落屑とは?新生児の場合や皮膚に起こる場合、目に起こる場合について紹介!

落屑と聞いて、それが何かすぐに分かる方は少ないかもしれません。しかし、実はよく目にしているのです。

落屑とは皮膚の表面が何らかの原因によって、乾いた状態で剥がれたものを意味しますが、皮膚だけとは限らずフケのような沈着物も指します。生理的なもので一時的なものもありますが、重症化すると社会生活や生命維持に影響しかねない問題です。

形の大小は特に決まっていません。粉状のものもあれば、フケのようなもの、ウロコのようなものと様々です。眼の中で発生すると失明の危険性すらあるのです。ここで様々な落屑をご紹介しましょう。

年齢特有の落屑

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新陳代謝が大きく変化する年齢では、落屑が発生しやすくなります。健康な幼児の肌はハリがあって艶々しています。ここから少しづつ成長しても皮膚の組織が損なわれることはありません。人生で落屑しやすい時は大きく分けて二回あります。

それは、新生児期と高齢期です。それぞれ落屑の発生する理由が違うので同列に説明できませんが、年齢特有の症状であって誰しもがなりやすいという点で一致しています。

新生児の落屑

ほぼ90%の新生児が経験すると言われています。これは新生児の自然な現象で、病的なものではありません。数ある落屑の中で、一時的に発症して病気でないものというのは新生児の落屑くらいのものです。

厳密には、皮膚ではなく胎脂が剥がれていくものです。胎内から外界への環境変化に適応する過程で起こる、生理的な反応といっていいでしょう。ほぼ90%と書きましたが、残りの10%近くの新生児は胎内ですでに落屑済で生まれてきたとされる説が有効です。

生後1ヵ月頃から、着替えるたびにパラパラと粉のようなものが目につきます。皮膚から何かひび割れたような破片が剝けてくるのが分かります。初めてのお子さんで、周りにアドバイスしてくれる人がいないと親は驚いて心配します。

中にはゴソッと剥けたりもするので、それが顔面であれば親は病院に連れていかなければならないのではと気が気でありません。1~2週間でだいたい全て剥がれおちます。そこから本当にきれいなベビースキンになるのです。

ケアと注意点

対応として、何もしなくても構いません。むしろ、してはいけないのが正しいケアです。ささくれだっていると、剝いてあげたくなりますが決して剥がさないであげてください。そこから皮膚に裂けめができて感染を起こす可能性があるからです。

ただし、2~3週間しても落屑が終わらなかったら受診をお勧めします。ごくまれにですが遺伝性の疾患で、先天性鱗癬というのがあるからです。この場合、胎児期からすでに皮膚にごわつきがあり、新生児期もそのごわつきが見られます。難病に指定され、根治療法は確立されていません。

老人性乾皮症

高齢化すると皮膚の新陳代謝が低下するので、様々なトラブルを伴います。やたら湿度が高くて腫れものができやすい方もいれば、乾燥してパサパサする方もいます。着替えを手伝ったりシーツを交換する時に白い粉が舞い上がって驚くことがあります。

これは乾燥して剥がれた皮膚なのですが、ウロコのようなものや粉末状のものも多く見られます。これ自体は決して病気ではありませんが、皮膚が薄いので剥がれたところから裂け目ができて感染症を起こす可能性があります。また、痒みがでれば引っかいて傷ができ、そこから出血して皮膚を損傷することもありますので観察は必要です。

予防のポイント

お風呂上りの後は皮脂を失って、後で乾燥する可能性があるので石鹸は弱酸性をお勧めします。洗う時も、既に落屑によってトラブルのあった箇所は決してこすらないようにしましょう。入浴後タオルで拭く時も、こすらずに抑えるように拭いていけば落屑を増やさなくてすみます。

その後、保湿クリームかベビーローションを塗れば落屑予防に有効です。入浴ができない方で清拭ケアをされる場合は、普通のタオル地でなくガーゼ生地の方が皮膚に優しいので落屑を作りにくいのでお勧めです。

最近は生地も発達して、木綿でなく化学繊維製の下着が出回るようになりました。着ているだけでポカポカして通気性がいいという、高齢者に喜ばれる素材です。ただ、これも落屑の元になる場合が多いので手放しでは喜べません。このような下着を着用する場合は、あらかじめ保湿クリームを塗っておきましょう。

皮膚科の落屑

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痒い、フケのような落屑で不愉快というような理由だけでなく、落屑を嫌う理由は深刻です。それは社会生活を営むのが難しいからです。対人の仕事では外見が痛々しい、あるいは何か感染するのではないかという誤解を生みかねません。

うつるような理由は何もありませんが外見から警戒させてしまう事も少なくありません。対人相手でお客様関係の仕事においては好意的なアピールができないと、サービスにおいても営業においても不利になります。

ただ社会的な生命だけでなく実際に生存に関わりかねない落屑も存在します。ここでは病的な落屑が見られる症状についてご説明します。

乾癬

乾癬というのは炎症を起こした皮膚が、角質化してから、うろこ状に剥がれて落屑となる病気です。年齢的になりやすいというより、遺伝で体質的に発症したり、薬の副作用や内科的な病気を発症して併発したりするものです。

いろいろとタイプはありますが、見た目に目立つので本人も周りの人も感染するのではないかと心配されます。結論からいうと、どの乾癬もうつりません。現在では治るケースも増えていますが、長期の治療を要する疾患であることも、どの乾癬も同じです。

よく理解していただきたいことは、決してうつさないということです。病的ではありますが、感染力は持ちません。逆に、感染されないように気をつけてほしい疾患です。

尋常性乾癬

まず発赤が身体のあちこちにできてしまいます。だんだん赤みの大きさが増して、直径1センチ〜数センチの赤みの輪ができます。その輪の中に、鱗屑といって白っぽくてテカテカした剥離皮膚ができます。一つ一つは数も大きさもバラバラで、これといった統一性はありません。

広がるにつれて尋常性乾癬じたいが合体して巨大化する病気です。痒みは半数近くが訴えます。好発部位は、肘、膝、頭などが主ですが体幹部も大きく発症しています。

詳しくは、尋常性乾癬とは?症状、原因、治療方法を詳しく!を参考にしてください!

関節症乾癬

これは関節炎と乾癬の合体版です。乾癬を伴う関節炎手足によくできれば、社会で積極的にコミュニケーションを取ることはだんだん億劫になってしまいがちです。

これがもし、脊髄や仙腸関節に発症していれば、腰痛になってしまう可能性もあるので早く受診して周辺の症状に移行しないよう、努めてください。

紅皮症

病気が原因となって、皮膚に異常ができた症状の名前を紅皮症といいます。皮膚が落屑することから剝脱性皮膚炎とも呼ばれています。どの病気が原因であっても、紅皮症となってから慢性化、重症化すれば皮膚のバリア機能が損なわれてしまいます。

皮膚は外界から体内を守るための調節機能を司ります。皮膚が落屑すると、外界からのウイルスや様々な菌を防ぐことができず感染リスクが高くなります。防壁としての役割だけでなく、外気温と体内の温度を調整するという機能を損なうので、自律神経もバランスが取れません。

皮膚の上に固定されているものも落屑と共に剥がれていきます。爪と髪が抜けて、再生しなくなるのです。失うのは爪と髪だけではありません、体内の水分とタンパク質も皮膚で留めておくことができなくなります。

アトピー性皮膚炎が重症化した紅皮症

このケースが大半で、紅皮症発症原因の約半数を占めます。アレルゲンによって対処法も異なりますが、自分がアトピーなのは知っているけど、長引く治療が嫌で(あるいは長期投薬が怖くて)治療をせずにアトピーを放棄してきたことが主な原因です。

長期的な治療になるので、薬を飲み続けることが不安であれば薬剤師に相談しましょう。引っ越しや転勤など、環境が大きく変わることによるストレスも重症化につながります。

乾癬性紅皮症

先ほどご説明した乾癬が各部で巨大化し、皮膚表面を覆うようになると紅皮症になります。つまり、長期化して慢性になれば名称が変わるわけですがリスクも変わります。度重なる落屑によって、火傷の痕の皮膚と似た状態になり、皮膚の機能が果たせません。

問題は、それが部分的なら他の皮膚で補えますが、表面積が大きいと皮膚呼吸機能にも影響することです。ただでさえ乾癬は長期化しやすい皮膚疾患ですが、紅皮症にならないよう治療を継続することが重要です。

紅皮症薬疹

薬物投与によって発症する紅皮症です。一気に反応が出るものと、徐々に反応が出てくるものとに分かれます。

抗生物質に反応して紅皮症になった場合は、すぐに皮膚に症状が現れてきます。そのために因果関係が証明されますが、異常脂質病や糖尿病の薬などは長期間服用する間にじわじわ症状が出るので認識するのに時間がかかります。抗生物質を投与される前に、薬物アレルギーの経験があればしっかりと医療関係者に伝えましょう。

治療法としては、失った皮膚機能のために消毒に徹することが基本になります。そのうえでステロイドの外用薬を患部に塗布しますが、皮膚機能が損なわれると皮膚を経由して体内に薬理物質を吸収することが難しくなります。このため、ステロイドを内服するようになりますが副作用を確認しながら量を調整することになります。

もともと病気があって紅皮症になった場合、必要な薬とステロイドとの兼ね合いで処方が難しくなります。急激に悪化した場合、無菌室に入院しなくてはならないので初期に治療を徹底して継続することが重要になります。

小児科の落屑

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皮膚の疾患が体内の異常を反映するものも多くあります。その中で落屑として警鐘を鳴らす小児科の病気が、川崎病です。早期発見、早期治療でないと重篤な心疾患を発症する可能性があるので、専門医は注意を呼び掛けています。

典型の症状といわれる落屑の症状になる前に、耳鼻咽喉科や眼科へ行かずに小児科へ行かれることをお勧めします。

川崎病

いろんな症状が次々と急に出て、何だろうと言っているうちに指先の皮膚がポロポロと落屑して川崎病と確定することが多い病気です。

小児科の病気で毎年1万3000人以上が発症し、早期に治療をしないと後に冠動脈瘤を併発するという恐ろしい病気で知られています。

発病して6つの症状が現れますが、その最後が落屑です。まず第一に、急な原因不明の高熱が5日以上も続きます。次に両目の眼球の白眼が充血します。目ヤニはなく、血管の一本一本が際立って血走る特徴があります。

口周りにも異常が現れ、唇が紅く荒れて舌がイチゴのようにプツプツの発疹が出ます。そして全身にまだらな発疹が出ます。手足の先がパンパンに腫れて硬くなり、そのために皮膚がテカテカに見えます。これが10日~1ヵ月も続きますが、その後で回復期に入ります。

詳しくは、川崎病の後遺症とは?症状や予防方法についてを読んでおきましょう。

膜様落屑

この回復期から始まるのが落屑です。指先と爪の間から皮がめくれて落屑します。これを膜様落屑といいます。冠動脈瘤を予防するためには発病後4~5日の治療開始が一般的なので、この時点で川崎病を疑うのは遅いくらいです。

両手の指先から爪の間だけが落屑します。経験のない方でも、異常を察知するのは難しくありません。

しかし、この膜様落屑こそが川崎病の証でもあるので、他の診療科にかかっているのなら早急に小児科での受診をお勧めします。症状が多岐に渡り、あっという間に過ぎた場合は受診が遅れる可能性があります。しかし、この膜様落屑が医師に川崎病を教えてくれるので、大きな確定要因になります。

眼科の落屑

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落屑は皮膚疾患だけではありません。皮膚疾患の落屑がフケであるなら、眼の水晶体表面にもフケができます。正確にはフケのような沈着物ですが、高齢化するにつれて発症リスクが上がってきます。

失明の原因として常に上位にあり、早期発見・早期治療により予防可能とされています。皮膚疾患と違って体温調整や外界との異物バリア機能には影響しませんが、視界に光を失うというのは大きな損失です。ここでは眼の落屑についてご説明します。

落屑症候群

50歳以上の中高年齢者に多く発症します。水晶体をグルリと環状に貼りつくように落屑が溜まります。これが縁内障や水晶体偏位などをひき起こし、後に失明原因になると恐れられています。

落屑、沈着する、などのキーワードから患者にすれば「眼がフケだらけになって失明する!」というイメージで診断名を受け入れがちですが、そんなことはないと専門科は断言します。落屑は、体液と共に若干、排泄されるからです。皮膚なら剥がれて体外に出ますが、眼中では体液の流れで排泄する機能が働きます。

落屑は眼のピン小体の働きを阻害し、白内障の手術を妨げたり、術前の散瞳薬の利き方を悪くします。縁内障になりやすいことと、フケがたまって失明する、というのは全く別の話です。

初期の自覚症状は全くありません。ただ老化の特徴としてとらえ、定期的に診断しておくことはお勧めです。視界に不具合が発生する前であれば予防の方法が多く選択できるからです。

偽落屑症候群

これは名の通り、落屑症候群みたいなものという表現です。

単なる老化というより、体質的なものが起因し、高齢化で発症します。70歳以上は5%が発症するといわれ、そのうち20~60%が縁内症に進行するといわれています。瞳孔縁や水晶体表面に白い粉状の沈着物が膜のように貼りつきます。この落屑のようなものの物質は原因不明です。

この体質は白内障や縁内障に罹りやすく、手術にもリスクが存在します。毛様小体が弱くなりがちで散瞳しにくく、術後も腫れが引きにくかったり、傷口の治癒が遅れます。

これも一気に進行するのではなく加齢に伴い発症するので、自発的な定期健診が有効です。この症状の特徴としては手術しにくい、術前・術後も何かとトラブルになりがちなので悪化させないことが重要です。

落屑縁内症

予防可能な失明原因でありながら、失明原因としては世界第2位です。高齢者に多いのですが遺伝的な要因も多いとされています。70歳で100人に一人ともいわれています。

遺伝性が高いようでしたら、高齢者の身内にこの病名の患者がいた場合は早いうちからの定期健診が最も有効です。落屑症候群が発生しやすい50歳くらいから心がけると安心です。

この縁内症は偽落屑症候群によって生じる縁内症で、偽落屑物質によって房水の流水機能が損なわれて眼圧が上がってしまいます。レーザー治療が必要になってきます。

早期に発見して治療を開始し、予防に徹して観察を怠らなければ恐れることはありません。知っているかどうかがカギになる病気です。

まとめ

一口に落屑といっても原因は様々であることがご理解いただけたかと思います。原因だけでなく発症する場所も皮膚だけでなく目の中までいたります。皮膚科、小児科、内科、眼科と専門科も多岐にわたり、早期発見が重要と言いながら、これが発見を遅らせる要因の一つになっているのです。

しかし、少なくともここで書いた内容がキーワードになれば早期発見のヒントにはなります。経験の有無や知っているかどうかだけでも後々に大きな結果として現れてきます。落屑というのは不要と身体が認識した物質、あるいは老廃物が代謝して浮き出てくるものです。

その原因が年齢的なものであったり、病的なものであったりしますが注意深く観察して早期発見に努めれば、むやみに恐れる必要はありません。

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これらを読んでおきましょう。

  
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