突然足首の痛みに襲われたことはありませんか?その痛み、もしかしたらアキレス腱に問題が起こっているかも知れません。
特に運動をしている人の場合、アキレス腱の負傷はよく見られるトラブルの一つです。勿論、運動以外の日常生活においてもアキレス腱に痛みを生じる場合があります。
アキレス腱に痛みがあると、動きに苦痛や制限がかかり日常生活にも支障が出てしまいますよね。
今回はアキレス腱に痛みが起こる原因やケガの種類、その対処法や予防法について詳しくご紹介していきたいと思います。
アキレス腱とは
アキレス腱が痛むというのは、具体的にどの位置が痛むのでしょうか。まずはアキレス腱について簡単に説明していきましょう。
アキレス腱の位置
アキレス腱とは、ふくらはぎにある腓腹筋・ヒラメ筋と呼ばれる筋肉と、かかとの上にある骨を繋げている腱のことを言います。
体にある数ある腱の中でも、このアキレス腱は最も強く大きな腱であり、歩いたり走ったりジャンプをする等の動きの際に重要な機能を果たしています。
衝撃を受けやすい
足首は小さな骨とアキレス腱、そして幾つかの短いじん帯で体の全体重を支えている為、常に負荷がかかっている状態です。
そこに運動等による急な体重移動によって更に大きな負荷がかかったり、また外部からの衝撃を受けやすい為、負傷する頻度は高いと言えます。
じん帯との違い
じん帯と腱の違いというのは意外と知られていないかも知れません。この二つには密接な関係があります。
腱とは先に述べた通り、筋肉と骨を繋げているものです。筋肉は非常に柔らかい組織ですので、腱によって骨と結びつくことで大きな力を出せるのです。
伸縮性はほとんどない為、無理な負荷や引っ張りにより切れてしまう場合があります。
一方でじん帯というのは、骨と骨を繋げているもので、コラーゲン線維という強い線維から出来ており、関節が安定して正しく動くように動きを制限させています。
つまり、腱によって筋肉は動き、じん帯によってその動きを安定させている、と言えます。
主なアキレス腱のケガ
それでは主なアキレス腱、および周辺のじん帯に生じるケガについて具体的な症状と原因を見ていきましょう。
アキレス腱炎
アキレス腱をおおっているパラテノンという薄い膜に炎症が生じることで、アキレス腱炎が発症します。アキレス腱周囲炎と呼ばれることもあります。
■症状
起床後や運動後、歩き始めに強い痛みが生じます。また、アキレス腱部分を押さえると強い痛みがあります。
進行すると安静時にも痛みが生じ、次第に動きが悪くなり、動かす度にアキレス腱がきしむような音がする場合もあります。
■原因
アキレス腱の使い過ぎが最も多い原因で、スポーツ障害の一種とも言われています。
運動により酷使したり、あるいは不適切なトレーニング方法や準備運動不足によって負担がかかり炎症を起こす場合もあります。
その他にも、加齢による腱の変形、合わない靴を履いていることでアキレス腱に当たって炎症を起こす場合、土踏まずのアーチが失われた偏平足によっても引き起こされることがあります。
■治療方法
まずは運動を控え安静にします。その際、湿布や鎮痛薬を使用することも効果的です。
また、外出する必要がある場合は靴底の薄いぺたんこの靴よりも、少しかかとにヒールや高さがある靴を履いた方が痛みが軽減されます。
症状が改善されれば少しずつまた運動を始めることが出来ますが、再発を繰り返す場合は稀なケースではありますがアキレス腱を再建する手術を行うこともあります。
アキレス腱滑液包炎
アキレス腱とかかとの骨の間には、滑液包と呼ばれるクッションの役割をする袋状のものがあります。ここに炎症が起きたものを、アキレス腱滑液包炎と言います。
■症状
かかとの後ろ部分に腫れと熱を帯びた感じがします。圧迫されているような痛みがあり、進行と共に赤いしこりのようなものが出来て痛みが強くなります。
■原因
主にかかと部分が硬い靴を履き続けることで摩擦、圧迫され炎症が起こります。
特にハイヒールを履く女性に多く見られますが、もちろん男性でも合わない靴を履いている場合、発症しやすくなります。
■治療方法
原因となっている靴を履くのをやめてかかとに合う靴に変えたり、ヒールウエッジと呼ばれるかかとを高くするものを靴に入れて患部が当たらないようにすることで改善されていきます。
炎症が強い場合は一週間程動かさないように安静にする必要があります。
また、骨が変形し慢性化してしまっている場合には手術を行うこともあります。
アキレス腱断裂
その名の通り、アキレス腱が切れてしまうことをアキレス腱断裂と呼びます。
■症状
突然「バチッ」という破裂音と共に激しい痛みを伴います。しばらくは立ち上がったり動くことが出来ない痛みです。
音がしなくても、硬いものが当たったような、思い切り叩かれたような感覚があります。時間がたつと歩くことは出来ますが、つま先側に足首を曲げることが困難となります。
■原因
スポーツ選手や中高年の運動不足の方が急に運動を行った場合、あるいは階段等で急激に大きな力で腱が引っ張られた時に耐え切れずに切れてしまうことが原因です。
特に踏み込んだ姿勢、ジャンプした後の着地時に発生することが多いです。
■治療方法
患部を冷やし、ギプス等で固定をします。時間はかかりますが、この保存療法によって次第に回復していきます。
また、手術による治療もあります。この場合は切れてしまった腱を縫合してギプスで固定をして回復を図ります。
捻挫
足首の痛みでよくあるのが捻挫ですが、主に内側に捻る内反捻挫と、外側に捻る外反捻挫があります。大半は内反捻挫と言われています。
捻挫を放置することでアキレス腱の痛みを引き起こす場合がある為、ここで紹介をしておきます。
■症状
捻った直後は動けない程の激しい痛みが生じます。そして次第に患部が腫れあがり、熱を帯びてきます。ひどい時はこぶし大に腫れることもあります。
■原因
階段から足を踏み外したり、ハイヒールを履いていて足が倒れてしまったりと、日常の様々な場面で起こりえます。
捻ることで骨と骨を繋いでいるじん帯を痛めることが原因です。
また、捻挫は癖になってしまうことがあり、何度も経験していると少しの捻りで簡単に捻挫してしまうようになってしまいます。
■治療方法
足首に負担をかけないよう安静を保ち、テーピングで固定をします。その他に患部を冷やしたり圧迫するといった処置を行います。
たかが捻挫だからといってこの初期治療を怠ると、重症化したり後遺症が残る場合がある為、非常に大切な処置となります。
また、捻った際にアキレス腱も引っ張られてアキレス腱炎を併発する可能性も高い為、腫れが引いてもすぐに無理な運動をせず、しっかり治るまでリハビリをしましょう。
アキレス腱の痛みの予防方法
足首やアキレス腱を傷めない為に日頃から出来る予防方法を幾つかご紹介していきます。
準備運動
運動をする前に行う準備運動は、足首やアキレス腱を負傷から守る為に非常に大切です。
足首をまわしたり、アキレス腱を伸ばす(既に痛みや炎症を起こしている場合は伸ばしてはいけません。)等をしっかりと行ってから運動をしましょう。
また、準備運動だけではなく運動後のストレッチも欠かさず行いましょう。
サイズの合う靴を履く
合わない靴を履いていると、バランスがとりにくくなりアキレス腱に負担がかかったり、摩擦や圧迫によって炎症を引き起こす原因となります。
購入前に試着をして歩きやすいもの、または中敷きを入れて調整する等の工夫をしましょう。できれば靴屋さんで専門家に相談をして選ぶことをお勧めします。
適度な運動習慣
運動不足の人がアキレス腱を傷めやすいことについては既に述べた通りです。
特に中高年の方は足首が硬くなったり、加齢による変形で傷めやすい為、日頃から適度な運動等で動かすようにし、筋肉やアキレス腱を柔軟に保つことも大切です。
姿勢の改善
歩き方や走り方が正しくない場合、アキレス腱に負担がかかります。
普段履いている靴のかかとをチェックし、内側だけが減っている人はアキレス腱に負担がかかりやすい傾向があります。
また、O脚の人は逆に外側だけが減っている場合が多く、こちらも足首に負担がかかっています。O脚の改善方法は、O脚の改善方法とは?ストレッチやエクササイズを紹介!を参考にしてください!
「正しい歩行はかかと着地」と思っている人が多いのですが、これは誤りです。
歩く時は踏み込む際に膝を上げ、足の指、付け根、かかとの三点をバランス良く着地させることが負担の無い歩き方です。
ひざを伸ばしきって歩いているとかかと着地となり、アキレス腱や膝、腰や首にまで大きな負担をかけてしまうのです。
立っている時も同様で、ひざを伸ばし切らずに軽く曲げておくことで負担は軽減されます。また、自己流でランニングやトレーニングを行っている人は、一度専門家にフォームを指導してもらうと良いでしょう。
姿勢を良くする方法は、姿勢を良くする方法を紹介!筋トレやエクササイズが必要?を読んでおきましょう。
サポーターの使用
高齢者の方や何度も足首のケガをされている方は、アキレス腱を保護するサポーターが販売されていますので、試してみるのも良いかも知れません。
軽い圧迫をしてくれて、アキレス腱とかかとの骨をサポートし、安定した動きが出来るようになります。
他にもアキレス腱断裂を経験していて再発が心配される方や、ケガの回復段階でリハビリを開始する方にもお勧めです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
アキレス腱の痛みやケガは、決してスポーツをしている人だけに起こるものではなく、日頃の運動不足や合わない靴を履き続けること、誤った姿勢や加齢等、様々な原因によって引き起こされることが分かりました。
放置することで重症化したり手術が必要となる場合もあります。
軽い痛みでも違和感を感じたら放置をせず、早めに整形外科を受診し適切な治療を受けることにより、早い回復や完治をさせることが可能です。
また、普段から運動不足の解消や姿勢の改善に努めたり、自分の足に合った靴を選ぶことも、ケガを防止する為に非常に大きな効果が期待できます。
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