早朝覚醒とは?症状や原因、対策方法を紹介!

もっと寝ていたいのにもかかわらず、朝早くに目が覚めてしまって二度寝もできない、という経験をされた人もいるかもしれません。このような自分が望んでいないのに早朝に目覚めてしまう状態が長く続いているのならば、それは早朝覚醒(そうちょうかくせい)と呼ばれる不眠症の症状の一つである可能性があります。

不眠症は正常な睡眠が障害される睡眠障害の一つであり、その不眠症の症状の一形態として早朝覚醒が存在します。早朝覚醒を含む不眠症になると、睡眠が不足して心身の疲労がとれなくなり、日中の眠気や集中力の低下が生じて、仕事などの社会生活や家事などの日常生活にも大きな支障を及ぼします。

そこで今回は、睡眠障害における不眠症の中でも特に早朝覚醒にスポットを当てて、早朝覚醒の原因や早朝覚醒の改善方法・対策方法などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。

早朝覚醒について

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そもそも早朝覚醒と呼ばれる症状は、どのような状態・状況のことなのでしょうか?早朝覚醒の原因や早朝覚醒の改善方法・対策方法などについて触れるには、早朝覚醒の症状や位置付けなどについて知っておく必要があります。

そこで、まずは早朝覚醒に関する基礎知識について確認したいと思います。

早朝覚醒とは?

早朝覚醒とは、自分が望んでいないにもかかわらず、朝早くに目覚めてしまい、再び眠ろうとしても入眠できない状態のことを言います。早朝覚醒は、就寝時には普通に入眠して寝付けるのに対して、一般的に睡眠時間が6時間半に到達する以前に目覚めて覚醒してしまい二度寝もできず、結果として睡眠不足となってしまいます。

早朝覚醒は不眠症の一症状であり、不眠症は睡眠障害の一つですから、早朝覚醒も睡眠障害の一つということができます。

睡眠障害における早朝覚醒の位置付け

早朝覚醒は、このように不眠症の一症状であって、睡眠障害の一つでもあります。ここで簡単に睡眠障害における早朝覚醒の位置付けについて整理してみたいと思います。

睡眠障害

睡眠障害とは、人の正常な睡眠が障害されることを言います。一口に睡眠障害と言っても様々な障害が存在します。主に次のような睡眠障害が挙げられます。

  • 不眠症:本来必要な睡眠ができない睡眠障害
  • 過眠症:必要以上に眠ってしまう、あるいは眠気を生じる睡眠障害
  • 睡眠呼吸障害:いびき・睡眠時無呼吸症候群のような睡眠時の換気障害
  • 概日リズム睡眠障害:就寝起床の周期(概日リズム)が生活リズムと合わない睡眠障害

不眠症

不眠症とは、本来必要な睡眠ができなかったり困難な状態に陥ることであり、前述の睡眠障害の一つです。そして、不眠症は、睡眠段階のどの部分に障害が現れるかによって、複数のタイプに分類されます。

  • 入眠障害:就寝しても眠りに落ちることができず、入眠できない状態
  • 中途覚醒(睡眠維持障害):入眠しても真夜中に覚醒して、睡眠を維持できない状態
  • 早朝覚醒:入眠しても早朝に覚醒して、再度眠ることができない状態
  • 熟眠障害:十分な睡眠時間を確保するものの、熟睡した感じを得られない状態

このように早朝覚醒は、いくつか存在する不眠症の症状タイプの一つなのです。ちなみに、いくつかのタイプが存在する不眠症ですが、場合によってはタイプの異なる症状が複合的に現れることもあります。

早朝覚醒の症状

前述のように早朝覚醒とは、自分が望んでいないにもかかわらず、朝早くに目覚めてしまい、再び眠ろうとしても入眠できない状態のことです。いわゆる「早起き」とは区別しなければならないため、治療の対象となる早朝覚醒は次の4条件を全て満たすような状態のことを言うとされています。

  • 起床予定時刻よりも早い早朝に目覚めてしまう状態が、長く続いている
  • 早朝に目覚めてから、再び眠ることができない(再入眠が困難)
  • 早朝に覚醒することで、適正睡眠時間(一般に6時間半以上)が確保できていない
  • 早朝覚醒による寝不足感や眠気で、生活に支障が生じて本人が困っている

それゆえ、朝早くに起床してしまっても本人が困っていなければ、早朝覚醒として治療すべきものとまでは言えません。また、朝方に一度目覚めても二度寝ができる場合も同様ですし、早朝に目覚めてしまい日中の眠気で困ったとしても翌日には普段通りだったという場合も早朝覚醒として治療すべきものとまでは言えません。

ですから、早朝覚醒の症状とは、自分の起床時刻よりも早い朝方に目ざめてしまい、二度寝もすることができないことによって、日中の眠気などで生活に困る状況が長く続いている状態のことを言うのです。

早朝覚醒の原因

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このように早朝覚醒は、自分が望んでいないにもかかわらず、朝早くに目覚めてしまい、再び眠ろうとしても入眠できない状態です。

それでは、どうして自分が望んでいないにもかかわらず、早朝に目覚めて覚醒してしまうのでしょうか?そこで、早朝覚醒の原因について、ご紹介したいと思います。

適正な睡眠リズムについて

早朝覚醒の原因を理解するにあたり、まずは睡眠の目的や適正な睡眠リズムについて知っておく必要があります。人の適正な睡眠リズムは、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す睡眠サイクルと人に備わっている体内時計によって設定されます。そこで、睡眠の目的と適正な睡眠リズムについて、簡単にご紹介したいと思います。

睡眠の目的について

人が睡眠をとらなければならない理由は、脳や身体を休ませなければならないからです。というのも、人が覚醒している間には、休憩なしに脳が働き、身体のあらゆる筋肉も姿勢維持や運動のために休みなく働いているからです。

そして、睡眠をとることによって、睡眠中に成長ホルモンが脳下垂体から分泌されます。この成長ホルモンが、身体のあらゆる細胞の新陳代謝や再生修復を促すことによって、身体の疲れが回復するわけです。

睡眠サイクルについて

人の睡眠中には睡眠サイクルが存在し、睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返します。

レム睡眠は浅い睡眠状態のことで、脳が活動する一方で、身体の各筋肉が弛緩して休息します。反対にノンレム睡眠は深い睡眠状態のことで、脳の活動が低下する一方で、身体の各筋肉は完全な弛緩から脱して一定の活動モードに入っています。このようなレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すことで、脳と身体を交互に休ませているわけです。

ちなみに、個人差はあるものの一般的には入眠後1時間程度でノンレム睡眠に入り、その後は約90分程度ずつレム睡眠とノンレム睡眠が切り替わります。

体内時計(概日リズム)

体内時計とは、通常は日中に覚醒して活動状態となって夜間に休息状態となって睡眠をとる、という約24時間を1周期とする生理現象のことです。体内時計は俗称で、正式には概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれ、睡眠覚醒リズムと呼ばれることもあります。

この体内時計において重要な役割を担うのが、メラトニンという物質です。朝日の光を浴びると体内時計がリセットされ、それとともにメラトニンの分泌が止まります。そして、起床覚醒から15時間前後経つと、メラトニンの分泌が再開されます。メラトニンは自律神経に作用して副交感神経を優位にするので、その結果として深部体温が下がり、眠気を誘うので睡眠ホルモンとも呼ばれます。

加齢による睡眠リズムの変化

人の睡眠リズムは、年齢を重ねるに連れて変化するとされています。具体的には、2つの変化が生じます。

1つ目は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返す睡眠サイクルにおいて、年齢が若いほどノンレム睡眠時の眠りが深く、高齢になるほどノンレム睡眠時の眠りが浅くなります。つまり、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返していても、加齢に応じてノンレム睡眠の深さが徐々に浅くなってくるのです。そのため、高齢者になるほど睡眠途中で頻繁に目覚めやすくなるのです。

2つ目は、年齢を重ねるに連れて体内時計の進行が前倒しになって、就寝時刻が早まり、起床時刻も早まります。それゆえ、一般的には高齢になればなるほど、いわゆる早寝早起きへとなるのです。

このように加齢によって、睡眠サイクルと体内時計に変化が現れて、睡眠の質や量にも変化が生じます。ですから、年齢を重ねると、早朝覚醒が生じる可能性も高まるのです。

希望する睡眠時間と適正睡眠時間の食い違い

このように年齢に応じて、睡眠の質と量は変化します。つまり、適正睡眠時間は年齢に応じて変わるのです。例えば、個人差はあるものの、若い時には普通に8時間は眠れるものですが、還暦を過ぎる頃になると6~7時間で目覚めてしまいます。

そのため、若い時に8時間眠っていたからという理由で、高齢の人が8時間眠ろうと意識し過ぎると、かえって睡眠リズムを崩して不眠症状を招いてしまいかねません。

睡眠環境の変化

睡眠の質や量は、睡眠環境によっても左右されます。そのため、場合によっては、睡眠環境が早朝覚醒の原因となることもあります。

例えば、真夏の熱帯夜に寝付けなかったり、寝苦しくて目覚めてしまった経験は、多くの人が1度は経験しているでしょう。また、夏場や冬場にエアコンを利用する人の中には、タイマー設定で睡眠中に運転を止める人も少なくありませんが、それによる寝室の室温変化で目覚めてしまうこともあるかもしれません。さらには、大きな国道沿いや線路沿いの住宅では、トラックや電車の音によって睡眠が妨げられることもあるでしょう。

不眠をもたらす生活習慣

普段何気なく行っている生活習慣が、早朝覚醒をはじめとする不眠症の原因となることもあるとされます。例えば、不眠を招く生活習慣としては、日中に長い昼寝をしたり、就寝前に刺激物を摂取することが挙げられます。

日中に短時間の昼寝をすることは集中力の回復などの効果があるとされていますが、30分を超えた長い昼寝をしてしまうと、体内時計の乱れを招いて不眠を誘発します。

また、カフェインには覚醒効果があることが知られており、就寝前にコーヒーなどを摂取すると睡眠の質が低下する傾向があり、不眠につながります。

さらには、飲酒によるアルコール摂取も、中途覚醒や早朝覚醒の不眠を招く原因になります。たしかに、アルコールには鎮静作用があり眠気を誘って入眠を促す、いわば睡眠導入剤のような働きがあります。しかしながら、飲酒から3時間程度でアルコール分解が始まり、分解による生成物のアセトアルデヒドが自律神経を刺激して交感神経が優位となるのです。交感神経が優位となる結果として、脳が活動状態となるので、眠りは浅くなり睡眠途中で覚醒しやすくなるのです。

精神的なストレス

精神的ストレスに晒されると、早朝覚醒を含む不眠症の原因となる可能性があります。というのも、精神的ストレスは自律神経に影響を及ぼし、交感神経が優位となる状態をもたらすからです。交感神経が優位になることで、神経が昂ぶるなど身体や脳が興奮・緊張状態となり、脳が休息に入れないことにより眠りが浅くなるのです。

例えば、仕事のプレッシャーがストレスとなって、目覚まし時計の設定時刻よりも早く起床してしまうことが長く続いているならば、早朝覚醒の疑いが強いと言えるでしょう。

精神障害

このような精神的ストレスと関係性が大きい精神障害では、入眠障害や早朝覚醒といった不眠症状を併発するケースが非常に多く見られます。例えば、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)といった精神障害では、その初期症状の一つとして入眠障害や早朝覚醒が現れ、このような不眠症状によって更にうつ病や心的外傷後ストレス障害の症状が悪化するという悪循環に陥りがちです。

うつ病などの精神障害と早朝覚醒などの不眠症との関係性については明らかとなっていないことも多いのですが、睡眠ポリグラフ検査によってレム睡眠とノンレム睡眠の睡眠サイクルを測定すると、うつ病患者は健常者に比べて深い眠りであるノンレム睡眠が少ないことが分かっています。

早朝覚醒の改善方法・対策方法

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このように不眠症の一つである早朝覚醒の原因は、主に加齢・睡眠環境・生活習慣・ストレスなどによって、睡眠サイクルと体内時計が乱れ睡眠リズムが崩れることにあるのです。

それでは、早朝覚醒が生じた場合に、どのような対処や改善対策をすれば良いのでしょうか?そこで、早朝覚醒の対処法や改善対策について、ご紹介したいと思います。

自分の適性睡眠時間を知る

前述のように年齢を重ねることによって、睡眠サイクルと体内時計に変化が現れて、人の睡眠の質や量は変化をします。にもかかわらず、どうしても人は自分の若い頃の経験に従って睡眠時間が長いほうが疲労回復に良いと考えがちです。つまり、年齢を重ねると、希望する睡眠時間と適正睡眠時間の食い違いが生じやすいのです。

たしかに、睡眠の目的は心身の疲労回復にあるので、一定以上の睡眠時間が必要であることに議論の余地はありません。しかしながら、睡眠時間は自分の適性睡眠時間より少なくても多くても、睡眠リズムを乱す元になります。

ですから、年齢に応じて変化する自分の適性睡眠時間を把握して、その範囲で質の良い睡眠を取れるように心掛けることが、早朝覚醒の対策として重要になります。

ちなみに、自分の適性睡眠時間を導く方法は、自分の経験のみです。それゆえ、直近で気持ちよく目覚めた時の睡眠時間や睡眠環境などを振り返る睡眠セルフチェックをして、ノートなどに書きとめておくと良いかもしれませんね。

睡眠環境の改善

睡眠環境が原因となって早朝覚醒が生じている場合は、当然ですが睡眠環境を改善することが早朝覚醒の不眠対策となります。

例えば、室温変化が原因であればエアコンの利用や寝具を見直すことによって、快適な睡眠を得られるように調整します。また、騒音が原因であれば遮音カーテンの利用といった防音対策が必要ですし、夏場の朝日の光が原因であれば遮光カーテンを利用することが考えられます。

いずれにしても、早朝覚醒の原因の状況別に個別具体的な対策をとることによって、睡眠環境の改善を図ることが早朝覚醒の対処法となるのです。

生活習慣の改善

生活習慣が原因となって早朝覚醒が現れているケースでは、生活習慣の改善をすることが早朝覚醒の改善対策となります。

長い昼寝をしてしまう人は、なるべく30分未満の短時間の昼寝にとどめる必要があります。また、就寝前にコーヒーなどを飲んでカフェイン摂取をしないこと、同じく就寝前に飲酒をしてアルコール摂取をしないことも必要でしょう。

このような生活改善方法は、ともすると1人では欲求に負けてしまいますので、家族や周囲の人に協力を仰いでみると、成功確率も上昇するでしょう。

ストレスの解消

精神的ストレスが原因となって早朝覚醒が生じている場合、ストレスを解消することが早朝覚醒の改善に資することになります。

趣味や運動など自分が没頭できるストレス解消法を見つけることが大切になりますし、入浴時に湯船に浸かることを習慣にしてみても良いかもしれません。入浴でお湯に浸かることは、自律神経のうち副交感神経を優位にして、心身のリラックスにつながるからです。

活動量の増加

日中の活動量が増えて適度な疲労があると、深い睡眠を得やすくなります。それゆえ、生活習慣の改善やストレスの解消ともつながりますが、日中に適度な運動をして活動量を増やしてみるのも、早朝覚醒の改善対策の一つと言えるでしょう。

ちなみに、ウォーキングなどの一定のリズムを刻む運動をすると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの前駆物質であるセロトニンの分泌を促します。メラトニンの生成にはセロトニンが原料として必要不可欠であり、セロトニン分泌が増えればメラトニンの生成に困ることがなくなり、適正な睡眠リズムを得やすいと言えるでしょう。

病院の受診

ここまで紹介した改善対策で効果が得られない時や、すでに精神障害を発症しているケースなどでは、睡眠外来や精神科などの病院を受診して専門の医師に相談を仰ぐべきでしょう。早朝覚醒の治療方法としては、薬物療法や高照度光療法などが挙げられます。

薬物療法

薬物療法は、睡眠薬・睡眠導入剤などの薬剤を投与することにより、早朝覚醒などの不眠症状の改善を目指す治療法です。

すでにうつ病などの精神障害が発症しているケースでは、精神障害の治療でも抗うつ剤などの薬剤の処方があることが少なくありません。また、不眠症状の程度やタイプによっても、薬剤は異なります。

ですから、睡眠薬などの薬剤の服用にあたっては、用法用量を医師の指示通りに守ることが非常に重要になります。

高照度光療法

加齢によって体内時計が前倒しになっているケースでは、夕方などの眠気の強まる時間帯に高照度の光を浴びる高照度光療法が有効です。

具体的には、夕方などの眠気が強まる時に2500ルクス以上の強い光を照射する装置で、光を浴びることによって体内時計を後ろにずらすのです。太陽光を朝浴びることで体内時計がリセットされるように、強い光には体内時計を遅らせる作用があるからです。

ただし、睡眠リズムを崩してしまう可能性がありますから、医師の指導の下で行う必要があることに注意が必要です。

まとめ

いかがでしたか?睡眠障害における不眠症の中でも特に早朝覚醒にスポットを当てて、早朝覚醒の原因や早朝覚醒の改善方法・対策方法などについて説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?

早朝覚醒は不眠症の症状タイプの一つであって、早朝覚醒を含む不眠症は睡眠障害の一つです。早朝覚醒を含む不眠症に陥ると、睡眠不足から心身の疲労が抜けず、日中の眠気や集中力の低下が生じて日常生活にも大きな支障を及ぼします。

ですから、自分が望んでいないのに早朝に目覚めてしまう状態が長く続いているのならば、早朝覚醒の疑いがあるかもしれませんので、病院を受診してみてはいかがでしょうか。

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