ちょっと難しい病名で、何と読むのかわからない人がほとんどではないでしょうか?これは、「しょうこつきょく」と読みます。
「踵」とあることから、足に異常が発症するものと、想像できると思います。文字通り、踵に痛みが走ることで、ある意味怪我といってもいいのではないのでしょうか。これもご多聞にもれず、ある程度の年を取ると症状が出やすくなるようです。
また、子供がよく訴える症状にセーバー病があります。これは、主に小学生以下の子が、踵を痛める病気です。
今回は、踵骨棘についてお伝えいたします。踵の骨を踵骨というのですが、この骨が大きくなってしまうことで痛みを発症することです。骨が大きくなるのは、細胞が増殖することで、踵の引っ張られることや過度の運動を行うことが理由です。
踵骨棘の原因
果たしてどのようが原因があって、この踵骨棘になるのでしょうか。
ちょっと特殊なこの病気の以下のようなことが原因となります。
余分な骨
踵の底にある骨が、過度の運動や癖のある歩き方などにより、もともととがっている骨の部分が踵の肉、足内筋がというところに当たるために痛みを発症します。つまり、負荷がかかり過ぎたために骨が露出する状態になります。
この場合は安静にすることで治りますが、ある期間は痛みます。ただ、安静にすると言っても足ということもあり、常に歩いたりすることで刺激を受けるため、完全な安静はできないため、治るのに時間がかかります。
偏平足
人の足は指側からみるとゆるいアーチを描いています。足の中央部分は浮いているようになっています。その部分は土踏まずと呼ぶのですが、偏平足の人は、中央部分であるその土踏まずもベタッと地につくようになってしまっています。
この状態が長く続いていると、重心もかかるために踵骨棘になるということです。もともと偏平足は、その人が生まれながらの形をしているのでやむをえないものではあります。
この偏平足は改善することは可能です。これは踵骨棘になりやすいだけでなく、疲れやすいということが言われていますが、それを防ぐ意味でも重要かと思われます。
ハイアーチ
ハイアーチとは、足の変形なのですが、土踏まずの部分が異常に上にあがっている状態で足の甲が高くなっています。そのためつま先や踵の部分が局所的に重心がかかり、非常にアンバランスになり疲れやすいという足の状態です。これも偏平足と同様にその人が持っている生まれながらの身体の特徴ではありますが、多少は改善の余地はあります。
また、部分的に圧がかかるために皮膚が硬くなるタコが出来やすくなります。特に踵や指の付け根、まれに甲の部分が靴と接触する傾向にあるため、皮膚が硬くなります。
小さめの靴を無理に履いたり、ヒールの高い靴を履く人は、ハイアーチになりやすく、この場合は足をあまり窮屈にさせない工夫が必要です。休みの日や、疲れを感じる時は、足の裏を伸ばすようなストレッチをするといいと思います。
外反母趾
足先に極端な圧がかかることで足の親指の下の骨が発達してしまい飛び出たようになってしまうことで、親指に力が入らなかったりと非常に歩きにくい状態になってしまいます。
浮き指
浮き指というのは、通常立っている時や座っている時の足の部分だけが地面に密着することで、足指は地面に着かず浮いているいわゆる指上げ足の状態をいいます。
足の指が地面に着かないため安定性が非常に悪いのですが、普段からそのような習慣になっているので、本人は至って気にしていません。
また、一般的にこの浮き足の人は、足指力がなくなり、ふくらはぎや太ももが太くなる傾向にあります。この足が太くなる傾向というのは、結構重要で人と比べると上半身は同じ体型なのに、下半身だけは太くなってしまうです。
余談になってしまいますが、もし自分のふくらはぎや太ももが若干太いと思ったら、この浮き足を疑う必要があると思います。つまりこの浮き足は、足の指に力を入れてないために余計な力がふくらはぎや太ももに入り、そのために筋肉がついてしまうのです。
ふくらはぎの固さ
これは浮き足にも共通していることですが、足の指が使われず、ふくらはぎに無用な力が入り、固くなってしまうことです。ふくらはぎが固くなると、歩き方にも影響が出て、やがては腰に歪みが起き、骨盤が歪んだりという症状を引き起こします。
また、よく言われているのがふくらはぎの緊張が、足底筋膜の緊張も招きます。このふくらはぎは十分に伸ばしたりと動かすようにすることで、ふくらはぎの固さが改善されます。よって、必然的に踵骨棘も改善します。
合わない靴やハイヒールなど
合わない靴を無理に履いていると、変に重心が掛かり、足や膝の形が変形します。この場合で一番多いの外反母趾で、続いてO脚です。長い期間、無理をすることで足は変形していきます。
ですから、少しでも違和感があれば、靴を履き換える、足の指を伸ばすなど、靴を脱いだ後のメンテナンスを行うことで、足のストレスを解消することが必要です。
擦り減った靴底
歩き方が悪いと、靴の底の減り方が偏ってしまいます。均等に擦り減っている靴底なら問題はありません。ですが、歩き方の癖で外側だけとか内側だけとかが減っていると足への負荷が変則的にかかります。それが長い間続いてしまうと、足全体のバランスが悪くなり、それがもとで踵骨棘が発症します。
これは歩き方の癖の他にも、例えば毎日歩く道にも気をつけなくてはいけません。道路も一様に平らではないので、どちらか片側に偏ってしまうのです。同じように歩くと身体が歪んできます。
また、同様に肩に掛けるバッグなども左ばかりとか、右ばかりとなると身体は歪みます。交互にバランスよく体を使うようにすることで、足への負担は減ります。
肥満
肥満は直接の原因ではないと思われますが、やはり体重は身体の不調を生じやすくなります。本人は普通に歩いているつもりでいても、負荷がそれなりに影響をあたえます。
体重が普通の状態より多めに足底に掛かると、踵骨棘に負荷が掛かり過ぎることになります。これは踵骨棘だけでなく、膝にも負荷が掛かるために足全体に変調を来すことになりますので、注意してください。
さらに、その肥満を解消するために無理なダイエットをすることもよくありません。これは必要な栄養素が不足し、骨や関節が異常を起こします。これにも十分な注意が必要です。
ホルモンバランス
意外かもしれませんが、ホルモンバランスが崩れると、踵の筋肉の組織が弱くなり、骨がとがりやすくなります。
骨に関わる栄養などで不足しがちがなのがカルシウム、鉄分、マグネシウムなどです。これらは偏食やダイエットなどをすると、栄養不足を引き起こすとともにホルモンのバランスも崩れやすくなります。
踵をぶつけるなどの怪我
踵を強打することにより痛みを発症しやすくなります。最初の強打ではそうでもないのですが、踵は歩くたびに衝撃を受けるので、痛みや炎症が増幅してしまうのです。
そのきっかけがぶつけるということになりますので、例えば高いところから降りる時などは、衝撃が踵に来ないようにする必要があります。
過度な運動
これは、飛ぶとか跳ねることを頻繁に行う運動をしている人に多く発症します。ランニング、バレーボール、バスケットボール、剣道などがその典型的なスポーツです。飛んだり跳ねたりした後に着地するその衝撃が、踵骨の負荷につながります。
飛んだり跳ねたりすることの他にもスポーツ全般においては、足の使い過ぎが多いことも原因となります。ランニングなどでは、何度も地に足をつけることで、知らずに負荷がかかっています。適度な休憩を入れて行うことをお勧めします。
踵骨棘の症状
症状としては基本的に骨が地に当たって痛いことの他、皮膚が赤くなっていることがあります。
ひどいものになると、立っているだけで痛みが発生します。
骨のとがっている部分が当たる
足の裏には踵の骨と指の付け根近辺の骨を結ぶ足底腱膜という筋が通っています。この部分が、弱まったりすることで踵のその腱膜部分にある踵骨のとがっている部分が筋肉や皮膚が当たるために足底腱膜炎を起こし、痛みを生じてしまう訳です。
つまりそのとがった骨と皮膚の部分に衝撃や圧がかかることによる痛みです。これは放っておいても数か月もすれば、痛みは治まるのですが、当然その間も歩いたり、その人独自の足の癖であったり、合ってない靴を履き続けると改善されずに痛みが続きます。
足裏の筋膜が弱まる足裏腱膜炎を起こすのも原因の一つですので、足底方形筋を普段からの適度な運動で、鍛えることが必要です。
また、偏平足やハイアーチに人は疲れがたまりやすく、その影響で足底筋膜炎を起こします。
足を地面につけると痛い
足のとがった部分が地とゴツゴツとぶつかることにより、その骨自体が痛みます。この場合は履いている運動靴の足底部を見ると、その部分が赤くなっています。
つまり骨が突き出ていて筋肉を圧迫し腱膜炎をおこしています。その部分が地面にぶつからなければ痛みは生じないのですが、踵は歩くたびに地面と接するので、避けようながないというのが実情のようです。
押すと痛い
歩く時はさほど痛くなくでも、押すことで痛みを発することがあります。
まだこの段階では軽い症状です。これも悪化すると歩くことでも痛みを生じてしまうので、それ以上悪化させない工夫が必要となります。
足が重い
片方の足の踵骨棘が悪化すると、炎症を起こしている関係上、反対側の足にまで、影響が出ます。片方の足をかばうために、痛くない方の足に負荷が掛かるために重くなります。
どうしても踵骨棘の痛みがある間はやむをえないと思います。普段よりも歩くことを減らす、極力休めるなどの工夫が必要です。
踵骨棘の治療法
安静にすれば痛みは治まるということです。ですが、場所が場所だけに、長い期間は安静にできません。
やはり、医療機関に相談、治療が一番です。
整骨院
足が痛く思い当たる節があり場合の治療方法は、整骨院か整形外科での診療になります。レントゲンなどで検査をすることになりますが、これも万全ではなく発見しにくいものです。
整骨院では一般的な治療はマッサージ、電気をかけて神経や腱の痛みや炎症を抑えるものです。また、当面の痛みの解消にはサポーターをつけることで、圧をかけないようにします。
また、足の甲をすね側に曲げて足裏を伸ばす方法も行われます。さらに他のところからの影響がないかを調べることもします。原因が腰や骨盤、股関節、首などから来ていることもあり、その部分の治療を行うことから始めることも数多くあります。
身体全体を良くするという治療を行うことが多く、その方が効果は高くなります。これは、対処療法として踵骨棘だけの痛みを解消しても、原因が他にある場合はそのもとを改善しないと、再び踵骨棘を引き起こしてしまうからです。
運動を行っている人がなりやすい症状なので、運動がどのくらいで可能になってくるのか気になると思います。治療期間としては多くの場合が1ヶ月程の通院で回復傾向が見られ、競技復帰が可能になってきます。
整形外科
整骨院と同様な治療を行うことの他、科学的な治療を行います。また、今の痛みをすぐに解消する方法として、注射での痛みを解消する方法や痛み止めを服用する方法もあります。
痛みの度合いがあまりにひどいときは、即効性のあるステロイドの注射を打ちます。また、それほどの痛みでない場合は、痛み止めの薬を服用することで解消する可能性はありますが、あくまでも一時しのぎであり、治すことにはなりません。
このステロイド注射は副作用として、アレルギーの症状が出ることもあります。
手術
あまり手術を行うことはありません。ですが、対処療法で痛みが改善せず、どうしようもなく痛みが続くようである時となります。
この場合は、踵骨であるとがった部分の骨を削る手術です。骨を削ること自体は大掛かりではありませんが、踵に近い部分の皮膚や筋肉を切開するので、しばらくは普通の歩行が困難になります。
入院も必要となり、退院後は松葉杖をつくか、車椅子の状態になります。回復までは1年半ほど様子を見ながらリハビリを行っていくことになります。
足湯
足をリラックスさせることで、踵骨棘の痛みを和らげたり解消することに効果があります。日々の疲れがたまっているケースがほとんどなので、足湯は毎日行ってもよいかもしれません。
足ばかりでなく身体全体にいえることですが、血流をよくすることで疲労物質などを排出します。この場合は水分を補充しながら行うようにすることで、よりよい改善につながります。
踵骨棘の予防法
たくさんの予防法はありますが、正直事前に踵骨棘の予防という形で防ぐことはできません。
踵骨棘だけでなく、健康維持、足腰の筋肉の維持などを意識した対処法となります。
テーピング
一時しのぎになりますが、テーピングで足の指を保護し扁平気味の足やハイアーチ気味の足を補正することで、驚くほどの改善が見込まれます。
よく激しいスポーツをして、打撲などで動けない時も、テーピングをすることで、すぐにゲームに復活する人もいますが、まさしくこれもその状態です。ただ、テーピングもきちんとその技術を習熟した人でないと、効果は半減します。
歩き方
歩き方に気をつけるだけで、踵骨棘による痛みを抑えることもできます。踵骨棘による痛みを持つ人の歩き方の特徴として、踵から落とす歩き方をするのが特徴的です。
これは歩く度に踵に衝撃を与えるので、その歩く癖を治さない限り、症状を引き起こしたら治癒するまでに時間がかかります。
ストレッチ
人の身体は廃用萎縮というものがあり、使わない部分の機能が弱ってきます。踵骨棘の場合も同様であまり歩かなくなったり、運動もほとんどしなくなると、足底筋膜の力も衰え、痛みを引き起こしやすくなります。
それを防ぐためにも適度の運動として、ストレッチをすることをお勧めします。筋を伸ばすことや筋肉を日常動かすことで硬直も防ぎ、動かしやすくもなります。
人の筋力はただでさえ年に10%づつ減っていきます。この減る率を少なくする意味でも、ストレッチを行うことは有効です。
ちなみにこれは何も踵骨棘を引き起こさないためだけでなく、先に述べたような、身体全体のバランスを維持する意味でも非常に重要です。
靴にインソールを敷く
足のかかと部分に痛みを発症しているところが、地面に接触しないようにインソールである中敷きを加工することで痛みを和らげることができます。この補助するものをアーチサポートといいますが、インソールで体重の掛かり方を変えることができるので、痛みをそらすことができます。
また、ちょうど痛みを発症している場所に当たる部分のインソールをくり抜けば、さらに効果が望めます。
最近はらくじきというものが流行っています。土踏まずを保護するもので、かなり有効です。また、治すために条件として安静とあります。安静に近い形で、衝撃を受けないようにするにはらくじきは、すぐに効果が認められます。
まとめ
いかがでしたか。この症状はそれほど症例が多くないとはいっても、実際に掛かった人には辛いものです。特にスポーツをしている人が掛かると、練習や実際の試合でも思うようなパフォーマンスを発揮できません。安静にすることで、治るとはいえ、練習や試合に参加できないことは致命傷です。
また、外反母趾や浮き指などは意識的に改善はできるので、ストレッチやその他効果のある方法を試していただければと思います。
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