女性ならば多くの人が、美しい肌を長くキープしていきたいと思うのではないでしょうか?そのために、日々のスキンケアに精を出したり、少しでも肌に負担のかからない基礎化粧品などを探したり、といった努力をされている人も少なくないでしょう。
とは言っても、やはり加齢による肌質の衰えに抗うことはできないかもしれないと、心のどこかで諦めていませんか?たしかに、年齢は誰もが平等に1年に1才ずつ積み重ねていくものですから、肌質の衰えを正当化する丁度良い言い訳になるかもしれません。
しかしながら、そこで諦めてしまったら、加齢によって加速度的に肌質が衰えていってしまいます。そこで今回は、効果的なスキンケアを実施するためにも、まずは肌の構造や新陳代謝の仕組みを再確認した上で、肌質が衰える原因と美肌になるためのスキンケア方法について、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
肌の構造と新陳代謝の仕組み
美肌になるための効果的なスキンケア方法を実践するには、どうしても自分の肌(皮膚)の構造について知っておく必要があるでしょう。肌の構造を知らずに自己流のスキンケアをしていては、期待ほど効果を得られないかもしれません。
そこで、まずは肌の構造と新陳代謝の仕組みについて再確認しておこうと思います。
肌(皮膚)は三層構造
肌(皮膚)は三層構造となっています。そして、その3つの層とは、最も外側の層が「表皮」、真ん中の層が「真皮」、そして最も内側の層が「皮下組織」です。
表皮
表皮は、肌の三層構造の最も外側にある層のことで、紫外線や細菌といった体外からの様々な刺激に対して、人間の身体を保護する役目を担っています。
新陳代謝の仕組み
この表皮は、さらに四層に細かく分類されます。
具体的に、表皮は内側の基底層で肌細胞(基底細胞)が生まれ、肌細胞が分化しながら有棘層(有棘細胞)、顆粒層(顆粒細胞)を経て、最も外側の角質層(角質細胞)へと肌細胞が変化していきます。そして、最終的に角質細胞となった肌細胞からは細胞核が消滅し、角質細胞はアカとして剝がれ落ちるのです。
このような表皮における肌細胞の変遷こそが、肌の新陳代謝(ターンオーバー)と呼ばれる現象なのです。
ちなみに、肌の新陳代謝の周期は身体の部位によって異なります。特に顔肌の新陳代謝が最も短く、平均すると28日間程度だとされています。
肌バリアについて
基底細胞として生まれた肌細胞が分化を繰り返して顆粒細胞になると、顆粒細胞同士がお互いに密着するように隙間なく整然と並ぶようになります。そのため、実は顆粒層が体外の細菌やウイルスなどから身体を守るバリア機能の役目を担っています。
一方で最も外側の角質層は、細胞核が消滅した角質細胞すなわち死んだ細胞の集まりです。アカとして剥がれ落ちるのを待つのみの状態ですが、顆粒層で生み出される天然保湿因子とセラミドを主成分とする角質細胞間脂質が角質層の隙間を埋めることにより、角質層が保湿され肌のバリア機能の一角を担うことになるのです。
加えて、角質層の肌表面に毛穴を通じて皮脂・汗が分泌されます。そして適量の皮脂・汗が更に保湿成分として働き、顆粒層と角質層の肌バリア機能を補助することになります。
真皮
真皮は、肌の三層構造の真ん中にある層のことで、表皮の土台として表皮を支持する役目を担っています。
真皮は、主にコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸という成分で構成されており、非常に弾力性に富み、十分な水分量で保湿されています。肌が弾力性に富むのは、真皮を構成するタンパク質由来のコラーゲンと弾性繊維であるエラスチンの存在のおかげです。また、肌内部が水分によって保湿・潤いを有しているのは、ヒアルロン酸の保水力によるものです。
そして、真皮においてコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を生み出しているのが、真皮内に存在する線維芽細胞です。この線維芽細胞の働きが低下すると、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸が減少して、表皮を支えることができなくなり、シワやたるみにつながるのです。
皮下組織
皮下組織は、肌の三層構造の最も内側にある層のことで、表皮と真皮を支えるほかに、体外からの衝撃に対する緩衝材、体温維持のための断熱材・保温材といった役目も担っています。
皮下組織は、主に皮下脂肪と呼ばれる脂肪組織で構成されています。皮下組織内をある程度太めの血管が走っていて、そこから真皮や表皮に栄養を供給する末梢血管に分かれていきます。
肌質が衰える原因・肌トラブルの原因
それでは、どのようなことが原因となって、肌質が衰えたり、肌トラブルが発生するのでしょうか?美肌になるための効果的なスキンケアを行うには、肌質が衰える原因や肌トラブルの原因についても知っておく必要があると言えます。
そこで、肌質が衰える原因や肌トラブルの原因について、ご紹介したいと思います。
睡眠不足
睡眠不足になると、肌の新陳代謝が低下して、肌質の衰えの原因となったり、ニキビやシミなどの肌トラブルの原因となります。
というのも、肌の新陳代謝とは細胞分裂・細胞分化のことであり、この細胞分裂を促す成長ホルモンが主に睡眠時に分泌されるからです。睡眠時間が短くなり十分な質量の睡眠が確保できなければ、成長ホルモンが正常かつ必要十分な量が分泌されないわけですから、細胞分裂である肌の新陳代謝も必然的に停滞することになります。
その結果として、肌質が衰えたり、肌トラブルが発生するのです。
栄養バランスの悪い食事
食生活の偏り、ダイエットなどによる栄養不足も、肌の新陳代謝の低下を招き、肌質の衰えの原因・肌トラブルの原因となります。
子供の成長に多くの栄養素が必要なように、肌の新陳代謝にも必要不可欠な栄養素が存在します。特にビタミンA・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン類と良質なタンパク質が、肌の新陳代謝には必要とされます。これらが不足すると、新たな肌細胞を生み出すことができず、肌の新陳代謝が停滞するのです。
また、食事内容の欧米化によって脂質の摂取量が増える傾向にありますが、こちらは皮脂の過剰な分泌から脂性肌を招き、ニキビ・大人ニキビなどの肌トラブルの原因となります。
過度なストレス
現代はストレス社会と言われますが、長く過度なストレスがかかり続けると、自律神経に失調を来す可能性があります。自律神経は心臓・血管の動きをコントロールしているため、自律神経が乱れると血行不良を招いてしまうのです。
血行が悪くなれば、いくら食べ物から栄養を摂取しても、肌細胞にまで栄養素が十分に届けられません。
その結果として、肌の新陳代謝が停滞して、肌質の衰え・肌トラブルが生じることになりかねません。
過度な紫外線
過度な紫外線による日焼けは、表皮の肌細胞にダメージを与えるので、肌細胞を入れ替えるために肌の新陳代謝の周期を短く早めることになります。
一見すると良いことのように思えますが、それは逆で短期間に肌細胞を粗製乱造することになりますから、正常な肌細胞が少なく未熟な肌細胞が多くなります。その結果、乾燥肌など肌質の衰え・肌トラブルにつながるのです。
また、過度な紫外線は、真皮にもダメージを与え線維芽細胞の働きを低下させます。線維芽細胞の働きの低下は、そのままコラーゲン量などの生産低下につながり、シワやたるみを増やす要因になるのです。
加齢による老化
加齢による老化は、肌の新陳代謝を徐々に低下させていきます。肌の新陳代謝は、一般的に思春期くらいで最高潮に達し、成人以降は加齢とともに徐々に低下していきます。そのため、年齢が上がるほど皮膚の傷が回復しにくくなり、シミなどの肌トラブルが増える傾向があります。
また、加齢による老化は、真皮の線維芽細胞の働きも低下させます。それゆえ、年齢が上がるほどシワやたるみが増えるわけです。
誤ったスキンケア
誤った方法によるスキンケアも、肌質の衰え・肌トラブルの原因となります。
例えば、顔がべたつくからといって必要以上に洗顔したり、顔肌をゴシゴシと擦ってしまうケースです。このような洗顔方法では、肌バリア機能を補助する皮脂を落とし過ぎたり、肌バリア機能の一翼を担う角質層を無理矢理剥がすことになりかねません。肌バリア機能が低下すれば、肌がかぶれやすくなったり、乾燥肌になったりといった肌トラブルが生じます。
また、洗顔のし過ぎの場合と同様に、必要以上に成分が濃いスキンケア用品(洗顔料・メイク落としなど)を用いた場合も、肌質の衰え・肌トラブルの原因となる場合があります。
女性ホルモン
女性の体内では、生理周期に応じて周期的に女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)の分泌量が変化しています。
特に卵胞ホルモンは、女性器・乳房といった女性特有の器官の発達を促すほか、肌の新陳代謝にも関与しています。そのため、卵胞ホルモンは美肌ホルモンと呼ばれることもあります。生理周期において卵胞ホルモンの分泌量が減少する時期は、排卵後から生理前までの期間です。この時期の女性は、ニキビ・吹き出物といった肌トラブルが発生しやすい時期です。
また、生理周期以外にも何らかの要因で女性ホルモンの分泌が減少すると、肌トラブルにつながる可能性があると言えるでしょう。
美肌になるためのスキンケア方法
このように肌質が衰える原因や肌トラブルの原因は、非常に多岐にわたります。
それでは、ここまでご紹介してきた肌の構造や新陳代謝の仕組み、肌質の衰え・肌トラブルの原因を踏まえた上で、美肌になるための効果的なスキンケアを行うには、どうすれば良いのでしょうか?
そこで、美肌になるためのスキンケア方法について、ご紹介したいと思います。
生活習慣の改善
美肌になるためのスキンケアを実践する以前の問題として、睡眠不足・バランスの悪い食事・過度なストレスといった肌質が衰える原因や肌トラブルの原因について思い当たる節がある人は、生活習慣の改善をしなければなりません。
十分な睡眠時間の確保
前述したように肌の新陳代謝とは細胞分裂のことであり、この細胞分裂を促す成長ホルモンが主に睡眠中に分泌されます。それゆえ、睡眠時間が短くなり十分な質と量の睡眠が確保できなければ、成長ホルモンは正常かつ必要十分な量が分泌されません。そして、成長ホルモン分泌量が少なければ、細胞分裂である肌の新陳代謝も必然的に停滞することになります。
ですから、スキンケアを考える以前の問題として、美肌になるためには十分な質と量の睡眠時間を確保することが必要なのです。
栄養バランスのとれた食事
肌の新陳代謝が正常に行われるには、肌の新陳代謝に必要不可欠な栄養素がバランス良く含まれる食事をする必要があります。
前述のように肌の新陳代謝には、ビタミンA・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン類と良質なタンパク質が欠かせません。一方で、食生活の欧米化で増えた動物性脂肪の摂取は、皮脂の過剰分泌につながります。
ですから、野菜・フルーツなどでビタミン類を補充しつつ、大豆製品などで良質な植物性タンパク質を摂取すると良いでしょう。また、近年の研究によって、腸内環境と肌トラブルとの関係性が指摘されていますから、腸内環境を良くする乳酸菌などが含まれる発酵食品を意識的に摂取してみても良いかもしれません。
ストレスを溜めない
前述したように過度なストレスがかかり続けると、自律神経に失調を来す可能性があり、自律神経が乱れると血行不良を招いてしまいます。そして、血行が悪くなると、肌細胞にまで十分な栄養素が届きにくい状況が生まれます。
ですから、このような状況を作らない対策として、自分なりのストレス発散法を見つけるなどストレスを溜めないようしなければなりません。
紫外線対策
原因の稿でも述べましたが、過度な紫外線を浴びると表皮だけでなく真皮にまでもダメージを受けます。そのため、美肌になるためのスキンケアの一環として、十分な紫外線対策をする必要があるでしょう。
例えば、日焼け止めを使ったり、日傘・帽子・手袋といった日差し避けアイテムを用いたり、肌を露出しないように長袖の衣服を着用すると良いでしょう。また、顔肌については、紫外線対策・UV対策のクリームなどを塗っておくと良いかもしれませんね。
ただし、日光を浴びることは、ビタミンDの体内での合成や体内時計のリセットなどに必要ですので、全く日光を浴びないということは避けたほうが良いでしょう。
美肌になるためのスキンケア方法
美肌になるためのスキンケア方法といっても、特別な方法があるわけではありません。
肌の構造や肌トラブルの原因などの知識を踏まえて、あくまでも基本に忠実かつ丁寧にスキンケアを実践することが大切であった、実はそれこそが秘訣なのです。
クレンジング
多くの女性が外出時はメイクをしていると思います。そして、メイクすること自体が、肌の負担となっていることも、多くの女性がご存知でしょう。
ですから、外出から戻り帰宅したら、まずはクレンジング・メイク落としをする必要があります。とはいえ、ただメイクを落とせば良いというわけではありません。
まずは化粧品に合わせてリムーバー・クレンジング剤を用いることが大切になります。マスカラなどのアイメイクは、特に落としにくいので専用リムーバーを使います。通常のファンデーションなどは、自分の肌タイプに合ったものを使いましょう。クレンジング剤の利用は、化粧品や汚れの詰まった毛穴ケア方法としても効果があるものの、中には肌を強く刺激する製品もありますので、自分の肌に合うものと見つけることが重要です。
そして、帰宅後に面倒であっても、しっかりと丁寧かつ地道にクレンジングをすることが、美肌になり美肌を維持することにつながるのです。
洗顔
近年はクレンジングと洗顔を兼ねるクレンジング剤も登場していますが、クレンジングと洗顔は似て非なるものです。
クレンジングはメイク・日焼け止めなどを油性溶剤で溶かし落とすもので、洗顔は皮脂・汗・ホコリ・余分な角質を水で洗い流すことです。このような油性と水性という性質の違いがあり、クレンジングと洗顔では対象とする汚れが異なるのです。
ですから、基本的には面倒であっても、クレンジングと洗顔を分けてダブルで実施すると良いでしょう。そして、洗顔の際は顔肌をゴシゴシとこすらずに、洗顔石鹸・洗顔料を泡立てて手と顔肌に摩擦が生じないくらいの丁寧さで洗うのがポイントです。
化粧水で保湿
クレンジングや洗顔後は、化粧水・乳液・美容液などを肌に浸透させて保湿ケアを行います。特に化粧水などは、言葉は悪いですが質より量が重要で、高額なものを少しずつ使うよりは、価格が安くて自分の肌に合うものを多く使って保湿するほうが、美肌になり美肌を維持することにつながります。つまり、高額な化粧水でも補填できる水分量が少なければ肌は乾燥し、安い化粧水でも保湿に十分な水分量を補填できれば肌質・肌年齢は保てるのです。
自分の肌質を知る
生活習慣や日焼けの有無などによって、肌質は大きく異なります。また年齢を重ねることで、肌質が変化することがあります。ですから、自分の肌質に合わせてスキンケアをマイナーチェンジしていくことも必要なのです。
普通肌のほかに、乾燥肌・敏感肌・脂性肌や、乾燥肌と脂性肌が混ざった混合肌などが存在します。例えば、乾燥肌の人はより化粧水での保湿に力を入れる必要がありますし、混合肌の人は乾燥する部分と油っぽい部分でスキンケアにメリハリをつける必要があるでしょう。
また、運動・ストレッチ・マッサージを行ったり、喫煙や飲酒をやめるなど生活習慣を見直すことにより、、体質・肌質を変えることも可能です。
まとめ
いかがでしたか?肌の構造や新陳代謝の仕組み、肌質が衰える原因と美肌になるためのスキンケア方法について、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、年齢は誰もが平等に1年に1才ずつ積み重ねていくもので、加齢による肌質の衰えに抗うことは困難であることは事実でしょう。しかしながら、女性ならば多くの人が、美しい肌を長くキープしていきたいと思いますし、実際に規則正しい生活と丁寧で地道なスキンケアを実践することで、美肌を長く維持し続けることができるのです。
多くの女性が1日でも長く、透明感のある美しい肌を持ち続けることができるように願って止みません。
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