口囲皮膚炎と言う病気を聞いた事ありますか?10歳代から60歳代の女性に起きる皮膚病で、閉経前の40歳代に一番多くみられる病気です。
小丘疹(しょうきゅうしん)と言う、口の周りに粒々の湿疹ができて、小膿疱と言う小さな膿を持ったおうとつのつぶで、鱗屑(りんせつ)の薄皮がむける状態の、紅斑ができる皮膚病です。
口囲皮膚炎に気がついたら、出来るだけ早く皮膚科にいかれる方が良いです。化粧や合わない薬をぬったりすると、余計酷くなります。原因の多くは副腎皮質ステロイド薬を長期使用した結果にできる事が多いですが、その他にも沢山の原因があります。
症状によっては入院も必要となります。症状を知って早めの処置をしませんか?
口囲皮膚炎とは
◆口囲皮膚炎は妊娠可能な10代から60代の女性に多い病気です。閉経前の40代の女性に一番多く見られます。
◆合わない化粧品や副腎皮質ステロイド薬を、長期使用する事による皮膚炎ですが、口の周り、鼻の周り、目の周りなどに小さなぶつぶつができ、膿が溜まって出来た膿疱や、フケの様に皮の向ける鱗屑の症状が出ます。
◆口の周りの皮膚は皮脂の分泌量が少なく、皮膚の筋肉を良く動かす部分の上、皮脂が薄いうえに乾燥しやすく、刺激を起こしやすい場所です。ニキビや酒さ皮膚炎に似ています。
◆食べ物を食べて口の周りを拭かずに日光に当たると、日光の紫外線によって皮膚が炎症を起こしてしまいます。余り酷い汚れでなくても、少しずつの積み重ねで、口の周りの皮膚は免疫がおちて炎症しやすくなります。
その為にも口の周りは食べ物を食べた後は、軽くふき取る癖をつけておくと良いですね。
◆肌はビタミンやミネラルが不足すると、刺激を受けやすくなります。肌荒れを起こさない為には、ビタミンCやミネラル不足を起こさない事が、口囲皮膚炎の予防になります。
口囲皮膚炎の原因
◆口囲皮膚炎の原因で一番多いのが、副腎皮質ステロイド薬の副作用として、症状が出る事があります。長期間副腎皮質ステロイド薬を使っていると、副作用として皮膚の炎症を起こす、口囲皮膚炎が出てきます。
◆元々副腎皮質ステロイド薬と言うステロイドの薬は、局部の炎症を抑える為強い薬で、副作用もでます。それだけに量と長期の使用はやめた方が良いのです。
◆局所が酷い炎症を起こしている時には、ステロイド薬はとても強い味方ですが、それをいとも簡単に、どこでも長期に使い続けると副作用を起こします。
ですからこの様な強い副腎皮質ステロイド薬等は、医師の指示のもとに使うのが一番有効におもいます。良く効くからと少し炎症が起きただけで使い続けると、薬はだんだんと効かなくなり、もっと強い薬が必要となります。
◆生理や妊婦などの体調の変化が起こった時や、日光による紫外線の影響の日光暴露の様な場合や、合わない化粧品や薬を使っている時、また皮膚の表面にいる細菌叢、毛包虫等が原因で起こる事があります。
副腎皮質ステロイド薬が原因の場合
副腎皮質ステロイド薬を長期使用して、口囲皮膚炎になった場合は、副腎皮質ステロイド薬をやめる事が必要となります。
副腎皮質ステロイド薬を中止しないと、口囲皮膚炎は良く成りません。しかし副腎皮質ステロイド薬が効いている、疾患との兼ね合いもあるので、医師の指示のもとに、注意深く行う事が大切です。
急にやめると皮膚乾燥、落屑、疼痛等により、副腎皮質ステロイド薬を使っていた疾患が悪くなる事もあります。またやめると副作用が強く出てきますので、入院したり数ヶ月かかって、中止する事になります。
副腎皮質ステロイド薬をやめる事で、症状が一時的に悪く成り、ひどい灼熱を伴う炎症を起こす事もあります。その為社会生活ができなくなり、入院して治療しなければならない事もあり、期間的には数ヶ月かかります。
この為ステロイド薬をやめる途中の、灼熱の痛みを伴う症状が出る事で、患者としては不安がでてしまいますが、これは一過性の事で、この状態が過ぎると新しい肌がでてきます。
塗り薬または化粧品が原因の場合
◆塗り薬や化粧品が原因の場合、肌に触れる事による接触皮膚炎の場合があります。接触皮膚炎は皮膚についた、成分による刺激やアレルギーによるもので、刺激物が必要以上に皮膚についた場合に起こる急性毒性皮膚炎と、弱い刺激で何度も繰り返されて起こる、慢性刺激性皮膚炎とがあります。
◆急性毒性皮膚炎は灯油かガソリン、有機溶剤、家庭用のアルカリ性の物、業務用の化学物質などが原因となります。慢性刺激性皮膚炎は洗剤や柔軟剤、リンスや石鹸などの日常的に肌に合わない弱い刺激の繰り返しが原因となります。
◆接触皮膚炎は皮膚に直接、特定の物質が振れる事により起こります。特定の振れた部分が非常にかゆくなり、場所も特定されます。それを放置していると、体全体に広がっていきます。
◆刺激性皮膚炎は80%が化学物質によるものです。痛痒い症状がでます。化学物質で皮膚炎を起こす場合はすぐに異常が出るものと、長時間かかって異常が出るものとあります。
◆塗り薬や化粧品、保湿剤等原因となる物質を取り除く事が大切です。塗り薬や化粧品に入っている成分を良く調べ、先生に何がアレルギー反応を起こしているか原因を良く聞いて、その成分の入っている薬や、化粧品を使わない事が大切です。
毛包虫(もうほうちゅう)による炎症が原因
毛包虫は真菌でダニの一種の常在菌です。毛包虫は私達の顔の表面に位置する、真菌の常在菌です。200万匹の常在菌のダニが、正常な顔にはいます。
大きさは0.2~0.3㎜で、一つの毛穴に5~6匹巣をつくっています。毛包虫が毛穴の奥にある、毛根を包んでいる部分に、毛包虫が炎症を起こします。
皮膚の表面の細菌叢が原因
細菌叢とはこれも皮膚に存在する微生物です。毛包虫は毛穴に存在するのに対して、細菌叢は皮膚の表面に存在する微生物の一群です。これらの微生物が炎症を起こす事で、口囲皮膚炎の症状がでたりします。
主にブドウ球菌が毛穴に傷がついたり、皮膚が湿った状態で長く放置されたとき、炎症を起こして口囲皮膚炎の、症状を起こさせることもあります。
その他の原因の場合
体調の変化、湿度の急激な変化、ストレス、刺激物等免疫が弱い時に発疹する事が多くあります。日光暴露(日光にさらす)や生理、妊娠などの体調の変化等が、関係しています。
副腎皮質ステロイド薬を長期使用、使用以外の原因では1ヶ月ほどで治るそうです。口囲皮膚炎の症状は短期間で治りますが、副腎皮質ステロイド薬の、合併症の場合は数ヶ月かかります。
口囲皮膚炎の症状
口囲皮膚炎の症状は、まず顔全体が赤くなります。そして口の周りに湿疹ができます。赤みを帯びた米粒ぐらいの、でこぼこのある湿疹を丘疹と言います。また黄白色の膿が溜まって出来た膿疱や、銀白色のフケの様に、皮がむける鱗屑等の症状がでてきます。
症状は唇と鼻の周りから発症し、徐々に口の周りに広がります。また眼の周りや額の近くまで広がります。唇には広がりません。
口囲皮膚炎の治療
副腎皮質ステロイド薬を多量に使用しない事が大切です。化粧品や合わない塗り薬などは、症状をより悪化させますので、医師とよく相談して、気長に副腎皮質ステロイド薬をやめる事が大切です。
薬としてはテトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン、ビブラマイシン)等の内服が薬として処方されます。イソトレチノインのにきび用の薬が、良く効く事もあります。
ドキシサイクリン50~100mg、ミノサイクリン50~100mg等1日2回投与することがあります。
免疫弱者の場合は副腎皮質ステロイド薬をやめても治らない場合があります。この様な人は免疫活性化を心がける治療をしなければなりません。
治療の方法
症状が小さい場合
治療の方法には症状により色々あります。症状が少なく、たまに出る場合は自然治癒しますので治療はしない方が良いです。
度々出たり、症状がきつい場合痛みがあったり、かゆみがあったりする場合は、抗菌薬の化膿止めの飲み薬を3~4日服用します。
プロトニック軟膏
アトピーの治療で副作用がなく、痒みもないので、首や顔にプロトニック軟膏がよくつかわれます。ただヒリヒリやほてり等皮膚の、刺激感が出る場合がありますが、これは皮膚が回復するにつれて3日程度で良く成る様です。
ワセリン
ワセリンは皮膚を柔らかくする効果があるので、ワセリンが使われる場合があります。市販で購入するより、病院で診てもらって処方してもらう方が、金額的にもやすく、間違いないです。
脂性の化粧品や、保湿剤、ステロイド薬を使うと悪化する事があります。
口囲皮膚炎の予防
口囲皮膚炎の予防は、早めに皮膚科を受診する事です。少しの口囲皮膚炎は自然治癒する事もあるそうです。
しかし長引いたり、沢山出来た場合は、また慢性的に症状が続く場合、自分で何かの薬をぬるとか、化粧品で隠すとかしていると、余計に酷くなるので早めに皮膚科を受診する事が大切です。
アレルギーによる予防は、はじめは皮膚があたる部分のみに症状が現れますが、それを放置していると、だんだんと面積が増えて行きます。早めの対処が肝心ですので、口囲皮膚炎かな?と思った場合は、自分で色々工夫しないで、早めの皮膚科受診をお勧めします。
まとめ
口囲皮膚炎についてみてきました。口囲皮膚炎は何かの刺激により、また副腎皮質ステロイド薬を長期使用した結果によって、口の周りにできる粒々の膿を持ったニキビの様な湿疹です。
原因は沢山ありますが一番多いのが、副腎皮質ステロイド薬を長期使用して、起きる原因が多くまた回復も遅く、一時的に症状が悪化する事もあります。
軽い口囲皮膚炎は自然治癒する事もありますが、口囲皮膚炎が起こったら、合わない薬や化粧品で何かすることで、かえって症状を悪化させる事もありますので、自己判断せずに早めに皮膚科で診察してもらう事が大事です。