ふとした瞬間に脇の下にしこりを見つけた人は気をつけたほうが良いかもしれません。気になる人はお風呂に入っているときなどに確認してみましょう。
脇の下にしこりが見つかったら不安になりますよね。最悪の場合は悪性のリンパ腫で手術が必要…なんて場合もあるかもしれません。場合によっては危険なことがある、そんな脇の下のしこりについてまとめてみました。
悪性のリンパ腫である場合は早期発見早期治療することが大切になりますので早めに原因を特定して対処していきましょう。
この記事の目次
脇の下のしこりの原因は?
脇の下を触ったときに、ふと、あれ?しこりがある?乳がん?と思ったことはありますか?
でもそのしこりは本当に乳がんなのでしょうか?しこりイコール乳がんと決め付けるのはまだ早いかもしれません。
しこりを感じた場所としこりの大きさや程度によって違う疾患になることを知っていますか?しこりを感じたときは自分の身体の不調を知るよいサインだと思ってください。そして乳がんに怯える前に早めに医療機関に受診し、しこりのことを正しく知ることで心も身体も安心できます。
しこりの場所
脇の下のしこりといっても、その場所は人によってさまざまです。
- 脇の下の真ん中や腕に近い部分
- 胸の下のほうに近い脇の下の部分
- 胸の上部で脇の下に近い部分など。
しこりを感じるときは大体がこの3つの部分に分かれているといわれています。
①の部分は腕の付け根にあたる部分で粉瘤や毛嚢炎が出来やすいと言われています。
②の部分はリンパ節があります。
③の部分は乳腺の外のほうで、腫瘍のできやすい部分です。
これらの部分について、皮膚の具合、痛みや赤みなどの炎症や化膿が見られるかどうか、またはできものが出来ていないか?または皮膚の奥の方にあるのか?などを調べ、検査等により判断していきます。
脇の下のしこりは乳腺症?
乳腺とは、母乳を作る臓器の名称です。乳腺症というのは、乳腺に何らかの症状が出ている状態に対してつけられた名称です。そのため、乳腺症の症状は人によって違いがあります。
乳腺症と診断される多くの場合は、35歳から45歳ぐらいの女性です。症状も月経前が一番多いといわれています。乳腺症を発症する主な原因は、性ホルモンの働きです。
乳腺は、血液から母乳を作る腺房と乳汁を乳頭まで運ぶ乳管、そのほかの仕組みを支える間質から出来ています。乳腺は、生殖器のひとつに分類されるので、性ホルモンの影響を受けます。女性は初潮を迎えると子宮のほかに乳腺も女性ホルモンの影響を毎月受けることになるのです。
子宮では毎月の生理に併せて内膜が厚くなったり剥離したりを繰り返します。乳腺もその間妊娠に備え、腺房や入管などが拡張したり増殖したりすることを繰り返します。生理前に胸が張ったように感じるのはそのためです。
このような乳房の変化によって、痛みや張りなどを強く感じる人は月経前緊張症などと診断されることもあります。またこうした乳腺の変化は、毎月均一に起こるわけではありません。そして変化がきちんと元通りになることも確実ではないのです。
そのため、乳腺症と診断される人の中には、毎月の乳腺の変化からある特定の部分が元に戻らなかったり、毎月の変化に強く症状がでたりすることがあります。このような状態を繰り返すことで、痛みが出たり、胸や脇の下付近にしこりのようなものが出来たり、また乳頭から分泌物が出たりすることがあります。
乳腺症の症状
毎月の生理とともに乳腺に起こる症状の中には、時に痛みや乳頭からの分泌物、しこりなどを感じたりする場合があります。よく起こる症状は、液状のものが詰まってしまってしこりに感じる嚢胞や、乳管から 分泌物が出る乳管乳頭腫などです。
症状は様々ですが、これらを総称して乳腺症という病名がついています。最近ではこのようなホルモン周期とともに起こる症状は病気ではないとの考え方もあり、判断の基準は明確ではないことがあります。
また乳腺症からがんが起こる可能性が高いと思われている方が多いのですが、乳腺症になったからといって乳がんになるわけではありません。ですから乳腺症と診断されてもがんのように心配したり不安に感じたりする必要はありません。ただし、乳腺に異常があるのは確かなので、継続した検査などは怠らないようにしましょう。
症状が現れ、この病気が疑われる場合は乳腺外科を受診しましょう。
乳腺症の診断・検査
乳腺症の診断には、乳がん検査と同じ検査を行います。
乳がんの症状にもしこりや分泌物があるからです。最初は乳がんを疑うのが医療機関の方法です。問診や触診のほかに、レントゲン検査や超音波検査などを経て、最終的には細胞検査を行うこともあります。しこりなど判断が難しいものになるとしこりの組織の一部を採って検査を行うこともします。このようにみると乳腺症と乳がんの区別が難しいのがわかりますね。
治療法
乳腺症の治療は、ほとんどの場合が経過観察になります。多くの症状で治療の必要が無いということです。
しかし痛みなどが強くあり、日常生活に支障をきたす場合などは、痛み止めなどの薬が処方されることがあります。
脇の下のしこりは乳がん?
乳がんは40歳以上の女性に多く発生しやいといわれている乳房付近に出来るがんです。胸や脇の下にしこりができたり、または無症状であることも多く、定期健診などで発見されることも多い疾患です。
脇の下などの付近にできるとリンパ腺に転移しやすく、そこから全身にがんが移行することもあり、軽視できない疾患でもあります。痛みを伴うことはあまり無く、気がつくと全身がん細胞が回っていたということもあります。
乳がんによるしこりが引き起こった場合の症状
主にリンパ腺の腫れや発熱、倦怠感など風邪の初期症状と同じような症状になることがあります。さらにリンパ節にがんが転移したときに特徴的な症状として、腕がだるく感じるということがあります。何も原因が見つからずに腕が異常にだるい時はすぐに医療機関に受診するようにしてください。
しこりには、硬いものから柔らかいものまであるため、自分の触診では原因を特定することが難しいため、病院に行き専門家に検査してもらいましょう。
乳がんに関する詳しい記事は乳がんの手術方法を詳しく知ろう!検査方法や乳癌の種類も紹介!こちらを御覧ください。
脇の下のしこりは粉瘤?
粉瘤とは、皮膚組織に老廃物が溜まってしまい、しこりのようなものを形成する皮膚の疾患です。老廃物の溜まりやすい場所はどこでも出来る可能性があります。
そのしこりの大きさはさまざまで、ほんの小さなものからクルミほどの大きさまであり、中にはドロドロした液体が溜まっています。粉瘤には穴が開いているので、そこから液体が出てくることもあります。完治させるには、しこりのような粉瘤の中にある液体を出すだけでなく、袋状になっているものすべてを取り除く必要があります。
粉瘤の症状
基本的な初期症状では痒みなどを発症することがあり、その後しこりが発生してきます。通常は痛みを伴わない場合が多いですが場合によっては、開いている穴から細菌やウィルスが入り込んで感染する危険性もあります。その場合は赤く腫れたり、痛みを伴うこともよくあります。脇の下のにおいに悩んでいる人に脇の下にしこりがある場合があります。
しこりが固く感じたらそのときは粉瘤の可能性が高いでしょう。粉瘤がにおいを発している場合があります。感染などの可能性もありますので、脇の下などにできた場合は早めに皮膚科に受診したほうが良いでしょう。
粉瘤の治療は日帰りで行える簡単なものがありますので、早めに病院で見てもらい必要なら切除してしまいましょう。
粉瘤に関する詳しい記事は粉瘤が臭い原因や対策方法について紹介!出来やすい場所は?こちらを御覧ください。
脇の下のしこりは脂肪腫?
脂肪細胞が増殖することでしこりが発生してしまったケースです。これは良性腫瘍で脂肪肉腫とも言います。大きな問題を引き起こすものとは違い、痛みや熱などを発しない場合は特に切除する必要はありません。
特に多いケースでは背中や肩などに出来ることが多い特徴があり、時々脇の下に出来ることがあります。
脂肪腫の症状
大きくなりすぎることで、痛みを発したり、大きくなりすぎて神経を圧迫することで痛みを発生させることがあります。
小さな子どもにも発症することがあり、成長とともに腫瘍が大きくなっていきます。基本的には良性の腫瘍なので、大きな症状はありません。見た目に少し目立ってしまう程度です。
治療法としては、皮膚科か整形外科か形成外科を受診して摘出手術を受けると良いでしょう。
脇の下のしこりはリンパ腫?
脇の下にはリンパ腺があります。脇の下以外にも、人間は首・あご下、足の付け根などにリンパ管があります。そのリンパ腺の中でも脇の下のリンパ腺はよく目につくところでもあるので、しこりなどを発見しやすい場所です。よく脇の下のしこりで疑われるのは、乳がんです。がんによるしこりの場合はリンパ腺への転移が考えられるので、早急な治療が求められます。
しかしそのほかにも急性リンパ節炎によりリンパ腺が腫れたり、しこりのようなものを感じたりする場合があります。それは脇のムダ毛などの手入れの際に細菌が入り、リンパ腺が炎症を起こしている場合です。その場合もしこりのようなものを感じることがあります。
しかし、この場合のしこりは良性のしこりです。リンパ節のしこりの良性か悪性かの判断は、次のようなものがありますので、覚えておくと良いかもしれません。
①良性の場合
しこりは触ると痛みを感じる。しこり自体が柔らかい。しこりを押すと移動したように感じる。リンパ管の合流するリンパ節では、ウィルスや細菌といった炎症の原因となる物質を排除しています。ときにリンパ管は風邪などで異物がリンパ管に侵入してきたときに白血球が防衛反応を引き起こし、リンパ管が腫れることがあります。
これが、しこりの原因でもあります。この場合のしこりは風邪が治ると次第に治っていくため、長期間しこりが残ることはありません。
②悪性の場合
しこりは触ると弾力がなく、固く感じる。押しても移動することは無い。押すことで痛みも感じない。
ただし、しこりの大きさが小さい場合などはこれに当てはまらない場合もあり、良性・悪性の判断が付きにくいといわれています。すこしでも不安に感じたら、きちんと医療機関で医師による受診をオススメします。乳がんの可能性を考えると、乳腺外来などが良いでしょう。
そして特に気をつけて欲しいのは、悪性リンパ腫といわれているものです。しこりが大きく腫れて、その程度も時間の経過とともに大きくなっている。などの時、血液の癌とも言われる悪性リンパ腫の可能性が出てきます。
悪性リンパ腫とは
悪性リンパ腫とは、血液のがんのことを指します。免疫システムであるリンパ系組織とリンパ外臓器から発生するものです。リンパ系組織は全身にあるために悪性リンパ腫になった場合は全身のどの部分で発生してもおかしくなく、完治の難しい疾患です。
悪性リンパ腫の原因はきちんと分かっていませんが、免疫不全者やウィルス感染などが大きく関わっているといわれています。
悪性リンパ腫の症状
リンパ節の多い首や脇の下、足の付け根などにしこりが出来ることが多く、そのしこりとともに原因不明の熱やひどい寝汗、また体重の減少などが起こることがあります。
またしこりの状態によっては、気道や血管などが圧迫されて息が出来なくなったり、血管障害が起きたりするなどの症状としても現れてきます。悪性リンパ腫は大人も子供もかかる可能性のある疾患ですので、特に子供の症状には注意が必要です。
悪性リンパ腫の検査
悪性リンパ腫の検査は、
①悪性リンパ腫の病型を分けるため、腫瘍やリンパ節を一部採って検査する生検や遺伝子検査
②病気の進行具合をみる検査
しこりの大きさや広がりを調べるため、胸部のレントゲン検査や超音波検査、CT検査や骨髄検査、消化管検査のほかにMRI検査やPET検査なども行われます。リンパ腫が脳や脊髄に広がってる可能性がある場合は、脳脊髄液の検査なども行われます。
③ウィルスなどの有無をみる検査
血液検査や尿検査が行われます。呼吸器の機能をみる検査や合併症を引き起こしていないかなどもみられます。このような検査はウィルスが原因の可能性を調べるためです。
④リンパ節から全身への転移があるかなどの検査
血液検査をして今後の治療の効果を予測します。疾患の状態、勢いなどを知ることで、治療法が適切かどうかを判断します。
これらの検査が行われます。
悪性リンパ腫の進行具合
がんの進行を表すのに、ステージという言葉を使いますが、この悪性リンパ腫もがんなので、進行具合によって、ステージⅠ期からⅣ期に分けられます。この進行具合によっては、治療法や予後なども変わってくるため、判断は慎重に行われます。
治療法
①手術
ほかのがんと同様に手術で病巣を取り除くことは必要です。転移した部分も取り除きます。
②抗がん剤
抗がん剤などを使ってがん細胞の増殖を抑え、がん細胞そのものを攻撃する治療法です。全身のがん細胞を破壊します。全身のどこにがんがあっても攻撃可能な化学療法です。副作用もあるので、治療は慎重を期します。
③放射線療法
放射線治療は、腫瘍の成長を遅らせ、また腫瘍そのものを縮小させることが可能です。がんの局所療法です。全身の影響が少なく、体力のないお年寄りなどに対応できる治療法です。
④陽子線治療
陽子線治療もがんの局所療法です。がんの部分だけを照射して破壊します。周囲の細胞には影響を与えないために、こちらも身体への負担は少なくて済みます。痛みもほとんど無く、1回にかかる治療時間も15分から30分と短く、1日1回で週3回から5回行います。
それを少ないときは4回程度、進行が進んでいる場合には40回程度を繰り返し行います。
⑤重粒子線治療
がん細胞の破壊効果は、陽子線治療に比べ、さらに局部的に集中した治療ができるので、2から3倍ほど高いといわれています。重粒子線治療は、X線で治療が難しいと判断された身体の深部にあるがんの治療もできるのが特徴です。
一日1回の治療を週3回から5回行い、平均3週間程度の治療を行います。1回あたりの時間も15分から30分と短い時間なので、身体への負担が少なく済みます。
悪性リンパ腫に関する詳しい情報は悪性リンパ腫の生存率って?種類や症状、再発の可能性についてこちらを御覧ください。
まとめ
いかがでしたか?脇の下のしこりには色々な疾患の可能性があります。万が一、重篤な疾患である場合も考えて、早めに医療機関へ受診しましょう。
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