スーパーやコンビニでも、よく見かけるヤクルト。私たちが小さな頃から身近にある、見た目もコロンと可愛らしい乳酸菌飲料です。製造元であるヤクルト本社は、2015年に創業80周年を迎え、乳酸菌製品、及びそれらの開発において、多くの信頼を寄せています。
また、最近では「ヤクルト」以外の製品(ミルミル、ジョアなど)や、新しいタイプのヤクルトも登場しています。その乳酸菌の力は素晴らしく、これまでたくさんの人が何らかの効果を実感しているようです。
そこで、ここでは、ヤクルトの効果や、乳酸菌の力を活かす飲み方などをご紹介いたします!
乳酸菌L.シロタ株とは?
ヤクルトに含まれる「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」(通称L.カゼイ シロタ株)という乳酸菌。この乳酸菌こそ、ヤクルトがもたらす効果の源となっています。その有効性や安全性から、特定保健用食品としても認められています。
さて、L.カゼイ シロタ株とは一体どのような乳酸菌なのか、早速見ていきましょう!
乳酸菌の歴史
病気になってから治療法を探すのではなく、まず病気になること自体を防ぐ「予防医学」に、早い段階から着目し、微生物の研究を手掛けていた、医学博士の代田稔氏によってL.カゼイ シロタ株は開発されました。
1930年、彼は、強い酸性の環境下でも負けない乳酸菌を発見しました。そこからさらに強い酸性の環境にして培養することを繰り返し、強くたくましい乳酸菌をつくることに成功したのです。
これが、ヤクルトに含まれるラクトバチルス カゼイ シロタ株です。この発見から5年の月日をかけてさらに乳酸菌を鍛え、1935年に乳酸菌飲料「ヤクルト」として商品化されました。
ヤクルトの販売開始以降も、さらに研究と開発を重ね、現在では、選び抜かれたエリート乳酸菌として、国内のみならず海外からも注目を浴びています。
乳酸菌L.シロタ株の特徴
通常、食べ物から摂取した乳酸菌は、ほとんどが胃液などによって死んでしまいます。しかし、強い酸性環境で、何度も繰り返し培養された乳酸菌L.シロタ株は、胃液や胆汁などの消化液に負けず、生きたまま腸に届けることができるのです。
さらに、もともと腸内に生息している乳酸菌を増やし、大腸菌などの悪玉菌を減らす効果もあり、腸内で有害物質が生成されるのを防ぎます。
私たちの腸には、悪玉菌や善玉菌、どちらでもない中間的な菌など、約100兆個もの菌が住んでいると言われています。そして、それらの菌は常に争っているのですが、悪玉菌が争いに優位になってくると腸内環境が乱れてしまうのです。
乳酸菌L.シロタ株は、それら約100兆個の菌のバランスを保つサポートをしてくれます。
ヤクルトの効果とは?
乳酸菌L.シロタ株によって腸内環境が整えられると、いろいろなメリットがあります。大人にも子供にも嬉しい、ヤクルトの効果について、見ていきましょう!
便秘や下痢の改善
善玉菌と悪玉菌のバランスが整い、有害物質の生成も抑え、腸内環境が安定すると、腸は正常な働きを取り戻すことができます。
便秘での効果はヤクルトを飲むことだけではなかなか改善しないケースも多くあります。ヤクルト400を購入した際に同封されるパンフレットにも、ヤクルトを飲むことと同時に生活習慣を改善することも重要であることが書かれています。便秘を解消したい人は同時にいくつかの対策を取りつつ、ヤクルトを摂取するようにすると良いでしょう。
世間ではどちらかというと、便秘における効果の認知度の方が高いかもしれませんが、ヤクルトは、下痢の改善にも効果的です。腸内の水分吸収がうまく行われないことによって引き起こされる下痢も、便秘同様、腸内環境の乱れが原因です。
また、便は出るけど、残便感がある場合にも、すっきりしたお通じをもたらしてくれる効果があります。
アレルギー症状の改善
腸内に住む善玉菌の働きの中には、「IgA抗体の生産を助ける」、「Th1/Th2バランスを正常化する」という作用があります。
IgA抗体とは、細菌やウイルス、さらに、ホコリや花粉症などのアレルギー物質が体内に入る前に、それらをキャッチしてアレルギー物質が侵入するのを防ぐ抗体のことです。つまり、IgA抗体を増やせば、アレルギーから身を守るためのバリア機能がしっかりと働いてくれるということです。
また、体内のTh1/Th2バランスが崩れると、IgE抗体を生産するよう脳が指令を出します。このIgE抗体が増えると、花粉など本来ならば、特に身体に害を及ぼすはずのないものにまで反応してしまうため、アレルギー症状となって出てきます。
ヤクルトを飲んで、善玉菌を増やせば、バリア機能も高まり、アレルギー症状を引き起こすIgE抗体の過剰な生産を防ぐことができるということです。
またアトピー性皮膚炎などの症状への緩和の効果もあります。予防も、対策も、ヤクルト一本で可能になるということですね。
風邪やインフルエンザを予防する
上でも述べたように、IgA抗体は、ウイルスや細菌などもキャッチして、体内への侵入を防いでくれます。それによって、風邪をはじめとする様々な感染症を未然に防ぐことができます。
中でも強力なウィルスで、非常に感染力が強く感染すると重たい熱や関節の痛みなどを発症するインフルエンザも予防することが出来ます。人間の免疫力は特に腸内環境によって高められています。
風邪などの感染症にかかってしまう原因は、原因菌の摂取も大きく関係していますが、腸内の環境が悪くなることによって免疫力が低下し病気になってしまうケースが少なくありません。
特にヤクルトを飲み続けることで腸内細菌の善玉菌であるビフィズス菌を増殖してくれる効果もあります。データでは通常時に比べてビフィズス菌の量が2,5倍に増えたという報告もあります。
またその他にも感染性胃腸炎などの症状にも効果があります。
美肌効果
腸内環境と美肌の関係については、よくご存知かもしれません。肌状態は腸内環境を表すとも言われています。悪玉菌が増殖すると、有害ガスや腐敗物が発生し、腸に溜まった状態になります。
すると、それらが、腸の毛細血管を通じて血液に送られ、それが全身に循環するため身体は解毒しようと働きます。体内の解毒作用に最も影響を受けやすいのが皮膚です。腸内環境が整うと、肌に悪影響を及ぼす「フェノール」が減少することで、肌の乾燥を防ぎ、ターンオーバーも正常に行うことができるのです。
美しい腸の状態がそのまま肌に反映され、美肌効果につながるというわけです。また、内側からケアすることで、肌本来の力も取り戻すことができます。
ガンを予防する
乳酸菌L.シロタ株によって腸内細菌のバランスが整うと、腸内の有害菌が生み出す発がん性物質の発生を抑制することができます。
さらに、発がん性物質を吸着し体外へ排出したり、高い殺傷力で細菌やウイルスなどから私たちを守ってくれるNK細胞を活性化させることができるので、ガンの予防につながるのです。
腸の環境が良くなることで、腸管免疫システムは最大に効果を発揮し、いい状態の腸内フローラが保たれることによって、発がん性物質が生成されにくくなります。
腸の環境が良くなり、免疫力が高まることでも十分ながん予防にもつながっていきます。ガンの他にも、乳がんや表在性膀胱がんや大腸がんのリスクも減らすという効果も期待できます。
実際にヤクルトを飲んでいる人と飲んでいない人とで乳がんの発生率を調査したところ乳がんの発生率が下がったという結果も報告されています。
ヤクルトの効果的な飲み方
ヤクルトは薬ではないので、決まった時間に飲まなければいけないという決まりはありません。しかし、その効能を発揮しやすくする飲み方があるようです。ここではヤクルトの効果的な飲み方をご紹介します。たくましい乳酸菌に、しっかり働いてもらいましょう!
温めないこと
甘くてトロリとしているので、温めると美味しそうに思えますが、ヤクルトの成分は乳酸菌です。乳酸菌は温めると死んでしまいます。
しかし、冷たければ良いのかというと、そうでもなさそうです。一番活動的に乳酸菌が働いてくれるのは、意外にも37℃とややぬるめです。保管するときは冷蔵庫に入れ、飲む少し前に常温程度に戻しておくのも良いでしょう。
食後に飲む
より多くの乳酸菌を生きたまま腸に届けるというのが、効果を上げるために大切なポイントです。乳酸菌シロタ株は、他の乳酸菌に比べてもたくましい乳酸菌ですが、空腹時など胃酸がたくさん出やすいときにわざわざ飲むよりも、食後など、胃酸の影響を受けにくいときに飲むのが一番です。
しっかり振って飲む
実はパッケージにもちゃんと書いてあります。「よく振ってからお飲みください」ーーつい読み流してしまいがちですが、結構大切なことなのです。
乳製品を飲料化すると、どうしても乳成分が沈殿するという現象が起こってしまいます。安定剤や増粘剤を使用すれば沈殿を防ぐこともできますが、ヤクルトはそれらを使用していません。そういった意味では、非常に安心できる商品とも言えます。
せっかく詰め込まれている乳酸菌を余すことなくいただけるように、飲む前にはしっかり容器を振って飲みましょう。
続けて飲む
乳酸菌は、1日経つと排出されてしまいます。毎日1本飲むのが理想的ですが、ヤクルト以外で乳酸菌を含む、ヨーグルトやその他の発酵食品なども献立に加えながら、3日に1本など、定期的に摂ることで、腸内環境を常に良い状態に保っておくことができます。
ヤクルト以外にも効果的な乳酸菌や腸内環境や免疫細胞の活動を高める効果のある飲料や乳酸菌サプリメントはあります。もしヤクルトの他にも気になる商品がある場合は試してみるのもいいでしょう。
特に便秘解消目的では1ヶ月くらいが目安。体調不良やアレルギーの症状改善が目的であればもう少し期間を長くして3ヶ月位の期間を目安にヤクルトの健康法を続けましょう。
ヤクルトの種類
創業以来、研究と開発を重ねているヤクルトは、今となっては時代のニーズに合ったいろいろな製品が出ています。また、コンビニやスーパーで買えるものと、直売所でなければ買えないものがあるようです。
さて、現在販売されている代表的な商品を、ピックアップして見ていきましょう!
Newヤクルト
私たちが一番馴染み深いのが、このタイプのヤクルトではないでしょうか?乳酸菌L.シロタ株が1本あたり200億個も入っています。容量は65mlで、カロリーは1本につき50kcalです。特定保健用食品で、価格は40円と、嬉しいお値段です。
また、「Newヤクルトハーフ」という姉妹商品もあり、そちらはカロリーを50%カットし、すっきりさっぱりとした飲み心地になっています。ダイエット中には助かる商品ですね。
ヤクルト400
これは、Newヤクルトの進化版と言えるでしょう。乳酸菌L.シロタ株が1本あたり400億個入っています。Newヤクルトの倍の数値です。容量も80mlと少し多めに入っており、カロリーは1本につき62kcalです。こちらも特定保健用食品です。価格は80円ですが、ヤクルト400は、コンビニやスーパーなどで購入することができません。ヤクルトの直営店から定期的に購入するかヤクルトレディから購入するか2パターンの方法で購入する必要があります。
Newヤクルト同様、こちらの商品も「ヤクルト400LT」という姉妹商品があり、ヤクルト400よりもカロリーを30%カットし、甘さ控えめになっています。LTの略はローカロリーの略です。こちらも価格はヤクルト400と同じで80円となっています。
ヤクルトゴールド
こちらは、Newヤクルトと同じ200億個の乳酸菌L.シロタ株に加え、グルコサミンやローヤルゼリー、カルシウムなどを配合した、シニア向けの乳酸菌飲料です。味も、甘みと酸味を抑え、高級感のある味に仕上がっているそうです。
ローヤルゼリーはタンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んだはちみつなどから摂れる健康食品です。グルコサミンは軟骨の中に存在し、軟骨の生成を助けてくれる効果のある栄養素です。とくにこの二つはシニアの問題である、食欲不振からくる栄養不足や関節の機能の低下などの問題に効果的に働きかけてくれるのでシニアにはうってつけの商品になっています。
容量は65ml、価格は50円です。
ヤクルト以外の製品
ヤクルト以外にもサプリメントやその他の乳製品でヤクルトに似た効果のある商品はいくつか存在します。L.カゼイ シロタ株の入った製品はヤクルトの特有の商品のため、同じ成分は入っていませんが、似た他の乳酸菌が入っているので、同じように乳酸菌の効果で腸内環境を正常に整えることが出来ます。
ヨーグルト
ヤクルトと同じようにヨーグルトにも乳酸菌が豊富に含まれています。商品によって種類は異なりますが、250種類以上の乳酸菌が含まれているものもあります。
ヨーグルトの商品の中で有名のものではブルガリア菌やサーモフィラス菌があります。ブルガリア菌はその名が商品名になるほど有名ですよね。
その他にも有名なものでは明治から販売されているR-1などの商品があります。特にこのR-1はインフルエンザ予防に効果が高いと言われておりNK細胞を活性化して、免疫力を高めてくれる効果があります。
ミルミル
同じヤクルト社の商品でミルミルというヤクルトに似た商品があります。100ml入で価格は100円です。こちらの商品は乳酸菌ではなくビフィズス菌BY株という飲むタイプのヨーグルトのようなものです。
ビフィズス菌は特に便秘や下痢や肌荒れに効果的です。ヤクルトもそうですがこのミルミルにも潰瘍性大腸炎の症状などを改善する効果があります。
ピルクル
こちらはヤクルトに非常によく似た製品で日清から出されている商品になります。酸味や甘味、コクといった項目でヤクルトのほうが高い風味が強いという特徴があり、ピルクルはヤクルトに比べ、滑らかで乳製品の風味が強いという特徴があります。
若干カロリーがヤクルトのほうが高い以外にヤクルトのシロタ株配合の変わりにLカゼイ1301という乳酸菌が使われています。このNY1301株は日清が独自に発見し開発された乳酸菌で胃酸や胆汁に特に強く生きて腸まで届く割合が多く善玉菌を増やしてくれます。
腸内環境改善などほぼほぼヤクルトと同じ効果が得られるため代用にはおすすめです。
ピルクルはコンビニなどでもよく置かれていて紙パックで500mlの用量で130円で売られているのでヤクルトよりも割安ではあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。腸内環境を整えると、健康面・美容面ともに、たくさんのメリットが見られます。生きたまま乳酸菌を腸に届けられるヤクルトを上手く取り入れると、手軽に腸内ケアができそうです。
家族のためにも、常備して、困ったときにはすぐにケアできるようにしたいものですね。
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