朝起きたら急に首が回らない!近頃首が痛いがなかなか症状がよくならない、ちょっとした首の動きで激痛を感じるなどの経験をお持ちではないですか?首に違和感を感じる原因には、簡単な寝違えや首のこり、また内蔵疾患による重大な病気まで様々です。
あなたは今まで、ご自分の首の負担を考えたことがありますか?痛くなって初めて首の動きを認識することと思います。それでは、首のしくみと働きを理解した上で、痛みで首が回らなくなる原因、その改善法と予防について見て行きましょう。
首のしくみと働き
まずは首の仕組みと動きについて紹介します。首の仕組みを理解していることで首のどの部分が痛み、そこがなぜ痛みを発しているのかが理解できます。
首の仕組み
近年における電子機器の著しい進化、そして仕事場、一般家庭への普及により、それらを使用する時の首への負担から、首の痛みを訴える大人や子どもが年々増加しています。
首は、人の全体重の13%ほどもある重さの頭を支えている大変重要な部位です。仮に体重が50kgあったとしたら約6kgほどの頭をずっと支えているのですから、首の負担は相当なものです。
頭部を支えているのは、7つの頸椎(頭を支えるための部分の骨)です。上から順に第一頸椎から第七頸椎まであり、骨の大きさは下に行く程大きくなっています。
椎骨(脊椎骨)とは、脊椎(せきつい)の分節を形成する個々の骨を言います。この椎骨と椎骨の間に軟骨(椎間板)、靭帯、筋肉などが存在し、これらによって様々な首の動き(前後運動、左右へのねじり、傾け、首を回す)ができるのです。
首の動きについて
首の動きは主に頚椎と首の筋肉によって動かされています。その為、首に痛みが発生している場合は主にこれらの部分に原因が発生していることが多いです。
特に首の片側、右か左かどちらか片方を向いたときに痛みが発生することが多いと思います。この時、痛みを発生する方向に問題があるように思う方は多いでしょうが、実はその痛みを発生させる反対方向に原因がある場合があります。
整体にいくとこのような指摘をされることがよくあります。これは、向きにくい側の反対側の筋肉が伸縮しているために逆側に痛みや違和感などを感じる事があります。
人の体は、歪みやズレを起こすことで痛みや異常を修正し正常に働かそうとする働きがあるため、体全体の筋肉バランスが悪くても、正常に動かすことが出来ます。
しかし、その代償としてたまに修復しきれない問題が発生した時、痛みなどによって体に現れることがあるのです。
首が回らない原因
首の痛みの原因は様々ですが、簡単に思っていると大変な病気が原因となっていることもありますので、注意が必要です。
寝違え
寝違えの特徴は、右には回せたり倒せたりできるのに、左にすると痛いというように、症状が首の片方にだけでることです。
使い慣れない枕や高すぎる枕の使用、また不自然な姿勢で寝たり、泥酔状態で寝たことにより、朝起きた時首が痛くて回らないなどの症状がでます。これは、筋肉や靭帯の疲労・炎症により起こるものと、骨のズレが原因となるものの2種類あります。
- 筋肉の炎症によるもの…自分で痛い方に首を回して痛みを感じたら、次は、人にあなたの首を同じ方向にゆっくりと回してもらって下さい。痛くない場合は、筋肉が炎症を起こしています。痛みを感じるのは、自分が筋肉を動かしているからであって、人に回してもらった場合は、筋肉を動かしていないからです。
- 骨のズレによるもの…自分が首を痛い方に動かしても、人に首を回してもらっても痛みを感じる時は、骨のズレによる痛みになります。
寝違えについては、首が痛い!寝違えが起きる3つ原因と3つの改善方法!の記事を参考にしてください。
首のこり
デスクワークなどで長時間同じ姿勢で作業を続けると、筋肉がこわばり血行が悪くなります。すると筋肉中に乳酸や炭酸ガスなどの疲労物質が溜まり、それが原因で首や肩こりがひどくなり首が回らなくなります。
背中を丸めて猫背のような姿勢でいると、首や背中にへの負担も大きくなるため首筋や肩もこりやすくなります。
また肩甲挙筋の異常な緊張によって首がまわない程の状態になることがあります。1週間ほどの長い期間首が回らないという状態が続いている人はこの肩甲挙筋に異常がある可能性があります。
スポーツ/交通事故
日常から運動不足ぎみの人や、適切な準備運動を行わずに、突然運動を始めて筋肉を痛め、首がまわらなくなることもあります。
また自動車事故やスポーツなどで強い衝撃を首に受けると、頚椎・筋肉・靭帯が損傷を受け、捻挫を起こし首が回らなくなります。
これをむちうち症(頚椎捻挫)と言います。その他にも首筋、背中、肩のこりや痛み、後遺症として吐き気、動悸、頭痛、倦怠感などの症状が出てきます。
誤った治療
思いもしなかったことが原因で首を傷めてしまうこともあるのです。症状の改善、緩和を望んで行った治療のせいで、反対に悪化してしまうこともあります。
マッサージ、首を鳴らす、矯正枕の使用、ストレッチ、温める、冷やすなど
これらの方法が悪いと言う訳ではありません。症状に合った治療法が行われなかったために余計に悪くなったということです。
変形性頸椎症
加齢により頸椎が変化を起こすことで、首に痛みを感じたり、歩きにくくなったり、手が痺れたりする病気の総称です。
頸椎に起こる加齢現象として、椎間板が変性したり、骨棘(こっきょく)と呼ばれる骨の出っ張りができるといった変化が生じます。骨棘が脊椎神経を圧迫して首・肩・腕などに痛みやこり、しびれ、首が回らなくなるなどの症状を引き起こします。
加齢によるもの
加齢や老化などから、頸椎、首の椎間板の変性により生じるものに、頸椎椎間板症や頸椎症などがあります。主に40歳代以降に起こります。頸椎椎間板ヘルニアも含まれますが、これは加齢、老化に関係なく、若い人にも起こります。
頚椎椎間板ヘルニア
腰部でよく聞く、椎間板ヘルニアが頚椎で発症したものです。これは、椎間板の中央部分の固い部分が飛び出し、神経を圧迫することにより首に痛みを感じ、首が回らなくなったりします。また神経だけでなく、脊髄も圧迫されるので、両手・足のしびれや手の指のしびれなども引き起こします。首を後ろにそらした時、激痛を感じます。
特に20〜30代の比較的に若い世代の人に多く発症することがあります。
胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)
まず、胸郭出口という聞き慣れない名前は、どこなのかと説明しますと、それは鎖骨と一番上の肋骨の間にある隙間のことです。この隙間に脊髄から腕にのびる神経の束と心臓から腕へとのびる動脈・静脈が1つの束となって通っています。
これらの束が肋骨の奇形・変形や筋肉の肥大なので、圧迫されることによって起こる疾患です。首の痛み・こり、腕のしびれ・痛みも伴います。なで肩で筋肉の少ない人に起こりやすいのですが、首が短く、いかり肩の人も発症しやすい傾向があります。
胸郭出口症候群には、4つの型があります。4つの型それぞれに対応した治療法がありますので、病院で診察を受けて下さい。
胸郭出口症候群の詳しい記事については胸郭出口症候群ってなに?治療法、原因、症状、種類や検査方法を紹介!を御覧ください。
ストレス
外的要因の覚えが全くないのに、突如首が痛くなり回らなくなることがあります。皆さんは不思議に思われるかもしれませんが、これはストレスや過度の緊張のせいで自律神経の働きが乱れ、首筋にある筋が緊張することにより痛みが出るのです。
ストレートネック
頸椎は、普通ゆるやかにカーブしていますが、ストレートネックとは、そのカーブが無くなり、真っすぐになってしまっている状態のことをいいます。これは、うつむいた姿勢を取ることが多い人によく見られます。主な原因は、長時間のパソコン使用、携帯電話の操作によるものです。
上を見上げた時、首の後ろに痛みや制限がある場合が多いです。症状には、他に頭痛、肩こり、めまい、手のしびれなどが挙げられます。
ストレートネックの詳しい記事についてはストレートネックに注意!症状や原因、治療法は?悪化すると引き起こす病気を知ろう!を御覧ください。
内臓疾患からくる病気
食後に首が痛くなるのは、首のまわりの機能的、器質的な問題により発症するので、食事中や食後に首の痛みや肩こりなどを感じます。原因として、逆流性食道炎、食道痙攣、胆石症などの可能性がありますので、そんな場合は内科での診察をお勧めします。
原因にあった改善法と予防
それぞれの原因にあった改善法と予防が大変重要です。間違った方法で症状を悪化させないためにも、適切な方法を試してみて下さい。
寝違え
・改善法
筋肉の炎症による痛み:揉むと少しは楽になった気がしますが、後に痛みがひどくなりますので、患部を絶対に揉みほぐさないでください。ということは、体をほぐす効果のあるストレッチも禁止です。
改善法としては、痛みのある所に冷たくても、温かいのでもかまいませんので、炎症を抑え痛みをとる成分フェルビナクが入った湿布を貼ると効果的です。また、患部を温めると一時的に楽になりますが、痛みはまた戻ってきます。
方法の1つにツボ押しと軽い運動があります。ストレッチではありません。
- ツボ押し:首の痛み、精神的な疲労、ストレスに効くツボは、極泉(きょくせん)と呼ばれ、脇の下のだいたい中央にあります。腕を下げた状態で脇のしたの中央を押してみると圧痛を感じるかもしれません。そこを決して強く押すのではなく、弱い力でゆっくりとしばらくの間体の前方に向かってさすってみて下さい。少しは、首の回りが楽になるかもしれません。
- 軽い腕の運動:痛む側の腕を後ろにゆっくりと上げていきましょう。自然に止まったところでそのポジションを20秒間キープして下さい、その後腕をゆっくりと下ろして下さい。これを2セット。次に、痛む側の手を背中の後ろにまわし、手のひらで腰の中央あたりを軽く押さえ、肘を後ろに引いて20秒間キープ×2セット、最後は、痛む側の腕を肩の高さで肘の角度120度で上げて下さい。角度はそのままで腕をゆっくりと後ろに軽く引いて20秒キープ×2セット。やり過ぎないようにしてください。
骨のずれによる痛み:骨がずれることにより痛みがあるので、揉んでも意味がありません。カイロプラクティクや整体で骨のずれの調整をしてもらって下さい。
・予防法
日常の肩甲骨のストレッチが大変有効です。寝違えは、首から肩甲骨のあたりで起こります。ですから肩甲骨をよく動かし、筋肉の動きを良くして下さい。
ストレートネック
・改善方法
胸の体操:肩の力を抜いて立って下さい。両手を後ろで組んで、息をはくと同時に顔を上にあげ、胸を反らして下さい。同時に組んだ腕を伸ばしたまま上に引き上げて行って下さい。そのままゆっくりと2、3回呼吸し、その後息を吐きながら元の状態に戻って下さい。この体操は、くれぐれも無理をせず行ってください。
首の体操:首の体操は鎖骨に手をおいて、首を前後左右に平行にスライドさせる体操です。顔は固定したままで首だけをスライドさせるようなイメージで動かしてください、仕事の合間などに五回ほどやるのが効果的です。あまりやりすぎると頭がクラクラしてきてしまうためやり過ぎ注意です。
背中の体操:椅子に座ったままで結構です。その状態のままバンザイをして大きく背伸びをしましょう。その状態で後ろの背もたれに体重を預け、背中を反るようにしてください。今まで前かがみに丸まっていた背中を反ることで、筋肉を解すことが出来ます。これも五回ほど繰り返し行うのが良いでしょう。
頚椎椎間板ヘルニア
頚椎椎間板ヘルニアになった場合、痛みや炎症などが引き起こっている場合はとにかく安静にすることが必要です。まだ症状が軽い場合には湿布や固定によって患部を安静にし消炎鎮痛剤などを使って通院によって治療を行いますが、症状がひどい場合は入院が必要で、直接の椎骨の固定や、ヘルニアの摘出などが行われます。
自分でできるセルフケアとしてはストレッチや運動などが挙げられます。首の痛みを和らげるストレッチとしては、両手を額に当て前方向に頭を5秒ほど強く押し付ける。このストレッチを3回ほど行いましょう。次に、手を後頭部に持っていき頭を後ろに強く5秒ほど押し付ける。これも3回ほど行いましょう。最後に左右に5秒ほどゆっくり頭を傾けて首の筋肉を伸ばします。これらのストレッチは無理のないように行いましょう。
このストレッチを行うことで症状を緩和することが出来るでしょう。
しかし、症状が重い方は逆に悪化させてしまう可能性があるので、無理な運動やストレッチは避けましょう。
日常の一般的な予防法
首の痛みの原因の大半は、筋肉の緊張からきているといわれます。できるだけ体への負担を溜め込まないように、日々これらのことに気をつけてみてください。
- 適度な運動:ストレッチ・散歩など
- 首や肩を冷やさない:ゆっくりとお風呂に入ったり、蒸しタオルで首や肩のあたりを温めるのもいいでしょう。
- 作業環境の見直し:あなたの仕事場の机の高さや椅子の座り心地はあなたに適していますか?
- 寝具の見直し:頻繁に寝違えを起こすようであれば、いろんな素材、堅さ、厚さの枕を試してみて、自分にあった枕を見つけましょう!掛布団もあまり重いものは避けたほうがいいでしょう。
まとめ
私達は、痛みを感じて初めて首が正常に動いていた時のありがたさを感じることができます。首の痛みは思っている以上に日常生活に影響を与えるので、速やかな改善が望まれますが、1つの作業に集中しているとあっという間に時間の過ぎるのを忘れてしまいがち、気がつけば首も肩もガチガチになっている状態が多いことと思います。
しかし、自分の体の管理をするのは、あなた自信です!職場や家庭で忙しく、ゆとりのある生活を送れる状態ではない方々も多くいらっしゃるでしょうが、ほんの少しの間でもあなたの体がリラックスできる時間を作ってあげて下さい。身体面・精神面でストレスフリーな生活をおくれるよう、がんばりましょう!
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