ある日ふと顔を触っていたら、頬の皮膚の中にしこりのようなものができていた…。
そんな症状があれば、すごく気になってしまいますよね。頬にできるしこりは、良性のものがほとんどですが、一部ガンなどの怖い病気もあると言われています。また顔のしこりは見た目に影響することもあり、いつ治るものなのか心配になります。
ここではしこりの原因と、深刻な病気かどうかを見分ける方法について、紹介していきます。
この記事の目次
頬のしこりの正体は何?
しこりができている場所が、頬の皮膚にあるのか、それとも口の中で腫れたようになっているのかでも、原因が違います。またどちら側というわけではなく、外側からも内側からも、コリコリとしたしこりを感じる場合もあります。
しこりのできる場所や、しこりの現れ方、伴う症状などについてまとめていますので、自分がどれに当てはまるかを確認してみましょう。
外側にしこりができる場合
頬のしこりが外側にできる場合の主な原因としては、このようなものがあります。
ニキビ
毛穴に皮脂や余計な角質が溜まってしまい、アクネ菌が繁殖して炎症を起こしている状態がニキビです。毛穴がほぼ塞がってしまい、毛穴の奥で炎症を起こしている時には「しこり」のように感じる場合があります。
触らずにきちんとニキビケアをすることで、腫れは自然に治まりますが、大きいものや何度も繰り返すような場合は皮膚科を受診しましょう。
毛包炎(もうほうえん)
毛包炎とは、毛穴に細菌が感染して起こる皮膚の疾患です。ニキビに症状が似ていますが、原因がアクネ菌ではなく、それ以外の黄色ブドウ球菌などの細菌によって炎症が起こります。毛包炎の場合、毛穴(毛包)に、赤い腫れや膿などの症状が現れます。それが悪化すると、炎症を起こしている毛穴の周りの皮膚が硬くなり、おできのようなしこりとなる場合があります。
しこりになる前に炎症があるかどうかで判断ができますが、この場合は炎症を起こしている時点で大きな肌トラブルとなっているため、なるべく早く皮膚科を受診しましょう。原因は細菌となるので、抗生物質を処方されることがあります。
粉瘤(ふんりゅう)
徐々に大きくなる良性腫瘍の一つであり、表皮嚢腫、アテローム、アテローマとも呼ばれます。 皮下組織の老廃物が、何かの拍子で皮膚の中の袋状の組織に溜まることにより粉瘤ができると言われています。体質によって何度も同じ場所にできることも多いです。
しこりの大きさとしては大体0.5センチ〜数センチまでとなり、痛みは無く、こぶの表面に黒い小さな点のような穴があることが特徴です。この粉瘤の中には、白いドロドロした膿が入っていることが多く、悪臭を放ちますので、皮膚科を受診して中を取り除く必要があるかを相談しましょう。
また、粉瘤に細菌が感染して炎症が起こると感染性粉瘤となり、痛みを感じることがあります。また大きくなった粉瘤を取り除くと穴があき、再発した時にまた大きな粉瘤ができる可能性もあるので、しこりが小さい内に皮膚科の受診をすることが大事です。
場所が特定できないしこりの場合
しこりの場所が、頬の内側なのか外側なのか、よく分からない頬の内部だということもあります。そのような場合は、以下のような症状が原因となっていることが考えられます。
脂肪腫
脂肪腫、脂肪細胞が大きくなる症状で、良性腫瘍の一つです。
染色体異常がきっかけでできるとも言われていますが、その原因はハッキリ分かっていません。腫瘍自体に痛みは無く、頬だけではなく全身の皮下組織や内蔵などにできる可能性があります。サイズとしては、ある程度の大きさで止まる場合がほとんどですが、まれに5センチ以上の大きなものとなるケースもあります。
痛みがなく良性腫瘍なら害も無いため、急いで取り除く必要はありませんが、顔の場合は見た目が気になるので外科手術で取り除くことも可能です。ただし神経に近い場所などは、切除できないことがありますので、医師に相談して治療を進めましょう。
脂肪腫については、脂肪種って何?症状・原因・治療法・予防法を紹介!を参考にしてください。
脂肪肉腫
前に述べた脂肪腫と同じように、染色体異常による脂肪細胞の肥大化の症状ですが、脂肪肉腫は急に大きくなったり、転移を伴う悪性腫瘍です。
脂肪腫と同じように、最初は痛みが無いことが多いです。脂肪肉腫でやっかいなのは、体の至る所にできるものであり、内蔵などに転移する可能性があるということです。
体の表面にできたしこりが、痛みは無いが急に大きくなったり、少しずつ大きくなっているという場合は、注意が必要です。もしも脂肪肉腫であった場合は、手術や投薬による治療が必要となります。腫瘍が良性か悪性かの区別は、顕微鏡での細胞組織検査でないと判断できませんので、早期に病院の診察を受けることが大事です。
骨軟骨種
骨軟骨種は、外骨種はとも呼ばれ、良性腫瘍の一つです。
骨の成長する方向が本来と違い、軟骨部分が飛び出して、こぶのようになった状態です。原因は遺伝や体質によるものが大きく、日常生活で支障をきたすような事が無ければそのままにしても害はありません。
がんなど深刻な病気
放っておくと重症化し、深刻な状態に至るような病気が原因で、頬のしこりが発生している場合があります。このような病気の場合は必ず医師の受診を行い、早期に治療する必要があります。
上顎洞がん
鼻の周りの空洞を副鼻腔と呼び、その中でも頬の奥あたりにある空洞のことを「上顎洞(じょうがくどう)」と言います。
ここが炎症を起こすのは副鼻腔炎であることが多いのですが、この部分が癌細胞に侵された場合は、上顎洞がんとなり、頬の腫れやしびれを起こします。進行すると視力に影響したり、リンパ節へがんが転移することもあります。
残念ながら、上顎洞の中だけに癌細胞がある場合は、すぐ症状に気付かないことが多いです。ただし上顎洞がんの人は慢性副鼻腔炎にもなりやすいので、副鼻腔炎の方は早めに検査、治療をしたほうがよいと言えます。
上顎洞がんの日本の年間推定患者数は約1,000名と言われており、胃がんや子宮がんなどと比べるとかなり少ない患者数です。しかしその治療では、上顎の癌となっている部分を摘出するなど、患者に負担が大きくかかります。現在は放射線治療や投薬治療との組み合わせも発達していますので、早めに医師の診察を受けて治療を行いましょう。
副鼻腔真菌症
副鼻腔に真菌が感染し、乾酪性(かんらくせい)物質というチーズ状のものが溜まっている状態を、「副鼻腔真菌症」と呼びます。その中でも上顎洞に溜まり感染が起こる状態を「乾酪性上顎洞炎」と言い、頬の腫れや痛みを伴うことがあります。
この場合、左右どちらかの鼻から膿のような鼻汁が出て、悪臭を放ちます。また眼や歯の痛みを感じる事もあります。
病院ではX線検査やCTスキャンによる検査が行われ、治療としては上顎洞の洗浄を行う場合があります。ただし感染が酷い場合は、手術によって副鼻腔の真菌塊を除去し、粘膜の洗浄を行うこともあります。
耳下腺炎
唾液を分泌するための唾液腺が常在菌やウイルスに感染し、その場所が「耳下腺(じかせん)」に現れた場合を耳下腺炎と言います。ウイルスの感染が原因ですが、化膿性となる場合と、流行性の場合があり、流行性のものはムンプスウイルスによる「おたふく風邪」となり伝染性があります。
耳下腺炎の場合、頬の腫れと痛みだけではなく、発熱や頭痛、筋肉痛などの初期症状がありますので、最初に体調不良に気づいて病院を受診し、判明するケースがほとんどとです。
体内の免疫力低下や筋肉痛
体内の免疫力が低下したり、いつもと違う顔面への刺激によって、頬のしこりができる場合があります。
リンパ節の腫れ
体の中には、リンパ管を通してリンパ液が流れています。リンパ液はウイルスや細菌が侵入した時に、感染症にならないようウイルスと戦う役割があります。このリンパ管の節目である「リンパ節」が炎症を起こし、腫れとる場合があります。顔の場合は、発熱や扁桃腺の腫れ、口内炎や歯周炎、中耳炎などが原因でリンパ節が腫れることがあります。
この場合、しこりに痛みを感じる事が多いため、心当たりがあれば内科や耳鼻科、口腔外科などを受診するようにしましょう。
顔の筋肉痛やコリ
顔の表情を作る筋肉に、いつもと違う力が加わって筋肉痛のような状態となり、顔のしこりや歪みを起こす場合があります。 原理は肩こりと同じなので、程度によっては痛みもあります。
ただし顔の筋肉は普段あまり激しく使うことがないので、歯を食いしばったりするだけでも筋肉痛や炎症を起こすことがあります。
筋肉の疲れで皮膚が硬くなっている場合、疲労が回復すれば自然と治まります。またコリをほぐすマッサージや、顔の筋肉が疲労しないように表情体操をするのも一つの手です。
病気のしこりと、病気ではないしこりの見分け方は?
頬のしこりの原因として、考えられる症状はたくさんあります。一様に危険と思われるしこりには、以下のような特徴が見られます。
- しこりが大きく、弾力がある
- しこりがどんどん大きくなっている
- しこりを触ると動きにくい
- 痛みや発熱を伴う
これらはしこりを見たり触ったりすることで、ある程度の症状が分かるかもしれません。しかし危険な病気かを見分けようとしても、 良性のしこりと比較することは出来ないため、やはり個人の判断では難しいと言えます。
はっきりとした安心を得るためにも、皮膚科や整形外科、耳鼻咽喉科などを受診して医師の診断を受けることが大事です。
まとめ
頬のしこりが出来る場所や、それに伴う症状によって、原因は様々です。ここでは4パターン、11種類の症状を紹介しましたが、それ以外の病気や炎症が原因の場合もありえます。もし病気だった場合、進行度は個人差が大きく、症状によっては取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
そうならないためにも、ここで紹介した見分け方にはあくまで参考程度に留めたほうがよいと言えます。自己判断に頼らず、まずは早めに病院へ行き、医師の診断を受けることが大切です。