川崎病の後遺症とは?症状や予防方法について

聞き慣れない「川崎病」という病気。どんな病気なのかわからない方も多くいると思います。子供がかかりやすく、大人になっても発症する可能性があります。

川崎病になると、全身の血管に影響を及ぼすので場合によっては心筋梗塞にかかり、死に至る危険もあります。ここでは川崎病になってしまった場合の治療法、川崎病が引き起こす後遺症、そして後遺症を防ぐためにはどうしたらよいのかを見ていきましょう。

川崎病とは?

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川崎病とは4歳未満の子供がかかりやすい、原因不明の病気です。ウイルスや細菌に感染し、それを防ごうとして免疫の反応が起こり全身の血管が炎症を起こすのではないかと考えられています。女の子より男の子の方がかかりやすいとも言われています。

全身の血管が炎症を起こし、高熱が続きます。子供の頃にかかり大人になって再発することもあります。

川崎病の初期症状

川崎病

川崎病の初期症状は6つあります。

  • 5日近く発熱(38度以上)がある
  • 全身に発疹がある
  • 手足が腫れる、熱が下がった後に手足の皮膚が剥ける
  • 唇が赤く腫れたり、舌がぶつぶつする
  • 首のリンパ筋が腫れる
  • 両方の目が充血する

このうち5つ以上に当てはまる場合、もしくは4つ以上と冠動脈瘤(かんどうみゃくりゅう)という心臓に栄養と酸素を送る重要な血管である冠動脈にコブがある場合は、定型の川崎病と診断されます。症状がこれらに当てはまらずに、他の病気の疑いもない場合は、非定型の川崎病と診断されます。

子供の場合は小児科へ、大人の場合は循環器科へかかるとよいです。

川崎病の後遺症とは?

川崎病 後遺症

では、ここで川崎病の後遺症について紹介します。

冠動脈障害

川崎病の急性期(先ほど述べた川崎病の初期症状)に冠動脈にコブができてしまい、血栓が発生してしまうことが要因となり、血管の壁が厚くなってしまうことで血管が狭くなります。そうなることで心臓に必要な血液を届けることが出来なくなるという障害です。

急性期の症状と同時に冠動脈に血管の炎症が起こります。そして以下の3つの場合に分かれます。

  • 1〜2週間ほどして血管の炎症のみでおさまる
  • 血管の拡張(通常3ミリ以下)が起こる
  • コブが出現する

コブは数ヶ月、もしくは数ヶ月から数年経ってコブが見られなくなる場合と、コブが残ってしまう場合とに分かれます。

冠動脈障害は年数が経つにつれて変わっていく場合があるので、定期的に検査を受ける必要があります。

血栓ができる

乳幼児の冠動脈は通常太さが2ミリ以下ですが、川崎病にかかると10ミリ以上になることもあります。この状態だと冠動脈が障害を受け、血栓ができやすくなります

急性期や回復期には血栓を作る血小板が増えたり、血小板とともに血栓を作る凝固因子の活動が活発になります。

川崎病を発症してから1年半以内にコブの中に血栓ができて生じる心筋梗塞は多く起こります。

冠動脈狭窄(かんどうみゃくきょうさく)

川崎病は治る過程で血管の壁が分厚くなります。これが進むと血管の内側の幅が狭くなって いってしまうことがあります。心臓に栄養と酸素を送る重要な冠動脈にコブができてしまい、血液の流れが悪くなってしまいます

急性期にできた冠動脈のコブが一時的なものであった場合は、血液壁の障害は軽く、炎症がおさまり冠動脈の太さが元に戻ります。しかし急性期にできたコブが大きくなってしまった場合、血管壁が破壊され血液壁の細胞が増えてしまい、血液壁が厚くなります。

血液壁の厚さがそれほど厚くなければ血液が通るのに問題はありませんが、血液壁が分厚くなってしまうと血液が通る部分の面積が狭くなっていってしまいます。これが冠動脈狭窄です。

冠動脈狭窄は、コブが小さくなる時にできる場合と、一度コブがなくなった後に、以前にコブがあった場所にできる場合とがあります。

この狭窄は発症してから1、2年経過してから出てくる場合と、10年経過してから出てくる場合があります。

無精子病や精巣機能の低下

男性が川崎病だった場合、一部の人に無精子病や精巣機能の低下が見られ「妊娠できない精子」が生まれる可能性があります。

しかし川崎病にかかったからと言って必ずしも無精子病や精巣機能の低下が見られるということではありません。

後遺症の治療方法

冠動脈の変化も多くの子供は問題なく、コブができてしまうのは全体の1%です。川崎病の後遺症の治療方法は主に2つあります。

薬物療法

先ほど述べたように、川崎病は治る過程で血管の壁が分厚くなります。血液が固まるのを防ぐため、アスピリンという解熱鎮痛剤を内服します。

アスピリンは症状の初期には多めに使い、熱が下がってからは量を減らして約1ヶ月間飲み続けます。

また免疫グロブリン製剤を用いた、免疫グロブリン大量療法も行われます。この薬は冠動脈瘤ができるのを抑えると言われており、献血された人間の血液からタンパク質を取り出したものです。1日もしくは2日、点滴で投与します。

手術による治療

狭くなってしまった冠動脈には手術による治療が行われることもあります。

手術の方法は主に3種類あります。

1つ目は早期にできてしまった冠動脈狭窄に有効な、風船を用いた方法です。カテーテルと呼ばれる管の先に風船をつけ、その風船を冠動脈の中で膨らませます。こうすることによって血管の内側を広げることができます。

2つ目は血管壁が固く厚い場合に有効な、カテーテルの先端にドリルをつけ、高速回転させて血管壁を削る方法です。

3つ目は冠動脈バイパス手術と呼ばれる方法です。血管が狭窄してしまった場所に他の血管をつないで血液不足を補います。

後遺症を発症しないためには

可能性が低いとは言え、後遺症が残り再発する可能性がないとは言えません。川崎病の治療は入院して行われますが、退院後も定期的に検査を受ける必要があります。

体に異変がない場合でも、治療を中断すると突然心臓発作を起こす可能性もあります。

一般的な生活習慣で予防することが必要です。主なものとしては、

  • ・バランスのよい食事をとる
  • ・肥満対策をする(過食や油ものを控える)
  • ・適度に運動をする
  • ・喫煙をやめる

などがあります。

心筋梗塞や血栓ができるのを予防するには、血栓を作って血の働きを止める役割をする血小板の働きをおさえる薬であるアスピリン、抗血小板薬、例えばチクロビジンなどの薬を飲み続ける必要があります。

また血液中にある、血小板と手をとって血液を止めてしまう凝固因子という物質があります。血栓ができやすい大きなコブの場合、この凝固因子をおさえて血を固まりにくくする抗凝固薬のワーファリンという薬を併用します。

まとめ

川崎病の初期症状が見られた場合にはすぐに病院へ行くことが大切です。かかってしまった場合、適切な治療を受けることが大切です。冠動脈障害がない場合、極端に心配をする必要はないでしょう。

しかし、川崎病の後遺症は心筋梗塞にもつながりかねない怖いものです。そして後遺症が見られず問題なく経過していても医師の受診を欠かさないようにしましょう。

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