体外に取り出された血液は、この透析膜を通して周囲にある透析液に老廃物や水分、食塩、電解質などを移動します。

このようにして、機能しなくなった腎臓に変わって、体外で人工的に血液を浄化するのが、血液透析です。

腹膜透析

これに対して、腹膜透析では、直径約5mmのカテーテルと呼ばれるチューブを腹部に埋め込んで、腹部の中に透析液を注入、体内にある腹膜で血液を浄化します。血液透析に比べて、心臓や血管に負担が少ないのですが、感染予防のため、毎日のカテーテルケアが欠かせません。

腹膜は、お腹の内側にあり、胃腸などの臓器を覆っている薄い膜です。

成人では、面積は約20,000㎝以上あり、毛細血管が表面に網の目のように分布しています。カテーテルを通して透析液を注入しておくことにより、この腹膜を透析膜として使用して、血液中の老廃物や不要な水分、電解質などが透析液の中に滲出します。

そして、ある定度の時間が経過すると、注入した透析液を体外に排出して、新しい透析液を再び注入します。

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人工透析するとずっと生きられるの?

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このようにして、腎不全に陥った腎臓の代わりに、人工的に血液を透析すると、血中の老廃物や余剰水分を体外に排出することができるようになります。

ただし、人工透析治療は、心臓への負担が避けられません。

体内から一度血液を体外に抽出して、濾過した後に、再度血液を体内に戻す治療なので、血圧が下がり、どうしても心臓に負荷をかけてしまうからです。

医師が、「これ以上、人工透析治療のために、心臓に負担をかけることができない」と、人工透析治療を断念すると、患者さんは「命をつないでいる」はずの人工透析治療すら受けることができなくなります。

それは、人工透析治療を受けている患者さんにとっては、「死」の宣告にも等しいのです。

2006年のデータをみると、人工透析導入後の5年生存率は60.3%です。つまり、10人に6人ぐらいの割合で5年は生きることができるようです。

また、10年生存率36.2%と報告しているデータもあります。こちらでは、人工透析導入後、10人中3〜4人の方が10年間生存することができた計算になります。

ただ、厳しい取水制限や食事制限に加えて、1週間に12時間もの時間をつらい透析治療に費やしても、5年で4割、10年で7割弱の患者さんが亡くなってしまっているのが、現実のようです。

それでも、腎不全に陥った患者さんが何の治療も受けずにいると、ほぼ生きてはいられない事実を考えると、一概に「人工透析治療が良くない」とは決して言えないでしょう。

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そのほかに方法はないの?

人工透析治療を受けられないほど、心臓に負担がかかってしまった患者さんに「残された選択」は、生体腎移植しかありません。

誰しも、腎移植に適合する相手を見つけることができるとは限りませんが、ドナーが存在していて、つまり、適合する腎臓を提供してくれる方がいれば、腎不全の患者さんも、腎移植によって「生きる」ことができるようになります。

腎移植を受けると、それまで人工透析治療で受けていたさまざまな制約から解放されます。週12時間の人工透析治療、社会復帰、食事制限や取水制限などなど、その恩恵は計り知れません。

もちろん、腎移植にもある程度制約はあります。

たとえば、免疫抑制剤の服用やインフルエンザなどの感染症への警戒、グレープフルーツの摂取不可など・・・ですが、人工透析治療の制約とは比べられないほど夢のようです。

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まとめ

腎臓を患ってしまうと、人工透析治療を受けても、日常生活にかなり支障をきたすことがお分かりでしょうか?

腎臓が、人体に2つあるのはやはり大切な身体の器官だからであり、大忙しのお仕事を受け持っているからなんですね。

では、腎臓にやさしい生活を送るためには、どうしたらよいのでしょうか?

『医食同源』という古の言葉があります。「食べること」と「医術を施す」ことは、元来、同じ源に端を発しているのです。

まずは、食生活を見直してみましょう。

塩分の摂りすぎ、肉類の過剰摂取、外食のみの食生活は、身体には良くありません。乳製品や魚類、食物繊維の豊富な野菜など、栄養バランスのとれた食事を、規則正しく摂取するように気を配りましょう。

「美味しいものだけ食べたい!」と偏食を続けていると、その「美味しいもの」すら食べられなくなるつらい生活が訪れてしまいます。数字は、さておき、人工透析治療の余命は、限られているのです。「美味しい料理」を食べるためにも、摂生してみてはいかがでしょうか?

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