あなたはこんな経験ありますか?
運動をしていて何かの拍子に手や肘を着いた時にグキっと走る痛みを感じたり、何か物を持つときに手首や肘をひねってしまって感じるツンとした痛みなど。このような日常生活で起こりやすい痛みは個人によって様々ですが、少なくないと思います。あなたのそのような肘の痛みは一時のものでしょうか?それとも継続的ですか?
ここでは普段見落としがちな肘の痛みについてまとめてみました。日常生活で出来る予防や疾患の可能性など肘の痛みについて理解を深めましょう。
肘が痛くなる原因
肘の痛みの主な原因として考えられるのは、
①外部からの刺激や継続した運動や疲労などによって肘の内部が炎症を起こしてしまうのが原因
②肘に限らず体内の疾患が原因
です。
受診の際に気をつけたいこと
肘の痛みを感じて医療機関に受診する場合はどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?
肘の痛みを感じた場合はまずは自分の中で心当たりのあることを考えましょう。どこかにぶつけてしまうといった外部からの刺激がなかったか?もしくはテニスや野球、ピアノなど長時間にわたって同じ動作を続けていなかったか?または最近体調などの変化があるか?原因となりうるそれらのことをきちんとお医者さんに話しましょう。
些細なことでも見えない疾患の発見につながります。医療機関に受診する前にどのような状態であるのかを自分で把握することで受診後の検査や診断がスムーズになります。
検査方法
まずは、日常生活の問診などから入ります。そして肘の触診や運動での検査、また痛みによる不安定性や知覚障害なども検査されます。さらにレントゲン検査をすることによってさらに細かいところまでみていきます。外傷性のものなどはすぐに分かりますが、内部の炎症や骨折などは判断が難しいので、レントゲンや問診なども重要な項目となります。
疾患の可能性
外傷性の肘の痛みであれば、適切な処置を受けることで早めの回復が見込まれますが、内部の炎症や骨折、その他身体的な疾患の場合はどうなのでしょか?
腱鞘炎
腱鞘炎というと、手の指や手首などの継続した運動などによって起こるものと認識している人も多いのではないでしょうか?
もともと腱と呼ばれる部分は、骨と筋肉の根元部分をつないでいる重要なところです。この腱があるので筋肉と骨が痛みを感じないで動かすことができるのです。腱鞘炎はその腱が炎症を起こしている状態です。なぜ炎症が起きるのでしょうか?腱鞘炎の原因といわれているものは、主に3つあります。
①付近に老廃物が滞り腱の周辺が腫れたため
②腱の緊張状態が続いたことによる血行障害
③腱付付近の筋肉や骨などとの異常な癒着
このような状態になると、腱が炎症を起こし腱鞘炎になります。意外に思われるかもしれませんが、家事やパソコン作業、スマートフォンの持ち方などでも肘の腱鞘炎になることが多いのです。また、その場所も手首などに限らず肘にまで及ぶことも多くあるので注意が必要です。腱鞘炎については、腱鞘炎に湿布は有効?それともテーピング?適切な処置とは!の記事を読んでおきましょう!
上腕骨顆上骨折(じょうわんこつかじょうこっせつ)
主に、子供に多い外傷骨折です。
運動や高いところから落ちたときなどに、肘を伸ばした状態で下に手をついてしまうことにより、外からの刺激が肘にまで直接伝わって骨折してしまうのです。
症状としては、原因となる事故のあとに肘の腫れや痛みがおきます。さらに皮下出血や骨折したところなどが異常な動きをみせるなどです。さらに神経や血管などに障害が出ていると脈拍が弱くなったり痺れたりします。
治療法は、軽いものでギプスによる固定をします。症状によってはベッドに横になる腕を吊り上げる方法や、手術による固定方法などがあります。主に小さい子供がなることが多いのですが、その分回復も早く固定がスムーズに出来れば小学生では4週間程度で回復します。
野球肘
野球肘は連続する投球動作によってそ、の周辺が疲労して肘関節の軟骨部分やじん帯部分、筋肉や腱などに障害が起きるスポーツ障害です。主に子供に多く、そのタイプは2種類あります。
①内側のじん帯がついている上腕骨内側部分の剥離骨折です。
②回内筋群(えんかいないきん)という前腕の動作と肘の関節の屈曲動作などに関連する筋肉がついている骨端線離開(こったんせんりかい)という骨の成長に関係する部分の損傷です。
どちらも投球による疲労や、ストレスなどが部分にかかることで起こります。放っておくことで症状が悪化し、耐え切れなくなって受診することが多いのも特徴です。
検査方法はまず問診などで症状の状態や期間などを確認します。その後にレントゲンやエコー検査また必要に応じてCTやMRIなどの検査もします。
治療法は痛みがある場合は、それを和らげる方法を行います。また日頃から運動前や後にストレッチをすることで症状の再発を防ぎます。また日頃から過剰な負荷をかけないように投球フォームの見直しなどもあわせて行うと良いでしょう。
どのような治療をするにしてもまずは早期発見・早期治療が重要です。放置していると手術が必要になる場合もあります。運動をしていて違和感を感じたら早めの受診をオススメします。
テニス肘
テニス肘とは別名、上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)といいます。
中年以降のテニス愛好者にこの症状が多くでることから、テニス肘などと呼ばれるようになりました。肘の外側から前の腕にかけて痛みの出る症状です。一般的に年齢とともに肘の腱が弱くなりおこるもので原因などについてはまだ不明なところがたくさんあります。普段安静にしているときは痛みはありません。
検査は、
①肘を伸ばしたまま手首を伸ばす方法をとって痛みがあるかどうかを調べます。
②椅子を肘を伸ばしたまま手で持ち上げてみるなどの検査
③中指を押さえている間に肘を伸ばした状態で中指を伸ばして痛いか
などの検査があります。
治療法は、手指や手首のストレッチ普段から十分に行うことや湿布やその他の外用薬を使用する。サポーターなどを巻いたりするのも効果的です。またひどい痛みにはステロイド注射などの選択もあります。それでも悪化する場合は手術もあります。
関節リウマチ
関節リウマチは、遺伝による体質やウィルスなどの影響をうけ免疫機能に異常が起きて起こる自己免疫疾患のひとつです。
免疫機能の異常により、関節が腫れ痛みを伴ったり、その状態が続くとその後に関節の変形などをきたす疾患です。はっきりとした原因は完全に分かっておらず、また同じように自己免疫疾患のシェーグレン症候群や橋本病などとの合併症も多く、治療が難しい疾患でもあります。
初期の関節リウマチには、肘の痛みなどのほかにも軽い貧血などの全身症状もでてきます。もし心当たりがあるなら早めに医療機関に相談しましょう。関節リウマチについては、リウマチの初期症状をチェックしよう!指のしびれに要注意!の記事を読んでおきましょう。
変形性肘関節症
症状として主に3つあります。
①運動すると痛みが出る
肘を動かすと痛みがでて、安静にしていると痛みはなくなります。
②ロッキング
肘の曲げ伸ばしが制限されることです。ある程度の曲げ伸ばしで止まってしまい、それ以上動かそうとすると激痛が出ます。
③肘部管症候群
肘の関節症が進んだ状態で神経が圧迫されて麻痺してしまう状態になります。指の感覚が鈍くなったり手指の動きに支障がでます。
原因は、スポーツなどで肘や周辺を酷使することが多く挙げられます。検査方法は、問診などで職業歴を聞いたりスポーツなどの経験、怪我の履歴などを聞きます。その後にレントゲン検査やCT検査などで判断します。
治療には主に温存療法がとられます。テーピングや三角巾などによる固定や炎症を抑えたりする薬剤療法やレーザーなどを用いたり、筋力トレーニングやストレッチで箇所をほぐすような理学療法もあります。
もしこれらの方法で成果が見られなかったり、日常生活に支障が出るほど悪化しているときは手術療法もあります。なるべくなら早めに医療機関を受診したほうが治療も楽になります。
普段から出来る予防法
では肘の痛みを軽減するには普段からどんなことに気をつけていればよいのでしょうか?
①スポーツをする際には適度な時間の余裕を持って行いましょう。スポーツによる過度な身体の酷使は悪化させる一方です。適度に休んで身体と相談しながら進めましょう。
②肘や手指、手首などに負担のかからない動かし方をする。明らかに無理な動きや重いものを長時間にわたり持つなどはやめましょう。長時間のパソコンや家事も気をつけましょう。
③ある程度の筋力をつけておく
日頃から適度な運動をしてある程度の筋力をつけましょう。筋力がバリアの状態になってひどくなるのを防ぐことができます。
まとめ
いかがでしたか?
手指とつながる大切な肘は様々な影響を受けやすい部分だということがわかりましたね。
あなたの肘は大丈夫ですか?
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!