皆さんは「愛想笑い」と聞いてどのような状況を思い浮かべますか?仕事で上司と話している時、職場の飲み会や接待の時など・・・職場の関係の人についつい愛想笑いをしてしまう人は多いのではないでしょうか。
人によっては、相手に嫌われたくないという気持ちから、友人やパートナーに対しても愛想笑いをしてしまう人がいます。今回、ここでは愛想笑いによるメリットやデメリット、心理状況について詳しく記事にしていきます。
愛想笑いについて
海外からみた日本人の印象は「サービスが優れている」や「ニコニコしている」といった回答をする人が多いです。企業のサービスだけでなく、初対面の人と話している時や友人同士で喋っている時にでも日本人は笑っているという印象を持たれています。
しかし、これらに対していいイメージばかりを持っているわけではないようです。
ここでは、愛想笑いとは一体何か、愛想笑いの効果や、また海外での日本の反応についてご紹介します。
愛想笑いとは?
辞書や用語解説文で愛想笑いについて検索をかけると「人の機嫌を取ろうとする笑い、お世辞笑い」「面白くもないのに笑顔を作ること」などと表示されます。どちらも本心とは異なって無理して笑顔を作ることを意味しています。
類語・同義語は、おべっか、へらつらう・媚びる、作り笑顔、作り笑、また英語ではFake smile(フェイク スマイル)と呼ばれます。
愛想笑いの効果とは?
愛想笑いには状況に応じてメリット・デメリットが生じます。ここでは、愛想笑いのメリット、デメリットを見ていきましょう。
メリット
笑顔は人に安心感を与えます。その為、たとえそれが作り笑いであったとしても相手に安らぎを与えることは確かで、話かけやすい印象を持たれます。また、無表情でいるよりも作り笑いや笑顔をしていた方がストレス度が低くなったり、心臓や脳などにも良く健康体を目指せるという科学的研究結果も報告されています。
他にも、顔の筋肉を動かすことで若返り効果が期待できるなど、愛想笑いをすることでのメリットはたくさんあります。「笑う門には福来る」ということわざもあるように、偽の笑顔であっても、笑顔をつくることで物事がポジティブな方向に進みやすくなります。笑顔を作っておくことで、実際は楽しくない事でも楽しいという気持ちに変えることもできます。
デメリット
一方で、デメリットもあります。愛想笑いは、職場で上司や働いている周りの人たちの立場を考えて使用することが多く、人間関係を築くのに重要な要素の1つでもあります。このような一定の距離感を持った相手であれば、愛想笑いをしても好印象を与えてメリットが生まれる場合がありますが、パートナーや友達など親しい関係にある間柄に対して行うと信頼関係を築くことができなくなります。
愛想笑いを繰り返すことは、本来の自分の姿を隠していることに繋がります。笑ってばかりいないで、自分の意見をハッキリと言うところでは言わないと「何を考えているのか分からない」と言われたり「いつも同調するだけでつまらない人間」だと思われてしまいます。親しい人間関係を作るには、愛想笑いをする必要のない関係を築くことが重要です。
海外から見る日本人の愛想笑いとは?
「愛想笑い」は、日本の文化の1つでもあると言えます。海外の人たちは日本人のようにいつも愛想笑いをするわけではありません。その為、外国人との会話の時にニコニコしていると「なんでこの人ヘラヘラしているんだろう」といい印象をもたれない場合があります。
彼らには笑いながら話をする文化がなく、本当に面白いと思った時の反応として笑います。もしくは、ビジネスの時、初対面の時に笑顔を作る人もいますが、愛想笑いというよりは時より見せる微笑みといったものです。
その為、会話の時に常にニコニコしていると「この会話のどこが面白いんだろうか」や「人の話を聞いているのかな」と思われてしまいます。特に、海外では嫌な気持ちでいるにも関わらず、笑顔を見せていると相手にいい印象を持たれないだけでなく、誤解を与えてしまう可能性があります。
愛想笑いをする心理状況について
愛想笑いをするタイプの人は「とにかく、この場を凌ぎたい」「嫌われたくない」「本音を悟られたくない」などと、本来の自分を様々な理由から隠しています。
ここでは、愛想笑いをする人の心理状況についてご紹介します。
とりあえず、その場を凌ぎたい
話をしている相手の話に対してどう返していいのかわからなかったり、特にコメントすることがなかった場合に「とりあえず、この場を凌ぎたい」という気持ちから愛想笑いをします。笑っていれば、特に問題なく事を済ませられるだろうという考えから、ニコニコした表情を見せます。仕事場の飲み会などでこのように愛想笑いをしている人は多いかもしれません。
相手の話に波長をあわせているので、人に害を与えることはありませんが、同調ばかりするので、時には会話をする相手としてつまらないと思われる場合があります。また、とりあえずこの場を凌ぎたいという思いから話を真面目に聞いていない事も多く、意見を求められている場所でもニコニコしてしまっている場合は、周りからの評価が下がります。
人に嫌われたくない
愛想笑いをする人の多くの深層心理は「人に嫌われたくない」という気持ちからです。この場合は、人に嫌われたくないという思いから人の話にはしっかりと耳を傾けて受け答えもできます。聞き上手、優しい、お人よしなどと周りから印象はいい反面、自分自身は「こんな自分は嫌だ」と思っている傾向にあります。
例えば、「夢である仕事場に就きたい」や「ポジションにつきたい」と思う気持ちから、周りのことを気にして、人に嫌われないように行動していきます。本来の自分を見せれていないという事は、ストレスが溜まります。
また、同調するばかりで嘘の意見を言ったりすることに対して、罪悪感を覚えることもあります。誰からも好かれるという人は存在せず、人には相性があるので時には嫌われることもあります。
特に、愛想笑いをしないと築けないような友人関係は、本当の友人とは言えません。愛想笑いをしなくても本来の姿を受け入れてくれる人は必ずいます。愛想笑いをするのに疲れている人、罪悪感を感じている人は、一度やめてみて気の合う友達を探してみましょう。
本音を悟られたくない
愛想笑いをしている時に目が笑っていない人は、本音を悟られたくないと思っている人です。このような人は、本心は全く同感しておらず、むしろ他人を見下していたり、毒のある言葉が頭の中でたくさん浮かんでいます。目が笑っていない状態で愛想笑いをしていると、周りから見透かされてしまいます。
他にも人は困った時に愛想笑いをしてしまいます。困っている時に笑うとすぐに笑顔が消えてしまったり、口元だけが笑っているといったぎこちない笑顔になります。このような人は「あの人、ちょっと何考えているかわからない」や「笑顔が引きつってて、怖い」と周りから思われてしまい、孤立してしまう可能性もあります。
注目されたい
いつもニコニコしていて愛想がいい人は注目されたいという願望が強い人が多いです。自分の話をしている時は嬉しそうに話し、他の人の話題の時は笑っているだけです。
愛想笑いに慣れていないような人は、ふとした瞬間につまらなそうな顔や疲れている顔をしてしまう時があり、周りからは愛想笑いしているんだとすぐに見破られてます。
素敵な相手を見つけたい
始めて会った人に笑顔を見せることで、相手に好印象を与えたり話かけやすい雰囲気を作ることは間違いありません。その為、お見合いパーティや合コンなど、気になる男性や女性が多い場所で愛想笑いをする人が多くいます。
この方達の心理状況は、自分を好印象に見せることで、素敵な相手を見つけたいと思っています。実際に、第一印象をよくすると異性から声をかけられる率も高くなります。しかし、本来の自分とかけ離れた印象を作ってしまうと、付き合い始めた時に自分の本性を見せることができずに悩みの種になることも。
また、好かれたいという事ばかり意識してしまうと、 パートナの意見を優先してしまい「あなたに任せるわ」「何でもいいよ」と相手に決定権を委ねてしまいがちです。夫婦になってもこのような対応を続けていると、相手の責任がどんどんと重くなり、一緒にいることに疲れてしまったり、面白みを見出せずに最悪の場合、離婚危機に陥ることもあります。親しい間柄の場合、笑顔は見せても、心の中までごまかしてしまうと、後で辛い思いをすることになるかもしれません。
愛想笑いの見分け方
愛想笑いはどうしても不自然な笑いを作ってしまいます。その為、自分では完璧な笑顔を見せていると思っていても、周りからは見破られてしまうものです。
ここでは、愛想笑いと自然の笑顔では、どんな部分が異なるのかポイントをご紹介します。
口元が笑っていない
心理学のデータによると、自然な笑顔がでる場合は口元に9割、口元に1割程度の笑いが現れると言われています。その為、口角が上がっていないとすぐに「愛想笑い」だと思われてしまいます。
声のトーンが低い
本当に笑っている場合は、声のトーンが普段よりも高くなります。その為、口元だけが笑っていても、声のトーンに変化がない場合は、作った笑いという印象を与えてしまいます。
また、心理科学者のソフィー・スコットは愛想笑いをしている場合は、「ハハハハハ」といった鼻音性の音が出ると指摘し、これは自然の笑いで出ることはないと言われてます。
目元が笑っていない
笑うと目元には細かいシワが浮かび上がります。その為、口元だけが笑って、目元は笑っていないと目元にシワができずに、どこかぎこちない印象を与えたり、怖いと思われてしまいます。
また、眉毛の形も異なります。自然な笑いの場合は、両方の眉毛が均等に軽く下がるのにも対して、愛想笑いの場合は左右の眉毛の下がり方が均等にはなりません。笑顔が引きつっていると表現されることもあるように、よく観察してみるとこのような違いにも気づきます。
表情の出し方に違和感がある
自然な笑顔というのは、口元が先に笑い後から目元が追いかけるようにして笑いを作るといわれています。しかし、笑おうと思って筋肉を動かしている場合は、口元や目元が同時に動いてしまったり、口元は動くのに目元が動かないということが起こります。
笑顔を作るという事を意識して動かすと筋肉が同時に動きます。その為、映画やドラマで俳優や女優が笑っている場面を見ると、口と目の動きをわずかにずらすというのは難しく、同時に動いてしまっているのが分かります。
また、自然な笑顔は笑顔でいる時間が長く自然と笑顔が消えていく一方で、愛想笑いの場合は、笑顔でいる時間が短く、いきなり笑顔が消えるといった不自然さが出てきます。
愛想笑いを見抜かれないようにする対処法
愛想笑いはストレスを軽減したり、無表情でいるよりも相手に好印象を与えることができるなどいい面もあります。しかし、笑顔を見せる相手に「愛想笑いしている」と見抜かれてしまうと、相手に悪い印象を与えてしまう可能性もあります。
ここでは、愛想笑いと見抜かれないように気をつけるポイントをご紹介します。
目の周りの筋肉を鍛える
日本人は特に、目の表情を作るのが苦手だと言われています。本物の笑顔は「目元」と「口元」に変化が現れるのが特徴です。その為、苦手な目元の表情を作れるようにするのが重要になってきます。
目元の表情を上手に作るには、目の周りの筋肉を鍛えることで解消できます。顔の位置を固定したまま、眼球だけを上下左右に動かす眼球運動を毎日取り入れましょう。この運動は疲れ目にも効果的なので、PC業務などで疲れている人にもオススメです。
笑顔の練習をする
上記でご紹介した目を笑うように練習するだけでも、愛想笑いだと周りから思われなくなります。しかし、毎回同じ笑顔を見せるとバリエーションが少なく、いつも顔を合わせている人であれば作り笑顔なのかなと思われてしまうこともあります。
その為、「唇を閉じたまま目元だけ笑う笑顔」「歯を少しだけ見せて笑う笑顔」「奥歯が見えるくらいまで口をあけて笑う笑顔」など口をあける大きさを変えた笑顔の練習をしてみましょう。この3つが上手に使いこなせるようになれば、愛想笑いだと周りから思われることはありません。
笑顔から急に真顔に戻らないようする
笑顔を上手に見せたとしても、数秒後にいきなり真顔に戻ると、真顔との落差が生まれ相手に愛想笑いだと思われるだけでなく、怖い印象を与えたり、性格に裏表があるような印象を与えてしまいます。
例えば、イベント会場などの忙しい場所でコーヒーを頼んだ時の店員さんの様子を思い浮かべてください。お客さんがオーダーしている時は笑顔でいるのに、コーヒーを作ったり作業している時にいきなり真顔になり、お客さんに手渡す時には再び笑顔を作ります。
このような落差は営業スマイルだと誰もが思います。実際に接客業であれば問題ありませんが、これが職場の人、友人、パートナーになるとあからさまになってしまい、逆に相手に不快な印象を与えてしまう可能性もあります。
愛想笑いを止め、自分の意見をハッキリ言えるようにする
自分の意見を隠そうとすると、どうしても表情がぎこちなくなってしまいます。また、笑顔を見せることはストレスを軽減する効果がありますが、自分の思っていることを言えないと人間関係を上手く構築することができずに逆にストレスになる可能性があります。
愛想笑いを見抜かれない対処方法の1つに愛想笑いをやめて自分の意見をハッキリ言うようにすることも重要なポイントです。愛想笑いをしている人の中には「愛想笑いをする自分が嫌」と思っている人もいます。
そういう人は、特に愛想笑いをやめて徐々に自分の意見を言えるようにしましょう。思っていることを言わないまま、適当にごまかしたり同調ばかりしていると、裏表のある人やつまらない人間と思われて孤立していまいます。自分の意見を言えるような友人を探したり、自分の意見や感情が押さえ込まれてしまうといった会社、職場の雰囲気が合わないようであれば、転職活動も視野にいれて行動しましょう。
仕事場で愛想笑いをしてしまうのが日課になっている人は一度気分を変えたり、自分を見直してみましょう。職場での愛想笑いは自分を下げることで生まれる行為です。このような行動を繰り返すことで、いつの間にか自分たちには価値がないと自信をなくしている場合があります。自分に自信を持って、自分には存在価値があると考えるようになれば、自ずからそのような行動はしなくなります。愛想笑いをしなくてもいいような職場、友人、パートナーを見つけることが重要です。
おわりに
愛想笑いをすることはメリット、デメリットあります。職場の上司や取引先、初めて会う人など一定の距離があるような相手に対しては、愛想笑いをすることで人間関係を上手に構築できる時もあります。
しかし、毎回自分の意見を押し殺して愛想笑いをすると、ストレスが溜まるだけでなく、楽しみを見出せなくなるので、自分の意見はハッキリと言えるようになりましょう。
また、友人やパートナーに関しては愛想笑いをする必要のない関係を築く事が重要です。
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