心臓喘息と喘息の違いとは?症状や原因と関連した病気を知ろう。治療法や検査方法も紹介!

「心臓喘息」という言葉を初めて聞く方もいらっしゃるかと思います。「心臓喘息」とは心臓が原因となって「喘息」に似たような症状が現れることを言います。

「喘息」は、ただ「喘息」とだけ呼ばれることが多い病気ですが、一般的には「気管支喘息」のことを指します。気管支から肺にかけて炎症が起こることで気道が狭くなり、呼吸が苦しくなって咳がでたり、痰などの粘膜からの分泌物が増えたりします。ヒューヒュー、ゼーゼーといった特徴的な呼吸音などが見られる呼吸器の病気です。

それに対して、心臓が機能不全に陥ることで発症する喘息様症状のことを「心臓喘息」と呼びます。同じ「喘息」でも、かたや呼吸器疾患、かたや循環器疾患と、全く別の病気なのです。

心臓の仕組み

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「心臓喘息」について正しく理解するためには、心臓についての基本的な知識が必要になります。心臓がどのようなパーツで成り立っているのか、その部分部分を一つずつ見ていきます。大きく4つのパーツが重要な働きをしています。既にご存知の方も、おさらいがてら確認していきましょう。

心筋

心臓は、血液を体内に循環させるポンプの働きをしている臓器です。心臓は、ポンプの本体でもある特殊な筋肉(心筋)によって形成されています。

心筋は、骨格筋(腕や足などの筋肉)と同じ横紋筋ですが、自らの意志で動かすことのできない不随意筋です。内臓の多くは平滑筋(胃や腸、子宮や膀胱など)で形成されていますが、心臓だけは、横紋筋と平滑筋の両方の特徴を併せ持ったような筋肉によって形成されています。

冠動脈

「心筋」に必要な酸素や栄養を供給しています。心臓の写真や画像を見ると、表面に大きな3本の血管が走っているのが見えます。

右にあるのが「右冠動脈」、左にあって分岐前の部分が「左冠動脈主幹部」です。分岐後に左側に回り込んでいるのが「左回旋枝」、下に向かっているのが「左前下行枝」です。

弁膜

全身のすみずみまで血液を送り届けるために、高い圧力で送り出される血液の逆流を防いでいます。心臓の4つの部屋には、それぞれ逆流防止のための弁があります。

右心房と右心室の間に「三尖弁」、右心室と肺動脈の間に「肺動脈弁」、左心房と左心室の間に「僧帽弁」、左心室と大動脈の間に「大動脈弁」です。

洞房結節

心臓の働きを一定のリズムで拍動するようにコントロールしています。右心房の上方にあります。1分間に約70回という規則正しいリズムを、電気信号によって心臓に伝えています。

これら4つの機能が一体となって働くことで、心臓の機能は正常に保たれています。どれかひとつでも異常を起こすと、心臓はきちんと動かなくなってしまいます。

人間の心臓の特徴

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人間の心臓の特徴について説明していきます。心臓はどの動物にも存在しますがそれぞれその特徴は違った作りをしています。

他の動物にはみられない人間の心臓の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか?

4つの部屋に分かれていること

人間の心臓は、二心室二心房と呼ばれるタイプの心臓です。血液を送り出す「心室」が2つあります。全身に”きれいな血液”を送り出す「左心室」と肺に”よごれた血液”を送り出す「右心室」です。血液が戻ってくる「心房」も2つあります。全身を巡った”よごれた血液”が戻ってくる「右心房」と肺でガス交換(二酸化炭素を排出して酸素を取り込む)されて”きれいな血液”が戻ってくる「左心房」です。

このように、酸素が豊富な動脈血を全身に循環させる「左心系(体循環系)」と酸素が少ない静脈血を肺に循環させる「右心系(肺循環系)」とに完全に分離された状態で機能しています。このことによって、脳や全身に効率よく酸素や栄養を循環させることが可能になっています。

二心室二心房の欠点

高性能な二心室二心房型の心臓ですが、2つの大きな欠点があります。

ひとつは構造が複雑なために、先天性の奇形が一定の割合で発生することです。心臓の壁にあいた小さな穴などまで含めると、100人に1人、実に新生児の1%という高率で発生しています。これは先天性の病気としては頻度が高いといえます。症状は様々で、要経過観察から緊急手術が必要となるケースまで様々あります。

もうひとつは、心臓を維持するために酸素と栄養が大量に必要になることです。人間の臓器の中で最もエネルギーを消費するのは「脳」ですが、2番目は「心臓」です。心臓に酸素や栄養が供給されなくなると、心臓細胞は壊死を始めます。心臓は再生しないため、一度ダメージを受けるとそれが蓄積されていくだけで、回復することはありません。

「心臓喘息」が引き起こる原因

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心臓喘息が引き起こされる原因は主に一つの症状が引き金になって引き起こされます。その一つの心不全について紹介していきます。先天性の場合などもありますが、今回は心臓喘息を引き起こす心不全について紹介します。

心不全

心臓の働きが急激に低下した状態を「心不全」と呼びます。

そして左心系が不全となる「左心不全」と右心系が不全となる「右心不全」があります。

この心不全が主に心臓喘息を引き起こす原因となっています。ではその左心不全と右心不全について紹介していきます。

左心不全

左心室の機能が何らかの原因によって急激に低下することによって、左心系への血液拍出量が減少します。そうすると、全身に送られるはずの大量の血液は、右心系へと配分され、肺に過剰な血液が流れ込みます。その結果、処理できない大量の血液が肺に滞留することで「肺うっ血」を起こします。「肺うっ血」が進行してくると、肺血管の血圧が上昇して血液中から液体成分が肺の中に漏出して溜まる「肺水腫」になります。この「肺うっ血」や「肺水腫」によって肺の機能が低下することで、喘息に似た呼吸困難や痰などの症状があらわれます。この状態のことを「心臓喘息」と呼びます。

それ以外にも、拍出量が低下することによって「動悸」や「労作時の呼吸困難」、「低血圧」や「意識障害」を起こすこともあります。左心不全は、症状が進行していくと右心系にも多大な負担がかかります。そうなってくると右心も不全を引き起こして「両心不全」となることが多く、注意が必要です。

右心不全

右心室の機能が何らかの原因によって急激に低下する(右心不全)と心臓への血液の戻りが悪くなり、全身がうっ血します。全身がうっ血することによって、「浮腫」や「体重増加」、「頸動脈の怒張」などの症状があらわれます。

人体においては、全身に血液を送り出す左心系の方が負担が大きいため、右心不全を単体で発症することは稀です。上述の通り、先に左心不全となり、その後で右心不全となるケースがほとんどです。

心不全になる原因

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心不全になる原因として、心臓に原因がある場合とない場合に分けることができます。それぞれの代表的な病気を見ていきましょう。心臓には問題がないはずなのに不調がある場合には、心臓以外の病気が隠れていることがあります。

心臓にに原因がある場合

心不全の原因が心臓にある場合には、治療が必ず必要になります。外科的処置が必要になるケースが多く重症の場合が多いです。

心臓に原因のある場合の症状にはどのようなケースが考えられるのでしょうか?その病名や症状について紹介していきます。

虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)

心臓に酸素や栄養を供給している冠動脈が、何らかの原因によって狭窄することで発症するのが「狭心症」です。冠動脈が完全に閉塞してしまい、心筋の一部が壊死した状態を「心筋梗塞」と呼びます。どちらも血流が阻害されることで、心臓に血液が供給されない状態(虚血)となることから「狭心症」と「心筋梗塞」をまとめて「虚血性心疾患」と呼びます。虚血の状態が心臓の広範囲におよんだり、長時間にわたったりすると、心機能が急激に失われて心不全となります。「狭心症」では、血流が遮断されていないので心筋の回復が見込めますが、「心筋梗塞」では既に細胞壊死の状態なので、心筋の回復は見込めません。

冠動脈の狭窄(狭心症)のほとんどは、血管にコレステロールが付着することによって起こります。ごくまれに、薬物や心臓の物理的な傷害などによって血管が痙攣することでも発症することがあります。心筋梗塞のほとんどは、血管に付着したコレステロールなど(プラーク)が剥がれて冠動脈に詰まることによって発症します。

心筋症

一般的に「心筋症」といえば、「特発性心筋症」のことを指します。この「特発性」というのは医療用語で、「原因不明」とほぼ同意です。つまり「心筋症」とは、原因不明の心筋の病気のことです。タイプ別に5種類に分類されます。

心筋が厚くなって心臓が大きくなる「肥大型心筋症」。心筋が薄くなって心臓全体が大きくなる「拡張型心筋症」。心筋が固くなる「拘束型心筋症」。右心室が特徴的に拡大して、そこから不整脈が頻発する「不整脈源性右室心筋症」。この4つに分類されない「分類不能型心筋症」です。

心臓弁膜症

前述したように、心臓には4つの弁があります。そして、左心系により障害がおきやすいので、問題になりやすいのは「僧帽弁」と「大動脈弁」の2つです。

心臓弁膜症は、弁がしっかりと開かなくなることで血流が阻害される「狭窄」と弁がしっかり閉まらなくなることで血液が逆流する「閉鎖不全」の2種類があります。

僧帽弁狭窄 及び 僧帽弁閉鎖不全

僧帽弁が十分に開かないと、左心房の血液がスムーズに左心室に流れ込むことができないため、左心房に負担がかかることで左心房は、筋肉が引き延ばされて広がっていきます。左心房が大きくなると、「心房細動」と呼ばれる不整脈がでたり、左心房内に血液が滞留することで「うっ血」したり血栓ができることもあります。

僧帽弁が完全に閉じられないと、左心室から大動脈に送られる血液が逆流してきます。そのため左心室に負担がかかることで筋肉が引き延ばされて広がっていきます。左心室が大きくなるとその動きも悪くなるため左心房に負担がかかります。そうすると閉鎖不全なのに狭窄と同様の症状がでます。

大動脈弁狭窄 及び 大動脈弁閉鎖不全

大動脈弁が十分に開かないと、左心室はがんばって血液を大動脈へ送ろうとします。そのために左心室の壁が厚くなってしまいます。左心室の壁が厚くなることを「心肥大」と呼びます。「心肥大」になると心室の動きが悪くなり、送り出す血液の量が減少していきます。最終的には、左心不全や不整脈となります

大動脈弁が完全に閉じられないと、左心室から送り出した血液の一部が逆流してきます。そうするとその血液を送り出すために左心室の負荷が増します。そうすると「心肥大」だけでなく、左心室も大きくなり、心不全を起こしやすくなります。

不整脈

脈が不正というと、何だか重大な病気のような感じがしますが、心臓そのものには異常がない場合もあります。

簡単に言えば、心臓に異常があってリズムがおかしくなっているのか、リズムを作り出し伝達する経路に異常があるのかによって重症度が異なります。主に3種類の不整脈がありますが、最後に示す危険な兆候に当てはまらなければ重症度は高くありません。

頻脈(脈が速くドキドキします)

脈が異常に早くなる症状です。前述の「洞房結節」において、電気信号が異常に早くなったり、電気信号の通り道に異常が発生して、電気信号が空回りすることで発生します。このような頻脈を起こす病態としては、心室細動・心房細動・心室頻拍・発作上室生頻拍・WPW症候群などがあげられます。

徐脈(脈がゆっくりになります)

「洞房結節」において、電気信号が作られなくなったり、途中で止まってしまうことによって発生します。

洞不全症候群や房室ブロックなどによって、脈が異常に遅くなる病態が起きます。

期外収縮(脈が時々飛んだり不規則になります)

「洞房結節」において、本来電気信号の発生する場所以外から電気信号が発生することで生じます。

心房に由来するものを心房性期外収縮、心室に由来するものを心室性期外収縮と呼んで区別します。

注意が必要な兆候

「徐脈」では脈拍が40を下回った場合、「期外収縮」では不規則に早く脈打つ場合にはすぐに受診してください。それ以外の場合には大事に至らないことがほとんどです。ただし、心臓の異常が不整脈の原因となっている場合、症状が突然悪化することもありますので、きちんと検査を受けてください。

危険なのは「頻脈」です。「脈拍が120以上で、止まったり、始まったり、不規則に脈打つ」場合、「脈拍が150以上を継続している」場合、「急に意識を失う」場合には、緊急に処置が必要になることがあります。早急に循環器専門機関で受診してください。

心臓に原因がない場合

心不全の原因が、心臓以外にあることもあります。そんなケースでは原疾患(心不全を引き起こす病気)を適切に治療・コントロールすることが重要となります。

心臓意外の部分が原因のケースの症状や病名を見ていきましょう。

高血圧症

高血圧症とは、収縮期血圧140mmHg以上もしくは、拡張期血圧90mmHg以上の状態をいいます。それでは、なぜ高血圧が心不全の原因になるのでしょう?

高血圧が長い期間継続すると、血管に負荷がかかり内壁が硬く厚くなっていきます。これが「動脈硬化」です。この「動脈硬化」によって血管がもろくなり、傷つきやすくなります。傷ついた部分にはコレステロールなどの脂質が付着しやすくなり、さらに血管が細くなることで血圧が上がりやすくなるという悪循環になります。

この血管に付着したコレステロールが「狭心症」や「心筋梗塞」の原因になることは前述のとおりです。

甲状腺機能亢進症、バセドウ病

バセドウ病を含む甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。甲状腺ホルモンは交感神経を活性化する作用があるため、体温上昇や心拍数増加などの症状があらわれます。

また、心筋細胞は甲状腺ホルモンの受容体が多く存在するため、ホルモン過剰によってダイレクトに影響を受けます。結果として、不整脈になったり、心血管が障害され心不全になる危険性が大幅に高くなります。

心臓喘息の検査と診断

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問診や聴診で心不全が疑われる場合には、以下のような方法を使い精密な検査を行って症状の確認が行われます。

あらかじめその内容を知っておき、いざという時に心の準備をしておきましょう。代表的な4つの検査方法を紹介します。

心電図

心電図によって、不整脈の有無を確認します。

また、過去に心臓が障害を受けたかどうかもわかります。

レントゲン

胸部のレントゲン写真を撮ることで、心臓の大きさの確認と肺に液体が貯留しているかどうか(肺うっ血や肺水腫の有無)を確認します。

血液検査

心不全が重症化すると上昇してくるBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の値を確認します。

基準値以上であれば、心不全を起こしている可能性が高くなります。

心エコー

これまでの検査によって、心不全であることとおおよその重症度が判明しています。ここからは、さらに心臓の状態を詳しく検査します。超音波によって、心臓の断面図や拍動を確認します。

それ以外にも、心臓の大きさや心房/心室の形態、弁膜の状態なども確認することができます。

心臓喘息の治療と予防方法

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心不全は、ある程度までは薬剤でコントロールが可能です。しかし、心臓に悪い生活習慣を変えて、それを維持していかないと病気には対抗できません。そしてこの正しい生活習慣はそのまま、心不全の予防法となります。自分の生活習慣で改める点があったら、早めに修正することをお勧めします。

薬剤による治療

「利尿薬」によって、体内の余分な水分と塩分を排出させて心臓の負担を減らします。

「降圧剤」によって、血圧を下げて心臓や血管を守ります。

「β遮断薬」は、心拍数を下げたり血圧を下げる効果があります。

場合によっては、心臓の働きを強化する強心剤として「ジゴキシン」を使用することもあります。

心臓によいライフスタイル

本当に当たり前のことですが、効果があるから推奨されています。

  • タバコ・アルコールの摂取をやめる
  • 塩分・高カロリー食の摂取を控える
  • 心臓に過度の負担をかけない、軽度の運動を継続して行う
  • 太りすぎの方は体重を減らす、痩せすぎの方は体重を増やす

まとめ

「心臓喘息」という症状について、詳しくわかっていただけたと思います。「喘息」というと、それほど生命に関わる病気ではないと軽く考えられていますが、重症化すると気道が完全閉塞することによって呼吸困難となり、生命が失われるケースもあります。「心臓喘息」は、それよりも明らかに重症である「心不全」が呼吸器系に症状としてあらわれている状態です。病気の呼称によって、軽症のイメージがありますが、早急に診断し治療することが必要です。

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