胸郭出口症候群ってなに?治療法、原因、症状、種類や検査方法を紹介!

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)というのを耳にしたことがあるでしょうか?名前だけ聞くと、一体どんな病気なのか、想像もつきませんよね。しかし、実は身近なところでこの病気にかかっているかも知れません。

たとえば、肩凝りや腕、背中がだるいと感じることはありませんか?もしかすると、その症状自体が胸郭出口症候群かも知れません。

では、具体的にどのような症状があるのか、詳しくご紹介しましょう。

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胸郭出口とは?

骨

まず、「胸郭出口」についてご説明します。これは、鎖骨と第1肋骨の間にあるすき間のことを言います。胸郭出口には、上肢やその付け根の運動や感覚を司っている腕神経叢(神経の束)と鎖骨下動脈が通っています。

この部分が時に絞めつけられたり、圧迫されたりすることがあるのですが、中でも首と胸の間を通る神経が圧迫された状態を胸郭出口症候群と呼びます。言わば、ここの神経が圧迫されることによって起こる疾患の総称というわけですね。

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胸郭出口症候群になりやすい人

華奢

胸郭出口症候群になりやすい人の特徴として、

  • 首が長い
  • なで肩
  • どちらかと言うと華奢
  • 20代

こういった女性に多く見られるようです。女性は男性と比べて肩周りの筋力が弱いため、腕が下に引っ張られた時、神経や血管が圧迫されて症状が出ると考えられています。

男性でも胸郭出口症候群になりやすい人がいる

先ほど、胸郭出口症候群は華奢な女性がなりやすいとお伝えしました。これは、女性の方が肩周りの筋肉が弱いためですが、実は男性でも起こりうるのです。

男性の場合は女性と逆で、斜角筋や小胸筋が鍛えられ、太くなっている人の方がなりやすい傾向にあります。ちなみに、斜角筋は首を支える筋肉、小胸筋は大胸筋の下にある筋肉です。格闘家やボディービルダーの方などは筋肉が発達しているのがよく分かりますよね。

なぜ鍛えている人の方が胸郭出口症候群になりやすいかと言うと、発達して太くなった筋肉により、神経や血管が圧迫されるためです。女性の場合は筋力がないため、男性の場合は鍛えすぎにより起こるのですね。

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胸郭出口症候群の症状

痛み

では、具体的にどのような症状が出るのか、詳しく見ていきましょう。

首や肩凝り

肩こりの原因は筋肉が凝り固まること以外にもあります。ただの肩凝りだと思っていたら別の病気が見るかる可能性もあるわけですね。

実際、肩凝りの症状を詳しく聞いてみると、首周りや頭など、肩以外に及んでいることが多々あります。血行不良による肩凝りであれば温めるなどして血行をよくすれば改善しますが、それでも改善が見られない場合には、別の可能性を考えるべきでしょう。

胸郭出口症候群による肩凝りの場合には、脊髄から出ている血管や神経が圧迫されることが原因で起こりますから、血行をよくしても改善しません。

腕から手にかけてのしびれ

胸郭出口症候群で最も多い症状としては、腕から手にかけてのしびれがあります。たとえば、電車でつり革に掴まったり、物干しに洗濯物を干したりする時、腕を上げる動作によって肩や腕、手などにしびれが生じると言われます。

運動麻痺

肘から手首にかけての外側および手の小指側にかけて、ビリビリとしたしびれや感覚障害が現れることがあります。さらに、握力低下や細かい作業が行いにくいなどの症状が現れることがあります。

手や腕が青紫になる

鎖骨下動脈が圧迫されることで、血液の循環が悪くなり、手や腕が青紫色になることがあります。

肘から手首にかけての痛み

肩を上げ、やや後ろに反らすような動きや、首を傾けた状態で後ろへ反らすような動きをすると、肘から手首にかけて、刺すような痛みが出る場合があります。特に鎖骨下動脈が圧迫された場合には、血行不良によって腕が白っぽくなり、やはり痛みが生じます。

熱を帯びる、または冷感がある

胸郭出口の神経が圧迫されることで、神経障害と血流障害が生じます。そのため、手や腕のしびれに加え、時として熱感や冷感を感じることがあります。

脈が弱まる、指先の腫瘍

血流障害によって、脈拍が弱くなったり、指先に潰瘍ができたりする場合があります。

頭痛やめまい

胸郭出口の圧迫が自律神経に影響を与えると、時として頭痛やめまいが起こる場合もあります。

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胸郭出口症候群の原因

原因2

さて、ここまで胸郭出口症候群の仕組みと症状についてお話してきましたが、なぜ胸郭出口症候群になってしまうのでしょうか?次は原因について見ていきましょう。

考えられる原因として、以下のようなものがあります。

交通事故

交通事故の際に問題になる症状の中に、胸郭出口症候群があります。あまり知られていないだけに、本当は胸郭出口症候群なのに気付かない方もいるかも知れません。胸郭出口は先ほどご説明したように、骨や筋肉の間を神経が通っています。

骨や筋肉の隙間は細く、混み合っていますから、交通事故をきっかけとして骨が変形すると、当然ながら神経は圧迫されますよね。そのために、肩凝りや肩甲骨の痛み、さらには腕や手のしびれや痛み、だるさなどの症状が現れるのです。

これまで肩凝りのなかった人や、マッサージをしても改善しない場合には、胸郭出口症候群を疑ってみるとよいでしょう。

事務作業の多い人

パソコン作業などの事務作業が多い人も、胸郭出口症候群になりやすいと言われています。この場合は、肩付近の神経や血管を常日頃から酷使していることが要因となります。同じ姿勢で動かないことも多いため、神経や血管に負荷をかけ、胸郭出口症候群になりやすいのです。

同様の理由で、特殊な姿勢や筋肉を酷使する演奏家(ギターやバイオリンなどの弦楽器)も胸郭出口症候群のリスクが高いようです。

重いものを持つ習慣のある人

買い物により、重い荷物を持つ習慣のある人も要注意です。いつも決まった側で持っていると、常に同じところに負荷がかかるため、胸郭出口症候群になる原因になります。

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胸郭出口症候群の種類

shurui

胸郭出口症候群には、主に3種類のタイプがあります。では、種類別に詳しく見ていきましょう。

頚肋症候群

頚肋症候群とは、通常は12対しかない肋骨に、もう1本頚肋骨が加わることによって起こります。骨が1本多いことにより、鎖骨下動脈や静脈、腕部神経叢を圧迫するために症状が引き起こされるというわけです。この頚肋骨を持った人は、発見されるのは、非常に珍しく、その割合は1000人に5人だといわれています。

頚肋骨がある理由としては、まだ生まれる前の胎生期の骨格が関係しています。胎生期にはまだ頚肋骨があり、成長過程で退化して消えてゆくのですが、0.5%の人はそのまま頚肋骨が残存すると言います。原因は形成不全なのですが、こうして頚肋骨が残ってしまうと、頚肋症候群を引き起こすというわけですね。

具体的な症状としては、外側に沿って肘から手首および手に痛みやしびれが出ると言われます。ほかにも、皮膚が白っぽいまたは青ざめたりと、変色することもあります。さらに神経症状が進むと、「眼瞼下垂」「縮瞳」「眼球陥没」など、外面の変化も現れるようです。もちろん頚肋骨を持つ全ての人が頚肋症候群を発症するわけではありませんが、リスクは高くなります。

肋鎖症候群

これが胸郭出口症候群の中でも最も多いタイプです。鎖骨と1番上の肋骨の隙間によって、神経や血管が圧迫されることで起こります。肩や腕、手指や背中に痛みやしびれが現れるのが特徴です。原因はすでに述べた通り、交通事故などによる骨の編成や、片側に重い荷物を持っていることによる圧迫だと言われます。

斜角筋症候群

前斜角筋と中斜角筋という首の筋肉によって圧迫されることが原因で、肩から腕、手にかけての感覚異常や、脈拍ら血圧の低下などが起こります。ほかにも、皮膚温度が低下したり、指先の細い動脈に十分な血が送られず、冷感や皮膚の色が変色したりします。このような血行障害が主な症状と言えるでしょう。

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胸郭出口症候群の検査方法

検査

胸郭出口症候群の検査方法を紹介します。

X線検査

頚肋の有無については、X線検査によって確認することができます。もしも手足のしびれや肩凝りなどの症状があり、頚肋が見つかった場合には、頚肋症候群の可能性が高いと言えるでしょう。

MRI(磁気共鳴画像診断法)検査

MRIは、X線撮影では確認できないような、軟組織を見るのに優れているそうです。頚椎疾患を診断する際にはに非常に有効な手段と言えるでしょう。

ただし、X線検査と比べて費用が高く、時間も20~30分とややかかるため、症状が軽い場合にはここまで対応する必要は必ずしもないと言えます。自分の症状によって検査方法を詳しく相談し、納得のいく方法を選ぶようにしましょう。

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胸郭出口症候群の診断基準

test

実際に胸郭出口症候群であるかどうかの判断は、以下のテストを行うことによって見ていきます。

動脈圧迫試験

鎖骨下動脈を圧迫することで症状を再現させ、病気の有無を診断する方法です。

Wrightテスト

Wrightテストは、鎖骨下動脈の圧迫を調べる方法として用いられます。いすに腰かけ、両肩の関節を外転90度、外旋90度、肘を90度曲げた状態で橈骨動脈の脈拍が弱くなるかどうかを診ることで、肋鎖間隙の圧迫を確認します。

Morleyテスト

こちらは、胸郭出口が狭くなっているかどうかを確認検査です。鎖骨の上のくぼみを指で圧迫することで、胸郭出口を通る腕神経叢や鎖骨下動脈の圧迫を再現し、胸郭出口部分の痛みや腕に響く痛みがあるかどうかを判断します。

Edenテスト

Edenテストは、鎖骨下動脈を圧迫する検査です。胸を張り、両肩を後下方に引いた状態で橈骨動脈の脈拍が弱まる、または停止するかどうかで判断します。もしも脈拍の弱まりや停止があれば、肋鎖間隙によって圧迫されていると判断できます。

運動負荷テスト

こちらは、胸郭出口症候群の症状の1つである、腕や肩の痛みやしびれを運動によって再現させ、病気の有無を診断する方法です。

Roosテスト

これは、運動によって負荷をかけることで病気の有無を診断するテストです。方法は、両腕をバンザイするように挙げ、やや肩を落とした状態で指を曲げ伸ばします。この動作は正常な人でも両腕がだるくなりますが、胸郭出口症候群の人は耐えきれずに中断してしまうため、判断できます。

  • 3分以上の持続が可能

正常と判断

  • 30秒以下

胸郭出口症候群と判断

上記の運動負荷テスト、動脈圧迫試験が陽性で、頸椎や神経の病気ではない場合には、胸郭出口症候群と診断できるというわけです。

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胸郭出口症候群の治療方法

基準

胸郭出口症候群の治療法には、以下のようなものがあります。

非ステロイド性抗炎症薬

胸郭出口症候群の中でも痛みが強く出ている場合は、非ステロイド性抗炎症薬や筋弛緩薬、ビタミンB12製剤、抗不安薬などを内服することで治療します。ただし、胸郭出口症候群の基本治療は体操療法ですから、薬物による治療はあくまで補助的なものとして捉えられているようです。

神経ブロック

検査も兼ねた治療法で、痛みのある箇所に局所麻酔薬を注射することで痛みを抑えます。鎖骨上部の前斜角筋に麻酔を注射して効果があった場合には、斜角筋症候群と判断できます。頻度としては週に1回、期間は数ヶ月にわたって続けます。ただし、Roosテストを行い、腕を上げていられる時間が1分ほどの場合には、手術に踏み切ることもあるようです。

首や肩の筋肉を鍛える

症状が軽い場合や薬物療法によって痛みが軽減された場合、首から肩にかけての筋肉を鍛える体操療法に切り替えます。筋肉を鍛えることで鎖骨と肋骨の隙間が広がり、痛みが出にくくなるのです。

胸郭出口症候群の予防法

予防2

胸郭出口症候群は鎖骨と肋骨の隙間で神経が圧迫されることによって起こります。そのため、腕を酷使しないことや、首館の筋力を上げることが重要な予防法となります。ただし、何事も無理は禁物ですから、運動は無理のない範囲で行いましょう。

また、ストレスも症状悪化の原因になるので、できる限りストレスを溜め込まないことも大切です。ストレスを感じたら、好きなことをする時間を作ったり、アロマや入浴などでリラックス効果を高め、ストレスを軽減する方法を探してみてくださいね。

日頃から心がけること

長時間同じ姿勢を取らない

パソコン作業などの場合、、1時間に1回は休憩を取りましょう。肩や首、腕を回したり、背筋を伸ばしたりと、ストレッチをすると効果的です。

正しい姿勢を保つ

座る時は、あごを引いて背すじを伸ばすと、頚椎が自然なカーブを描き、負担が少なくなります。正しい姿勢は疲れにくいため、日頃から意識しましょう。

冷えを解消する

首や肩が冷えると凝りの原因なります。スカーフや肩掛けなどで冷房が直接当たらないようにしましょう。

同じ腕で荷物を持たない

荷物をかける時、どうしても安定感のよい側にかけがいです。しかし、いつも同じ側に荷物をかけていると負担が偏り、胸郭出口症候群になりやすくなりますから、できる限り交互にかけるようにしましょう。

まとめ

健康

いかがでしたでしょうか?胸郭出口症候群とは聞きなれない名前ですが、実は日頃感じている体の不調も、ただの肩凝りではないかも知れません。仕事でも趣味でも、パソコンやスマートフォンなどの電子機器を触る機会が多いですよね。ついつい同じ姿勢で、悪い姿勢で作業していることもあるかも知れません。意識的に体を動かし、胸郭出口症候群の予防に努めましょう。

また、すでになっている方、なっている疑いのある方は、放っておかず、早めに医療機関で診てもらいましょう。放置してよいことはありません。早期発見・早期治療を目指していきましょうね。

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