夏も終わりに近づいてきましたが、「疲労がとれない」「頭痛がする」など体調不良に悩まされていませんか?エアコンに当たりすぎたり、暑い日ざしを浴びていると体温調整するのに負担がかかり、夏バテを引き起こします。
国内有数の長寿地域として知られている沖縄地方では、夏バテ防止にゴーヤが食べられています。しかし、ゴーヤの驚くべきパワーは夏バテ防止だけに留まらず、沖縄地方の長寿の秘訣と言っても過言ではありません。ここではゴーヤに含まれた豊富な栄養素や効能、オススメレシピなどゴーヤについて幅広く記事にしていきます。
ゴーヤについて
沖縄料理ブームの影響により、以前よりも全国各地でゴーヤを食べる機会は増えてきました。しかし、沖縄県以外に住む人には、ゴーヤが食卓に並ぶ機会はまだまだ少なく身近な存在とは言えません。
ここでは、ゴーヤとは何か、またゴーヤを食べる際の注意点についてご紹介します。
ゴーヤとは?
ゴーヤは未熟な果実を野菜として利用したウリ科の植物で、沖縄野菜の代表格です。この果実はゴーヤー、苦瓜(ニガウリ)、蔓茘枝(ツルレイシ)などとも呼ばれています。ゴーヤは緑色のコブ状の突起に覆われた実を食し、種は食べません。種にも栄養がありますが、固くて食に向かないと言われています。
ゴーヤーには独特な苦みがあり、火に通しても苦い為、嫌いになってしまう人も多くいます。沖縄地方の子供でも小さい頃は嫌いだった人はたくさんいます。しかし、このような癖のある味の食べ物は、始めは苦手でも食べ続けることで、好きになる事が多いです。
ゴーヤの苦味が嫌な人でも食べ続けていくうちに「美味しい」に変わっていく人も多くいます。また、ゴーヤには体を冷やす効果があったり、栄養素が豊富に含まれている為、健康効果を期待して食べている人も多いです。
沖縄では2月~3月頃にゴーヤの種をまき始め、5月~8月が収穫時です。ゴーヤが日本中に広まった理由は諸説ありますが、2001年頃に始まった沖縄を舞台にした朝ドラからブームに火がつき、沖縄料理の中でも人気のゴーヤーチャンプルから名前が広がったと考えられています。
ゴーヤを食べる際の注意点
「良薬口に苦し」という有名なことわざもあるように、良い薬は苦いけれど病気を治してくれると信じられています。このことから、ゴーヤがなんとなく体にいいということは知っている人も多いと思います。しかし、健康にいいと言って食べ過ぎると毒になります。
ゴーヤの摂取量は具体的に決められていませんが、苦み成分は食べ過ぎることで下痢や胃痛、腹痛を起す事もあります。また、ゴーヤには体を冷やす効果もある為、食べ過ぎると体が冷えすぎてしまい、体調が悪くなる場合もあります。
一般的にはゴーヤを食べても健康を害することはないと言われていますが、国立健康・栄養研究所では妊娠中に食べると流産を誘発する可能性があり、授乳中の安全性についても確認できていない為、妊娠中・授乳中の状態の時には摂取を避けるべきでしょう。
通常の食品として適切に摂取する場合は安全性が示唆されているが、動物実験ではニガウリ種子や生のニガウリ果実による妊娠阻害および流産誘発の可能性が報告されているため、これらを妊娠中に摂取することはおそらく危険である。
また、授乳中の安全性については信頼できる十分な情報が見当たらないため、通常の食材として摂取する以外は避ける。
参考:国立健康・栄養研究所
ゴーヤの栄養素について
沖縄の人に「夏バテが解消される料理は何?」と質問すると、ゴーヤーチャンプルと答える人が多く、ゴーヤには優れた栄養がある事が知られています。
中でも果皮を中心にビタミンC、ビタミンB群、カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維が豊富です。ここでは、ゴーヤに含まれている主要な栄養素についてご紹介します。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンというたんぱく質をつくるのに必要で、粘膜や皮膚を健康に保つ役割をしています。また、病気やストレスなどへの抵抗力を強め丈夫な体を作ったり、腸で鉄の吸収をよくする作用もあります。ビタミンCの作用の中でも注目したいのは抗酸化作用です。
私達の体は常に酸素を取り入れてエネルギーを作っていますが、エネルギーが作られる過程で活性酸素というのが生み出されます。この活性酸素は、通常体内にある活性酸素を抑制する抗酸化酵素により対処されますが、活性酸素が増えすぎると処理できずに体に害を及ぼすようになります。
増えすぎる原因として挙げられているのは、紫外線、喫煙、環境汚染、ストレス、激しい運動、食品添加物などです。活性酸素が増えすぎると体の細胞や血管を傷つけることで、老いや動脈硬化、生活習慣病を引き起こす原因となります。
また、私達は抗酸化酵素を持っていますが、これは年齢と伴に減少してしまう為、抗酸化作用のあるサプリメントや食事から積極的に補う必要があります。この抗酸化作用のある栄養素の1つがビタミンCで、ゴーヤに多く含まれています。
ビタミンCの量
ゴーヤ100gあたりには、76mgものビタミンCが含まれており、キュウリやトマトの5倍以上です。ビタミンCが豊富だといわれているレモンでも53mg、またキウイでも69mgの為、ゴーヤのビタミンCの量がどれだけ凄いかが分かります。また、ゴーヤのビタミンCは熱に強い特性を持っている為、加熱調理しても豊富にビタミンCを摂取できます。
ビタミンB群
ビタミンB群に属する栄養素の中で、ビタミンB1、B2、B6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸がゴーヤに含まれています。ビタミンB群はあらゆる種類の酵素を活性化させ、働きを助ける補酵素としての役割があります。
ビタミンB群は代謝のビタミンとも呼ばれ、エネルギーを作るのにとても重要な働きをしていますが、現代の食事では不足しやすい栄養素の1つでもあります。その理由は、加工食品を食べる生活が長く続く事により、ビタミンB群の摂取自体が不足していたり、ストレスやアルコール、加齢などでビタミンB群の消費が増えていることが大きく関係しています。
食物繊維
食物繊維は人が持つ消化酵素で消化することができない食べ物の成分で、水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2種類あります。不溶性・水溶性の種類によって働きは異なりますが、一般的には便の量を増やして便秘の改善やダイエットに効果的です。
また、近年では心筋梗塞や糖尿病、肥満などの生活習慣病予防にも効果があると分かってきています。ゴーヤに含まれる食物繊維はセロリの約30倍あり、モモルデシンという成分が豊富に含まれているのが特徴です。
このモモルデシンは、ゴーヤの独特な苦味にあたるもので、この成分が胃酸の分泌を活性化させて食欲を増進させたり、胃腸の粘膜を保護するのに役立ちます。他にも、がん細胞を自滅させる、腸内環境を整える、コレステロール値を下げる、夏バテ対策などにも効果的です。
カリウム
カリウムはミネラルの1種で体内にあるカリウムの9割が細胞内に、1割が細胞外液に存在しています。カリウムは様々な食材に含まれていますが、摂取したうちの9割は尿と一緒に排出されます。
カリウムはナトリウムと一緒に血圧や細胞の浸透圧を調整したり、血圧が高くなるのを抑えたり、筋肉の働きをよくしたり、老廃物の排出を助ける働きがあります。カリウムの摂取のしすぎは高血圧を引き起こす可能性があると言われていますが、通常の食生活では摂取基準を超えるのは難しいと考えられています。
カリウム摂取の1日の目安量は、成人男性で2500mg、成人女性で2000mgに設定されおり、ゴーヤ100gあたりには260mgのカリウムが含まれています。カリウムは夏場に大量の汗をかくと不足しやすく、不足すると脱力感や食欲不振などの夏バテの症状が起こります。
鉄分
鉄分は生命維持に欠かせない必須ミネラルの1つで、体内で作ることが出来ない成分の為、食事から補給する必要があります。体の中に存在する鉄分の70%近くは赤血球の成分であるヘモグロビンに含まれ、残りの30%は肝臓や骨髄、脾臓、筋肉などの場所に保管されヘモグロビンが不足した際に利用されます。
ヘモグロビンは、全身のあらゆる場所へ酸素を運ぶ役目があります。男性よりも女性の方が鉄分不足になる可能性が高く、比較すると10倍もリスクがあると言われています。その理由として、女性は月経により毎月血液が失われたり、妊娠時、授乳時に赤ちゃんに鉄分をあげる必要があったり、出産時の出血やダイエットや食事制限、男性ホルモンが少ないなどが挙げられます。
鉄分が不足すると、貧血や頭痛、肩こり、疲れ、冷え性、めまい、動悸、息切れ、うつ病、抜け毛、しみやそばかす、あざが出来やすくなるなどの症状が現れます。
カルシウム
カルシウムは、体の中で最も多いミネラルで、体内にあるカルシウムのうちの99%は骨や歯の構成要素として存在しています。身長の伸びや成長に関係するだけでなく、体の生理機能をコントロールして精神を安定させる働きもあります。
血液中に存在しているカルシウムは、筋肉の収縮を調整してこむら返りを予防したり、高血圧の予防、血液をサラサラにする効果、興奮や緊張、イライラを抑制し、大腸がんのリスクを下げるなどの効果もあります。
ゴーヤの効能について
ゴーヤには美肌効果やダイエット効果、貧血予防など女性に魅力的な栄養素がたくさん含まれています。また、国内有数の長寿地域といわれる沖縄の代表野菜だけあって、生活習慣病や癌などの予防にも効果が期待できると言われています。
ここでは、ゴーヤの効能について詳しくご紹介します。
整腸作用
ゴーヤに含まれているモモルデシンという苦味成分には、胃腸の粘膜を保護したり、食欲を増進させる効果があります。また、食物繊維には便通をよくして、腸内環境を整える効果が期待できます。
胃腸が正常に働かなくなると栄養素の吸収率も悪くなり、体力や免疫力の低下を引き起こします。それにより、ウイルスと戦う力が弱まる為、風邪を始めとする様々な病気にかかりやすくなります。ゴーヤを摂取することで胃腸が強くなれば免疫力も上がり、健康維持できます。
ダイエット効果
ゴーヤには女性に嬉しいダイエット効果もあります。まず、ゴーヤのカロリーは100gあたり、17カロリーと低いです。また食物繊維が豊富に含まれていることにより、腹持ちもよく食べすぎ防止を防ぐことができます。
更に、食物繊維によるデトックス効果により、ポッコリお腹の解消も期待できます。他にも、ゴーヤに含まれている苦み成分が、細胞内で脂肪燃焼に関わる酵素の働きを活発にさせる為、代謝をUPさせる効果もあります。
コレステロール値低下
ゴーヤの苦味成分である、モモルデシンやチャランチンはコレステロール値を低下させる作用があります。
ゴーヤには水溶性の食物繊維が豊富に含まれ、この水溶性の食物繊維がコレステロールを下げるように働きかけます。
老化防止・美肌効果
強い抗酸化作用を持つビタミンCは、活性酸素を撃退する為、老化防止や美肌効果が期待できます。紫外線を浴びる生活が続いたりストレスがかかると、活性酸素が大量に発生します。
この多くなった活性酸素を減らすことで、老いを防ぐだけでなくシミやそばかすなどの予防もできます。また、ビタミンCは美白効果やコラーゲンの生成を助けるため、ハリや艶のあるお肌を手に入れることができます。
貧血予防
貧血が起こる原因は、鉄分不足によるものというのは多くの方が知っていると思います。しかし、貧血が起こる原因は鉄分だけでなく、葉酸不足、ビタミンB6やB12などが不足することでも起こります。
ゴーヤには鉄分が豊富に含まれているだけでなく、葉酸やビタミンB6などのビタミン群も同時に摂取することが出来るため、貧血予防にも最適です。貧血に悩まされている女性やダイエットをして食事が偏っている女性には、貧血予防や改善が期待できます。
夏バテ防止
夏バテとは、夏の暑さにより自律神経が乱れて起こる症状のことです。人は体温を一定に保とうと体温調節するのに大量のエネルギーを必要とします。この状態は体に大きな負荷をかける為、長く続くと熱を外に出せなくなり、体力低下、食欲不振、疲労、全身の倦怠感、思考力低下、下痢、便秘、頭痛、発熱、めまいなど様々な症状を引き起こします。
ゴーヤには水分やカリウムが多く含まれている為、体を冷やす効果があり、体温調節を楽にする手助けをします。また、ストレスや乳酸の蓄積による筋肉の疲れは、ビタミンCの摂取により緩和することができます。疲労回復にはビタミンC以外にもミネラルなどの成分が重要です。
ゴーヤには鉄分やマグネシウムといったミネラルが含まれており、ビタミンCの働きによりミネラルの吸収率があがり、疲労回復することができます。他にも、食欲増進させる効果もある為、食欲の落ちている夏の暑い日に最適な食べ物です。
糖尿病予防
ゴーヤに含まれる苦み成分、モモルデシン、チャランチン、コロソリン酸といった成分には血糖値を下げる働きがあると言われています。これらの成分は薬品のインスリンに似た働きを持っている事から、植物インスリンと呼ばれています。
薬品のインスリンを使用した場合は血糖値が下がりすぎ、低血糖を招く恐れがありますが、ゴーヤに含まれる植物インスリンは血糖値を安定させる優れものです。これらの事から糖尿病予防や改善に有効だと考えられています。
癌を抑制
ゴーヤに含まれる蛋白MAP30 は、がん細胞であるDNAやRNAを攻撃するナチュラルキラー細胞を活性化する働きがあると言われています。この細胞が活性化することで癌の増殖を抑える効果が期待できます。
他にも、ゴーヤに含まれているモモルカロシドはがん細胞の合成を阻止する作用がある為、抗がん作用があるとも言われています。
おすすめのゴーヤ料理・レシピ
ゴーヤはゴーヤチャンプルのように、様々な食材と混ぜ合わせるのがオススメです。ゴーヤの苦みが料理のアクセントとなり、他の素材の旨みが引き立ちます。
苦みが苦手な人は下処理をすることで苦みを抑えることができますが、調理時間が長くなると効能が薄れる可能性があるので注意しましょう。ここでは、ゴーヤのレシピとゴーヤの保存方法についてご紹介します。
ゴーヤチャンプル
ゴーヤの定番料理と言えば、ゴーヤチャンプルです。ゴーヤさえ手に入れば、いつも使っている調味料だけで自宅で簡単に作ることができます。
下処理をしっかりすることで、苦みを抑えることができます。
■材料(2人前)
- ゴーヤ:大半分、小1本
- ベーコン:2枚
- 卵:1個
- ごま油:大さじ1
- 塩:適量
【合わせ調味料】
- 鶏がらスープの素:小さじ1
- みりん:大さじ1
- 酒:大さじ1
- 醤油:大さじ1
- オイスターソース:大さじ1弱
■調理法
- ゴーヤを縦半分に切りワタを取り出し、3mm幅にカットしていきます。
- 苦みが苦手な人は、切ったゴーヤに塩をまぶして軽くもみこみ、10分放置してから湯通しします。更に、苦みを更に取りたい場合は、1分ほど下茹で処理します。
- ベーコンを2cm幅にカットします。
- フライパンにごま油を入れ、ベーコン、ゴーヤを炒め、合わせ調味料を入れます。
- 最後に溶き卵を入れて、混ぜ合わせて完成です。
ゴーヤの肉詰め
ゴーヤチャンプルに飽きてしまった人や苦みが苦手な人は、ゴーヤの肉詰めにチャレンジしてみましょう。ゴーヤの苦みとお肉のジューシさが、お酒のおつまみにもピッタリです。
- ゴーヤ:1本
- 合い挽き肉:100g
- 玉葱:半分
- 卵:1個
- 塩胡椒:適量
- パン粉:大さじ1
- 粉末かつおだし:小さじ1
- 酒:適量
- 片栗粉:大さじ1
- 粉末かつおだし:大さじ1
- 醤油:大さじ1
- みりん:大さじ2
- 酒:大さじ2
- 砂糖:大さじ1
- ゴーヤを2cm幅に輪切りカットして、スプーンを使ってはらわたを取り除きます。
- 苦みが苦手な人は切ったゴーヤに塩をまぶして軽くもみこみ、10分水に漬け置きします。
- ゴーヤの水気を切ってから、片栗粉をまぶします。
- 合い挽き肉、みじん切りにした玉葱、卵、塩胡椒、パン粉、粉末かつおだしを混ぜ合わせます。
- ゴーヤの中に(4)をぎっしりと詰め込みます。
- フライパンで(5)を両面焼き、お酒を少し入れて蓋を閉めて蒸し焼き状態にします。
- お肉とゴーヤに火が通ったら、合わせ調味料を入れます。
- 合わせ調味料が煮詰まったら完成です。
ゴーヤの保存方法
ゴーヤは水気と乾燥が大敵となり、このような状態で放置すると実が黄色く変色したり、味や品質も変わってきます。ゴーヤの保存方法は、まずは表面をキレイに拭き取りポリ袋もしくはラップで包んで、空気に触れないようにしてから野菜室で保存します。
すぐに使用する予定がない場合は、ゴーヤを縦半分に切り中にある種とワタを取り除いて、ラップに包んでから野菜室に保存したり、塩ゆでや軽く炒めてから冷凍保存しましょう。
おわりに
ゴーヤには豊富な栄養素が含まれており、ダイエット効果、美肌、貧血予防、生活習慣病や癌予防などの効果が期待できます。
国内有数の長寿地域と知られる沖縄地域で親しまれてきたゴーヤは、長寿の秘訣の1つといっても過言ではないでしょう。
健康維持や夏バテ解消に今日からゴーヤを取り入れてみてはいかがでしょうか。
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