アタマジラミの原因とは?症状や駆除する方法はなに?予防方法も知ろう!

以前、インターナショナルスクールで日本語を教えていた時、授業中に「Lice」という校内放送が、何度かありました。

「シラミが発生している」という警告です。マニュアルに従って、子供達の頭を調べると、銀白色のフケのようなものが髪の毛についています。おそるおそるシャーペンの先でつついてみると、動きません。「ギャア!シラミの卵だァ!」という悲鳴を、必死で呑み込んだ覚えがあります。

有名な私立小学校でもアタマジラミが流行して、大騒ぎになりました。「シラミがたかるのは、不潔な狭いところに大勢がかたまって暮らすから」という、終戦後間もない頃の常識は通用しません。極めて清潔な環境で暮らしていても、アタマジラミは発生します。

こんなに清潔な日本で、なぜアタマジラミが流行るのか・・・その原因や感染経路、対処方法について、お伝えしますね。

アタマジラミが流行する原因

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アタマジラミなど遠い昔の話と思っていたら、最近、幼稚園や小学校でアタマジラミの流行が問題になっています。

[アタマジラミとは・・・]

シラミの仲間は1000種類もいます。人に寄生して血を吸い、いろいろな害を与えるのは、ケジラミとヒトジラミの2種類です。ヒトジラミには、アタマジラミとコロモジラミがあります。

ケジラミは、成人の体毛(主に陰毛)にたかって、血を吸います。アタマジラミとコロモジラミは形状がよく似ています。コロモジラミは衣服について、人の血を吸います。

アタマジラミは、頭髪の根元にしがみついて、頭皮から血を吸います。頭髪に卵を産みつけます。子供の頭によくたかりますが、大人にも寄生します。

アタマジラミの成虫は体長2~3㎜程度で、透き通ったような灰白色をしています。血を吸うと、血の色のせいで黒っぽく見えます。卵は銀灰色で、フケのように頭髪についています。フケは、シャーペンの芯先でつつくと動きますが、アタマジラミの卵は頭髪にこびりついているので、全く動きません。

卵は1週間程度で幼虫になります。幼虫は3~4週間で成虫になり、成虫は30~45日くらい生きます。卵が孵化すると、2ヶ月強、頭に棲み、血を吸い続けます。1匹の成虫が1日に5~6個の卵を産みますから、あっという間に増えてしまいます。

アタマジラミは人から離れると、吸血できないので生きられません。頭髪から落ちると、2~3日で死んでしまいます。

アタマジラミは人にしか寄生しません。犬や猫などペットについたシラミが人間の頭につくことはありません。

コロモジラミは発疹チフスと回帰熱という伝染病を媒介します。アタマジラミも発疹チフスを媒介することがありますが、極めてまれです。

[アタマジラミが再び流行するようになった原因]

第二次世界大戦中、そして終戦間もない頃は、アタマジラミのたかっている子供など珍しくもありませんでした。日本が戦後の経済復興をとげ、高度成長時代に入る頃から、アタマジラミを見ることもなくなりました。昔は、子供の頭にDDTをかけてアタマジラミを退治していましたが、そんな光景も少なくなり、1981年にDDTの製造・使用が禁止されました。

ところが、1度はほとんど見かけなくなったアタマジラミが、再び大流行するようになりました。1994年から、アタマジラミが増殖傾向にあります。2000年頃から流行し始め、2007年に流行のピークを迎えました。その後、アタマジラミは減少しましたが、2012年から再び流行するようになりました。2012年には815件だったのに、2014年には1602件と倍増しています。2015年、2016年と流行は止まりません。

アタマジラミ流行の原因は、いくつかあります。

まず、アタマジラミについて知識のある人間が少なく、シラミが大繁殖するまで気づかないためです。子供の母親も医者も、アタマジラミについての知識や経験が乏しいため、駆除が中途半端に終わったり、感染を防げなかったりして、流行をくり返してしまうのです。

また、国際化が進んだために、海外に行く機会が増えたり、海外から日本を訪れる人が多くなっています。海外では、アタマジラミが珍しくない国もたくさんあります。海外に行った時に、知らずに感染して国内に持ち込むこともあります。アタマジラミを持ち込む外国人と接触して、感染することもあります。

空調設備が進化普及したおかげで、一年中、快適な温度・湿度で暮らすことができます。人間にとって快適な状況は、アタマジラミも棲息しやすいのです。アタマジラミは、高温多湿が苦手です。エアコンで快適に整えた室内で、繁殖しやすくなります。

アタマジラミについて

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アタマジラミが流行するのは、人から人へうつるからです。でも、アタマジラミは、カやハエのように飛び廻ることはできません。ノミのように跳ねて飛び移ることもできません。アタマジラミがうつる原因は、人と人の接触です。

[アタマジラミの症状]

アタマジラミは人にたかります。成人にも子供にも寄生しますが、特にたかりやすいのは、幼稚園児や小学生(3~10歳の子供)です。

症状は、「頭がとてもかゆい」ことです。子供が小さな手でしきりに頭をかいていたら、アタマジラミを疑ってください。頭髪をかきわけて、髪の毛の根元をよく見れば、アタマジラミが見えます。毛髪についている卵もわかります。

アタマジラミが血を吸う時に出す唾液の成分とアレルギー反応によって、激しい痒みが起きます。数㎜くらいの大きさで盛り上がりができることもあります。

激しい痒みのために、注意力が散漫になったり、不機嫌になったり、よく眠れなくなったりします。かゆいので、かきむしると、傷になって、細菌感染を起こすことがあります。細菌感染を起こすと、リンパ節が腫れたり、いわゆるトビヒ(伝染性膿痂疹)になったりして、悪臭が生じることもあります。

トビヒ(伝染性膿痂疹)は全身に広がります。家庭での治療は無理なので、できるだけ早く皮膚科に行くことをオススメします。

[アタマジラミになる原因]

「いつも清潔にしているのに、なぜ、アタマジラミなんかになるのかしら?」と言うお母さんが多いですよね。アタマジラミになるのは、清潔・不潔は関係ありません。毎日シャンプーして清潔にしていても、アタマジラミはうつります。

➀頭と頭が接触する

子供達は、遊んでいる時や話している時、寄り添って頭をくっつけていることが、よくあります。幼稚園や保育園でお昼寝する時なども、よく頭がくっついています。頭と頭がくっつくと、アタマジラミがうつります。

子供がママにしがみついたり、頬を寄せたりすると、頭と頭が接触してアタマジラミがうつります。子供から母親へうつることもあれば、母親から子供へうつることもあります。

満員電車や混雑したバスなどで、髪の毛が接触して、アタマジラミがうつることもあります。

②タオルや帽子など物を仲介にしてうつる

シラミが発生している人間が使った物を通して、アタマジラミがうつります。

給食帽や水泳帽を貸したり借りたり、頭髪をふくタオルを共用したりすると、帽子やタオルを通してアタマジラミがうつります。枕・シーツ・寝具・帽子・スカーフ・マフラー・バスタオルやハンドタオル・クシ・ヘアブラシなどの貸し借りや共用は、アタマジラミがうつる原因となります。

体育で使うマット、保育園や幼稚園のお昼寝枕やタオルケット、自動車などのヘッドレストからも、アタマジラミがうつります。私は2歳の頃(終戦後、間もない頃)、電車の座席の背もたれからアタマジラミがうつりました。

③家族や友達の間でアタマジラミをやりとりする

家族の1人にアタマジラミが発生すると、家族全員に発生していると考えられます。アタマジラミが見つかった人だけを駆除しても、アタマジラミは消滅しません。駆除していない家族から、アタマジラミをもらうのです。

アタマジラミを駆除する時は、家族全員しなければ、効果はありません。

アタマジラミを駆除して2週間程度経つのに、シラミの卵が増えたり、痒みが収まらない時は、幼稚園や学校、職場でアタマジラミが発生している疑いがあります。アタマジラミをうつしたり、うつされたりしているのです。

[アタマジラミについての誤解]

アタマジラミの原因について、誤解していることが多いようです。

誤解1アタマジラミは、貧しい不潔な生活をしていると、発生する

アタマジラミの発生は、貧困や不潔さとは全く関係ありません。不潔にしていると、アタマジラミに気がつかないとか、貧困のため、駆除できないということはあります。清潔にしていても、アタマジラミはうつります。

誤解2アタマジラミはプールや風呂屋でうつる

アタマジラミは頭髪の根元にしっかりしがみついているので、水中やお湯の中でうつることはありません。ただ、アタマジラミは水中でも死ぬことはありません。60℃以上のお湯の中でないと、死にません。

プールやお風呂屋さんでうつるように見えるのは、タオルやバスタオルを共用したり、クシやヘアブラシ、水泳帽などを貸し借りするからです。

誤解3アタマジラミは高温多湿の夏によく発生する

アタマジラミは高温多湿が苦手です。むしろ、乾燥した涼しい気候を好みます。一年を通じて繁殖します。ただ、夏になると、帽子やタオルを貸し借りする機会が増えるので、アタマジラミを発見することが多くなります。

「雨が降ると、シラミが増えなくなる」と、大先輩の教師が言っていました。彼女は、戦時中、疎開地で子供達のアタマジラミの駆除に苦労したのです。

アタマジラミを駆除する方法は?

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アタマジラミを駆除するには、駆除剤と洗濯が一番です。

[スミスリン・シャンプーかスミスリン・パウダーを使う]

アタマジラミの駆除には、スミスリン・シャンプーかスミスリン・パウダーを使います。シャンプーとパウダーでは、多少使用法が違いますが、どちらも髪の毛を洗う時に使います。子供の場合は、使用法通り使えないこともあるので、お母さんが洗髪してあげることをオススメします。

スミスリンは、成虫と幼虫を駆除できますが、卵には全く効きません。最低2週間はスミスリンを使い続ける必要があります。同時に、シラミ駆除用のクシ(薬局で販売)を使って、アタマジラミの死骸や卵を梳き落とすようにします。

日本のアタマジラミにはスミスリンに耐性を持つものがいて、効かないことがあります。1~2週間経っても、駆除できない時は、皮膚科のお医者さんに相談してください。

[家族全員の徹底的な洗濯と消毒]

家族の1人にアタマジラミが発生した時は、全員に発生していると考えます。

家族全員のヘアブラシ・クシ・ヘアピンなどを、スミスリン・パウダーを溶かした60℃以上のお湯に5分程度浸けておいてから、洗います。枕カバー・シーツ・タオル・衣服なども、スミスリン・パウダーを溶かした60℃のお湯で洗濯します。洗濯した後は、20分くらい乾燥機にかけると、さらに効果があります。

洗濯できない衣類は、ドライクリーニングに出します。マットレスやカーペットには、ていねいに掃除機をかけたり、スミスリンパウダーを溶いたお湯で拭いたりします。人形やオモチャはビニール袋に入れて2~3週間放置すれば、アタマジラミは血が吸えないので死にます。

[アタマジラミの予防法]

アタマジラミは、どんなに清潔にしていてもうつります。でも、予防法は、こまめにシャンプーすることです。子供さんは、なかなか独りできれいに洗うことができないので、時々、お母さんがシャンプーしてあげて、アタマジラミの有無をチェックしてくださいね。

帽子やタオル、枕やシーツ、ブラシやクシなど、家族で共用したり、友達と貸し借りするのは避けるようにします。

まとめ

最近、アタマジラミが再び大流行しています。アタマジラミはだれにでも発生し、だれにでもうつります。どんなに頭髪を清潔にしていても、うつる時はうつります。

現代は空調が発達しているので、アタマジラミは、一年中快適な状態で繁殖できます。海外から持ち込まれて流行することもあります。医者も含めて、アタマジラミをよく知らない人が多いので、大流行しやすくなっています。

アタマジラミは、頭髪の接触でうつります。子供達は頭を寄せ合うことが多いので、1人に発生すると、すぐに大流行してしまいます。また、帽子やタオルなどをいっしょに使ったり、貸したり借りたりすると、アタマジラミがうつります。枕やシーツなどの寝具、マットレスやヘッドレストなどからでも、うつります。

アタマジラミがたかると、頭が痒くてたまりません。ひっかいて頭皮を傷つけると、細菌感染を起こすことがあります。

アタマジラミは子供に発生することが多いものです。子供が頭を痒がったら、アタマジラミを疑ってくださいね。

  
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