最近口の中が乾燥していることはありませんか?耳の下や顎の下などが腫れているように感じたことはありませんか?思い当たることがあれば、それは唾液腺の腫れかもしれません。
顔や首はどうしても隠すことが出来ないので、大きく腫れてしまっている場合は輪郭も変わってしまって痛々しく見えますし、外見への影響が大きくて困りますよね。
唾液腺の腫れの症状や原因、対処法などについて紹介していきます。
唾液腺って?
唾液腺ってどんなものか知っていますか?
唾液腺は、口腔内に唾液を分泌するところです。唾液には
- 口から入った食べ物をまとめ飲み込みやすくする
- 口腔内の殺菌
- 潤滑澱粉の消化
などの役割があります。そしてその唾液腺は口腔の外にあり、唾液を口腔に出す管を持ち、左右各3つづつあります。①耳下腺②顎下腺③舌下腺です。
耳下腺
耳下腺は、耳の前や頬の近くそして下あごの後ろのほうに広がっている腺で、顔面神経と接触している部分もある、一番大きな唾液腺です。
耳下腺から分泌される唾液は、サラッっとした唾液で粘り気はありません。
顎下腺
顎下腺は字のとおり、顎の下に位置する腺です。顎下腺の管は、顎の下から舌の下、舌の中央部分にあり、分泌される唾液はサラッとした唾液と粘度のある唾液の混ざったもので、粘り気は少ないものです。
舌下腺
舌下腺は、舌の下部分の粘膜の下にあります。導管は短く、分泌される唾液は粘り気のある唾液です。
耳下腺とリンパ腺の違い
よく間違われるもののひとつとして、耳下腺とリンパ腺があります。
同じような場所にあるため、混同する人が多いのですが、耳下腺は、唾液腺のひとつで、最大の唾液腺で、両方の耳の前方下部分にあります。唾液を出しているので口腔内と繋がっています。
一方リンパ腺は、免疫を担うところであり、全身所々にリンパ管といわれる小さな器官をもつものです。循環液は体内のみを流れていて、耳〜首、脇、鼠径部(股関節)に集中的に存在しており、足先や手などの四肢にも流れていて血管の様に枝分かれしています。
唾液腺が腫れるのは疾患が原因?
唾液腺については理解したところで、では唾液腺が腫れるとはどういうことなのでしょうか?
唾液腺が腫れるという症状を起こすときは、多くが石などの原因により、唾液腺から口の中に唾液を運ぶ唾液管が詰まっている状態です。唾液管が詰まると唾液が管を逆流します。そのため唾液腺が腫れるのです。
さらにこのような状態は細菌などに感染しやすくなり、さらに他の疾患まで招いてしまうのです。食事など唾液の出るような行動をとると、痛みはさらに悪化します。また唾液腺の腫れる原因として、さまざまな疾患も考えられます。
唾液腺炎
唾液腺炎とは、細菌やウィルス、アレルギー、自己免疫などの原因によって引き起こされる唾液腺の炎症です。特に多いのが細菌性唾液腺炎とウイルス性唾液腺炎です。
・細菌性唾液腺炎
唾液の少ないときに発症しやすいといわれている疾患です。口の中にはさまざまな常在菌が存在していますが、その常在菌が、唾液腺の開いている部分から侵入し、炎症を起こすものです。
急性では、唾液腺に腫れや痛みを伴い、唾液腺の導管部分に膿ができたりします。慢性では唾液腺が硬くなり、唾液の分泌が低下し、常に口腔が乾燥するという状態になります。
治療法は、急性のものについては、殺菌性のうがい薬など、口腔内を清潔に保つ薬剤や、抗菌などの薬剤を投与します。慢性のものは、うがい薬と平行して、人口唾液などを使用することがあります。
・ウイルス性唾液腺炎
代表的なウィルス感染では、ムンプスウイルスの感染によって引き起こされる、流行性耳下腺炎、一般的にはおたふくかぜといわれるものです。
多くが幼児期に感染し、その後免疫がつき、再び感染するすることはないといわれています。潜伏期間は2、3週間程度で、多くが最初片側の耳下腺が腫れて、そのあと数日後にもう片方も耳下腺が腫れるという症状になります。
幼児期に感染せず、大人になってから感染する人もいますが、大人のおたふくかぜは、幼児期よりも症状が重く出やすく、男性では、睾丸炎、女性では卵巣炎などを併発し、不妊などの危険性があることから、できるだけ幼児期に感染するか、予防接種を受けることを薦められます。
治療法は、ウィルス性のため、対処療法が主な治療法になります。基本的には安静にして、あまりにも高熱の場合は解熱剤の投与、そうでない場合は局所的な冷却や口腔内の清潔、うがいなどです。
・流行性耳下腺炎
流行性耳下腺炎は人から人に感染る感染症です。
咳や鼻水の症状はなく、喉の粘膜の以上や顔の腫れ、腫れている部分の痛みから始まり、38度以上の高熱や関節の痛み、身体のだるさが発生します。
インフルエンザの症状に似ていますが、輪郭が大きく腫れていることからこの感染症であることが判断できます。
「おたふくかぜ」とも呼ばれる感染症ですので、おなじみかと思います。おたふくかぜは子供に発生するイメージですが、大人にも発生することがある症状になります。
また、基本的に10歳までの子供に好発する感染症が大人に発生した場合はより重症化しやすいと言う特徴があります。
口腔底の腫れもひどくなり、最悪の場合、髄膜炎、膵炎、難聴、内耳炎などのトラブルに発展する可能性もあります。おたふく風邪は簡単には治療できない自然治療が難しい症状になります、インフルエンザのように子供は予防接種が推奨されている感染症でもあります。
腫れ以外の症状が発生しているかどうかが判断材料になりますので初期症状のサインを知っかり読み取って行きましょう。
唾石症
唾石症(だせきしょう)とは、唾液腺の中や唾液腺の導管の中に石のような唾石というものができる疾患です。そのほとんどは顎下腺にできるといわれています。
その原因は炎症を起こしたり、唾液が少なくなる、唾液の状態が変化したため、などといわれています。唾石の大きさは小さいものから大きいものまで人によってさまざまです。大きいものは数センチになるものもあるそうです。
症状は、食事中に唾液腺のある顎の下付近が腫れてきて、激しい痛みが起き、しばらくすると徐々に症状が治まってくるといった具合です。
治療法は、小さいな唾石は、唾液腺の開口部から自然と排出することがあります。唾液腺の導管内にある唾石の場合は、口腔内を切開して取り出すことになります。
シェーグレン症候群
シェーグレン症候群とは、口腔の乾燥や乾燥性の角結膜炎などの症状を主とする、全身性の疾患です。この疾患を発症すると、リウマチ性の関節炎や全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎などの合併症が起こる確率が高くなり、危険な疾患です。
症状は、耳下腺や顎下腺の炎症から始まり、口腔乾燥とそれに伴い咀嚼や嚥下の機能低下、さらに進行すると味覚などの障害や会話が困難になるなどの症状が発生します。原因が未だ不明なため、対処療法や各症状にあわせた薬剤処方になります。
最近では、自己免疫機能の何らかの不具合によって発症していると考えられています。中年女性に多く発症していることから、女性ホルモンも原因のひとつではないかともいわれています。
唾液腺腫瘍
唾液腺腫瘍は、耳下腺に多く発症する腫瘍で、一般的には良性腫瘍が多いです。しかし稀に悪性腫瘍の場合もありますので、注意が必要です。
①唾液腺の良性腫瘍
唾液腺に腫瘍ができた場合、良性腫瘍であることが多いといわれています。腫瘍の良性か、悪性かの判断は、一般的に良性腫瘍は境界線がわかりやすいというのが特徴です。また少しずつ大きくなるため、痛みや麻痺などの症状がないことも特徴です。
・治療法
腫瘍の存在が分かった時点で、早めの摘出手術になります。このような腫瘍は再発する可能性があったり、稀に悪性化することもあるため、早期発見、早期治療が大切です。
②唾液腺の悪性腫瘍
悪性腫瘍の場合は進行すると共に痛みや麻痺などの症状が現れ、特に耳下腺にできる悪性腫瘍の場合は、顔面神経との接触があるため、顔面神経の麻痺が起こることがあります。
舌下腺や顎下腺の悪性腫瘍の場合は、舌の痛みや神経麻痺などが起こります。このような腫瘍は、一般的には高齢者に多く発症が認められます
③舌下腺がん(腺様嚢胞癌)
進行と共に激しい痛みや神経の麻痺を起こすのが特徴です。舌の痛みや神経の麻痺などを起こします。
・治療法
手術により悪性腫瘍すべてを取り除くことが必要です。その後放射線治療や化学療法などを併用し、完全に取ることが必要になります。また転移の可能性もあるので、その後の経過観察が重要です。
過食嘔吐
最近多い、若い女性の唾液腺の腫れは、過食嘔吐が原因だそうです。
過食嘔吐は、いつも食べている量の食事よりもはるかに多い食事量を一定時間に食べ、食べだすと止まらなくなる状態である過食と、その過食によって体重の増加やスタイルの変化を気にして食べたものをその後自発的に嘔吐する行動を繰り返す疾患です。
なぜこの過食嘔吐が唾液腺の腫れにつながるかというと、大量の食事をすることで、口腔内で噛むという行動が多くなります。すると唾液が通常異常に必要になり、分泌が増えます。そのよう状態は、耳下腺の発達を促すといわれています。
さらにその後の嘔吐という行動によって、胃酸が逆流すことがあり、口腔内が荒れたり、キズが出来たり炎症を起こしたりするので、その結果、唾液腺の開口部に炎症が及び唾液腺が腫れてしまうのです。
また過食嘔吐で必要な栄養分が取れていないと、タンパク質カロリー異栄養症という状態になり、これも唾液腺の腫れる原因になるといわれています。女性にとっては、食欲と体型維持は常日頃から気になる問題ですが、このような疾患になってしまうと、唾液腺の腫れやその他の疾患まで引き起こす可能性があるので、できるだけ早めの治療をし、改善することが必要です。
・治療法
過食嘔吐という疾患は、ほとんどが精神的な影響が大きいといわれています。過剰なストレスや精神的に健康ではない状態です。そのため、まずは精神的に健康になることからはじめましょう。まずはストレスを溜めないことです。
過食嘔吐に悩む人に共通しているのは、過剰なやせる願望です。また身近で些細なストレスの積み重ねだといわれています。基本的にはまじめで完ぺき主義の人に発症しやすく自分で自分を追い込むようになってしまう傾向があります。
そのような人は、まずは自分を認めるということを認してみましょう。常に完璧な自分を追い求めることを休んで、今の自分でいい。という自己肯定の気持ちを持ちましょう。多くの過食嘔吐の人は食べること=罪悪感を感じているようです。しかし時には食べてしまうこと、太ってしまうこともある程度は仕方の無いことと思いましょう。今の自分を認め、前向きに考えることで、気持ちも楽になります。また夢中になれる趣味をもったり、笑うこと、時には涙することも必要だといわれています。そのような感情の表現をしていくうちにストレスが軽減され、過食嘔吐の症状も和らいでいくそうです。また多くの人と一緒に楽しく食事をすることで、過食も防ぐことができます。
また嘔吐の症状は、ほとんどが1人でいるときに発症します。家族や友人など日頃から大切な人にサポートしてもらい、ゆっくりと生活習慣や食生活を改善していくのも良いでしょう。
このような摂食障害では、小さな意識の改革が大切です。自分を否定せず、このままでよいという肯定感が一番の治療法です。それでも激し精神的な落ち込みの場合は薬剤が処方されます。
唾液腺の腫れの対処法
もし唾液腺が腫れていると思われる場合に行うべき対処法を紹介します。
また、どのタイミングで検査を受けるべきかという判断基準についても紹介しますので、病院に行くべきか、自宅で自然治療を行っていくべきかなどについて見ていきましょう。
冷やす
もし、腫れている患部が熱を持っている場合は冷やすことが有効な対策法になります。
熱が出ていることは炎症が発生しているサインなので、冷やすことで血管を締めて血流を低下させることで痛みが和らいでいきます。
しかし、この対処法は一時しのぎでしかありません。冷やすことで症状が治せるわけではないので、腫れの痛みの症状などがどんどん悪化している兆候を感じる際は早い段階で病院に行きましょう。
リンパマッサージ
リンパマッサージにはリンパの流れを良くする効果があります。リンパの流れが良くなると免疫力が高くなるので、初期のまだ切迫した症状でない場合に効果的な対策法となります。
顎の下の腫れでその最も近くに流れているのは、首の腫れになりますが、直接腫れている付近のリンパを流すことは逆に炎症を強めてしまう可能性があります。
もし唾液膿疱であった場合は、中で膿疱を潰して症状を悪化させてしまうなどの可能性があるからです。
胸や脇や肩などに流れているリンパをマッサージして間接的に患部付近のリンパの流れも良くしていきましょう。
酸っぱいものを食べない
唾液腺が腫れている場合にやってはいけない事があります。
それは唾液を過剰に出してしまう行為をすること。酸っぱいものなどを食べるとき沢山唾液が出ますよね?もし、唾液腺が詰まっているなどの問題が発生している時にこれを行ってしまうとどうしても痛みが強くなります。
炎症も同時に強くなって症状をより悪化させてしまいます。ですので唾液が過剰に出てしまう食事などを避けて食事を行うようにしましょう。
自己治療を行う上でのポイント
自分の免疫力の力だけで治療をしようと思っている場合は上記のことなどを行って対策していくといいでしょう。
しかし、痛みが強く出始めている、腫れが異常に大きくなっている。身体にも違和感、だるさなどを感じるなどの症状を感じた場合には病院での検査を行うようにしてください。
もし他のおたふくかぜなどの感染症や唾石症などの病気であった場合、事故治療だけでは治療は困難になりますし、その間の苦痛はかなり大きくなることが予測されます。
早い段階で病院の治療を受けたほうが治療も早く済みますので、まだ身体がしっかり動いている内に病院を受診していきましょう。
唾液腺が腫れている場合何科を受診するべきか
唾液腺が腫れた場合は、どのような医療機関に受診したらよいのでしょうか?原因がはっきりしない腫れが発生している場合には以下の様な科を受診して症状の原因を明らかにしていきましょう。
耳鼻咽喉科
おたふくかぜや耳、鼻、喉、時にはアレルギーや呼吸器などの治療も可能なところが多く、まずは唾液腺周辺のほかの疾患の可能性も考え、耳鼻咽喉科に受診するのをオススメします。
検査には、咽喉ファイバーやレントゲン、場所によってはエコー検査ができるところもあり、診断の結果、重大な疾患が見つかれば、さらに細密検査のために総合病院を紹介してもらうこともできます。耳鼻咽喉科は地域に多くある医療機関なので、気軽に受診できるとおもいます。
口腔内科
多くが総合病院や大学病院などで見られる診療科ですが、近くにあったり、特別に思い当たる理由がある場合は、直接受診すると良いでしょう。
口腔内科は、顎下口腔炎症、口腔腫瘍、顎顔面外科、口腔粘膜や唾液腺、口腔心身症などを専門に扱うことが多く、嚥下、咀嚼などの口腔機能や歯科治療の範囲を超えたものを治療する診療科です。
特に腫瘍が分かっている場合などは、最初から口腔内科を受診したほうが良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?唾液腺の腫れにはさまざまな原因がありました。日常生活の些細なことでも唾液腺が腫れる原因になるかも知れません。生活習慣や食生活を健康に保つことが一番の予防法かもしれません。
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