熟睡できないのは、本当につらいですね。朝起きた時に疲れが残っているし、寝足りない感じがしますよね。朝の目覚めがスッキリせず、昼間も眠気がとれません。夜になってベッドに入っても、なかなか寝付けずグッスリ眠れません。
熟睡できないと脳の疲労が回復しません。身体は眠らなくても横になっているだけで疲労回復しますが、脳はグッスリ眠らないと疲れが取れないのです。集中力や判断力などが衰えます。
熟睡できない原因と熟睡する方法についてお伝えしますね。
睡眠とは?
睡眠はヒトの健康に重要です。しっかり睡眠がとれないと、様々な害を引き起こし死に至ることさえあります。睡眠に支障が生じる状態を「睡眠障害」といいます。睡眠障害の1つに「不眠症」があります。
「不眠症」には4つの症状があります。①なかなか寝付けない「入眠障害」 ②普通よりも早く目が覚めてしまい、その後眠れなくなる「早朝覚醒」 ③睡眠中に何度も目が覚める「中途覚醒」 ④眠りが浅くて熟睡した感じがしない「熟眠障害」 です。
睡眠時間は十分とっているのに、目覚めがスッキリせずに疲労感が残っているのは「熟眠障害」です。毎日の眠りが浅くて熟睡できないと感じる状態が1ヶ月以上続いていれば、「熟眠障害」です。
[熟眠障害]
「熟眠できない状態」とは「ノンレム睡眠がうまくつくりだせない状態」です。
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠がある
睡眠には「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」があります。睡眠中はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れます。レム睡眠は浅い眠りで目覚めやすい状態です。
ノンレム睡眠が深い眠りです。ノンレム睡眠を経てレム睡眠に到るまでには約1.5時間(90分)かかります。これを睡眠単位といいます。8時間眠る人は5回の睡眠単位、6時間眠る人は4回の睡眠単位を繰り返します。
ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返して、朝方レム睡眠に入るとスッキリ目覚めることができます。
レム睡眠の特徴
レム睡眠は脳が覚醒状態に近く、急速眼球運動が起きます。夢を見ます。身体は休んでいますが、体温や血圧は下がりません。筋肉の疲労を回復しています。目覚めやすい状態なので、レム睡眠中に起きるとスッキリ目覚めることができます。10~20分程度続きます。
ノンレム睡眠の特徴
ノンレム睡眠では脳が休んでいます。脳の疲労回復を行います。筋肉は働いていますが、身体は休んでいます。体温や血圧が下がります。自律神経の中の副交感神経が優位に働きます。成長ホルモンなどホルモンが分泌されます。ストレスを消去します。記憶を定着させます。
昼寝や居眠りはノンレム睡眠です。90分の睡眠単位のほとんどがノンレム睡眠です。
ノンレム睡眠には4段階ある
ノンレム睡眠には4段階あります。浅い段階から深い段階に移行して戻ります。
ステージ1
ステージ1はウトウト状態・まどろみ状態です。レム睡眠に近く脳はまだ活動しています。眠っている自覚はありませんが、すでに睡眠状態に入っています。
ステージ2
スヤスヤ状態です。「軽睡眠期」といいます。脳はまだ完全に休んでいません。耳から外界の音が入ってきます。ノンレム睡眠の大半が軽睡眠期(スヤスヤ状態)です。
ステージ3
脳が完全に休んだ状態になります。グッスリ状態で、「熟眠期」といいます。深部体温が下がり寝汗をかきます。外界からの音も聞こえなくなります。
ステージ4
深睡状態です。最も深い眠りで最も脳が休んでいる状態です。深睡状態の後に熟眠期・軽睡眠期・ウトウト状態となりレム睡眠に戻ります。レム睡眠後ウトウト状態に入り、軽睡眠期・熟眠期・深睡状態となります。これを繰り返します。
徐波睡眠(SWS)
ステージ3とステージ4を併せて、徐波睡眠(SWS)といいます。徐波睡眠の時に成長ホルモンの分泌量が最も多くなります。
加齢とともに睡眠が変化する
若い時は入眠してすぐにレム睡眠からノンレム睡眠に移り、ステージ3・4の深い眠りが発生します。睡眠の後半にレム睡眠が多く発生して、朝になるとスッキリ目覚めます。
加齢とともにノンレム睡眠に入るまでに時間がかかるようになります。ステージ2の軽睡眠期が長くなり、なかなかステージ3・4の深い眠りがつくれません。レム睡眠が睡眠期間全体に平均して発生するので、夜中に目覚めやすくなります。
[睡眠とホルモン]
睡眠はホルモンの分泌と大きく関わっています。ホルモンは、体内においてアミノ酸から合成されます。アミノ酸はタンパク質の成分です。ホルモンの体内に存在する量は微量ですから、多過ぎても少なすぎても身体に支障が生じます。ホルモンは生産量と消費量のバランスが大事です。
ちなみに、ホルモンは血液中に放出されて情報を伝えます。神経細胞から神経細胞に情報を伝えるのは、神経伝達物質です。神経伝達物質の多くはホルモンとしても作用します。脳内で分泌される神経伝達物質とホルモンは、「脳内ホルモン」と呼ばれます。ホルモンと神経伝達物質の化学的特性は同じです。
成長ホルモンと徐波睡眠
入眠後3時間くらいの間に、非情に深いノンレム睡眠つまり徐波睡眠が発生します。成長ホルモンは、この徐波睡眠中に最も多く分泌されます。
入眠後3時間は睡眠の黄金タイムと言われます。特に最初の90分間のノンレム睡眠(徐波睡眠)が重要です。
成長ホルモンの働き
成長ホルモンは骨や筋肉に作用して、子供の身体を成長させます。
成人してからも、成長ホルモンは分泌されます。成長ホルモンは、筋肉を成長させたり修復したりします。身体の疲労を回復させます。筋肉トレーニングをすることにより、骨を太く丈夫にします。免疫力を増強させます。細胞を活性化させて新陳代謝を活発しますから、美肌や美髪をつくります。脂肪燃焼を促進します。
熟睡できないと?
熟睡できない、つまり徐波睡眠ができないと、成長ホルモンが十分に分泌されません。免疫力が低下して、ガンや生活習慣病が発症する可能性が高くなります。筋肉が成長せずに筋力が低下します。身体の疲れが取れません。肌や髪の老化が進みます。食事制限しても、なかなか痩せません。
睡眠誘発ホルモン
「睡眠誘発ホルモン」とはメラトニンのことです。睡眠導入と睡眠維持をする「睡眠物質」の1種です。
トリプトファンというアミノ酸からセロトニンが生成されます。セロトニンを原料にして、脳の松果体でメラトニンが生成されます。メラトニンは、暗くなると松果体から分泌されます。
メラトニンの働き
メラトニンには体内時計を調節する働きがあります。起床して14~16時間後にセロトニンはメラトニンに変化します。メラトニンは、季節によって変化する昼夜時間の長さなど季節情報と時間情報を脳に伝達し、体内時計を調節します。
メラトニンには睡眠のリズムを整える作用があります。メラトニンは睡眠を司り、眠気をもたらします。そのため「睡眠誘発ホルモン」と言われます。睡眠中はメラトニンの分泌が増えるので、深く眠ることができます。
睡眠物質
睡眠物質はメラトニンの他にも十数種類あります。ウリジンという睡眠物質は、GABA(ギャバ)の作用を促進させます。GABAは神経の興奮を抑制する作用があります。
なぜ熟睡できないの?
グッスリ眠れない「熟眠障害」は、ステージ3・4のノンレム睡眠(徐波睡眠)がうまくつくれない状態です。深い眠りである徐波睡眠が十分にとれないと、「熟眠した」「グッスリ眠った」という実感がありません。
「熟睡できない」原因はいろいろあります。
①ストレス
ストレスは熟眠障害を含む不眠症だけでなく、睡眠障害の原因にもなります。
身体的ストレス(病気・ケガ・過労・睡眠不足など)や精神的ストレス(仕事や人間関係の悩みなど)は、たいていは熟睡すると解消・軽減できます。しかし、ストレスが強すぎると自律神経の中の交感神経が興奮します。睡眠に入ると副交感神経が優先するようになりますが、交感神経が興奮状態であると副交感神経とうまく交替できません。
心身のストレスが強すぎるとグッスリ眠ることができなくなるので、さらにストレスが増大します。悪循環に陥ります。
②メラトニンの分泌が足りない
睡眠誘発ホルモンのメラトニンの分泌量が少ないと、眠気がおこらずなかなか入眠することができません。睡眠中のメラトニンの分泌も抑えられ、深いノンレム睡眠が発生しません。
メラトニンは体内時計を調節していますが、体内時計のリズムが狂うとスムーズに分泌されなくなります。
スマホ・PCや夜更かしで体内時計のリズムが狂う
体内時計は朝陽を浴びるとリセットされます。ヒトは朝陽とともに起きて、日が沈んで暗くなると眠るようにできているのです。ところが文明が発達してくると人間の生活も変わり、体内時計のリズムが狂いやすくなります。
前述したように、暗くなるとセロトニンからメラトニンが生成されます。メラトニンは寝る1~2時間前から分泌され始め、夜中の2~3時頃に分泌量が最大になります。ところが、寝る直前までスマホ・パソコン・TVゲームなどで光を目に受けていたり、夜遅くまで明るい照明の部屋で仕事をしていると、体内時計のリズムが狂いメラトニンの分泌が抑えられます。
③生活習慣
寝る前にお酒を飲んだり、油っこい食事を大量に摂ったりなどの生活習慣がスムーズな入眠を妨げ、熟睡できないようにする可能性があります。
寝る前にアルコール類(お酒類)を飲むと眠れなくなる
寝る前にアルコール類(お酒類)を飲むと、深いノンレム睡眠である徐波睡眠が発生しにくくなります。レム睡眠か浅いノンレム睡眠しか発生しません。夕食時にお酒類を飲んでも睡眠に影響する可能性があります。
「寝酒」といって眠るためにお酒類を飲む人が少なくありませんが、逆効果です。就寝前のアルコール類の摂取はメラトニンの分泌を抑えます。
寝る前に食事すると眠れなくなる
普通、お腹がいっぱいになると眠くなりますよね。消化吸収のために胃腸など消化器官に血液が大量に送られ、脳に送られる血液が減るためです。しかし、就寝前に食事をすると、胃腸など消化器官が働いているために、入眠しても熟睡することができません。脂肪やタンパク質は消化吸収するのに3~4時間かかります。
胃腸などが活動していると、深部体温が下がりにくくなります。深部体温が下がらないと、徐波睡眠が発生しにくくなります。詳しくは、寝る前の食事を止めた方が良い理由とは?食べるなら何がいい?を読んでおきましょう。
深部体温が下がらないと熟睡できない
眠りに入る時は、内臓など体中枢部の体温(深部体温)が下がっていきます。身体の深部に籠った熱は体表面から放散されます。熟睡すると寝汗をかくのは、体表面から放熱して深部体温を下げるためです。
深部体温が高いままだと入眠しにくくなり、結果的に熟睡できなくなります。
就寝直前に熱いお風呂に入ったり、激しい運動をしたりすると、深部体温が上がります。逆に冷たい物を食べ過ぎたり飲みすぎたりして体を冷やしても、深部体温は下がりません。身体が冷えると体温が下がり血行が悪くなるので、体表面から深部の熱を放散しにくくなります。
寝る前にカフェインを摂ると眠れなくなる
カフェインには覚醒作用があります。就寝前3~4時間にコーヒー・紅茶・緑茶など強いカフェインを含む飲料を摂取すると、なかなか入眠できず眠りも浅くなります。
カフェインには利尿作用もあるので、夜中に何度もトイレに行きたくなって目が覚めます。
30分以上の長い昼寝や夕方の転寝は夜の睡眠を妨げる
体内時計の関係で、午後になると眠くなります。20~30分程度の昼寝を午後3時までにすると、午前中の脳の疲れを回復させることができます。
しかし、30分以上1時間も2時間も昼寝をすると、昼間に深い眠りが発生するので睡眠リズムがおかしくなります。夜の眠りが浅くなる傾向があります。
午後3時以降夕方に昼寝すると、体内時計の睡眠リズムが乱れます。夜の深い睡眠が発生しにくくなります。
寝過ぎると熟睡できない
人間に必要な睡眠時間は7~8時間と言われますが、個人差があります。質の良い睡眠をしっかりとっていれば、5~6時間眠れば十分という人もいます。
睡眠時間が短すぎると脳や身体の疲労が回復しませんが、睡眠時間が必要以上に長すぎるのも熟眠を妨げます。睡眠時間が必要以上に長いと、全体の眠りが浅くなります。
④睡眠環境が悪い
人間の身体は睡眠中もいろいろな変化が起きています。体温や血圧の低下・発汗・寝返りなどの変化に対応できる適切な睡眠環境でなければ、深い眠り(徐波睡眠)が発生しません。
睡眠環境が不適切というのは、次のようなことです。
- 室内の温度や湿度が適正でない
- 敷布団やマットレスが柔らか過ぎる
- 枕が体に合っていない
- 掛け布団が重過ぎる
- 寝具や寝間着の吸湿性・通気性が悪く、熱が籠もりやすい
⑤加齢による睡眠の変化
前述したように、加齢ととともに睡眠が変わります。
高齢者は徐波睡眠が発生しにくくなるとともに、朝早く目が覚めるようになります。加齢により熟睡できなくなります・
⑥熟眠を妨げる病気
熟眠を妨げる病気があります。
生活習慣の改善や睡眠環境を整えることでは対処しきれません。心療内科・精神科・内科など専門医の適正な治療が必要です。
うつ病
うつ病を発症すると、ステージ3・4 の深いノンレム睡眠(徐波睡眠)が発生しにくくなります。浅いレム睡眠が増えます。
睡眠関連呼吸障害群
「睡眠関連呼吸症候群」とは、就眠中に呼吸に支障が生じる疾患です。「睡眠時無呼吸症候群」と「睡眠関連低換気(低酸素血症候群)」があります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が止まる疾患を「睡眠時無呼吸症候群」といいます。何らかの理由で上気道が塞がる閉塞性と、脳の呼吸中枢が機能しない中枢性があります。
呼吸が止まったり低呼吸になったりすると、瞬時に脳が覚醒します。脳が度々覚醒するため眠りが浅くなり熟睡できません。昼間、猛烈に眠くなります。閉塞性の場合はイビキが酷くなるので、同じ寝室で眠るパートナーや家族が気づくことが多いようです。
睡眠関連低換気(低酸素血症候群)
整形外科や内科の疾患により睡眠中の呼吸が妨げられ、眠りが浅くなります。
その他
次のような疾患があると、熟睡できない傾向が強くなります。
睡眠関連運動障害群
足に運動障害の症状が出るために熟睡できません。脚にチクチクした痛みやムズムズする不快感がありイライラして眠れない「ムズムズ脚症候群」と、寝ている間に足がピクピク動くために深い睡眠がとれない「周期性四肢運動障害」があります。
睡眠時随伴症候群
睡眠中に悪夢や金縛りが起きたり、夢遊病や夜驚症を発症したりする状態を「睡眠時随伴症候群」といいます。睡眠中の行動が深い眠りを妨げます。
概日リズム睡眠障害
体内時計によってつくりだされる生活リズムが乱れ、睡眠のタイミングや時間帯が一般の人たちと大きくずれてしまう疾患です。
交替勤務睡眠障害
24時間営業が多くなったために交替勤務や深夜勤務をする人が増えています。交替勤務や深夜勤務で体内時計による生活リズムが乱れ、眠りが浅くなり熟睡できなくなります。
熟睡できない人の対処法
熟睡できない人の対処法としては、①生活習慣の改善 ②睡眠環境の改善 ③睡眠サプリメント ④医師に相談 の4つの対策があります。
[生活習慣の改善]
日々の生活で習慣にしてきたことが深い眠りを妨げていることがよくあります。眠りを妨げる生活習慣を改善すると、不眠も改善されます。
①就寝直前の食事・カフェインや酒の摂取をやめる
夕食は寝る3時間前までに終えます。夕食時の飲酒の量を控えます。夕食後から就寝前の飲酒やカフェインの摂取はやめます。
夕食には睡眠効果の高い食品や飲み物を摂るようにします。バナナ・ナッツ類・乳製品・ハチミツ入りのホットミルクやハーブティーなどは、睡眠効果があります。
②お風呂は温めのお湯で、就寝の1時間前までに
お風呂にはリラックス効果があります。熱いお湯にサッと入るよりも温いお湯にゆっくり入る方が、リラックス効果が高くなります。
体温が高いままだと寝つきが悪くなり、深く眠ることもできません。体温が落ち着いたところで、ベッドに入るようにします。
③リラックス睡眠法
就寝前はできるだけ心身をリラックスさせるようにします。リラックス睡眠法です。神経の興奮状態を鎮め、気分を安らかにします。
1, 就寝前の1時間は、TV・スマホ・パソコンの光を目に受けないようにする
就寝直前までTVゲームやスマホやパソコンの光を浴びていると、自律神経の中の交感神経が興奮します。体内リズムが乱れて、睡眠物質のメラトニンの分泌が抑えられます。就寝する1時間前には、スマホ・TVゲーム・パソコンはやめるようにします。
仕事で脳を使うのも神経が興奮状態になりますから、就寝1時間前には切り上げます。ベッドへ入ってから、仕事の悩みをあれこれ考えるのも神経を興奮させるのでNGです。
2, 就眠前にリラックスできる儀式を行う
就眠前にはリラックスできることをいつも行うようにします。「就眠儀式」といいます。ストレッチでも何でも良いのですが、リラックス効果の高いものがおススメです。睡眠効果・リラックス効果のある音楽を聴いたり、カモミールティーのような神経を鎮めるハーブティーを飲んだりします。お香を焚くアロマテラピーもリラックスできます。
あれもこれもしようと欲張ると、精神的な負担となって逆効果です。1つか2つにします。
3, 腹式呼吸でリラックスする
呼吸法は腹式呼吸にするとリラックスできます。
4, 眠くなるまでベッドに入らない
眠くないのに無理にベッドに入ると、「早く眠らなければいけない」という精神的ストレスが増します。眠くなるまで本を読んだり音楽を聴いたり、リラックスして過ごします。
④昼寝は30分まで 夕方の仮眠はしない
昼寝は午後3時までに20~30分するようにします。
午後3時以降の仮眠はNGです。午後3時以降夕方の眠気は、仕事に集中したり身体を動かしたりして巧くやり過ごします。
⑤規則正しい生活をして、体内リズムを整える
朝は早く起きて朝陽を浴び、セロトニンの分泌量を増やします。セロトニンを原料とするメラトニンの分泌量が増えます。
朝陽を浴びると体内時計がリセットされますから、体内リズム・生活リズムが整います。規則正しい生活をすることで、体内時計を正常に保つことができます。休みの日も寝坊しないで早起きするようにします。
⑥適度な運動でストレスを解消する
精神的ストレスの解消には適度に身体を動かすことが効果的です。適度に運動してストレスを解消し、自律神経系を乱さないようにします。
また、昼間に身体を動かして疲れると、入眠しやすく眠りも深くなります。眠りを深くして成長ホルモンの分泌を促し、疲労を回復します。
[睡眠環境を整える]
眠る部屋の環境を適切に整えます。室温は18~26℃、湿度は50~60%が適切といいます。枕やマットレス・敷布団は寝具屋さんに相談することをおススメします。寝返りを打ちにくい寝具はNGです。
真っ暗より仄暗い程度がリラックスできる
寝室を真っ暗にすると緊張する人もいます。豆電球などの灯りで仄暗い程度にする方が、安心してリラックスできるようです。でも、人によっては真っ暗なほうが熟睡できるといいます。
もちろん、明る過ぎる部屋はNGです。明るいと脳が昼間と勘違いして、半分覚醒した状態になります。眠りが浅くなり、脳の疲労回復ができません。
[睡眠サプリメント]
熟眠障害が続く場合は、睡眠サプリメントを使用することもできます。加齢によりノンレム睡眠が減少している高齢者は、睡眠サプリで熟睡できる成分を補うことができます。
睡眠サプリメントは睡眠薬や睡眠導入剤ほど作用が強くありませんが、副作用も少なく手軽に試せます。
睡眠サプリメントの選び方
現代人は不眠に悩むことが多いようで、睡眠サプリは色々な種類が各メーカーから製造販売されています。どれを使えば良いのか迷います。睡眠サプリメント選びは、含まれている成分をよく調べて行います。添加物にも注意が必要です。
睡眠サプリメントの成分と効能は次の通りです。
- グリシンは、眠りを深くして熟睡に導きます。
- メラトニンは、眠気を引き起こし睡眠を維持します。
- トリプトファンは、セロトニンやメラトニンの原料となります。
- GABA(ギャバ)は、脳の神経の活動を抑制して鎮めます。
- バレリアンは、悩みの多い人の精神的な不眠を和らげます。
- ビタミンB12は、睡眠リズムを夜型にします。
睡眠サプリメントの依存性
睡眠サプリを飲み始めると、「途中でやめたら、また不眠症になる」と不安になる可能性があります。不安で睡眠サプリが手放せなくなります。睡眠サプリメントにも依存性があります。
不眠症・熟眠障害で悩んでいるならば、サプリメントに頼る前に「リラックス睡眠法」や生活習慣の改善や枕を変えるなどを試すことをおススメします。
[不眠の専門家に相談する]
前述したような「熟睡できない時の対処法」を行っても、「グッスリ眠れない」「寝つきが悪い」「すぐ目が覚める」などという悩みが続き、疲れが取れないと感じるならば、病院に行くことをおススメします。不眠症が続くと健康を損ないます。また、睡眠障害・うつ病・睡眠時無呼吸症候群など病気の可能性があります。
医療機関では不眠症の約70%が治療効果を実感している
不眠症・熟眠障害で医療機関を訪れる人は45%程度ですが、治療を受けた人の70%近くが治療効果を実感しています。
熟睡できない時に行く病院は?
熟睡できない人は、睡眠科・不眠外来のある病院を受診することをおススメします。最近は睡眠専門の医療機関もあります。心療内科や精神科の医師に相談することもできます。かかりつけの内科のお医者さんに相談するのも一つの方法です。
[睡眠はバランスが大事]
睡眠は「〇〇時間取らなければいけない」ということはありません。体内時計の生活リズムと睡眠バランスが取れていれば良いのです。
人間は脳や身体が疲労すれば、回復させる機能が自然に働きます。自然に睡眠バランスがとれるようにできています。
ちょっと乱暴な熟眠障害の対策
「熟睡できない」人の対策の一つに「睡眠時間を極端に短くする」という方法があります。
朝早く起きて夜遅くまで仕事をしたり何か好きなことをしたりして起きています。睡眠時間を極端に短く削れば、脳は疲れ果てます。深い眠りが必要になります。眠くてガマンできなくなって横になれば、すぐにノンレム睡眠に入ります。深いノンレム睡眠に到達します。
グッスリ眠って起きたその後は、生活習慣を改善して体内リズムを整えるようにします。
まとめ 深いノンレム睡眠に入れないと熟睡できない
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠では、身体は休んでいますが脳は覚醒しています。ノンレム睡眠では脳も休んで疲労回復します。自律神経の中の副交感神経が優位に働き、体温や血圧も下がります。
ノンレム睡眠には4段階あります。ステージ3・4の深いノンレム睡眠を徐波睡眠といい、脳が最も休んでいる状態になります。「熟睡できない」「グッスリ眠った実感がない」のは、深いノンレム睡眠がうまくつくり出せないのです。
深いノンレム睡眠の時に成長ホルモンの分泌する量が最大となります。成長ホルモンは身体の疲労回復・免疫力の増大・新陳代謝の活性化などの働きがありますから、長時間寝ても徐波睡眠が発生しなければ疲労回復できません。
深いノンレム睡眠を妨げる原因は、ストレスや生活習慣による体内時計の乱れです。精神的ストレスは交感神経を興奮させます。就寝直前のスマホ・パソコン・飲酒は体内時計による睡眠リズムを乱し、睡眠導入と睡眠維持の働きのあるメラトニンの分泌を妨げます。
熟睡するためには、生活習慣を改善して体内時計による睡眠リズムを整えます。就寝前に心身ともにリラックスして入眠しやすくします。なかなか熟睡できなくて辛い時は、睡眠サプリメントに頼る前に睡眠科や心療内科などの医師に相談することをおススメします。
関連記事として、
・熟睡する方法を知ろう!寝室の環境改善やリラックス効果の音楽が良い?
・二度寝防止の方法は?原因と睡眠サイクルを知って改善しよう!
これらの記事も読んでおきましょう。