皆さん、栄養のある海藻類と言えば何が思い浮かびますか?
海藻類で身近なものと言えばわかめではないでしょうか。実はわかめの一部でありながらも、わかめよりも栄養素が高い食材があります。それは「めかぶ」です。
今回は、このめかぶに秘められた豊富な栄養素と効能効果について詳しくご紹介します。
めかぶについて
ネバネバとした食感とどんな食品にもあわせやすく簡単に調理できる、めかぶはこれからの夏の時期に大活躍すること間違いありません。
ここでは、めかぶとは何か、またもずくとの違いについてご紹介します。
めかぶとは?
めかぶはワカメの根元にあるひだ状になった部分のことです。ワカメは海草なので、根があるわけではありませんが「ワカメの根元部分」と呼ばれることもあります。わかめの葉や茎部分に比べて栄養が豊富で、わかめを食べるよりも健康効果が期待できます。
わかめは8世紀頃から食用として日本の食卓に取り入れられていましたが、この当時根の部分であるめかぶは捨てられていました。めかぶが食卓に並ぶようになったのは20世紀入ってからのことで、つい最近の出来事です。また、今では食用として使用されているだけでなく、めかぶの成分を利用したシャンプーや石鹸、化粧水なども販売されています。
めかぶの旬の時期は3月~4月で、主な栄養素はヨウ素(ヨウド)、アルギン酸、フコイダン、フコキサンチン、葉酸、ビタミン、マグルシウム、カルシウム、EPA、鉄分、ナイアシンなどです。めかぶ100gあたり、約11カロリーと低カロリーにも関わらず栄養素が豊富に含まれていると、健康食品として注目を浴びています。
ネバネバした食感を持つのが特徴的で、同じようなネバネバ食材である山芋や納豆などと合わせるのも一般的な食べ方ですが、熱に強く加工しやすいため、お味噌汁などに入れることもできます。アレンジしやすく他の食品と混ぜ合わせることで、更に栄養価が高くなります。
めかぶともずくの違い
めかぶに似ている食材として思いつくのは、もずくではないでしょうか。もずくは海草の一種でナガマツモ目モヅク科・ナガマツモ科に属し、ホンダワ類などの海藻に付着して生息しています。
食酢で合えたり、塩辛にするのが一般的な食べ方で、低カロリーでフコイダン、アルギン酸、ビタミンC、K、要素などの栄養素が豊富に含まれている部分はめかぶと変わりありません。どちらも低カロリーで有効な栄養素が多いですが、若干の差でめかぶの方が栄養素が豊富であると言えます。
しかし、もずくの方が若干安く手に入れることができ、お酢や塩などにつけて販売している為、長く保存が可能です。もずくは酢などに加工されて販売されていることが多いので、お酢の味が苦手な方や味の変化を楽しみたい方には、めかぶがオススメです。
めかぶの効能効果について
めかぶは低カロリーなだけでなく、ミネラルが豊富に含まれており、様々な病気を予防する健康効果が期待できます。
ここでは、めかぶを摂取することで、どのような効能が得られるのか詳しくご紹介します。
免疫力up
めかぶに含まれているフコイダンという成分は免疫力アップが期待できます。この成分は海草に含まれるぬめりの部分で、めかぶだけでなくもずく、こんぶ、ワカメなどにも含まれています。このフコイダンにはリンパ球を活性化する作用があり免疫力をUPさせることができます。
また、フコイダンはアレルギー予防にも効果的で、花粉症、アトピー、喘息などのアレルギー疾患の予防も期待できます。
他にも、ぬめりの成分にはアルギン酸が含まれています。この成分は腸内に溜まった老廃物を外に排出するデトックス効果があり、便秘を改善したり、腸内環境を整えることで免疫力の増強にも繋がります。
体臭・口臭改善効果
フコイダン、アルギン酸にはアンモニアを取り込み老廃物として外に排出する働きもある為、肝機能を助けてくれます。これにより体臭やワキガの原因物質が減り、これらの悩みが解消される可能性があります。
肝臓には、体内の有毒なものを無毒化する解毒作用があり、食べ物についている匂いなども肝臓が分解してます。その為、肝臓の機能が低下していると体内に残った臭い物質などが血液中に取り込まれ、汗と一緒に排出されるようになり、それが体臭やワキガの原因になります。
更に、アルギン酸には唾液の分泌量を増やす作用がある為、口内細菌の繁殖の抑制効果があり、口臭予防にも繋がります。
ガン予防効果
私達の体は60兆個の細胞で出来ており、これらの細胞は新陳代謝により新しい細胞を作り出し、古い細胞は死んでしまい、入れ替わることで60兆個という数を保っています。正常な細胞はある一定の期間が過ぎると死んでいき、この事を医学用語でアポトーシスと呼びます。
しかし、稀に体の中で死なずに古くなった細胞が増殖する事があり、これをがん細胞と呼びます。このガン細胞はほとんど死滅することなく、増え続けていきます。そして、フコイダンにはこのがん細胞を死滅させるアポトーシス作用を発揮することができます。
他にも、がん細胞は死滅しないだけでなく、栄養をたくさん欲しがる傾向にあります。ガン患者さんが通常の食事をしていても、痩せていくのはこのがん細胞が栄養をたくさん摂取してしまう事が原因だと考えられています。
このがん細胞は血管を通じて栄養を補給しようとし、がん細胞は自ら新しい血管を作り栄養を取り込もうとします。しかし、ここでもまた、フコイダンが活躍します。フコイダンはがん細胞が新しい血管を作らないように抑制する働きがあり、がん細胞に栄養が行き渡らなくなり壊死させることが可能だと言われています。
また、前述したとおり免疫力を強化する作用もあるので、がんと戦う正常な細胞をたくさん作り出すことで、ガン細胞を退治する事が出来ます。これらの事から、めかぶを食べる事で、がん予防の助けになると注目されているのです。他にも、メカブに含まれているヨウ素には、乳癌を抑制する作用があると報告されています。
生活習慣病
めかぶに含まれている栄養素には糖尿病、痛風、高血圧、骨粗しょう症、動脈硬化など、様々な生活習慣病を予防することが可能です。
糖尿病予防
アルギン酸は食物繊維の一種で、老廃物質を体外に排出する働きがあります。体内にある余分な糖質や脂質(コレステロール)に吸着して、余分な吸収を防ぎ糖尿病を予防することが可能です。
痛風予防
フコイダンは痛風予防にも効果的です。痛風という病気は、尿酸が体の中に溜まってしまい、それが結晶となって激しい関節炎などを引き起こす病気です。フコイダンは、尿をアルカリ性に変える働きがあり、尿酸が尿に溶け出しやすくなり外に排出され、尿酸値を下げる働きがあります。その為、痛風対策や予防も期待できます。
高血圧改善
アルギン酸カリウムは、体内に入ると胃酸によりカリウムとアルギン酸に分解されます。カリウムは腸内でナトリウムと結合して体外に排出するため、ナトリウムを過剰に吸収することがなく、高血圧を予防することが期待できます。
骨粗しょう症予防
ビタミンKは、腸で吸収されたカルシウムを骨に取り込むのを助ける働きがあるので、骨粗しょう症予防に活躍したり、治療としても取り入れられています。
動脈硬化予防
めかぶに含まれているフコキサンチンは活性酸素の発生や酸化力を抑える働きがあります。血液中に流れる脂質の酸化を抑える為、動脈硬化を防ぐことが期待できます。
胃粘膜の保護・胃の病気予防
フコイダンは硫酸基を多く含んでいます。この硫酸基は、私達がもともと胃の中に持っている胃粘膜の粘着成分の主な成分のことで、フコイダンが胃の中に入ることで胃の粘膜に張り付いて胃を保護する役割があります。
そして、胃の中に住み付き、悪さをする菌として知られているピロリ菌は、胃粘膜の表面である硫酸基に住みつく性質があります。その為、フコダインが胃に入ると同じ硫酸基を持ったフコダインにピロリ菌が張り付き、そのまま外へと排出されます。
様々な研究結果からピロリ菌が胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関わっていることが知られています。その為、めかぶを摂取することで、胃を保護してピロリ菌を減少させて、胃炎や胃潰瘍などの病気予防も期待することが出来ます。
育毛・サラサラの艶髪
フコイダンには、人の毛乳頭細胞を刺激して毛母細胞を増殖させる作用があり、髪が丈夫になり、発毛も促進されます。また、アルギン酸には髪の表皮にあたる組織のキューティクルを補修する作用があり、EPAには頭皮の血行を促進する作用がある為、サラサラで艶のある髪へと生まれ変わります。
他にも、ヨウ素はメラノサイトの働きを活発にする働きがある為、メラニン色素を作り出し、白髪対策にも効果が期待できます。
美肌・ダイエット・美容効果
めかぶのネバネバ成分の一部であるビタミンB2は「皮膚や粘膜のビタミン」とも呼ばれ、体内の酵素の補助的な役割として働き、摂取した栄養素を効率よくエネルギーに変える働きがあり、肌の潤いを保ち、肌荒れを予防します。
また、フコイダンとアルギン酸は水溶性食物繊維に含まれ、腸の働きを改善してコレステロール値を下げて、老廃物を排出するため、便秘解消効果があります。これにより、ダイエット効果や便秘による肌あれの解消も期待できます。
他にも、フコキサンチンは活性酸素を除去する作用がある為、細胞の酸化を予防して老化を防ぐ効果もあります。
貧血予防・赤ちゃんの成長を助ける
めかぶには葉酸も多く含まれています。この葉酸とは、妊娠したことある方なら一度は聞いたことがある成分だと思います。赤ちゃんがお腹の中で成長する過程で重要な栄養素の1つで、妊娠期に葉酸が足りなくなると、神経管閉鎖障害などの先天異常のリスクが高くなります。また、貧血予防にも効果的です。
めかぶの摂取量について
めかぶをはじめとした海藻類は健康維持に欠かせないものです。しかし、健康になるからといって、摂取しすぎると逆に病気になってしまう可能性もあります。
ここでは、めかぶの1日の摂取量と、過剰摂取により病気になる可能性があるものについてご紹介します。
めかぶの摂取量
めかぶの摂取量は1日40~50g程度が目安だと言われています。これは市販のパック約1個分に値し、週に2日~3日食べれば効果を得ることが期待できます。
頻繁にめかぶを摂取したり、海藻類を摂取して体調が悪くなるようであれば、摂取量を抑える必要があります。
過剰摂取による病気の可能性
低カロリーで栄養素が高いことから、毎日食べたいと思う人もいるかもしれませんが、食べ過ぎると下痢になったり、甲状腺機能を低下させる原因になります。
下痢
めかぶは食物繊維が豊富な為、便秘が解消されるメリットもありますが、食べ過ぎることでお腹が緩くなってしまう可能性があります。過剰に摂取することで、腸のぜん動運動が刺激されて過剰になり、物が大腸に留まる時間が少なくなり、水分の吸収が上手くいかない状態で通過し、排出されるため、下痢になってしまいます。
甲状腺機能低下症
甲状腺はのどぼとけの下、気管の手前側に位置し、血液中にホルモンを分泌して代謝を正常に保つ役割があります。めかぶには甲状腺ホルモンの主原料となるヨウ素が含まれており、過剰に摂取することで甲状腺の機能を低下させてしまい、バセドウ病のような病気を引き起こす可能性があります。
甲状腺の機能に異常が出ると、様々な症状が現れます。具体的な症状として、皮膚の乾燥、むくみ、冷え・寒がり、食欲がないのに体重増加、食べているのに体重減少、便秘、月経不順、イライラする、手指の震え、首もとの腫れ、疲労感、無気力などが挙げられます。
1日に最低限摂取するべきヨウ素は0.15mgと言われ、1日に摂取していい最大量は3mgと言われています。また、妊娠中の摂取上限は2.2mgです。めかぶ1パック50gあたりには0.195mg含まれています。
最大3mgであれば、めかぶを複数パック食べれると思いがちですが、ヨウ素はスポーツドリンクや昆布、わかめなどの海藻類にも含まれているので、1日の合計を考えて摂取する必要があります。
1つの食材にこだわらずに、バランスのいい食事を心がけ週に2日~3日、1パックずつめかぶを摂取するのが効果効能を最大限に得られる食べ方であると言えます。
めかぶのレシピについて
めかぶはめんつゆや醤油などをつけて、そのまま食べるだけでも美味しいですが、他の食材とあわせてアレンジがしやすいのも特徴です。
その為、めかぶを買ったら一度は試してみたいレシピをご紹介します。夏の食欲が落ちる時期、めかぶを使ったサッパリ料理を作ってみてはいかがでしょうか。
めかぶと納豆のパスタ
めかぶと納豆はネバネバ同士、定番の混ぜ合わせ方です。ヘルシーで尚且つパスタにあえることでボリュームがでるので、ランチにオススメです。夏場は冷製パスタにしても美味しく召し上がれます。
■材料(2人分)
- 納豆:2パック
- めかぶ:2パック
- すりごま:適量
- めんつゆ:適量
- 卵黄:2個
- パスタ:200g~250g
- 塩:適量
- オリーブオイル:小さじ2
■作り方
- 沸騰した鍋に塩とパスタを入れて茹でます。
- 納豆、めかぶ、すりごま、めんつゆ、卵黄を混ぜ合わせます。
- 茹で上がったパスタをざるにあげて、オリーブオイルと(2)を混ぜたら完成です。
めかぶとマグロの卵和え
めかぶとマグロを混ぜ合わせるだけの簡単一品料理です。お酒のつまみや夏場の食欲が落ちている時に、是非冷やして食べてみて下さい。
■材料(2人分)
- マグロ 刺身用:150g
- めかぶ:2パック
- 卵:1個
- 醤油:大さじ1
■作り方
- マグロをお皿に並べます。
- めがぶ、卵と醤油を混ぜ合わせ、(1)の上からかけたら完成です。
ごぼうとめかぶのサラダ
便秘解消に効果的なごぼうやにんじんなどの野菜とめかぶを混ぜたサラダです。ネバネバした食感が病みつきになります。
■材料(4人分)
- ごぼう:1本
- にんじん:1/2本
- めかぶ:2パック
【ソース】
- マヨネーズ:大さじ2
- 練り白ゴマ:小さじ2
- お酢:小さじ1
- 醤油:小さじ1
- 粒マスタード:小さじ2
■作り方
- ゴボウは水洗いして約4cmの細切りにし、水にさらしてアク抜きします。
- にんじんもゴボウと同様に細切りにします。
- ソースは全て混ぜ合わせて置きます。
- 沸騰させた鍋にゴボウを入れて、次にニンジンを加えます。
- 野菜に火が通ったら、ザルにあげて水をよく切ります。
- (5)をボウルに移して、めがぶとソースを加えて混ぜ合わせたら完成です。
おわりに
めかぶは低カロリーでミネラルやビタミン類が豊富に含まれている食材です。ガンや糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病を予防できるだけでなく、美容やダイエットにも効果的な為、積極的に摂取したい食品ですね。
しかし、過剰に摂取しすぎると下痢や甲状腺機能の低下を引き起こす可能性がある為、1日の摂取量を守って、バランスのいい食事を心がけましょう。
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