脇腹がつってしまう原因は様々です。運動不足や水分・ミネラルが不足していたりするのが原因の場合があります。また、神経が圧迫されている場合もあります。
脇腹がつるのは筋肉や神経からくる痙攣と、内臓の不調からくる痙攣があります。それぞれに原因や対処法が違うので、注意しましょう。
脇腹の筋肉の異常でつる場合
普段生活していても、足や肩などつってしまう場合があります。その多くが運動不足など肉体面に関するものが殆どです。
マラソン選手が競技中に足をつってしまうように、過度な運動をした場合の筋肉疲労によっても筋肉がつってしまう場合があります。また、暑いときに大量に汗をかくと水分やミネラルが体から放出されるので体がつりやすい状態になっています。
運動不足
運動不足によって硬くなった筋肉を急に動かしたりすると、つってしまう事があります。最近は座りっぱなしや立ちっぱなしなど、長時間同じ姿勢のままの仕事が多いので運動不足になりがちです。
普段は全然運動していない状態から、テニスや野球など体の軸の回転を使うスポーツや腹筋トレーニングでひねりを加えたりすると、脇腹をつる場合があります。
運動不足によって脇腹の筋肉がつってしまうのを防ぐには、腹斜筋など体幹の筋肉を鍛えると良いでしょう。体感の筋肉は大きな筋肉が多く再生も早いので、間隔を空けずにマメに鍛えるのが良いでしょう。
ミネラルバランスが崩れている
筋肉の動きをコントロールするカルシウムや、そのカルシウムの働きを調整するマグネシウムなどミネラルが不足すると筋肉が痙攣を起こしてつる場合があります。
また、疲労物質が溜まっていると足が攣りやすくなります。疲労物質を除去して疲労を回復させるににはビタミンB1を取る必要があります。
スポーツ選手がスポーツドリンクを飲んでいるのは、このミネラルバランスを崩さないようにするためです。
血行が悪くなっている、お腹が冷えている
夏に冷房をかけ過ぎたりして、体が冷えて血行が悪くなると、その影響で筋肉が硬くなって筋肉がつりやすくなります。
特に夏は衣類も薄着になりますし、冷たいものをよく飲んだりもするので、特にお腹が冷えやすくなっています。
水分が不足していると筋肉がつりやすい
人の体の60~70%は水分で出来ています。水分や電解質が不足すると、筋肉はつりやすくなっています。
例えば、あまり使っていない筋肉が夜中に寝ている時に急につったりする場合は、水分が不足している場合があります。
夏場に運動をしている時などは時に水分が不足するので、こまめに水分を補給するようにしましょう。
神経に何らかのダメージがある場合
筋肉の他にも、神経が圧迫される等の原因で脇腹の筋肉が痙攣してつってしまう事があります。
左脇腹の痛みや痙攣は肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)が多い
左脇腹から背中にかけての痛みの多くは肋間神経痛が多いそうです。肋間神経痛は背中から脇腹に激痛を感じる神経痛です。背骨から脇腹までの肋骨に沿って伸びる肋間神経が何らかの理由で圧迫されて痛みや痙攣を生じます。
肋間神経痛に伴う脇腹の痙攣は心臓の近くにも発生する場合があるので、心臓に関わる重病かと心配される方もいらっしゃいますが、心臓に関わり重病の場合は即生死に関わりますのが、左胸から脇腹にかけて痙攣が時々発生したりする場合は肋間神経痛が多いので整形外科と内科が併設している中規模以上の病院に行くと良いでしょう。
肋間神経痛であれば整形外科なのですが、他の原因があるかもしれないので、内科を併設している病院の方がオススメです。心臓の病気の可能性も考えられる方は、循環器科も入っている総合病院が良いでしょう。
肋間神経痛の原因
肋間神経痛の原因は様々ですが、骨折の後遺症やヘルニア、長時間のデスクワークや運動不足、筋肉疲労、ストレスなどがあります。
過去のぎっくり腰がクセになっている場合もあります。ぎっくり腰になる人は腰の筋肉が硬くなっている傾向があるので、その硬くなった筋肉が神経を圧迫している場合があります。
最近は、会社でのプレッシャーや家族の人間関係など、ストレスが原因で肋間神経痛を伴う方も増えています。ストレスが大きいと、体が緊張してしまい筋肉のバランスが悪くなることで神経を圧迫する原因になる場合があります。
また、肋間神経痛はヘルペスウィルスによって発生する場合もあります。ヘルペスウィルスと言っても性病とは関係のないウィルスですのでご注意ください。この場合は、脇腹に出来物が発生し、ヒリヒリする様な激しい痛みが特徴です。疲れていて免疫力が下がっている場合に、ヘルペスウィルスに掛かり易くなっています。
また、肋間神経痛は体が冷える事によって痛みが発生しやすくなっています。夏場の冷房のつけすぎには注意しましょう。
詳しくは、肋間神経痛はストレスが原因なの?治療方法は?を読んでおきましょう。
頸椎椎間板ヘルニア
頸椎の椎間板ヘルニアで神経が圧迫されることが原因で脇腹の筋肉が痙攣することがあります。肋骨のある脇腹の神経は、腰骨に繋がっている腰椎ではなくて、首にある頸椎から広がっています。このため、頸椎に椎間板ヘルニアが出来ると、神経が圧迫されて脇腹に痛みや痺れ、痙攣を伴う事があります。
首回りや片回りにも電気が走ったような痛みや痺れを感じる場合は、頸椎椎間板ヘルニアの可能性も疑ってみましょう。
芍薬甘草湯(漢方薬)
筋肉の痙攣を和らげる薬として、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)という漢方薬があります。
また、芍薬甘草湯は胃痛や腹痛にも効果があります。
内臓の病気によって脇腹がつる場合
脇腹がつる時は、じつは左右どちらの脇腹がつるというのが重要です。
と言うのも、右の脇腹がつったり傷んだりする場合は胆のう、肝臓、十二指腸の病気の可能性がありますし、左の脇腹がつったり傷んだりる場合は胃や膵臓の病気の可能性があるからです。
内臓の病気の場合、吐き気や腹痛などの初期症状もあるので、
右の脇腹が痛い時に考えられる病気
右の脇腹の裏には肝臓や胆のう、十二指腸があります。
胆嚢炎
胆嚢炎は肝臓から作られる胆汁を蓄えておく胆嚢にコレステロールの取り過ぎなどが原因で胆石が出来てしまうことが主な原因で発生する胆嚢の炎症です。
肝臓に上から包まれるようにして位置している小さな臓器が胆嚢です。右脇腹の攣るような痛みや吐き気、嘔吐や発熱がある場合は胆嚢炎の場合が多いです。
右の肋骨を上から抑えると痛みを伴うのが特徴です。
左の脇腹が攣るときに考えられる病気
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
左の肋骨の裏には胃があります。胃潰瘍は、ストレスやピロリ菌などのウイルスなどの影響で胃酸やペプシンと胃や腸の粘膜・粘液のバランスが崩れて、胃の内部の壁の表面が溶けだした状態です。胃や腸に潰瘍ができる事によって、胃腸の筋肉の層にある神経に影響が加わることによって痙攣が生じます。
腹痛や吐き気、胃もたれや食後の胃痛などを感じている場合は胃潰瘍の可能性があります。
胃潰瘍は夏目漱石の死因になった病気です。昨今は胃潰瘍で生死に至るケースは少ないですが、胃潰瘍は早期の治療が重要です。また、最近は精神的なストレスで急に進行する場合もあるので、胃の調子が悪いときは最寄りの消化器科で調べてもらいましょう。
また、十二指腸は胃のすぐあとに繋がっていているため、十二指腸の胃のすぐ後に繋がっている部分に胃潰瘍と同じような潰瘍ができることがあります。これが十二指腸潰瘍です。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍になった場合は、胃酸を抑える薬や粘膜を保護する薬などの内服薬による治療が中心です。胃潰瘍の可能性が疑われたら、最寄りの消化器科へ検診に行きましょう。
- 胃潰瘍については、胃潰瘍の症状をチェック!治療するための方法は?
- 十二指腸潰瘍については、十二指腸潰瘍の症状をチェック!原因や治療法は?
それぞれ、読んでおきましょう。
実は胃潰瘍に似ている胃がん
胃潰瘍だと思われていた症状でも、稀に胃がんが発生している場合があります。胃潰瘍の場合と症状が似ていますが、胃に膨満感がある場合は、胃がんの可能性があります。
逆に、黒い便が出る場合は胃潰瘍の可能性が高いです。
腎臓結石で脇腹が痙攣する場合もあります
上記の他にも、腎臓結石によって脇腹の筋肉が痙攣する場合があります。時々脇腹が痛むと思っていたら、いきなり激痛が走って脇腹の痙攣してしまう事もあります。
腎臓結石が出来るメカニズムは、尿として排出されるはずのリン酸カルシウムやシュウ酸カルシウム、尿酸などが上手く排出されず結石となり、やがて大きくなります。原因はまだ正確には良く解明されていません。ただ、コーヒーやビールなどをよく飲む人は尿酸値が高く、結石が出来やすいそうです。
腎結石は出来初めのころはそこまで激しい痛みがなく、時々鈍い痛みが出るくらいですが、腎臓と尿管のつなぎ目に結石が出来ると、周期的に激しい痛みに襲われます。
また、腎結石ができる血尿が出来ることがあります。
まとめ
脇腹がつる時は、大きく分けて以下の3つに分類できます。脇腹が攣るといっても原因はそれぞれ大きく異なるので注意しましょう。
- 運動不足や筋肉疲労など筋肉に関係している場合
- 肋間神経痛や頸椎椎間板ヘルニアなど神経に関係している場合
- 内臓疾患に関係している場合
原因が違うと、それぞれの対処法も以下の様に異なります。
- 筋肉に関わる痙攣の場合は運動不足を解消し水分やミネラルを取りましょう
- 肋間神経痛と思われる場合は、整形外科と内科のある病院に行きましょう
- 内臓の疾患が疑われる場合は胃腸や胆嚢の病気が多いので内科や消化器科のある病院が良いでしょう。
本当に原因が分からない場合は、内科・整形外科・消化器科などが全て揃っている総合病院で検診を受けた方が良いでしょう。
共通して言えることですが、体が冷えると、ミネラルやビタミンなどの栄養バランスが崩れたり、疲労が蓄積されると、体はつりやすくなっています。夏場は冷房の温度を下げすぎない様にしたり、冬場は体が冷えない様な服装、そして日頃の食事はビタミンやミネラルを含んだ食事を心がけましょう。