女性にとって胸が大きくなることは嬉しいことでもある反面それが病気であった場合、乳房を切除しないといけなくなってしまうので気楽に喜んでいる訳にも行きません。
体は日々成長しています。成長期の胸の大きさは常に変化していますので急速に成長することもあります。
しかし、急激な変化は何かの病気の可能性もあり、検査を行ったほうがいい場合もあります。また男性でも急に胸が出て来る場合もあり、病気の可能性が疑われます。
胸の形や大きさは個人ごとの差が大きいため一括りにはできませんが、急に胸が成長した場合の病気の可能性について知っておいたほうがいいでしょう。
今日は胸が急に大きくなる場合に考えられる原因や病気について紹介します。
胸の成長のしくみ
まず初めに、胸が大きくなる仕組みを紹介します。胸は主に乳腺と脂肪で出来ています。乳腺1に対し、9の割合の脂肪が周りを囲んでいます。
胸を大きくする要因は以下の2種類のホルモンです。ホルモン量が増える事によって乳腺の量と、その周りにくっつく脂肪分が増えていきます。
成長ホルモン
成長ホルモンは幼児期から思春期に多く分泌されるホルモンです。また、思春期を過ぎても22時から翌2時の時間帯で睡眠中に優位に働く副交感神経の影響によって多く分泌されます。
成長ホルモンは体の2次成長にかかわるほか、日々の体調にも関係し、うまく分泌されないと体の調子が悪くなり、老化が始まります。
女性の体には、12歳ごろから30歳ごろまで、ラクトゲン受容体という組織が発達します。このラクトゲン受容体が成長ホルモンを受け取ることで、乳腺が増え、胸が大きく発達します。思春期にこの受容体が増え、かつ健康的な生活をしてきた場合、胸の成長は顕著に表れます。
女性ホルモン
女性ホルモンは乳腺に作用し、乳腺を太くします。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンという2種類に分かれますが、主に胸の成長にかかわるのはエストロゲンです。乳腺が太くなると乳腺に付随する脂肪の量が増え、胸が大きくなります。
女性ホルモンは血液やリンパの流れが良いほど隅々まで行きわたります。逆に、血の巡りが悪かったり、胸筋が薄い場合は、それほど乳腺に作用しないため、女性ホルモンの量が多くても胸の大きさは劇的には変わりません。
何歳まで胸は成長する?
一般的には閉経が開始されるまで胸の成長は続くのでバストアップを期待することは出来ます。実際に38歳の女性が30代の間にDカップからEカップにバストアップしたという話題を聞いたこともあります。
基本的には10代の前半(中学生)から胸の成長が始まり50代まで成長します。いわゆる初経と呼ばれる初めての生理をきっかけに女性ホルモンの働きが活発になり、その後4年の間に胸の成長が急速に進みます。
成長している時に痛みがある
特に最初の頃の第2成長期にはしこりや胸の張りなどを感じて痛みを伴う場合もあります。
これは「女性化乳房」という症状で、成長期の男の子女の子のどちらにも発生する事がある症状になります。症状が発生する期間については数ヶ月で終わることもあれば、何年間も続く場合もあります。
痛みとしてはジンジンと痛む場合や、チクチクとした痛みを発生させることが特徴です。これらの症状を感じた場合は「胸が成長しているんだなー」と考えてしっかりと睡眠や栄養補給をすることで身体の成長が進むでしょう。男であれば身長が伸びたり体つきが大きくなり、女であれば胸が大きくなり丸みを帯びた体つきになります。
乳頭のしこりは、押すと白い母乳の様な液体が発生することもありますが問題ありません。あまりいじり過ぎると細菌感染などを引き起こしてしまう可能性があるのであまり触らない様にしましょう。
心配いらない胸の成長
胸は普段の生活や成長の過程で大きくなったり小さくなったりします。また、人生の中で胸が発達する時期もある程度決まっています。
急な肥大を感じても、胸の中にしこりや痛みなどの違和感がなければ正常な成長と見受けられます。胸の成長の原因において、心配のいらないものを紹介します。
初潮の直後
女性は初潮を迎えると女性ホルモンであるエストロゲンが多量に分泌されます。初潮は10代前半から始まることが多く、それに伴って2次成長が始まります。
個人差はありますが、初潮を迎えた後に胸が大きくなり始めるのは自然なことで、心配はありません。胸の成長ににより乳首が張るような痛みを感じることもあります。
生理前
生理前は女性ホルモンのうち、エストロゲンが優位に働きます。これは排卵に合わせて体が妊娠のための準備を始めるからです。エストロゲンが乳腺や乳腺に通じる血管を刺激することで成長を促し、乳腺組織が増えたり太くなったりして母乳を出す準備をするため、胸が張ったような感覚になります。
これは妊娠の為の準備なので、卵子が着床しなかった場合は次第に元の大きさに戻っていきます。
妊娠した場合
女性は妊娠すると生まれてくる子供のために体が変化します。妊娠をきっかけに女性ホルモンの分泌が盛んになり、出産後、十分な母乳を出すために乳腺細胞を増やし、太くします。
胸の張りのほか、乳首の色が変わるなどの変化がおこります。急に胸が大きくなるのは妊娠初期の体の変化の可能性があります。
胸筋量が増えた
乳房の下には土台となる胸筋が存在します。この胸筋が弱い場合、胸は重力に耐え切れず下に垂れたり横に流れたりします。運動などを初めて胸筋が発達した場合、胸が持ち上げられ大きくなったように感じる場合があります。
どの部分の脂肪が燃焼しやすいかは個人差や運動の方法が大きいようです。胸の筋肉が付いたために胸の脂肪が燃えやすくなるという事もありますが、他の部分の脂肪が減ったのに胸だけは大きいままという場合もあります。運動によって胸が大きくなるという事はさほど珍しい事ではありません。特に、今まで太っていた場合、運動で体が細くなったのに胸だけは大きいままということもあります。
また、運動の際にプロテインや筋肉増強のサプリを服用している場合は、その効果で胸が大きくなることも考えられます。胸が大きくなる前に新しい運動を始めたかどうかを見返してみてください。
体内の脂肪量が増えた
胸は脂肪の塊です。体に脂肪がつく際は、ある程度体に均等につくようになっています。全体の脂肪量が増えれば、胸の脂肪も増え、大きくなります。また、体質的に胸に脂肪がつきやすい人もいます。胸が大きくなり体重が増えた場合は体内の脂肪が増えたのかもしれません。
逆に、ダイエットで胸以外の脂肪が落ち、相対的に胸が大きく見えるようになる人もいます。体重が減ったのに胸が大きくなった場合は、胸が大きくなったのではなく、他の部分が細くなったと考えられます。
早発乳房
新生児や、幼児期に乳房が発達する症状の事です。2次成長前の子供の胸が膨らんでいる場合、このように呼ばれます。これは母体から流れ込んだエストロゲンが子供の体内に蓄積されたことで一時的に胸が成長するために発生します。
男児、女児共に発生する可能性がありますが、ほとんどは3歳までに自然と直ります。あまり刺激しないことが大切です。
病気かもしれない胸の成長
胸が急に大きくなった際、痛みを伴ったり、胸の乳腺部分にしこりのようなものを感じた場合は注意が必要です。良性の腫瘍の場合もありますが、乳がんなど、胸以外の場所に転移する病気の場合もあります。
胸の病気は早期発見により重症になることを防ぐことが出来ますので、以下を参考に、気になる症状がある場合は早めに病院を受診しましょう。
乳がん
乳がんは女性のがんの中でも悪性の強いがんで、乳房の中にある乳腺で発生します。
胸を乳頭を中心に十字に四分割した時に、左右の脇側の上部に発生しやすいという統計があります。外側上部に発生する乳がんは全体の50%近くを占めています。
初期には痛みがほとんどないため、発見が難しいがんでもあります。乳がんは乳房内の細胞が悪性化して増殖するため、片方の乳房にしこりが発生したり、増殖した細胞の分だけ胸が大きくなったように感じたりします。
乳がんは肺や近くの臓器に移転しやすいがんです。胸にしこりを感じたら早めに専門機関の受診をお勧めします。検査の際はマンモグラフィ検査が有効です。
乳がんのしこりは固く、動きの悪いという特徴があります。痛みの有無に関しては個人差があり、両方のケースがありますのでそちらにせよしこりが確認された場合は検査をしたほうが良いでしょう。
詳しくは、乳癌のしこりの特徴は?原因や症状、治療方法を紹介!を参考にして下さい!
乳腺炎
主に授乳中や、妊娠末期に母乳が出るようになった母体に発生する症状で、細菌が入り込んで乳腺が詰まってしまうことで炎症を起こす病気です。詰まった母乳がしこりのように固くなり、胸全体が赤くなったり、痛みを生じたりします。
乳腺炎は乳房内の母乳が余っている際に起こりやすく、妊娠末期でまだ母乳が必要ない場合や卒乳などのタイミングで起こることが多い病気です。乳がんとの区別が難しく、症状がひどい場合には高熱が出ることもあります。
予防法としては授乳方法の工夫や胸への圧迫を控えるなどの対策が有効です。
詳しくは、乳腺炎の5つの原因とは?ストレスや食べ物についてを読んでおきましょう。
乳腺症
乳腺症は授乳の経験が無い30代から閉経までの女性に見られる症状で、ホルモンバランスの乱れにより胸にしこりが出来るのが乳腺炎です。
痛みは殆どありませんが、生理前になると痛むことがあり、乳頭から白色や血色などの分泌物が出ることがあります。しこりは乳房の片側に出来る場合と、両側に出来る場合があります。
乳腺症には様々な種類の症状がありますので、統括的に「乳腺症」という名称で呼ばれています。乳腺全体的に症状が発生することが特徴で、生理と関係が深く、生理前後に症状が発生しやすいことがわかっています。
胸にしこりが発生する、胸が張る(大きくなったと感じる)、痛みを感じる、乳頭から分泌液が出るなどの症状が一般的です。
病院に行っても特に有効な治療法はなく、経過観察で様子を診ることが多いでしょう。閉経とともに症状は終息していくのでそれまでの間は女性ホルモンのバランスを整えたりすることで対策します。
乳管内乳頭腫瘍
乳頭付近に良性の腫瘍が出来、乳頭から血液や分泌物が出る病気です。付近に腫瘍が出来、乳房先端が膨らんだようになる事が在ります。合併症として乳腺症を併発することがあります。乳がんとの区別が難しいため、専門機関での検査が必要です。
また、将来的に乳がんに発展するリスクが高いため、乳管内乳頭腫瘍と診断された場合は予後の経過を注視する必要があります。
繊維腺腫
乳房の中に2~3センチの腫瘍が出来る病気です。10代~30代の女性に多く発症し、しこりは良性です。痛みは無く、まれに大きくなる場合があります。
葉状腫瘍
乳腺が歯のように広がり乳房が肥大する病気です。最初はしこりのようなものを胸の内側に感じ、乳腺症や繊維腺腫と似通った症状ですが、症状の進行が速いためこの疾患と判断できます。ほとんどが良性ですが、悪性の場合は肺などに腫瘍が転移します。
巨乳症
胸が日常生活に支障をきたすほど大きく肥大する病気です。男性や初潮前の子供にも起こる可能性があります。ホルモンの過剰分泌で乳腺が刺激され、乳腺の肥大が止まらなくなり、大きくなった胸が腹部まで垂れ下がってしまうこともあります。
巨乳症は一時的なものと、永続的なものがあります。ホルモンバランスの乱れが原因の場合は、それが改善されることで乳房の肥大も止まります。また、幼児の場合は成長と共に胸の大きさも元に戻ったりします。しかし、永続的にホルモンが分泌される場合は、注射や服薬などでホルモンの分泌を抑制する必要があります。
男性の体内にも女性ホルモンは存在するため、過剰に分泌された場合は乳腺が肥大することがあります。特に成長期の男児は一時的に女性ホルモンが増えるため胸が張ることがありますが、成長と共にホルモンバランスが安定するため、次第に胸のふくらみは消えていきます。しかし、女性ホルモンの分泌が過剰な場合は成長期を終えても肥大することがあり、こちらもホルモンを抑制する治療が必要となります。
男性でも胸が成長する事があるの?
自分の胸が女性の様に肉づいていてコンプレックスに思っている人も居るでしょう。
男性でも女性のように胸が大きくなる可能性はあります。果たしてこれは病気なのか、治し方は無いのかということについて紹介していきます。
男性に発生する女性化乳房について
女性化乳房は遺伝や一時的なホルモンバランスの乱れによって発生する乳房の女性化のことをいいます。主に第二成長期の中学生頃から始まり、いじめの対象になることも少なくない症状でもあります。
また年齢を重ねて30代や40代から肝機能低下などが原因でホルモンバランスが崩れてしまい、女性化乳房が発生することがあります。
このホルモンバランスの乱れの原因が甲状腺機能の障害や薬による影響の場合には病気と診断することも出来ますが、一般的には悪性のものではなく病気には該当しない症状です。
発生する可能性は0,5%との報告があり、200人の男子に一人の割合で発症者が居るようです。
女性化乳房の悩みの症状
男性の女性化乳房で特に男性を悩ませている症状について紹介します。
- シャツの上から乳首が見えてしまう
- 海やプールで露出することが恥ずかしい
- 衣類と乳首が擦れて痛くなったり痒くなる
- 太って見える
という悩みの声が聞かれます。発生する時期が中学生からということで、非常にコンプレックスを感じやすく悩んでいる男子が多いこともこの症状の困ったところです。
女性化乳房は改善できる?
残念ながら筋トレなどをしても効果あまり見られません。筋肉の上に乳腺などの皮下組織や脂肪が乗っかっているのでやはり女性的な乳房になってしまいます。
逆に更に症状を強調してしまう事になりかねません。この症状を隠すためには、サラシを巻いて隠すか、手術という選択肢を取ることになります。
思春期に発生している女性化乳房の場合には特に何もしなくても1〜2年で消えてしまうこともあります。しっかりホルモンバランスを整えながら男子らしく生活していれば男性ホルモンが活発に働くようになって消えてしまいますのであまり深く悩まないようにしましょう。
単純に太っていて女性化乳房になっている偽女性化乳房の場合には痩せることで症状は改善されます。しかしあまりにも太ってしまっていた場合はダイエットをしても皮が残ってしまう事があります。
手術について
手術は日帰りで行える手術が主流になっています。1時間程度で手術は終了します。
先程も紹介したように高校生や思春期の未成年の場合には、勝手になくなってしまう可能性も高くあります。ですので、治療を行う判断をする医師は少ないでしょう。相談することはいいですが、殆どのケースで経過観察になると思います。
手術の保険適用については、医師の判断により結果が分かれます。真性女性化乳房の場合には保険適用での治療が行われますが、真性であっても100%保険適用という訳では無いようです。
条件として乳腺の大きさが5cm以上などの制約があるので、それ以外の人に関しては症状の原因などによって変わってくるでしょう。
まとめ
乳房は非常にデリケートな部位であるとともに、ホルモンの影響を非常に受けやすい器官です。胸の大小は女性にとってはコンプレックスになることも多々あります。基本的に、成長期や生理前、妊娠後の急激な成長は、日常生活に支障をきたすほどの痛みなどがない場合は心配する必要がありません。
しかし、乳房は出産や子育てのための大切な器官ですので、子育ての際に十分に機能が発揮できるよう、しこりや出血などの異変を感じた場合は産婦人科に早めに相談した方がよいでしょう。また、乳がんは女性のがんとしては発症率や死亡率が高めなので、早期発見が重要となります。マンモグラフィなどの定期検診は面倒と思わずに受診してください。
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