誰でも身だしなみを整えるために鏡を見ると思いますが、鏡を見ていたら、おでこにぶつぶつ(ブツブツ)ができていたことに気付いた経験をされた人は案外少なくないでしょう。
おでこを含む顔は全身の皮膚の中でも常に露出していますし、そもそも顔は全身で最も目立つパーツ・部位だと言えます。それゆえ、おでこにぶつぶつができていることに気付いてしまうと、どうしても気になってしまい頻繁に鏡を見てみたり、手で触ってしまいがちです。
この点、一口におでこのぶつぶつと言っても原因は様々で、単なるニキビかもしれませんし、もしかしたらニキビではない他の原因によるものかもしれません。当然ですが、おでこのぶつぶつは原因によって対策方法は異なります。
そこで今回は、おでこのぶつぶつの種類、おでこのぶつぶつの原因、そしておでこのぶつぶつの対策方法や改善方法などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
おでこのぶつぶつの種類
そもそも、おでこにぶつぶつが現れた場合、どのような症状や病気が考えられるのでしょうか?おでこのぶつぶつの対策方法や改善方法を考えるにしても、おでこにぶつぶつが現れる症状や病気について知っておく必要があります。
そこで、まずはおでこのぶつぶつの種類について、ご紹介したいと思います。
白色や肌色のぶつぶつ
おでこのぶつぶつが白色や肌色に近い場合に考えられる症状・病気としては、次のようなものが挙げられます。
- 白ニキビ
- 角栓
- 稗粒腫(はいりゅうしゅ)
白ニキビ
白ニキビは、皮脂や皮膚の汚れが過剰となって毛穴を塞いでしまい、そこにニキビの原因菌であるアクネ菌が繁殖することによってできる白色系の膨らみのことです。
白ニキビは、通常は直径約1㎜~3㎜程度の大きさで、かゆみを感じることはありませんが、場合によっては手で触ると軽い痛みを感じることがあります。というのも、白ニキビは、ニキビが発生した直後の形態であって、アクネ菌の増殖などによって赤ニキビや黒ニキビへと変質していくからです。
白ニキビは、皮脂分泌量が多いTゾーン(おでこ・鼻筋のエリア)に好発することが知られていますが、皮脂分泌量が少ないはずのUゾーン(頬・顎・口周りのエリア)にも生活習慣の悪化や体調の悪化によって現れる可能性があります。
角栓
角栓は、皮膚の最も外側の層である角質層から新陳代謝によって剥がれ落ちるはずの角質と、皮脂腺から分泌される皮脂とが毛穴の中で結合して固まったものです。角栓は、このように皮脂と角質が毛穴の中で凝固したもので、いわば毛穴に老廃物が詰まったものとも言えます。そして、皮脂と角質の凝固が大きくなると、肌表面に膨らみが生じる状態となることがあるのです。
角栓は、その成り立ちから皮脂分泌量が多いTゾーンに現れやすい傾向があります。また、角栓は、その性質上から肌色からやや白みがかった色をしていますが、角栓の表面が酸化すると黒ずんで見えるケースもあります。
ちなみに、このような毛穴の角栓詰まり(角栓つまり)はアクネ菌の繁殖によってニキビの原因となる場合がありますが、全ての角栓がニキビになるわけではありません。
稗粒腫(はいりゅうしゅ)
稗粒腫は、顔の肌に現れる直径1㎜~2㎜程度の白っぽい粒状の膨らみ・ぶつぶつのことです。稗粒腫は、毛穴組織(毛包組織)や毛穴に繋がる皮脂腺などの形成が不十分なために、角質を構成する線維性タンパク質(ケラチン)などの老廃物の排出が進まず、それら老廃物が溜まって塊となったものと考えられています。
稗粒腫は顔の肌に現れても、大きくなることも無ければ小さくなることもなく、炎症によって赤くなり痛みや痒みを伴うこともありません。このように稗粒腫は、治療をせず放置しても肌の健康上は特に問題はないとされています。
稗粒腫は、皮膚が薄く毛穴組織や皮脂腺が発達しにくい目の周りに発生することが非常に多いのですが、目の周囲ほどではないもののおでこや頬にも発生することがあるとされています。
赤色のぶつぶつ
肌のぶつぶつと言うと、赤い色をイメージしやすいですが、おでこにも赤色のぶつぶつが現れることがあります。おでこのぶつぶつが赤色の場合に考えられる症状・病気としては、次のようなものが挙げられます。
- 赤ニキビ
- 毛嚢炎(もうのうえん)
- 帯状疱疹(たいじょうほうしん)
赤ニキビ
赤ニキビは、前述した白ニキビでアクネ菌が増殖することによって炎症が発生している状態の赤い膨らみのことです。つまり、ニキビの初期段階である白ニキビが悪化して、炎症を起こしたものが赤ニキビだと言えます。
それゆえ、赤ニキビは白ニキビと同様にTゾーンで発生しやすく、また生活習慣や体調によってはUゾーンにも発生することがあります。
ちなみに、白ニキビや赤ニキビの毛穴表面が空気に触れて酸化すると黒く変色することがあり、黒く変色したニキビを黒ニキビと呼びます。
毛嚢炎・毛包炎
毛嚢炎は、毛穴組織(毛包組織)に細菌が侵入して感染することによって発生し、真ん中が白ニキビのような状態で周囲が赤みを帯びた炎症を伴う膨らみのことです。毛嚢炎は、このように毛の根元・毛穴(毛包)に発生する細菌感染症で、毛包炎とも呼ばれます。
毛嚢炎で最も一般的なものは、黄色ブドウ球菌が原因菌となるもので、特に顔に発生するものを面疔(めんちょう)と呼びます。また、マラセチア菌が原因となるマラセチア毛包炎も、おでこに現れることがあります。
面疔(めんちょう)
毛嚢炎は、かつては疔(ちょう)と呼ばれたこともあり、顔に現れる毛嚢炎のことを面疔と呼ぶことがあります。毛嚢炎は全身で発生する可能性がありますが、顔に現れる毛嚢炎はニキビと間違えやすいことで知られます。
多くの場合、原因菌は人の常在菌の一つである黄色ブドウ球菌であって、皮膚の衛生状態が悪い人や免疫機能が低下した人などに発症しやすいとされています。
マラセチア毛包炎
マラセチア毛包炎は、人の常在菌の一つであるマラセチア菌が毛穴で繁殖することによって発症し、軽い痒みを伴う赤いぶつぶつが肌に現れます。マラセチア毛包炎は、マラセチア菌を原因とする毛嚢炎の一種ですが、一般的には通常の毛嚢炎と区別されます。
マラセチア菌は嫌気性で空気に触れることを嫌がり、高温多湿の不潔な環境を好むため、胸・背中・肩などに多く現れる傾向にあります。顔に現れる場合もあり、その嫌気性の性質から角栓詰まりの毛穴で現れやすく、頭髪の生え際やTゾーンなどのニキビの好発エリアと重なります。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)
帯状疱疹は、その名の通り皮膚に帯状の赤いぶつぶつが現れ、酷くなると赤い帯状に皮膚が盛り上がりを見せる病気です。帯状疱疹では、痛みを伴うことが通常です。
帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性にあると考えられています。小児の際に水痘・水疱瘡(みずぼうそう)に罹患し完治しても、ウイルスが神経細胞に潜んでいて、過度なストレスや免疫機能が低下するとウイルスが再活性化することがあるのです。
帯状疱疹の好発部位は胸・背中などの上半身ですが、下半身・頭皮・顔・首などにも現れることがあるとされています。
淡い茶褐色のぶつぶつ
おでこに淡い茶褐色のぶつぶつが現れた場合は、青年性扁平疣贅(せいねんせいへんぺいゆうぜい)の可能性があります。
青年性扁平疣贅は、ヒトパピローマウイルスに感染することによるウイルス性のイボのことで、単に扁平疣贅と呼ばれることもあります。青年性扁平疣贅は、直径1㎜程度の小型で平らな皮膚の盛り上がりですが、大きいものでは直径10㎜程度になるケースもあります。
痛みや痒みなどの自覚症状はほとんどなく、気付いても皮膚のシミと勘違いしがちです。
青年性扁平疣贅の好発部位は顔面・腕・手の皮膚で、ウイルス性のため手で触って刺激すると周囲にイボの数が増えてしまうことがあります。ちなみに、青年性扁平疣贅は、20才~30才代の大人の女性に発症しやすいことでも知られています。
おでこのぶつぶつの原因
このように一口におでこのぶつぶつと言っても、様々な症状・病気の可能性が考えられるのです。といっても、稗粒腫は主に目の周りでの発症が多く、毛嚢炎・帯状疱疹などは顔よりも身体に現れることが多く、青年性扁平疣贅もそれほど一般的な病気ではありません。
そこで、これ以降は白ニキビや赤ニキビといった顔ニキビと角栓に焦点を絞って、その原因をご紹介したいと思います。
角栓の原因
角栓は、前述のように新陳代謝で古くなり剥がれ落ちるはずの角質と、皮脂腺から分泌された皮脂とが毛穴の中で凝固したものです。それゆえ、角栓が生じる直接的な原因としては、肌の新陳代謝(ターンオーバー)の乱れと皮脂の過剰分泌が挙げられます。
肌の新陳代謝の乱れ
肌の新陳代謝(ターンオーバー)とは、肌細胞が生まれてから細胞の分化を重ねて皮膚の最も外側の角質細胞となって、最終的に角質が垢として剥がれ落ちるまでのサイクルのことです。この新陳代謝のサイクルは、個人差や身体の部位ごとにも差が生じますが、顔の肌の場合は概ね28日周期とされています。
肌の新陳代謝が乱れる要因は非常に多岐にわたっており、主要な要因を挙げるとすれば次の通りです。
- 生活習慣の乱れ(睡眠不足・食生活の乱れ・過剰なストレスなど)
- 紫外線の受けすぎ(日焼け)
- 間違ったスキンケア(洗顔のしすぎ・洗顔不足・成分の強いスキンケア用品の使用など)
- 女性ホルモンのバランスの乱れ
- 加齢による肌細胞の老化
皮脂の過剰分泌
皮脂の過剰分泌を招く要因も多岐にわたっており、主な要因を挙げると次の通りとなります。
- 生活習慣の乱れ(睡眠不足・食生活の乱れ・過剰なストレスなど)
- 洗顔のしすぎ
- 女性ホルモンのバランスの乱れ
- ストレスによる男性ホルモンの増加
顔ニキビの原因
顔のニキビは、前述のように皮脂や皮膚の汚れが過剰となって毛穴を塞ぎ、そこにアクネ菌が繁殖することによって発症します。それゆえ、角栓の原因と大部分が重なります。
思春期のニキビ
男女ともに思春期は、顔ニキビが発症しやすい時期です。そして、思春期のニキビは、主に皮脂の過剰分泌が原因となります。
というのも、思春期は成長ホルモンの分泌が活性化する時期であり皮脂腺が刺激されやすく、また第二次性徴期で男性ホルモン量や女性ホルモン量に大きな変動が見られることも皮脂の過剰分泌につながるからです。
さらには、思春期は身体の変化に心がついていけずストレスを抱えやすい時期ですし、身体の成長のために動物性たんぱく質や油分・脂質の多い食べ物を好む傾向もあるため、余計に皮脂分泌が多くなりがちです。
吹き出物・大人ニキビ
大人になってから顔に現れる大人ニキビは、一般に吹き出物と呼ばれ、思春期のニキビとは区別されます。これは、思春期のニキビの原因が皮脂の過剰分泌の比重が高いのに対して、吹き出物・大人のニキビは毛穴の目詰まりの比重が高いからです。
そして毛穴の目詰まりを引き起こす大きな要因は、角栓の形成を招く新陳代謝の乱れにあります。それゆえ、肌の新陳代謝の乱れを誘引する次のような事情が、吹き出物・大人ニキビの原因となります。
- 生活習慣の乱れ(睡眠不足・食生活の乱れ・過剰なストレスなど)
- 紫外線の受けすぎ(日焼け)
- 間違ったスキンケア(洗顔のしすぎ・洗顔不足・成分の強いスキンケア用品の使用など)
- 女性ホルモンのバランスの乱れ
- 加齢による肌細胞の老化
おでこのぶつぶつの対策方法・改善方法
それでは、白ニキビや赤ニキビといった顔ニキビと角栓のような、おでこのぶつぶつが現れた場合に、どのような対策をして肌の改善をすれば良いのでしょうか?
そこで、白ニキビや赤ニキビといった顔ニキビと角栓のような、おでこのぶつぶつが現れた場合の対策法・改善法について、ご紹介したいと思います。
病院の受診
前述のように、おでこのぶつぶつと言っても、その症状・病気は様々です。そのため、自分がニキビだと思っていても、他の症状・病気である可能性があるかもしれません。
ですから、おでこのぶつぶつが現れた場合、まずは皮膚科・美容皮膚科といった病院を受診して、専門家である医師の診断を仰ぎ、症状・病気を特定しなければなりません。
その上で、皮膚炎・毛嚢炎・帯状疱疹・青年性扁平疣贅などの病気であれば、医師の指導の下で病気に応じた治療をする必要があるでしょう。また、顔ニキビ・角栓の場合でも、専門家の見地から対策法・改善法についてアドバイスをもらうことが期待できます。
皮膚科の処方薬について
皮膚科を受診すると、様々なニキビ薬が処方されることがあります。主要な処方薬を挙げると、ベピオゲル軟膏、ゼビアックスローション、ディフェリンゲル軟膏、ダラシンTゲル、アクアチムクリームなどで、その他にもヒルドイド軟膏 ニゾラール軟膏などがあります。
皮膚科を受診してニキビ薬を処方された場合は、医師や薬剤師から十分な説明を受け、分からないことは質問しましょう。というのも、処方薬は市販薬に比べて薬効・有効成分が強いため、肌の乾燥などの副作用を伴うケースがあるからです。
生活習慣の見直し
睡眠不足・食生活の乱れ・過剰なストレスといった生活習慣の乱れは、自律神経の乱れを招き循環器や消化器の不調を誘います。そして、胃腸などの消化器が不調に陥ると、その影響が肌荒れ・新陳代謝の乱れという形で皮膚にも現れるのです。
ですから、必要十分かつ質の高い睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、上手なストレスの発散をすることが大切で、そのためには自分の生活スタイルを見直すことが必要不可欠となるのです。このような生活スタイルの見直しだけでも、皮脂分泌が落ち着いて脂性肌・オイリー肌の改善効果が見られることがあります。
スキンケア方法の見直し
大人の女性にとって美しさを演出するメイクは重要ですが、一方でメイクのための化粧品は肌に負担をかけているのも事実です。それゆえ、顔ニキビなどのおでこのぶつぶつが現れたならば、洗顔方法やスキンケア方法の見直しも必要かもしれません。
洗顔方法について
メイクや余分な皮脂を取り除こうとして、洗顔し過ぎることは避けなければなりません。というのも、洗顔をし過ぎると必要な皮脂まで取り除いてしまい、肌のバリア機能が失われてしまいます。すると、肌細胞から水分が失われて肌乾燥が進み乾燥肌や敏感肌になりかねません。
洗顔は1日2回程度で、洗顔料を十分に泡立てて、肌をゴシゴシと擦らないように優しく洗うことが重要です。また、肌を擦らず20回~30回ほどかけて洗顔料をすすぎ、タオルで水気を拭き取る際も肌を擦ることなく押し付けるようにしましょう。
ちなみに、角栓詰まり対策として酵素洗顔料が話題となっていますが、自分の肌に合うかどうかが非常に大切ですので、肌に合うかを確認してから使いはじめましょう。
スキンケアについて
正常な新陳代謝を維持するためには、肌の保湿がとても重要になります。そして、ニキビ跡が残るニキビ肌には、化粧品メーカー各社から様々なニキビ用・ニキビ対策用の化粧水や保湿液が発売されていますので、これらの中から自分の肌に合うものを使って入念に肌の保湿に努めましょう。
インターネットでニキビについて検索すると、様々な対策方法がヒットします。例えば、ティートリーという植物は強力な抗菌作用を有することからティートリー精油を用いるニキビ対策法、あるいは逆にオイルフリー化粧品を用いる改善法などが見つかります。肌質は人によって個人差がありますから、それらを鵜呑みにするのではなく、自分の肌に合うか否かという視点を持つことが非常に重要だと言えるでしょう。
ニキビが発生したら清潔を心掛ける
一旦ニキビが発生したら、いつも以上に身の回りを清潔に保つように心掛ける必要があります。というのも、ニキビ・吹き出物の患部は傷口が開いていますから、アクネ菌以外の雑菌や化学刺激物が患部を悪化させてしまう危険性があるからです。
ですから、枕カバー・シーツなどの寝具や普段使いのタオルなどは、洗濯して清潔なものを使うようにしましょう。また、入浴時の洗髪でシャンプーのすすぎ不足があったり、髪の毛のセットに整髪料を使っている場合は、前髪が垂れておでこのニキビ・吹き出物を刺激して患部の悪化を招く危険性もあるので注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか?おでこのぶつぶつの種類、おでこのぶつぶつの原因、そしておでこのぶつぶつの対策方法や改善方法などについて、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、おでこにぶつぶつができていることに気付くと、どうしても気になってしまいます。そして、一口におでこのぶつぶつと言っても原因は様々で、顔ニキビの可能性が高いとしても、もしかしたらニキビではない他の原因によるものかもしれません。
ですから、おでこにぶつぶつが現れた場合は、安易にニキビと自己判断するのではなく、病院を受診して原因を特定することが大切です。いずれにしても、しっかりと治療や対策をすれば、ツルツル肌へと戻る可能性は十分にありますので、しっかりと治療や対策をしましょう。
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