無脳症とは?原因・症状・予防方法を知ろう!いつ診断したら判断できる?

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皆さん、無脳症という病気を知っていますか?これから妊娠を希望する方、また妊婦さんに知っておいて欲しい胎児の病気の1つに無脳症というものがあります。この病気が発症すると、胎児は脳がない状態でお腹の中で育ちます。

無脳症は、胎児の先天的な奇形症の一つで、治療法が確立されておらず、生存率も極めて低いことから唯一医師が堕胎を勧める症例とも言われています。せっかく赤ちゃんを授かったのに、生まれて泣くことも喋ることも、自分で呼吸して生きていくことすら出来ない、そんな運命を持った胎児について、記事にしたいと思います。

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無脳症について

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無脳症は、奇形児の1種であり、胎児の発育段階で中枢神経系に影響が出ることで脳が作られないということが起こります。

ここでは、無脳症の概要と中枢神経系の働きについてご紹介します。

無脳症とは?

無脳症という病気を知っていますか?「ブラックジャック」など医療漫画のストーリの創作ネタの1つとして、見たのを覚えている人もいるかもしれません。

無脳症とは、神経管閉鎖障害の1つで、大脳の部分が全くない、もしくは欠損して小さな塊に萎縮した状態のことを言います。一言で言うと、胎児に脳がない状態です。このような想像を絶する事が実際に起こっており、日本では1000人に1人の確率で発症すると言われています。

胎児や乳児がこの状態で生まれてきた場合を無脳児、神経管欠損症、無頭蓋症とも呼びます。現在、治療法は確立されておらず、予防方法に関しても、詳しい原因が分かっていないことや多因性がある為、確実な予防策は見つかっていません。

生存確率が非常に低く、生まれても当日もしくは1週間以内に亡くなってしまう運命の子がほとんです。その為、唯一医師たちも堕胎を勧める症例だと言われており、成す術のない絶望的な病気です。

無脳症の生存率について

無脳症児の生存率は非常に低く75%は体内で死産となります。無事出産できたとしても、ほとんどが1日で死亡、9%の赤ちゃんが1週間以内に死亡すると言われています。しかし、稀に2ヶ月~1年ほど生存したケースもあります。

胎児の場合は、へその緒がお母さんの胎盤に繋がり、栄養や酸素を補給したり、二酸化炭素などの老廃物を排出する事ができます。お母さんの胎盤があることにより、胎児は臓器が未発達な状態でも発育することが出来ます。

しかし、無脳症児は生命維持を行う中枢神経に障害がある為、生まれた後も臓器が未熟なままで生まれてしまいます。その為、この世に生まれて母体から離れてしまうと自分1人の力では生命活動を続けることが出来なくなり、数日で死亡してしまいます。

中枢神経系の働き

神経系には全身の神経細胞が繋がった集合体があり、これを中枢神経系と呼びます。中枢神経系とは大脳、小脳、間脳、延髄、脊髄などから構成され、人間らしい感情や思考、生命活動を維持する為に必要な部分です。

無脳症児は中枢神経に障害が起こり大部分が欠損したり、完全欠如が見られる状態です。ここではそれぞれの中枢神経系の働きについてご紹介します。

大脳の役割

大脳の役割は主に、思考、理性、感覚、感情、言語、運動の司令塔、視覚などが挙げられます。人間が最も発達している部分であり、脳の大部分を占めています。

人間が人間らしく生きるのに必要な部分であり、この部分が欠損すると、いわゆる意識不明の状態、植物状態になります。

小脳の役割

小脳の役割は主に、筋肉運動、平衡感覚、体で覚える、大脳の思考をコピーして保存するなどが挙げられます。この機能が欠損すると、運動機能に障害が生じます。

バランスよく立てない、練習しても覚えられないなどの状態になります。

間脳の役割

間脳は自律神経である交感神経と副交感神経をコントロールしたり、ホルモン分泌を行い、内蔵全体を制御したり、温度調整を行う役割があります。

延髄の役割

延髄は脳幹の一部で、人の生命活動に極めて重要な中枢があります。延髄の役割は、呼吸や心臓の運動、消化などです。

脊髄の役割

脊髄は脳幹を通じて脳と繋がっています。脳から出た指令を手足に伝達したり、皮膚から受けた感覚情報を脳に伝達する役割があります。

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無脳症の原因と症状について

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「無脳症は、脳がないから、産まれても生きることが出来ない」このように、医師や看護師から説明を受ける方もいます。

しかし、そんな状態がなぜ発生するのか、もっと症状を詳しく知りたい方も多いと思います。ここでは、原因と症状についてご紹介します。

原因

無脳症は神経管閉鎖障害が起こる事で発症します。しかし、神経管閉鎖障害が起こる原因についてはハッキリと解明されていません。人種により発現頻度に差があることから、遺伝的な要因が影響していると考えられています。

また、飲酒や喫煙、高齢出産、母体の栄養状況、葉酸不足など、母体の影響状態も関係していると言われています。日本の厚生労働省では、葉酸が少ないことが無脳症を引き起こすリスクを高めると報告している為、リスクを軽減する1つの方法として、葉酸摂取を勧めています。

また一部の記事によると、福島県で奇形児の出産率が高くなっているのではないかと指摘しており、福島原発事故の放射能の因果関係に疑問の声が挙がっています。このような様々な要因が原因となって、神経管閉鎖障害を起して発育段階で胎児の神経管の発達が阻害されていると考えられています。

神経管閉鎖障害とは?

脳や脊髄などの中枢神経は、神経管と呼ばれる管状の細胞が複数集まることで構成されます。この集合体の細胞が妊娠初期に細胞分裂を繰り返し行うことで、脳や脊髄などの様々な神経細胞を作ります。しかし、この神経管の一部が何らかの原因で塞がってしまい、脳や脊髄が正常に作れない病気を神経管閉鎖障害と呼びます。

この神経管閉鎖障害ではどの細胞が塞がるかによって現れる障害が異なります。神経管の下の部分が塞がった場合は、「二分脊椎」と呼ばれ、脊髄の神経組織に影響が現れ、運動障害や排泄障害を引き起こします。また、神経管の上の部分が塞がった場合は、「無脳症」と呼ばれ、脳の形成が不完全な状態で生まれてきます。

症状

脳の形成が不完全で、脳の一部もしくは大部分が欠損した状態が見られます。もしくは、脳が退化し萎縮している為、頭部がいびつな形状をしています。発症した場合、お腹の中で4ヶ月ほどは大脳の一部の発育が見られますが、5ヶ月目以降では脳の大部分に退化が見られることが報告されています。

脳の部分でも、大脳や脳幹の欠損や退化が多く見られると言われています。発症した胎児の75%は死産になり、出産出来たとしても死亡する確率がとても高いです。生まれた後、大脳が欠如している為、意識がない植物状態に似た状態が続きます。また、臓器が未発達のままの産まれてくる為、生まれても1週間以上生存が難しいと言われています。

症状

  • 頭蓋骨や頭の皮膚が一部もしくは全て欠損し、脳が露出されている
  • 脳が欠如していたり、退化している、萎縮している
  • 眼球が飛び出ている、眼球がない
  • 口唇口蓋裂という口が裂けていたり、鼻と口が繋がっているなどの状態が見られる

無脳症のブログ・記事

無脳症の子をお腹に授かった方達夫婦は、わが子の軌跡をこの世に残したいという思いでブログや記事にしている方もいます。「お腹の子は、無脳児でした。~葛藤と感動に包まれた5日間の記録~」というストーリーは夫のはんさんが投稿したもので、無脳児について妻から知らされた時から赤ちゃんがお空に行ったまでが書かれています。

これらの記事を読むことで、実際の夫婦の気持ちや詳しい症状についても確認することができます。また、アメリカのフロリダ州に暮らす無脳症であるジャクソン・エメット・ブエルちゃんは、奇跡的に1年の誕生日を迎えることが出来ました。通常の新生児のように歯が生えて、好き嫌いも言えるようになってきていると言います。

このようなブログ投稿数も多く、涙なくして読むことが出きないくらい夫婦の辛い気持ちが伝わります。現状では、成す術がない為にやむを終えず中絶を選択しなければならない夫婦が多いです。

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無脳症の診断と人工妊娠中絶について

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無脳症と診断された場合、ほとんどの方が人工妊娠中絶をしますが、出産を選択することも可能です。

ここでは、無脳症の診断についてや、中絶を選択した場合や、出産を選択した場合の状況やリスクについてご説明します。

診断・検査方法

妊娠4ヶ月目以降になると、エコー検査(超音波検査)により、胎児の状態を確認することが可能です。この時に無脳症を発見することが多く、胎児に無脳症の疑いがあった場合は別の施設で二次検査を行うことが一般的です。

精神的なストレスも掛かるため、出来るだけ旦那さん、もしくは家族の方と一緒に、診察に向かい先生から話を聞くようにしましょう。

大学病院や地域周産期センターなどの病院を紹介してもらい、エコー検査に加えて羊水検査か血液検査などの精密検査を行い確定診断を行います。二次施設で無脳症の診断が確定すると、人工死妊娠中絶、または出産の選択を行います。

人工妊娠中絶をする場合

人工妊娠中絶をする場合は、二次診断後にすぐに行わないといけません。妊娠22週目以降になると、いかなる理由でも人工妊娠中絶は法的に認められていないことや、母体への負担が大きくなるからです。無脳症の子供が生まれてきても生存できる確率は極めて低い為、ほとんどの方がやむおえずに、中絶を選択します。

中絶する時期により対処法が異なり、妊娠12週目以前に中絶することを、「初期中絶」と言い、妊娠12週目以降に人工妊娠中絶をすることを「中期中絶」と言います。

どちらの場合でも、特定の医療機関でしか受けることが出来ない為、中絶を選択された方は病院を探している間に22週を過ぎないように気をつける必要があります。病院を選択した後、問診、血液検査や心電図検査、尿検査、血液凝固検査など、手術をして問題ないか様々な検査を行います。問題なければ、本人と配偶者の同意を得て手術日を決定します。

また、中絶を選択された場合でも精神的ストレスにより、うつになってしまう可能性もある為、中絶後の家族のサポートが重要です。精神的に弱い方は事前にカウンセリングを受けておくことをオススメします。

初期中絶

妊娠12週未満に人工妊娠中絶することを、初期中絶と言います。

■手術方法

手術は麻酔をかけて行われます。初めに、細い棒を差し込み子宮の入り口を開いておきます。その後、掻爬法(そうはほう)もしくは、吸引法のどちらかの方法で胎児をお腹から取り出します。

掻爬法は、特殊な医療用の器具を入れて子宮内のものを取り出します。吸引法は掃除機のようなものを差込み、子宮内のものを吸い取りだします。初期中絶は中期中絶に比べて難しい手術内容ではなく、手術は15分程度で終わります。

麻酔の効果もあり、痛みも少なく、体調に問題がなければ日帰りすることが出来ます。しかし、手術後数日間は安静にする必要があり、1週間程度は湯船につかることが出来ないなど制限があります。

■費用

初期中絶の費用は、病院によっても異なりますが、10万円~20万円程度と言われています。

中期中絶

妊娠12週以降〜22週未満に人工妊娠中絶することを、中期中絶もしくは人工死産といいます。
中期中絶は、初期中絶に比べて体への負担が大きい為、5日ほど入院する必要があります。処置内容としては、人工的に流産させる方法がとられます。

■手術方法

手術する1日~2日前に胎児がスムーズに外に出れるように細い器具を挿入して、子宮の入り口を開きます。

手術当日には、陣痛誘発剤を投与して、人工的に陣痛を引き起こして、胎児を外に出します。つまりは、通常の出産と同じように胎児を取り出します。通常開くことのない子宮を強制的に開いたり、陣痛を無理やり起させているので、出産同様に陣痛中は激しい痛みや出血が見られます。

人工死産後、助産師さんに胎児と対面したい希望を伝えると、見せてもらうことが出来ます。見た目が酷い場合が多いので、恐る恐る対面する人も多いですが、いくら見た目が酷い状態でもお母さんにとっては大切なわが子です。「全然怖くなく、やっぱりわが子は可愛かった」とブログにつづる方も多くいます。

■費用

中期中絶の場合の費用は、病院によっても異なりますが、手術と入院費で20万~50万程度と言われています。

■手術後の手続き

中期中絶を行った場合は、法的に死産届けを区役所に提出し、埋葬許可を貰って赤ちゃんを火葬して埋葬することが義務付けられています。戸籍には残りませんが、様々な手続きが必要です。妊婦さんは中絶後は体の負担も大きいので、旦那さんや家族の方が必要な手続きを率先してサポートしましょう。

出産する場合

稀な例ではありますが、出産を選択される方もいます。無脳症児の生存確率は低いとはいえ、数日や数週間生存できる場合もあります。しかし、出産を選択された方は、胎児が無脳症であることをしっかりと認識し、出産後にどのように看取るかを覚悟しておく必要があります。

胎児は、お母さんのお腹にいる時は、母親の胎盤を通じて栄養補給や老廃物の排泄を行っていますが、出産後には自分の臓器を動かして生命活動を維持しなければいけません。しかし、無脳症児の場合、発達段階で障害を受けて、生命維持に必要な脳が欠如している為、自分で生命活動を続けることが困難な状況です。

その為、出産と同時に亡くなってしまったり、1週間以内に亡くなる確率が極めて高いです。このような現実があり、このような運命を辿ってしまう命であることを十分に理解して出産に望まないといけません。また、生まれても脳が欠損していたり、顔面の奇形を伴う為、通常見る健康な赤ちゃんとは全く違う姿を見る事になります。その姿を見る覚悟もしておく必要があります。

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無脳症の予防方法

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神経管閉鎖障害が起こる原因についてはハッキリと解明されていない為、確実な予防方法は確立されていません。

しかし、飲酒や喫煙、葉酸不足が原因となっている事が、可能性として挙げられています。これらを予防することでリスクは軽減できると考えられます。

禁酒

妊娠中にアルコールを摂取すると、胎盤を通じて胎児にも影響が及びます。胎児も大人と同様、肝臓でアルコールを分解しようとしますが、胎児の臓器は未発達の為、アルコール処理に時間がかかったり、分解できずに体内にアルコールが残り、体に大きな負担がかかります。

このアルコールの胎児への影響の1つとして、中枢神経系の異常が現れ、無脳症になると言われています。一般的に飲酒量が多ければ多いほど、胎児への影響が大きいといわれていますが、どれくらいの量で影響が及ぶか安全量は確定されていません。

一般的に着床が完了して、妊娠が確定し始める日から、次の生理予定日頃までは、胎児はアルコールの影響を受けにくいと言われています。この時期を過ぎると器官形成をする重要な時期になる為、アルコールは摂取しないようにしましょう。

禁煙

タバコを吸うと体の中にニコチンや一酸化炭素などの有害物質が取り込まれます。ニコチンは、神経毒性を含む有毒物質で、毒性が強く殺虫剤にも使用されている成分です。また、ニコチンは血管収縮作用があり、一酸化炭素は、体に酸素を取り込みにくくする作用がある為、これらが血液の流れを悪くし、胎児に十分な酸素や必要な栄養素を運べなくなります。

胎児に十分な酸素や栄養素が行き渡らないと、胎児の形成に支障が出ます。喫煙している場合の無脳症の発症率が高いというデータも報告されています。

近くの人がタバコを吸って、その煙を吸ってしまう受動喫煙でも発症率が高くなります。妊娠を希望されている方や、妊婦さんは禁煙したり、タバコを吸っている人の近くに寄らないようにしましょう。

葉酸摂取

葉酸は、水溶性のビタミンBの一種で、DNAが正常に複製、分裂するのに必要な栄養素です。人は細胞分裂によって細胞の数を増やして成長します。臓器を作る過程でも大量に細胞分裂が行われます。細胞の核の中にはDNAがあり、細胞分裂する際にはこのDNAの情報を正常に複製して分裂します。

葉酸が不足すると、DNAの複製や分裂に影響を及ぼし、大量のDNAを必要とする造血器官や重要な機能の生成に影響を及ぼします。特に細胞分裂が盛んな妊娠7週目までに葉酸が不足していると、神経管閉鎖障害を引き起こすリスクが高まると言われています。

妊娠4週目頃には中枢神経の基になる神経管が作られます。神経板が作られた後、管状の神経管に発達し、中枢神経が形成されます。厚生労働省では、葉酸を摂取することが発症リスクを抑えると発表し、積極的な摂取を推奨しています。妊娠3ヶ月の期間は食事以外で葉酸サプリを1日400mg摂取することをオススメしています。

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おわりに

赤ちゃんを授かったのに、妊娠4ヶ月目のエコー検診で「無脳症です」と医師から告げられた場合、言葉にできない悲しみが襲うに違いありません。どうしても産みたいという方もいるとは思いますが、その場合は、子供がすぐに死亡する覚悟や形がいびつであることについて十分に理解する必要があります。

また、詳しい原因は分かっていませんが、飲酒や喫煙、葉酸の摂取不足が原因になることがあります。これらの対策を行うことは、無脳症の赤ちゃんが発生するリスクを軽減することに繋がります。妊娠を希望されている方や既に妊婦の方は、元気な赤ちゃんを産む為に、しっかりと予防対策を行いましょう。

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