最近疲れやすくなってきたな。とか疲れがなかなか取れない。または身体が弱くなったと感じているときに突然発症する蕁麻疹(じんましん)!
もしかしたら、それは肝臓が弱っていることが原因かもしれません。肝臓がどうして皮膚に影響を及ぼすことにつながっているの?と不思議に思うかもしれませんが、肝臓の働きについて知ればその関係性を理解することが出来ます。
ここではそんな肝臓と蕁麻疹の関係性についてまとめてみました。肝臓の機能が低下すると、どうして蕁麻疹が発生してしまうのかそのメカニズムと、肝臓が弱ってしまう原因などについても紹介していきます。肝臓が弱らないように対策を行って蕁麻疹などの問題に繋がらないように対処していきましょう。
あなたの最近の不調と蕁麻疹は肝機能低下が原因かもしれませんよ。注意したい生活習慣などについて知っておきましょう。
蕁麻疹(じんましん)とは?
まずは肝臓と蕁麻疹との関係性の前に蕁麻疹について紹介していきます。蕁麻疹とはどの様な症状の事を言うのかを知って、湿疹や虫刺されなどの似た症状の皮膚トラブルとの違いを知って、症状を明確にしていきましょう。
蕁麻疹について
蕁麻疹(じんましん)とは、皮膚の一部分、または身体全体などに赤い膨らみをもったような皮膚の盛り上がりができてしまう疾患です。またこのような状態になると、赤い部分に痛みやかゆみを生じることもある症状です。
掻きむしったり、叩いたりすることで悪化しさらにひどい状態になります。まれに唇やまぶた、または粘膜などに出来ることもあり、その結果内蔵に異常をきたす場合もありますので、注意が必要な疾患です。
原因としては、大人の蕁麻疹の場合
①感染性の風邪などの後に起こるもの 約10-20%
②食べ物アレルギー 約5-10%
③肝機能障害によるもの 約5%
④薬剤の副作用 約2-3%
⑤原因不明 約70%
といわれ、原因の特定が難しい疾患です。
その中でも近年多くなってきているのが、肝機能の低下による原因といわれています。また肝臓疾患の最初の症状で蕁麻疹がでることもあり、単なる皮膚の疾患と楽観視できない疾患です。
湿疹と蕁麻疹の違い
蕁麻疹の症状に似ている皮膚に発生する問題の症状で痒みを伴うものに湿疹があります。湿疹と蕁麻疹の違いについてあやふやな違いで判断していませんか?明確な二つの症状の違いについて紹介していきます。
原因の違い
まずは、発生してしまう原因の違いから紹介します。蕁麻疹は上記の様な原因で発生してしまう事が明らかになりましたが、湿疹の場合は金属(ニッケルやコバルト)からの刺激、ゴム類からの刺激、界面活性剤からの刺激、化粧品の化学物質による炎症反応などで発生しやすくなります。
蕁麻疹の様に原因不明な事は少なく、逆に生活習慣の中の行動が主な原因になっていることが多いです。また、湿疹の症状は原因物質に触れた小範囲の部分に発生しやすい症状ですが、蕁麻疹は広範囲に症状が拡大する傾向があります。
更に蕁麻疹は夕方から夜にかけての時間帯で発生しやすい傾向があり、朝や昼間の時間帯には発生しにくいという特徴があります。湿疹は原因となる行動や物質からの刺激を排除しないと治りづらく、感知するまでは皮膚のぶつぶつや痒みの症状は継続して発生します。乾燥が密接に関係している場合も湿疹の可能性が高いでしょう。
見た目の違い
見た目にもそれぞれ特徴があり、湿疹はブツブツとした見た目で赤みを帯びていて、場合によっては水疱なども発生し、患部がジュクジュクとして汁などがにじみ出てきます。掻くほどに症状は悪化し、カサブタや皮膚の肥厚などが発生します。蕁麻疹の場合は湿疹に比べて小高い丘のようにブツブツと皮膚が隆起し、赤みが発生します。隆起している部分の皮膚は厚みが増し、少し固くなります。虫刺されに似たポツポツがたくさんできて、部分的に繋がって5cm程の隆起が発生していることも特徴です。
蕁麻疹(じんましん)の種類と特徴
蕁麻疹には大きく分けて症状の継続時間によって2種類の症状に分けられます。更に原因から多数の種類の物に分けられて名称が付けられています。
その中からいくつかの種類の蕁麻疹について紹介します。特徴などについても紹介していきます。
急性蕁麻疹と慢性蕁麻疹
一口に蕁麻疹といってもさまざまな種類があります。大まかに分けて2種類あり、その中でも原因によって分かれています。
①急性蕁麻疹(じんましん)
一ヶ月以内に症状が治まる蕁麻疹を急性蕁麻疹といいます。アレルギーや他の疾患などが原因となって現れることが多く見られます。
急性蕁麻疹の最も症状の軽いものでは1時間以内に症状が消失するものもあります。特に何かしらの対策をしたわけでもないのに自然に体内で問題が解決され病院に行く途中に消えてしまう事も少なくありません。痒みなども同時になくなってしまいます。
全身に広がるものから、四肢の一部や顔のみに発生するなど、特定の部分に発生しやすいものもあります。
②慢性蕁麻疹(じんましん)
一ヶ月以上にわたり症状が続く蕁麻疹を慢性蕁麻疹といいます。その中には肝機能の低下が原因で蕁麻疹が発症していることもあり、長く続く辛い症状には、疾患の治療や原因を突き止めることが完治への第一歩となります。
アレルギー性蕁麻疹(じんましん)
アレルギー性鼻炎や花粉症などと同じように、アレルギー性蕁麻疹があります。
主に食べ物を食べることによって発症するアレルギーです。食物自体がアレルギーを引き起こすものと、食物にヒスタミンなどの蕁麻疹を引き起こすような物質が入っているものとがあります。
また加工食品に入っている保存料や酸化防止剤、合成着色料などの成分でもアレルギー性蕁麻疹が起こる可能性があります。
アレルゲンとなる食べ物や原因物質との接触を避けることが必要になります。アレルギー検査などを行って症状に繋がらないようにしましょう。食べることで発生してしまうアレルギーは粘膜や皮脂線などの皮膚表面にアレルゲンとなる物質が触れたり、成分が吸収されることでも発生しますのでなるべく触れないように注意しましょう。
アレルギーは自己免疫疾患で発生する症状で自分ではコントロールが出来ないものになります。免疫力を高めることでもある程度の抗力を高めることは出来ますが、未だ完治に繋がる治療法は見つかっていません。種類が多いことからも対策が難しくなっています。
年齢を重ね、物質が許容範囲を超えることで自己免疫疾患に繋がるので、ある日突然アレルギー症状が発生する場合もあります。
コリン性蕁麻疹(じんましん)
コリン性蕁麻疹は、主に発汗することで皮膚を刺激して発症する蕁麻疹です。特に運動や入浴後に赤みを帯びて腫れ、かゆみや痛みも伴います。
この蕁麻疹はアセチルコリンという物質が、皮膚のなかにある汗腺を刺激することが原因です。またこの蕁麻疹は、じんわりと汗をかくような軽い運動などでも発症することがあります。
コリン性蕁麻疹については、コリン性蕁麻疹の症状は?原因や対処方法も紹介!の記事に詳しく記載していますので、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
日光蕁麻疹(じんましん)
日光蕁麻疹は、太陽に当たることで発症する蕁麻疹です。特に、日光が強い4月から9月に多く発症しやすいと言われています。皮膚が赤く腫れ、かゆみを伴います。
日光蕁麻疹にかかりやすい人は日頃から疲れやすく、体調があまりよくない人が多いのも特徴です。また肌の弱い人も多く、蕁麻疹の出来たところを掻いたり、叩いたりすることでさらに悪化してしまうこともあります。日光を出来るだけ避けるように過ごすことが大切です。
温熱蕁麻疹(じんましん)
温熱蕁麻疹は温かいところや温かいお湯などの刺激で発症する蕁麻疹です。特に気温の低いところから急激に高いところなどに移動したときは、身体が温まって発症しやすくなります。
その症状は皮膚が赤く腫れ、皮膚部分の温度が40から50度くらいに温かくなり、強烈なかゆさを伴います。この蕁麻疹を発症すると、掻きむしったり、叩いたりすることで周りに広がりやすくなります。
またそのような状態から症状が悪化することも多いので、あまり急激な温度変化の場所に行かないなどの注意が必要です。
心因性蕁麻疹(じんましん)
心因性蕁麻疹は、ストレスなどが原因で発症する蕁麻疹です。ストレスを感じるたびに発症していると感じることがあれば、この心因性蕁麻疹を疑ったほうが良いでしょう。
赤く腫れかゆみを伴うことが多い蕁麻疹で、たいがいは自然に治まることが多いのですが、稀に悪化することもあるので、早めの対処をしたほうが辛く感じずに済みます。
このタイプの蕁麻疹に罹りやすい人は、普段から精神的な症状を訴える人が多いので、引きこもりや無気力、抑うつ症状など心の病を抱えている人は注意が必要です。
日頃から急激な心境や環境の変化に対応できるように、心を強く持つことで症状も軽く済みます。
これらの蕁麻疹の他にもまだまだ沢山の蕁麻疹を伴う症状は存在します。患者数が圧倒的に少なく、治療などが手探りな場合も多々あります。蕁麻疹が発生してしまった場合は慌てず、近くのアレルギーや皮膚症状に詳しい、専門病院や皮膚科、アレルギー科、内科などの病院での診察を受けて原因を特定していきましょう。
肝臓と蕁麻疹(じんましん)の関係
いよいよ蕁麻疹と肝臓の繋がりについて紹介していきます。肝臓は消化器官の一つでもあり、消化液である胆汁などを生成し十二指腸に送り、腸内の消化を助ける働きなどを担っています。
肝臓の働きや蕁麻疹との関係性について見ていきましょう。
肝臓の働き3つ
肝臓は身体の中で大きく分けて3つの役割を持っています。
①胆汁を作り消化を助ける
②栄養の素を加工し貯蔵する
③毒を中和する
肝臓で生成された胆汁は胆嚢という器官に送られそこで一旦貯蔵され、必要なタイミングで十二指腸に送られます。
肝臓はもし、病気などになっても一部の細胞でも完結して機能を補うことのできる臓器でもあります。
肝機能が原因の蕁麻疹(じんましん)
一見何の関係もなさそうに見える肝機能と蕁麻疹ですが、たびたび蕁麻疹がでるようであれば、肝機能の低下が原因の蕁麻疹かもしれません。
なぜなら上記のような働きを持つ肝臓の機能がきちんと果たされていないと、身体の中で蕁麻疹の原因になる物質が代謝されなかったり、体調不良で蕁麻疹のさまざまな要因を引き寄せてしまい、慢性蕁麻疹を発症してしまうからです。
また感染症などの疾患にかかると、蕁麻疹を引き起こす原因となるヒスタミンという物質が出ます。事実B型、C型ウイルス性肝炎の初期症状では蕁麻疹になることが多く見られます。このことから肝機能と蕁麻疹は密接な関係にあるといえます。
そのほかでは、甲状腺の疾患や胃炎が原因の蕁麻疹や、膠原病や血管の炎症などの全身性の疾患などの場合に蕁麻疹が出ることがあります。
肝機能低下の兆候は?
ではどんなときに肝機能が低下しているというのでしょうか?
蕁麻疹が出たときに、あなたにはこんな症状はありましたか?
①休んでいても疲れがとれない。常に横になりたい。
②飲めるアルコールの量が減った。
③食欲が出ない。
④髪の毛や肌の調子が悪い。
このような症状は、肝機能が低下しているときに起こりやすいものです。
肝機能が低下していると人間はさまざまな箇所に不調をきたします。そのため蕁麻疹の原因となる物質に過敏に反応してしまうのです。肝臓は臓器の中でも病気になった場合に痛みなどを感じることが少なく「沈黙の臓器」などとも呼ばれています。
自覚症状が肝臓と繋がりにくく、予測が困難なため病気にかかったとしても判明しづらい傾向があります。長期間検査などを行っていない場合は症状が慢性化したり、重篤な病気になってしまう危険性もありますので。定期的に検査を行うようにしましょう。
蕁麻疹(じんましん)の治療法は?
まずは蕁麻疹になる原因を見つけ、排除することです。または原因を引き起こす疾患を治療することです。
しかし、蕁麻疹の原因は1つでないことや原因が分からないことも多く、その場合はまず症状を和らげることが最優先になります。
治療法は、薬物療法です。抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤などが処方されます。服用後数日で症状は改善されることが多く、徐々に薬の量を減らすことで完治していきます。
もし、激しいかゆみなどが出ている場合はステロイド薬も処方されますが、長期間の使用は出来ません。それでもまだ蕁麻疹がよく出るようだと他の疾患を抱えている可能性があるので、対応の医療機関への受診をオススメします。
肝臓の機能を高めるために
さまざまなことが要因の蕁麻疹ですが、特に肝機能が弱ると蕁麻疹になりやすいことがわかりました。蕁麻疹にならないように肝臓の機能を健康に保つにはどうしたらよいのでしょうか?
食事
食べ物を大量に処理するのは肝臓に負担がかかります。食事は常に腹八分目を心がけましょう。
さらに3食栄養をバランスよく食べましょう。食事の3大栄養バランスはタンパク質、脂質、炭水化物の3つです。食事はバランスよく摂ることが重要です。
食べ過ぎが最も肝臓の働きに負担をかけてしまいますので、暴飲暴食は避けて負担を軽減してあげましょう。
アルコール
①空腹での飲酒は控える。
空腹での飲酒はアルコールの吸収を高めます。その結果肝臓への負担が増します。
②休肝日を作る
毎日の飲酒では肝臓が休まりません。できれば週に2日程度は休肝日を作るなどして肝臓を休ませましょう。
③飲酒と同時に水を飲む
アルコールの血中濃度が急激に上がらないように、飲酒中にも水を飲むなどしましょう。
④高たんぱく質な食べ物をとる
たんぱく質はアルコールを分解するときに必要な要素です。おつまみには高たんぱく低脂肪のおつまみを取るように心がけましょう。
⑤ウコンを飲むと肝臓の負担が軽減する
ウコンに含まれているクルクミンが胆汁の分泌促進や、解毒効果の強化などの働きを及ぼし、肝臓の機能を高めてくれます。それだけでなく、ウコンには抗酸化作用があり血管の硬化や血栓の発生を防ぎ、血流を良くしてくれる効果も期待できます。
まとめ
いかがでしたか?
肝機能と蕁麻疹は意外と密接な関係だったのですね。肝臓はサイレント臓器などとも言われ、不調に気がつきにくい臓器です。早めの対応が大きな疾患を防ぐことになります。ちょっと調子が悪いと感じたら早めに医療機関に受診しましょう。
蕁麻疹は肝臓の不調を知らせる重要なシグナルでもあります。見逃さないようにしていきたいですね。
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