背中がつってしまい、痛い思いをしたことがある人はいるでしょうか?「背中もつることがあるの?」と驚く方もいると思います。そもそも”つっている”状態とは筋肉が異常収縮している状態や筋肉が痙攣している状態を指します。なので筋肉のある部分はどこでもつる可能性があるのです。
背中も筋肉でできているので、もちろんつることがあります。この背中の筋肉がつった状態を「ぎっくり背中」とも呼びます。また背中の特定の位置が痛むことは内臓の異常のサインかもしれません。
今回はそんな「ぎっくり背中」の原因や対処法、背中の痛みに関係する主な病気、ぎっくり背中の予防についてお知らせします!
筋肉がつる原因
よく急に運動をしたりすると足がつったりしますよね。またバレリーナのように足を伸ばしてつま先を内側に丸め込むと足の裏がつったりします。しかし何故そもそも”つって”しまうのでしょうか?
筋肉がつる主な原因
筋肉がつる主な原因は、
- 運動のし過ぎや筋肉の硬直から起こる「筋肉疲労」
- または全く真逆の「運動不足」
- 体が冷えることによって起こる「血行不良・血流障害」
- 熱中症や脱水症状から起こる「水分不足」
- 妊娠などによって起こる「ホルモンバランスの乱れ」
- 運動神経の情報伝達異常
また発汗や電解質バランスの乱れ、神経の異常反射やカルシウム、マグネシウムなどのミネラル不足が筋肉がつることの原因でもありますす。
この中から背中がつる主な原因とされているのが「筋肉疲労」や「筋肉痛」です。背中の筋肉が筋肉疲労を起こしていたり、背中の筋肉が少なくなっていると背中がつりやすくなります。またこの背中がつった状態を「ぎっくり背中」と言います。
ぎっくり背中とは
ぎっくりとはぎくりと同じ意味で、突然驚かされた状態を表します。かがんだ状態で重たい物を持ち上げようとするとぎっくり腰になりますよね。同じように何気ない日常生活の動作で背中がつって激痛が走ることを「ぎっくり背中」と言います。
ぎっくり背中とはぎっくり腰と違い、重たい荷物を急に持つことで部位に異常をきたして全く動けなくなるものではありません。また自分でも気づかないうちにぎっくり背中になっている可能性も珍しくはないそうです。
ぎっくり背中になると背中がつるだけではなく「なんとなく背中に痛みを感じる」「朝起きたら背中が痛い」「息を吸うと背中が痛い」「胃が痛くて背中が痛い」などの症状も出ます。またぎっくり背中になってしまうと夜寝るときに寝がえりがうてない程の痛みを伴うこともあります。ちょっと痛いだけだからと言い訳をして無理をせずに、一度かかりつけの病院で診てもらいましょう。
ぎっくり背中の原因と解消法
ぎっくり背中になる原因は多々あります。背中は大きな筋肉で覆われており、動きも肩や腰に比べると少ない部位です。
しかしそれでも疲労が溜まったり血流が悪化するとぎっくり背中になりやすくなってしまいます。他にもぎっくり背中の原因となることは多々あります。どうすれば解消されるのでしょうか?
ぎっくり背中の原因と特徴
ぎっくり背中の原因は様々なものがあります。ぎっくり腰と同様に重い荷物を持った時や、急にスポーツをした時にぎっくり背中になりやすく、ぎっくり背中になると急に背中に激痛が走るだけではなく、背中全体が抜けてしまいそうな感じがすると表現する人もいます。
またぎっくり背中には背中の筋肉(広背筋)の量も関係があります。筋肉の量が少ない人ほど、ぎっくり背中になりやすくなります。身体全体の筋肉は加齢に伴い減っていく傾向があります。背中の筋肉も年を取るほど減少していくので、お年寄りの方は特にぎっくり背中になりやすくなります。
さらに日常生活の何気ない動作をした時にもぎっくり背中になる事があり、これがぎっくり背中の特徴でもあります。深呼吸をした時や咳き込んでしまった時、着替える時、高いところにある物を取ろうとして腕を伸ばした時などにもぎっくり背中は起こると言われています。またしゃっくりでもぎっくり背中になることもあります。
ギックリ背中の原因
ぎっくり背中の原因の一番はやはり背中の筋肉に疲労が蓄積された状態や、広背筋と呼ばれる背中の筋肉が固くなってしまっている場合です。また血行不良もぎっくり背中の大きな原因です、デスクワークを主な仕事としている人は長時間同じ姿勢をとっているため血流が滞るためにぎっくり背中になりやすくなります。
また肩こりや首筋の痛みからぎっくり背中になる場合もあります。肩こりが重症化すると肩がつってしまう状態になります。その痛みが肩甲骨まで広がってしまうと、背中もこった状態になってしまい、ぎっくり背中となります。足がつった時の痛さが肩甲骨あたりに来たと想像してみてください。背中の筋肉が相当な痛みを感じて悲鳴を上げるのがわかるはずです。
ぎっくり腰のように動くと激痛が走りわずかな移動すらできなくなる程の痛みを感じるわけではありませんが、長期間背中全体がこっている様な感じがあり、治ったと思ってもまた背中が痛くなる症状が出るのもぎっくり背中の特徴です。
ぎっくり背中になると、あまりの痛さにしばらく動けなくなる可能性やひどい痛みに息をするのさえ困難になってしまう場合もあります。
解消法
ぎっくり背中になってしまった場合はまずは安静にすることが大切です。例えば足がつってしまった時などは足の指を反らすなどのストレッチを行いますが、ぎっくり背中は違います。背中の筋肉がつってしまった場合はまず痛みが治まるま安静にしましょう。無理に動かすとかえって痛みが強くなってしまうため、楽な体勢をとるのが一番です。
もし職場でぎっくり背中を起こしてしまった場合は安静にするのが難しいこともあります。その時の応急処置としてはサラシやタオルを背中から胸にかけて巻いてぐっと締めると効果があります。
痛みが強い場合は背中の筋肉が炎症を起こしている可能性があるので、タオルに氷を包んで傷む部分を冷やしましょう。冷感湿布は冷たく感じるだけのものなので、あまり効果がありません。どうしても湿布を貼りたい場合は、ロキソニン湿布などの痛み止め成分の入った湿布を貼ることをおすすめします。
またマッサージは逆効果になります。肩こりとは違い、ぎっくり背中はマッサージをすると却って靭帯や筋肉の傷を傷めてしまい、余計に痛みが悪化して治りが悪くなってしまいます。
ある程度痛みがおさまっても、また再発するのがぎっくり背中の怖いところです。長期にわたってぎっくり背中を繰り返していると椎間板ヘルニアにもなりやすくなりますので、整形外科や整骨院に行って様子を診て、適切な治療を受けましょう。
肩甲骨あたりがつる場合
ぎっくり背中といっても背中全面ではなく、左右どちらかの肩甲骨が長期にわたって痛む場合は内臓の病気などが疑われます。また肩甲骨全体の痛みにも原因があります。
左側の肩甲骨あたりがつる場合
左側の肩甲骨がつりやすい場合は膵臓や心臓が弱っている可能性があります。またいつも左肩ばかりに鞄をかける習慣がある方などは要注意です。左肩に負担をかけているとバランスが悪くなり、左肩に起こる肩こりから左肩甲骨付近へのぎっくり背中へと繋がります。
また精神的に疲れている場合や心の病がある方は、左肩甲骨付近の筋肉が痛みを感じやすくなると言われていますが原因は不明です。
右側の肩甲骨あたりがつる場合
右肩甲骨付近の筋肉が痛み、かつ全身になんとなくだるさを感じる場合は肝臓系や胆石系統の内臓が弱っている可能性があります。この特徴は風邪に似た症状が出るということと、身体を全く動かしていない状態でも痛みがあるということです。もちろん普段の睡眠時の体勢やスポーツで痛めたなどの可能性もありますが、1週間以上体のだるさが症状が続くようでしたら病院に行かれることをおすすめします。
首や肩は脳へと繋がるたくさんの神経が密集している場所です。また脳に近いため、特に神経系の症状が現れやすい場所でもあります。ただの疲れという可能性もありますが、数週間にもわたって痛みや違和感が続く場合は病院で適切な診断を受けましょう。
肩甲骨全面がつる場合
肩甲骨全面が痛む場合、挙げられるのはまず一つ目に姿勢の悪さです。デスクワークや事務作業をしている時などに猫背になっていると背中から肩甲骨が落ちてしまうので、その重さのせいで肩こりが起きたり首を痛めてしまいますし、背骨にも負担がかかります。
二つ目は内臓の不調です。ためしに猫背の姿勢になってみてください。内臓が圧迫されているのが感じられるはずです。このため内臓に不調が起こり、肩甲骨にまで痛みが広がる危険性があります。
ぎっくり背中予防方法
ぎっくり背中になってしまうと、とても痛くて動くのもつらくなってしまいます。またぎっくり背中はこちらの都合お構いなしに突然やってきます。
特に仕事中で急にぎっくり背中になってしまったら、と考えると普段からの予防が大切ですね。
ストレッチやウォーキング
ぎっくり背中は運動のし過ぎでも運動不足でも起こります。一番効果的で、かつどこでもできるのが日々のストレッチです。ストレッチは一番身体が温まっているお風呂上りが最も効果的です。
また痛いと感じるまで筋肉を伸ばしたり縮めたりすることは筋肉や筋を傷める原因になってしまいますので、自分にとって「痛気持ちいい」と感じる程度に身体の各部位をストレッチでじっくりほぐしていく方法がベストです。
またオフィスでも2時間に一回は休憩とり、首をゆっくり右回り・左周りに回す・右、左と首をゆっくり倒していく・肩甲骨を動かすために肩を上げ下げする・両手を組んでゆっくり上に上げて伸びをする、背中を伸ばす等の軽いストレッチをすることでぎっくり背中予防になります。猫背もぎっくり背中になりやすいので、つい猫背になってしまうという習慣を治したい方は猫背矯正ベルトの購入をおすすめします。
また運動不足解消や筋肉量減少を防ぐために、軽めのウォーキングをする習慣を取り入れることも効果があります。背筋をぴんと張って、腕を90°ぐらいに曲げ、テンポ良く歩くことは背中だけではなく全身の筋肉量低下を防ぐことができます。ウォーキングする時間がない方は通勤時間や買い物の時になるべく背筋を伸ばして歩くことをおすすめします。
また重たいものを持ち上げる時も腕だけの力で持ち上げようとせずに、ひざを使って身体全体で持ち上げるとぎっくり背中になることを防止できます。
姿勢を改善してみよう
背中をつりやすい人の特徴に、姿勢が悪いという特徴があます。猫背の人が急に寝起きに背中のつりを感じて、しばらくその症状が続いたり、痛すぎて起き上がれないというトラブルが発生したという人もちらほらいらっしゃいます。
特に猫背は首や肩にかけて背中が丸まっており、背中の上部の筋肉がこりやすい傾向があります。これによって背中の上部がつる症状が発生しやすいということに繋がります。
気づいた時に姿勢を正すなどの対策でもいいので、無理のない程度で姿勢を改善していきましょう。無理に姿勢を矯正しようと思っても、長期間猫背であった人には背筋を伸ばすことは辛いですし、負荷が大きすぎると続きません。
結果改善されないということになりますので、意識を少し向ける程度で徐々に姿勢を伸ばしていくことがおすすめです。背筋と腹筋のバランスを取ることでも姿勢を保つための筋力がアップしますのでそちらもおすすめです。
しかし、筋疲労によりつる症状が発生している場合は無理な運動は控えてください。
頻繁に発生している場合どうしたらいいの?
背中がつる症状が頻繁に発生している場合どのように対処すれば良いのかについて紹介します。何科を受診すれば良いのかなどについても紹介しますので参考にしてみてください。
どうすれば改善されるのか
まずは自分の背中がつる原因を明らかにすることが大切です。筋肉の疲労なのか、水分不足やミネラル不足などが原因になっているのかで対策方法は変わります。
上記で紹介した原因の中からどの原因に自分の症状が当てはまるのかを明らかにして改善法を変えていきましょう。
病気の可能性
筋疲労やミネラル不足による神経異常が原因でない場合病気が間接的に関係して背中のつるトラブルが頻繁に発生している可能性があります。
考えられる病気を一覧で挙げてみましょう。
- 背骨付近に発生した炎症
- 筋肉や腱鞘の断裂
- 自己免疫疾患
- 内蔵関係の病気(特に背中側に存在する膵臓や肺など)
- 膠原病
以上の病気や疾患の可能性が考えられます。四肢の筋肉のつりと違って、胴体には沢山の内蔵などが存在しているのでこれらの病気の可能性にも注意する必要があります。
ですので検査や治療を受けることも視野に入れて慢性的に症状が発生している場合は一度検査を受けることをおすすめします。
何科を受診すればいいの?
背中のつりって何科を受診すれば良いのか?と悩むことは多いでしょう。これについては原因によってやはり専門家となる分野が変わってきます。
しかし、素人目での原因の特定をした所で間違った判断をしてしまっている可能性があります。ではどの診療科を受診するのが最も網羅的に病気を見つけることが出来るのでしょうか。
筋肉や骨などの問題の場合は、整形外科の治療院や病院などが専門の診療科になりますが、原因がはっきりしない場合は、総合病院などの大きな施設の整ったところの内科、あるいは神経内科などを受診することをおすすめします。
大きな病院であれば検査施設も整っていますし、もし大きな病気が判明した際にも、他の専門の診療科に移動することも可能になります。
まとめ
ぎっくり背中にならないようにするためには普段の生活習慣がとても大事です。背中の筋肉は自分では見られないため、余計に注意が必要です。何となく疲れてるなと感じたら日常生活で休憩時間や合間の時間にストレッチで背中を伸び縮めさせたり、サプリメントを摂る習慣を身につけましょう。
またすでにぎっくり背中になってしまっている人は痛みが引くまで患部をよく冷やし安静にしましょう。また寝るときは痛む部分を上向きにして寝るなどの工夫をすることでぎっくり背中の痛みから逃れることができます。
しかしできれば痛い思いをしたくないよね。普段の生活を見直して、机での仕事は猫背にならないようにし、休憩時間は適度なストレッチを心掛けてぎっくり背中にならないようにしましょう。
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