あなたの周りに、すぐに嘘をつく人はいませんか?
嘘というものを1度もついたことのない人はいないかも知れませんが、あまりに頻繁だと、話を聞いている方もどこまでが本当でどこからが嘘なのか若ならなくなってしまいますよね。「羊飼いの少年」のように、普段から嘘をついていると、いざという時に誰からも信用してもらえないことになってしまいます。
また、嘘つきとは別に、ホラ吹きと言われる人もいますよね。どちらも似たような意味で捉えてしまいがちですが、嘘つきとホラ吹きは一体何が違うのでしょうか?彼らの特徴を知ることで、騙されないよう対処をすると共に、上手く付き合っていく方法をご紹介しましょう。
この記事の目次
嘘つきとホラ吹きの違い
世の中には、小さなことを大げさに話したり、ありもしないことを本当のことのように話したりして注目を集めようとする人がいますよね。
そういう人のことを「ホラ吹き」とか「嘘つき」と言うことがあります。似たような意味合いで使われる2つの言葉ですが、その違いは一体何なのでしょうか?
ホラ吹きとは
ホラ吹きという言葉は、日本では植木等さん主演の「日本一のホラ吹き男」が有名です。音楽では、米津玄師さんの「ホラ吹き猫野郎」という楽曲もありますね。
では、なぜこうした人のことをホラ吹きと呼ぶようになったのでしょうか?語源は、山伏などが吹くホラ貝から来ています。音が非常に大きく、戦国時代のドラマなどでは、戦の場面でよく登場しますね。
ホラ貝は吹いた時の音が非常に大きいことから、話を大げさにすることにつながり、今の意味になったのではないかと言われています。
嘘つきとは
嘘つきも、ホラ吹きの類語として使われていますよね。非常によく似ているホラ吹きと嘘つきですが、大きな違いは、ホラ吹きは基本的に事実に基づいており、嘘つきはでたらめであるという点で違いがあります。
ただし、ホラ吹きにも種類があり、中には嘘つきと変わらないようなものもあります。では、ホラ吹きの種類を見ていきましょう。
ホラ吹きの種類
一口にホラ吹きと言っても、実は2種類あります。簡単に言えば、笑えるレベルのホラ吹きと、周りから引かれてしまうレベルのホラ吹きですね。
笑えるレベルのホラ吹き
周りから面白いと言われるホラ吹きの人は、嘘はいけないということを理解した上で、話を盛り上げる目的でのみホラを吹きます。
そのため、罪のないものが多く、聞いている方も楽しい気分で過ごせるのです。この程度のホラ吹きならば、面白い人、という印象ですから、むしろ人気者になれる場合もあります。
学生時代にクラスに1人はいたような、冗談を言って笑いを取るタイプと似ているでしょう。可愛いレベルなので、人から嫌われたり、鬱陶しがられたりすることはありません。
こうしたタイプの人は話を盛るので大げさだと言われることもありますが、事実に基づいた話ならば大げさで面白いと言われるでしょう。ただし、毎日のように大げさな話を繰り返すと、さすがに周囲から相手にされなくなる場合もあるので、さじ加減が大事です。
周りから引かれるレベルのホラ吹き
このタイプは、ただ話を盛るだけではなく、ありもしない話を平気で言います。はっきりと嘘ではないにしても、情報源が分からなかったり、事実であるかどうか不明な話をまことしやかに話して聞かせる人は、このレベルと言えるでしょう。
周囲からすれば、ほぼ嘘つきなので、相手にされませんし、冷ややかな目で見られることにもなります。信頼を失い、本当に聞いてほしい時に話を聞いてもらえない、ということにもなりかねません。
特に、聞き手の反応を無視して話を続けるようになると、事態はさらに深刻です。このレベルに達した人は、とにかく自分の話を聞いてもらうと必死ですから、相手がどんなに嫌な顔をしていようがお構いなしに話を続けるのです。
本人は話を聞いてもらうためにあの手この手を使って必死に気を引きますが、やればやるほど相手にされなくなるので、悪循環ですね。
重度のホラ吹き
特に問題なのは、あからさまに嘘が混じっている話をする人です。宇宙人に会ったとか、火星に言ったとか、誰も信じないような話を平気でするようなら重症と言えるでしょう。
ただし、このレベルになると単なる嘘つきやホラ吹きではなく、精神的な疾患が隠れている可能性もあるので、医療機関を受診した方がよいかも知れません。
ホラ吹きの心理的特徴は?
では、病気ではない場合、ホラ吹きの心理は一体どのようなものなのでしょうか?
見栄を張る
ホラ吹きは基本的に、自分をよく見せたいとか、大きく見せたいという欲求があります。そのため、事実よりも少し大げさに話して、自分をすごい人間に見せようとするのです。ホラ吹きまでいかずとも、つい見栄を張ってしまうことは誰しも経験があるでしょう。
また、見栄を張って自分を大きく見せることで、周りから「あの人はすごい」と感心されることになります。このタイプのホラ吹きはプライドの高い人の多く、自分を褒めてほしいがためにホラを吹くのです。
関心を集める
また、自分に注目してほしいがためにホラを吹く人もいます。このタイプは、自己顕示欲が強い人に多く見受けられます。
他人の評価を上げるために利用する
これは、自分のためではなく、他人のためにホラを吹いてしまうパターンです。たとえば、友達や先輩の功績を周囲にアピールしたくて、つい事実よりも話を盛ってしまった、などです。
まれなケースではありますが、友達重いの人だと、陥ってしまうこともあります。
その場しのぎとして使う
これは嘘つきにも言えますが、1度ホラを吹いてしまうと、そのあともずるずるとホラを吹かなくてはならないこともあります。
たとえば、本当は知らないのに知っているふりをしてしまうなどは、よくありますよね。そして、のちのち話が蒸し返された時、今更分からないとは言えないので、さらにホラを吹くことになってしまうのです。
本人も辛いですが、バレてしまった場合、ホラ吹きだというレッテルを貼られてしまうリスクがあります。
単なる勘違い
これもよくあるパターンですが、ちょっとした勘違いや記憶違いをしているだけなのに、ホラ吹きだと思われてしまう場合があります。本人に悪気はないので不憫ですが、事実と異なることを吹聴しているので、結果的にホラ吹き認定されてしまうわけですね。
ただし、単なる勘違いなので、普段からホラを吹いている人でない限り、評判を落とすことは滅多にないでしょう。
ホラ吹きと上手く付き合うためには
このように、ホラ吹きにも多くの種類がありますし、タイプも違います。とは言え、度の過ぎたホラ吹きは相手にするのも嫌になりますよね。
しかし、人間関係はそう簡単に切れるものではありませんし、まして職場などであれば嫌でも付き合っていかなくてはなりません。
では、ホラ吹きの対処法をご紹介しましょう。
相手にしない
これは、無視をするということではありません。相手は言いたいだけなのですから、好きなだけ言わせておく、ということです。
まともに聞けば腹が立つこともあるかも知れませんが、適当に聞き流しておけば大したストレスにもならないでしょう。「この人はこういう人」と割り期入り、適当に相手をしておくのが得策です。
プライドを傷つけない
ホラ吹きにはプライドの高い人が多いです。自分のプライドを守るためにホラを吹いている人にとっては、プライドを刺激されることは何より許しがたいことです。
どんなに相手をするのが鬱陶しくても、相手のプライドを傷つけるような言動は避けましょう。下手に相手の怒りを買うと、さらに面倒なことになります。
付き合いを避ける
可能であれば、ホラ吹きとは関わらないことが1番です。そうも言っていられないのが現実でしょうが、もしも可能ならば、できる限り付き合いをなくしましょう。
病気でホラ吹きになる?ミュンヒハウゼン症候群とは
このように、ホラ吹きにも色々なタイプがいますし、笑っていられる内はよいですが、相手にするのも嫌になるようなホラを吹く人もいます。どうして大げさな話ばかりするんだろうと不思議に思ったり、不快に感じたりすることもあるでしょう。
しかし、実はホラを吹いてしまう病気があるのです。
ミュンヒハウゼン症候群
ミュンヒハウゼン症候群は、「ほら吹き男爵」という物語に登場する、ミュンヒハウゼン男爵の名前から命名された精神疾患です。
この疾患は、病気でもないのに病気だと言い張ったり、症状は軽いのに重病だと言い張ったりするなど、病に関して嘘をつきます。さらに厄介なのは、実際に薬を大量に飲んだり、自傷行為に走ったりする点です。
ミュンヒハウゼン症候群の原因
原因ははっきりと分かっていませんが、幼い頃に精神的、肉体的に虐待を受けた経験がある人が多いと言われる他、重度の疾患を経験したり、身内に重病の人がいたりした場合もあるようですね。
ミュンヒハウゼン症候群の症状
主な症状は、周りの関心や同情を買うために、仮病や自傷行為、さらには尿検査で検体をすり替えるなどの偽装を繰り返すなどが挙げられます。
対人関係に問題を抱えているため、自己肯定感が低く、病気のふりをすることで、周囲の関心を集めようとしているのです。
ちなみに、ミュンヒハウゼン症候群に近い疾患で、詐病(さびょう)というものもありますが、こちらは嘘をつく目的が仕事をさぼったり、お金を得たりという、何らかの利益を得るための行動である点が異なります。
嘘で関心を引こうとする演技性パーソナリティ障害
他にも、関心を引くことにこだわる病気として、演技性パーソナリティ障害があります。パーソナリティ障害には様々な種類があるので、名前だけなら知っている、という人もいるかも知れませんね。
演技性パーソナリティ障害の原因
演技性パーソナリティ障害の原因の1つに、愛情飢餓があると言います。愛情に飢えているために、自分の価値を見出せず、親が望むような理想的な自分を作り上げたり、周囲の目を引くような人気者を演じたりしようとするのです。
それによって、自分の価値を築き上げているのですね。こうした体験が元で、過去の成功に基づいたパターンを演じ続ける傾向にあるのです。
演技性パーソナリティ障害の症状
演技性パーソナリティ障害の特徴は、人の関心を集めることが何より大事で、虚言や仮病も平気で使います。外見には非常にこだわっており、実際に魅力的であることも多いようです。常に刺激を求めており、移り気で、高い演技力や表現力があることなどが挙げられます。
見た目の華やかさやすぐに人と打ち解ける点、反応がよく、コミュニケーション能力が高いので魅力的に見えることが多いようですね。
ただし、異性と同性では接し方が全く違うので、同性からは嫌われやすく、注目を集めるために平気で嘘をつくので、人からも信頼はありません。
また、日常生活ではあまり使わないような、芝居臭い言葉も自然に使ってしまう特徴もあります。男性よりも女性に多く見られるという演技性パーソナリティ障害では、相手を性的魅力を使って挑発したり誘惑したりする行動も取りますが、これは関心を惹きつける手軽な手段だからに過ぎません。
演技性パーソナリティ障害の対処法
演技性パーソナリティ障害は病気ですが、本人はそれと気づいていない場合が多いようです。病院を訪れる場合にも、不安や抑うつ状態によることが多く、本人は演技性パーソナリティ障害だと気づいていないのです。だからこそ、対処する時は細心の注意を払いましょう。
嘘を指摘しない
こうした場合、本人に病気であることを告げるのは、段階を踏まなければいけません。また、嘘について指摘することも避けましょう。演技性パーソナリティ障害の人は、自分の価値を、注目を浴びることで確かめようとするので、嘘を指摘しても反省しませんし、反感を買い、攻撃的な態度に出られる可能性もあります。普通の嘘つきとは違うのだということを理解しましょう。
常に冷静に
厄介な演技性パーソナリティ障害ですが、上手く接するポイントとして、演技に飲み込まれないよう、冷静さを保つことがあります。
また、演技性パーソナリティ障害の人は新たな刺激を常に求めているので、飽きられてしまってはおしまいです。天性のものと見まがうほどの演技力に圧倒されてしまわぬよう、いつでも冷静さを保っておくことが欠かせません。
褒めてあげる
演技性パーソナリティ障害は、自信のなさが原因で演技をしてしまいます。ですから、外見だけでなく、内面的なところを褒めて、相手の自信のなさをカバーしてあげることが効果的です。
演技性パーソナリティ障害の人は、自分の見た目に関しては優れていることを知っています。だからこそ、見た目だけではない、その人の内面的な長所を言ってあげることは、非常に効果的です。
精神疾患の中には、ホラを吹く特徴があるものがいくつかありますから、執拗にホラを吹くようなら、こうした病気を疑った方がよいかも知れません。病気が原因で周りから信頼を失ったり、嫌われたりするのはとても悲しいことです。きちんと専門機関を受診して、治療を受けることをおすすめします。
コミュニケーションツールとしてのホラ吹き
このように見てみると、ホラ吹きには人を喜ばせたいという気持ちから出てくるものと、病的なものがあるようですね。
原因は人によって違いますが、ホラ吹きも限度を超えると人に迷惑をかけたり、嫌われたりしてしまいます。
ホラ吹きスピーチとは
しかし、中にはコミュニケーションツールとしてのホラ吹きもあるようですね。それが「ホラ吹きスピーチ」と呼ばれるもので、調布フリーフライトトーストマスターズクラブ(調布FFTMC)では、ワークショップとして行われました。講師を務めた、ストーリテリングTMC会長のIさんによれば、ホラ吹きにはコミュニケーションツールとしての一面もあったようです。
ホラ話とは英語でtall tale(トールテール)と言い、アメリカの西部開拓時代に、キャンプファイヤーを囲みながらホラ話をしていたという歴史があります。当時は一種のコミュニケーションツールだったようですね。ミニワークショップでは、実際にホラ吹きスピーチを披露し、会場は和やかな雰囲気になったようです。
コミュニケーションツールとしての一面
ホラ吹きスピーチはいきなりやろうとすると難しいように思えてしまいますが、ポイントは誰にもできそうにない壮大なテーマとプロットを決めることだそうです。
自分の経験にアレンジを加えて、自分なりに表現していくことが大切なようですね。話の内容やレベルを自分に合ったものにすることで、ホラ吹きスピーチも楽しめるかも知れません。
ホラ吹きが成功のカギ?
企業などを成長させ、ビジネスで大きな成功を収めるためには、ホラ吹きが大事だという考え方もあります。ソフトバンクの孫社長は、会社設立時に、アルバイト社員2名に対して「ウチの会社は必ず1兆円企業になる」と豪語したそうです。これも実現できなければただの嘘つき、詐欺師と言われてしまうかも知れませんが、そうやって自分を追い込むことで成功を手にすることができたのでしょう。
そうした意味では、ホラ吹きは金持ちになる秘訣とも言えますね。ただし、そこには絶対に実現させるという難しさもつきものです。
まとめ
こうして考えてみると、ホラ吹きには人を楽しませる要素が入っていることが分かります。それをどんな場面で、どのレベルで話すかによって、人を楽しませもし、不快にしてしまうこともあるのですね。どうせなら、人を楽しい気持ちにできるホラ吹きでありたいものです。
ホラ吹きは、人に笑われているうちはまだよいですが、エスカレートしてくると周りが見えなくなり、自己満足に走ってしまう危険もあります。話をしている時、周りはどんな顔をしているのか、嫌な顔や冷ややかな顔をしている人はいないか、冷静になって周囲を観察してみることも大切ですね。
もしも病的なホラ吹きの場合、そこには過去のトラウマが隠れているかも知れません。自分1人で解決することは難しいですから、誰からも相手にされなくなる前に、専門機関できちんと診てもらうようにしましょう。
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