鉄分の効果とは?不足することで起きる症状や過剰摂取での注意点も紹介!

氷を異常なくらいに食べている人、疲れが取れない人、爪に横線が入っている人、立ちくらみを感じている人、もしかしたら鉄分不足による貧血かもしれません。鉄分は生命維持に必要な栄養素の1つです。鉄が不足すると貧血の症状が現れますが、その症状は緩やかに訪れます。

特に女性は月経や妊娠で鉄分を男性よりも必要とする為、不足しがちです。ここでは、鉄分の役割や不足することで起きる病気、過剰摂取することで起きる病気についてご紹介します。

鉄分の効果について

blood2

鉄分不足と聞いて、多くの方が一番始めに思いつくのが貧血だと思います。

鉄分は血液の成分となるのが主な働きではありますが、体の隅々に貯蔵されて、細胞の活性化を助ける役割もあります。ここでは、鉄分とは何か、また鉄分の役割について詳しくご紹介します。

鉄分とは

鉄分は私達を含む動物や微生物、植物などの全ての生物に必要な金属ミネラルの1つです。

鉄が不足すると、思いつくのが貧血だと思います。鉄分の多くは血液に使用されている為、不足すると貧血の症状が先に現れます。しかし、この役割は鉄分の役割の一部に過ぎません。その為、血液に異常がなくても、体の他の部分の鉄分が不足することで身体に影響を与える場合があります。

1日あたりの必要摂取量は、性別や年齢、病気などにより異なってくる為、適正量は人によって異なります。特に女性は男性に比べて不足しやすいので、積極的な摂取が必要となります。

女性は毎月ある月経により鉄分が外に排出されてしまったり、妊娠中も胎児の発育のために多くの鉄分を必要とします。また、ダイエットを意識している女性も多いと思います。無理な食事制限を行っている方は鉄分が不足しがちになるので、必要な栄養素を補ったダイエットが必要です。

鉄分の効能

人の体の中にある鉄分の量は体重の約0.005%です。体重50キロの方の場合は、約2.5gの鉄分が内々に存在しています。体内に取り込まれた、鉄分は大きく分けて機能鉄と貯蔵鉄に分けられます。

摂取した鉄分の7割は機能鉄となり、血液細胞の1つである赤血球の成分「ヘモグロビン」に含まれます。その他は筋肉や肝臓、脾臓、脊髄など体の至るところに貯蔵鉄として存在します。

鉄が体に取り込まれると、胃酸により吸収されやすい形に変わり、ほとんどが小腸の粘膜から体内に吸収され、「全身に酸素を運ぶ役割」や「細胞の活性化」などの働きをします。

全身に酸素を運ぶ

体に存在する鉄分の7割はヘモグロビンという血液の1部になり、体全体に必要な酸素を届ける役割をします。体内に存在する多くの鉄分は、たんぱく質と結びつきます。

たんぱく質の中でもヘム構造を持つタンパク質と、ヘム構造を持たないタンパク質があり、これらと結合することで「ヘム鉄」や「非ヘム鉄」と呼ばれます。

これらは吸収性に違いがあり、吸収力が圧倒的に高いのはヘム鉄です。ヘム鉄は、酸素と結合する作用があり、ポルフィリンと呼ばれる物質の中に鉄を入れ、体のすみずみにまで酸素を届ける役割をしています。

細胞の活性化

体に存在する鉄分の残り3割は、筋肉や肝臓、脾臓、脊髄など体の至るところの細胞内に存在します。これらの鉄分は「細胞内ミネラル」とも呼ばれ、細胞の活性化を行います。

筋肉内にある鉄分は、酸素を運んだり、筋肉収縮の為のエネルギーを作る為に貯蔵します。筋肉部分に存在する鉄分は全体の5%程度で、不足すると持久力がなくなり疲労感に繋がります。

また、肝臓にある鉄分は、解毒に関係しています。鉄分が不足した状態で、薬を内服すると効果が強く現れたり、副作用が現れやすくなります。

他には、ストレスで生じた活性酸素傷害を防止してシミを出来にくくしたり、白血球の殺菌作用を強化し風邪などの病気にかかりにくくします。

鉄欠乏性貧血について

blood

貧血にはいくつか種類があり、鉄が不足して起こる貧血を「鉄欠乏性貧血」と呼びます。貧血患者のうちの9割がこの鉄欠乏性貧血と言われています。

ここでは、鉄欠乏性貧血の症状や原因、治療法について詳しくご紹介します。

鉄欠乏性貧血とは?

鉄分が不足すると聞いて、すぐに頭に思い浮かぶのが貧血だと思います。貧血は血液に何かしらの異常があり、酸素が全身に行き渡らないことで起こる症状です。この貧血になる原因は様々な理由があり、鉄分が不足することでも起こります。

鉄摂取不足により引き起こされる貧血を「鉄欠乏性貧血」や「鉄欠乏症」と呼びます。貧血患者の9割が鉄不足によるものだと言われています。

症状

貧血とは、血液中の赤血球の数が減少したり、ヘモグロビンの濃度が低くなる事で、酸素を全身に運べない状態を言います。この状態が起こると、体の様々な箇所で異常が出始めます。

貧血の主な症状は、

  • めまい、立ちくらみ
  • 頭痛
  • 目の下部分が白い
  • 顔色が悪い
  • 爪に横線が入る
  • 爪がスプーン状になる
  • 白髪が増える
  • 疲れやすい、全身の倦怠感
  • 動悸・息切れ
  • 胸の痛み
  • 口角炎、舌炎、嚥下(えんげ)障害

血流が悪くなることで、上記のような症状が見られます。また、一部の人は、異常に氷を食べる、氷食症になる人もいます。詳しいメカニズムは解明されていませんが、氷食症の人が血液検査をすると貧血の確率が高いそうです。

氷が異常に食べたくなる理由は、貧血により舌が炎症を起した状態になるので、舌を冷やすために食べたくなるとも言われています。日常的に、製氷皿1~2杯の氷を食べている人は貧血を疑うべきでしょう。

貧血が起こっていても始めは体が順応して症状が見られないことが多く、緩やかに症状が進行していきます。爪に横線が入っている人や顔色がすぐれない方、疲れるなと感じた場合、症状が悪化する前に、貧血症状を疑いましょう。

原因

鉄分不足には、様々な原因が考えられます。そもそも鉄分の必要量に満たない場合もあれば、鉄分が吸収されにくい状態になっている場合もあります。

貧血を感じている方は、正しい原因を調べるために、一度医療機関で検査を受けましょう。

摂取不足

鉄分が不足が起こる原因の1つとして、摂取不足が挙げられます。食生活に偏りがある方やダイエット中の方は鉄分不足が起こりやすくなります。また、成長期、妊娠、月経、胃や十二指腸の潰瘍や痔などの病気を患っている方は、一般の方よりも鉄分を多く必要とします。他にも、胃癌や大腸癌や子宮筋腫なども原因になる場合があります。

女性は月経で毎月鉄分を失いやすい体にあるので、食事制限でダイエットされる方は必要な栄養素を補えるようにサプリメントで補給するなど対策する必要があります。

吸収障害

鉄分は摂取した後、胃液で吸収されやすい状態にして、小腸で吸収されます。その為、消化器官に障害があり、吸収力が低下して鉄分不足になる場合があります。

胃切除の手術を受けている方などが、なりやすい傾向にあります。

検査方法

鉄分不足が疑われた場合、血液検査を行います。血液中の赤血球の量、ヘモグロビンの量、赤血球の大きさ、血液中の鉄の量、フェリチンの量を確認します。フェリチンの量を確認することで、血液以外の鉄がどれだけ体内に蓄えられているか確認することができます。その為、血液検査を通じて血液中に必要な鉄量と、体内に必要な鉄量の両方をチェックすることが出来ます。

血液検査を通じて、鉄欠乏性貧血と診断された方で、原因が分からない方は別の検査が必要になります。特に鉄欠乏性貧血と診断された高齢者の60%以上の方は、消化管の癌などの疾患による場合が多いと言われています。その為、内視鏡検査や便潜血など消化器官に問題ないか検査する必要があります。

治療方法

原因が鉄欠乏の場合の治療方法は、鉄の補給をします。成長期の方や妊娠中、月経の量が多い人などは、鉄分摂取を意識した食生活改善をすることが重要です。その為、栄養指導を受けて生活改善をしましょう。

特に動物性食品の中には、体内への吸収率が高いヘム鉄が豊富に入っており、植物性食品には、吸収されずらい非ヘム鉄が含まれています。非ヘム鉄も動物性たんぱく質やビタミンCなどと一緒に摂取すると吸収率がアップするので、これらを意識してバランスの取れた食改善をすることが重要です。

貧血の症状がひどく、食事療法での改善が困難な方は、様々な有機鉄が含まれた経口鉄剤が投与されます。経口投与してから10日後には血液中の鉄の量が増えて、ヘモグロビン値が上昇します。貯蔵鉄が正常になるには約4ヶ月かかるので、治療を継続することが重要です。

また、経口からの補給が基本的ですが、経口投与が困難な方の場合や、吸収障害が見られる方は、鉄剤を静脈注射する方法が取られます。

鉄過剰症について

syringe

鉄分は体にとって必要な栄養素の1つですが、過剰摂取することで、「鉄過剰症」という病気になります。

食べ物から摂取している分には、過剰症にはならないと言われていますが、サプリメントや性静脈注射で摂取されている方は、過剰症になる危険があります。

鉄過剰症とは

食べ物を食べて鉄分を摂取する分には、毎日約100mgの所要量の10倍分の鉄を摂取しても鉄過剰症にはならないと言われています。

鉄サプリを摂取する方がなりやすい為、鉄サプリは自己判断で飲むのは避けた方がいいでしょう。貧血を感じている方は、まずきちんと検査を受け、医師と相談の上、摂取するか判断しましょう。

症状

鉄過剰症になった場合、すぐに症状がみられる場合と、蓄積されて症状が出る場合があります。鉄分はほとんど排出されない為、不要な鉄が体内に溜まりすぎて取り返しが付かない状態になることもあります。その為、サプリメントを服用される方は、過剰症のことも正しく把握した上で、用法用量を正しく守る必要があります。

鉄剤やサプリメントを摂取してすぐに現れる症状は胃腸障害です。吐き気や嘔吐、下痢、腸の損傷などが起きます。また、通常鉄は、肝臓で多く貯蓄されます。その為、過剰摂取した場合は、肝臓がダメージを受けて肝硬変などの肝臓障害が起こります。

他にも体の至るところに蓄積され、皮膚の色素沈着が起こり始め、血管や脳を始めとする重要な臓器に障害がおきます。長期間過剰摂取が続くと血管が衰えて切れやすくなります。

原因

体内に入った鉄分のほとんどは、たんぱく質と結びつきます。しかし、結合できるたんぱく質がなくなり、血液内にたんぱく質と結合できていない鉄が増えた場合に鉄過剰症が発生します。その為、鉄分の過剰摂取もしくは、結合するたんぱく質が少ないことが原因となって、鉄過剰症になります。

通常の食事では過剰症にはならない為、サプリメントや静脈注射で鉄分を過剰に補給している人がかかりやすいです。鉄分不足の方で、鉄錠が飲めない方に、静脈注射で投与する場合があります。

このように消化器官を通過せずに、直接血管内に入る鉄分はタンパク質と結合していません。このような鉄は活性酸素を生じさせ、細胞障害になるリスクがあります。特に性静脈注射で鉄分補給を行う場合、たんぱく欠乏の人、悪性腫瘍などによる貧血の人は注意が必要です。

検査方法

血液検査を通じて診断されます。

検査項目は、鉄欠乏性貧血の時と同様で、血液中の赤血球の量、ヘモグロビンの量、赤血球の大きさ、血液中の鉄の量、フェリチンの量を確認します。

治療方法

生命の維持にかかせない鉄分は、基本的には外に排出されないような仕組みになっています。その為、数日鉄分を取らないだけでは症状が改善されません。一度過剰になると、出血しない限り取り除くのが難しいと言われています。

一般的な治療法としては、鉄キレート薬の「デフェラシロクス(エクジェイド)」を1日1回投与して、過剰な鉄分を排除します。薬には腎臓の機能が低下する副作用がある為、もともと腎臓の機能が弱っている方は注意が必要です。

鉄分不足の予防方法

medical

疲れやすいなどの貧血症状を感じる方は、鉄分摂取を意識して予防しましょう。

通常の食生活から過剰症になることはありませんが、サプリメントを摂取される方は医師の診断を受けた上で、摂取方法を守りましょう。

鉄分を多く含む食品

鉄分が多い食品と言うと、まず思い浮かぶのがレバーだと思います。しかし、他にも鉄分を多く含む食材はたくさん挙げられます。鉄の種類には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。

ヘム鉄は、体内への吸収力が高く、血液の一部となり体のすみずみに酸素を運びます。このヘム鉄が多く含まれているのは、肉・魚・レバーといった動物性食品です。また、野菜、海藻、大豆などの植物性食品に含まれているのは、非ヘム鉄です。

効果的な摂取方法

鉄分不足と感じている方には、はるかに鉄吸収率の高いヘム鉄を含む動物性食品を積極的に摂取することがオススメです。また、非ヘム鉄は、ビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂取すると、吸収率が高まると報告されています。

その為、非ヘム鉄を含む野菜、海藻、大豆には、ビタミンCを多く含む果物や肉や魚などの動物性たんぱく質と組み合わせて摂取することが効果的な食べ方です。

体に必要な栄養素は多くあります。その為、鉄分が足りないからといって、動物性食品を多く食べるなどの偏った食生活は、他の病気を招く可能性が高まります。一つの食品に偏ることなく、バランスの取れた食事を心がけた上で、鉄分を意識することが重要です。

効果的な調理方法

鉄分を多く取りたいと考えている方は、鉄鍋で調理してみましょう。鉄製の鍋を使って調理した場合、鉄鍋の鉄が溶け出すことで、鉄分が多くなると言われています。特に、加熱時間が長い調理ほど、鉄鍋を使うと効果的です。

また、酢やケチャップなどの調味料は鉄を溶かしやすく、油を使用することで、溶け出しにくくなると言われています。

サプリメント

ベジタリアンやダイエット中の方で動物性食品を出来るだけ避けたい方は、鉄サプリメントで栄養素を補給することが可能です。鉄サプリメントは、薬局やコンビニでも手軽に購入する事が出来ます。膨大な種類があるので、どれを選んだらいいか分からないという人もいると思います。

サプリメントを選ぶポイントとしては下記2点です。

  • 吸収率の高いヘム鉄配合
  • ビタミンB12や葉酸など、血液を正常に作る成分配合

ヘム鉄サプリでオススメのものは、「DHCヘム鉄」です。こちらの商品は、吸収量の高いヘム鉄に加えて、ビタミンB12や葉酸などの赤血球の働きを正常にする栄養素も含まれています。

その為、貧血を感じている人や疲労回復したい人にオススメのサプリメントです。

おわりに

鉄分は、不足しても過剰に摂取しすぎても体に毒となります。通常の食べ物から鉄分を摂取した場合に過剰症になることはありません。その為、貧血になりやすい女性はレバーを始めとするヘム鉄の多く含まれている食事を心がけることが重要です。

食事からの摂取が難しい方は、サプリメントで補給することも可能です。しかし、用法用量を正しく守らないと、過剰症になる危険性があります。貧血を感じた方は病院で検査をしてどのくらいの量を摂取するべきか医師に相談しましょう。

関連記事として、

鉄分を多く含む食材とは?食べ合わせや効能を紹介!

貧血に効果的な飲み物は?おすすめの成分や避けたい飲み物を紹介!

貧血で倒れる症状とは?その他の病気や対処法について

これらの記事を読んでおきましょう。

  
/* */
  
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする