「1度も嘘をついたことがない」という人はいません。だれでも嘘をつきます。自分を護るための嘘・相手を傷つけないための嘘・人間関係をスムーズにするための嘘などは、善意から出た白い嘘です。
人を傷つけるための悪意ある嘘もあります。詐欺師は人を騙すために嘘をつきます。最近ではインターネットにも嘘が溢れ、インターネット詐欺も横行しています。私達は自分を護るために嘘を見抜く必要があります。
嘘を見抜く方法とインターネットの嘘への対処法、嘘をついてしまう心理についてお伝えしますね。
嘘を見抜く方法
嘘をつく人間は架空のストーリーを作り出すために、緊張してストレスがかかります。そのため、嘘をつく人は言葉やしぐさ・行動などに「嘘をついている」サインが現れます。
嘘をつく人の日常の動作や表情の癖がよくわかっていると、嘘のサインも見つけやすくなります。浮気をしている夫の嘘を妻が見抜くのは、夫の普段の行動パターンを妻がよく知っているからです。
[顔全体と目の動き・手の仕草から嘘を見抜く]
どんなにウソをつき慣れた人でも、ウソをつく時は緊張しストレスがかかります。ふとした時に表情やしぐさに嘘をついているサインが現れます。
①眉をひそめたり、まばたきの回数が増えたりする
ヒトは緊張するとドーパミンの分泌量が増えます。ドーパミンが多く分泌されると、まばたきの回数が増えたりします。特に緊張を要する話題でもないのにまばたきの回数が増えるのは、嘘をついている可能性があります。
また、うそをついてストレスがかかると瞬間的に眉をひそめます。
②目が右上に動く
人は経験したことのない事柄を視覚的に思い浮かべようとすると、目が右上に動く傾向があります。嘘の話をする時は未経験の架空の出来事を思い浮かべますから、目が右上に動きやすくなります。
過去の経験や出来事を思い浮かべる時は目が左上に動く傾向があります。
③笑顔が不自然
嘘をついている人は、緊張しているので「作り笑い」しかできません。口角が上がって笑っているように見せますが、目尻に皺が寄りません。目が笑っていないのです。不自然な笑顔になります。
嘘をつく人は理由もないのに笑顔をつくったり、長い間笑顔をつくり続けたりします。笑顔になったかと思うと、一瞬で消えることもあります。
④正面を向いて話をしない
嘘をついている人は「早くその場から逃げ出したい」という心理が無意識に働くので、相手の正面を向いて話そうとしません。
検事や刑事に取調べを受ける被疑者は横を向いたり下を向いたりすることが多いようです。夜遊びや浮気を疑われて奥さんに問い詰められると、嘘をついている旦那さんはテレビに目を向けたり忙しそうにあちこち見たりします。奥さんと視線を合わせようとしません。
詐欺師は相手の目を見て話す
嘘つきのプロである詐欺師は相手をだまそうとする時、意識して相手の目を見つめて話します。特に女性詐欺師は相手の目をじっと見つめる傾向があります。
⑤鼻・口・髪などを手で触る
嘘をついている時、人は無意識に鼻や口を触ります。頻繁に鼻を手でいじります。また、手で口を覆ったり口の辺りを触ったりすることが多くなります。髪の毛を撫でつけたり、首や耳の後ろを触ったりする回数が増えます。
[全身の動きから嘘を見抜く]
体の動きつまりボディランゲージにも嘘をついているサインが出ます。
①発汗量が増え、呼吸が荒くなる
嘘をつくと緊張するためアドレナリンの分泌が増え、発汗量や心臓の鼓動数が増えます。呼吸が荒くなります。嘘発見器は、この身体反応を利用して嘘を見抜きます。しかし、嘘をついていなくても緊張した状態にあれば、同じ反応が起きます。
②落ち着きがなくなる
「嘘がばれるのではないか?」という恐怖感から落ち着きがなくなります。足を組んだり組み替えたり、モゾモゾと身体を動かしたりします。無意識にその辺にある物に触ったり、男性はネクタイやシャツの袖口を直したりします。眼鏡のレンズを磨くこともあります。
緊張すると体に力が入り、身体の動きがぎごちなくなります。いつもより身振り手振りが小さくなります。リラックスしている時は、体の動きがゆったりして大きくなります。
③足の爪先や胴体が相手と別な方向に向く
前述の「その場から逃げたい」という心理が働くため、足の爪先や胴体を相手の方に向けず違う方向に向けます。
[言葉から嘘を見抜く]
何かを説明したり質問に答えたりする言葉に、嘘をついているサインが現れます。詐欺師は嘘の情報で相手をだまそうとするので、できるだけ誠実そうな態度で話します。言葉遣いにも気を配り、信頼を得ようとします。
①「覚えていない」「記憶にない」
何かを聞かれて「覚えていない」「記憶にない」と言うのは、嘘をついている可能性大です。特に大事な部分を忘れがちです。
②聞き返して時間を稼ぐ
質問が聞こえているのに聞き返す回数が増えます。聞き返す必要がないのに、聞き返します。嘘の話のつじつまを上手に合わせるために時間稼ぎをします。
③質問に質問で返す
妻に「昨夜はどこに行ったの?」と聞かれると、「君はどこに居たんだ?」と応える男性は嘘をついている可能性が高いです。欺まん者は、質問されると逆質問して話題をはぐらかそうとします。逆質問しながら、関係のない話に持って行こうとします。
④会話のテンポが乱れる
嘘をついていると、会話のテンポやリズムが乱れます。会話のタイミングも外れがちです。質問に対して間髪入れずに答えたかと思うと、想定外の質問には返事が遅れます。
あらかじめ用意した嘘はすぐに話せますが、想定外の質問にはウソの記憶を確認して矛盾点をなくすために時間を要します。
嘘をつく時はゆっくり丁寧に話す
嘘をついて人をだまそうとする時は、ウソの話を誤解されないようにゆっくりと丁寧に話します。ゆっくり話すことで、自分のうその矛盾点をチェックできます。
早口になったり大声を出したりする
嘘がばれそうになると、急に早口になったり大声を出したりします。攻撃的な口調で批判することもあります。
⑤沈黙を恐れて、自分からしゃべる
嘘をつく人は沈黙を恐れます。聞かれもしないのに自分からしゃべります。特に作り上げた嘘のストーリーを何度も繰り返して話し、相手を納得させようとします。
⑥あいまいな表現やおおげさな表現をする
嘘をつく人は断定的な表現を避けます。「~かもしれない」「たぶん~だろう」などとあいまいな言い方をします。あいまいで抽象的な表現が多くなります。
「天地神明に誓って嘘は言いません」などとおおげさな表現を使いたがります。
[嘘を見抜く質問の仕方]
検事が被疑者に対してする質問の方法ですが、日常生活の中の嘘(夫の浮気など)や詐欺商法の嘘を見抜く場合にも役に立ちます。
①「嘘をついていることはわかっている」という態度をとる
検事や刑事は被疑者に対して「証拠を掴んでいるのだ」という印象を与えて、緊張させます。緊張した被疑者はストレスに耐えられずボロを出します。
浮気したらしい夫や彼氏にも「嘘をついていることはわかっているのよ」という態度をとり、相手を緊張させます。正座をすると、嘘がつきにくくなります。
②YES・NOで応えられる質問はしない。 質問は5W1Hでする。
「はい」か「いいえ」で応えられる質問は嘘をつきやすくなります。5W1Hつまり「いつ・どこで・だれが・何を・なぜ・どのように したのか?」という質問をします。相手は嘘のつじつま合わせをしたり、新しい嘘のストーリーを作ったりします。仕草や表情や話し方に嘘のサインが現れやすくなります。話の矛盾点を見つけやすくなります。
本当のことを言っている場合は、話に矛盾点がありません。必要以上に細かい話をしません。
③あくまでも冷静に質問する
嘘をついている人は、質問者を挑発します。質問者を感情に走らせて、自分のペースに乗せようとします。相手の挑発を無視して、冷静を保つことがウソを見抜くポイントです。
情報弱者はだまされやすい
「情報弱者」はIT用語です。「様々な理由で、パソコンやインターネットをはじめとする情報・通信技術の利用に困難を抱える人」のことです。具体的には高齢者・視聴覚障害者・低所得者などです。こうした人たちと情報・通信技術を活用できる人たちとの間に社会的・経済的格差が広がっています。
それだけではなく、インターネットに溢れている嘘にだまされて被害を受けた情報弱者が増えています。
[インターネットには嘘の情報が溢れている]
インターネットの多くのサイトは真面目に正確な情報を伝えようと努力しています。あいまいな情報しか伝えられない時は、そのことをきちんと記載しています。
しかし、インターネットはTVのように一方通行の情報ではありません。個人からも情報を発信できます。そのため、嘘の情報が流れやすくなります。
退屈な真実よりも面白い嘘の方が拡散する
人間は退屈な真実よりも面白い嘘を好みます。これは昔から変わらない傾向です。真偽に関わらず興味深い話題は人々の間に広まりやすいのです。「○○信金が危ないらしいよ」という女子高生の会話が始まりで、最後は取り付け騒ぎが起こったこともあります。
昔に比べてインターネットではあっと言う間に情報が拡散します。情報は日本から世界に伝わります。真実か嘘かなど、どうでもいいのです。興味深い面白い話題にとびつきます。たいていの場合、事実は退屈です。面白い嘘(ガセネタ)が拡散します。
多くの人がネット情報を100%真実と思い込む
なぜか多くの人々がインターネットの情報を100%真実と思いこんでしまいます。ショッピングサイトのユーザー投稿記事やユーザー評価、ブログの体験記事や口コミ情報サイトなどは、消費者に気づかれないうちに商品を宣伝していることがあります。ステルスマーケティングですね。
投稿記事やブロガーの体験を真実と思い込む人は少なくありません。回答数の多さ・商品やレストランなどの星の数も当てになりません。投稿の内容や投稿日に注意して、情報を頭から信じないことが大事です。
[インターネット詐欺にだまされる]
インターネットを利用して詐欺を働く人たちが増えています。二束三文の価値しかない商品を高額で購入させたり、何一つ実体のない投資に誘い込んだりします。ネットで詐欺を働く人達はゲーム感覚です。欺まん者は「詐欺を犯した」という罪悪感が薄いのです。
だまされるのはTV世代の情報弱者
ネット詐欺にひっかかるのは、40~50代のTV世代が多いといいます。この年代の人達はTVから得られる情報を鵜呑みにして100%正しいと思い込む傾向があります。
40~50代の人たちは会社などでパソコンやスマホを使う必要がありますから、そこそこインターネットから情報を得ることができます。TVと同じようにネット情報を正しいと思い込むので、ネット詐欺にだまされやすいのです。
60~70代の人たちも中途半端にパソコンやスマホをいじり、ネットから情報を得ます。ネット詐欺にだまされる可能性があります。
パソコンやスマホをそこそこ使えても活用しきれない人たちは、情報弱者と言えます。ネットの欺まん者にとっては絶好のお客様です。1度取り込んだら骨までしゃぶります。
インターネットでは嘘が見抜けない
相手と対面して会話すれば、前述した仕草や話し方など身に現れる嘘のサインを見つけることができます。問い詰めて話の矛盾点を突くこともできます。しかし、インターネットでは相手を見ることができないので、嘘を見抜くことが難しいのです。
「メールでは嘘をつきにくい」と言いますが、男性が女性を装ってメールをやり取りすることもできます。
振り込め詐欺にだまされる高齢者は後を絶ちません。でも電話だと、声や話し方に違和感があると気づくこともあります。インターネットでは、全く相手が見えません。詐欺にひっかかっても、最初は気がつかないことさえあります。
詐欺にだまされやすい人の特徴
インターネット詐欺や振り込め詐欺など、詐欺にだまされやすい人には特徴があります。
- 自分は絶対に詐欺などにだまされないと自信を持っている。
- 何でも人に相談しないで独りで決める。
- 自分が信じたいことだけを信じる。あり得ないことに気づかない。
- 不安感・孤独感がある。充実した日々を送っていない。
- 「得をする」「損を取り返す」という言葉に弱い。
- 簡単にお金を儲けたい。
- 自分がだまされたことを認めようとしない。
インターネット詐欺にだまされない方法
インターネット詐欺の対処法は1つです。インターネットの情報を100%真実と思いこまないことです。
インターネットの他のサイトや新聞記事、TV報道などから情報を集めて比較検討します。インターネットの情報は「参考」と考え、信頼性の高い情報を選ぶようにします。
そして、「うまい話は罠がある」という昔からの戒めを忘れないことです。
嘘をつく人の心理
世の中に嘘をつかない人はいません。また、研究者たちは「ウソを100%見抜くことはできない」と言います。むしろ「なぜうそをつくのか?」という心理を理解することにより、ウソを見抜くようにします。
[ウソをつく理由]
詐欺師(欺まん者)は人をだましてお金を奪い取るために、ウソをつきます。極めて悪意のあるウソで、うそをつく理由もはっきりしています。しかし、普通の人たちもいろいろな理由で嘘をつきます。善意で嘘をつくこともあります。
①自分が傷つかないように自分を護るため
人は失敗して責任を問われたり責められたりして傷つくことを恐れます。自分が傷つかないように護るために、ウソをつきます。寝坊して会社に遅刻すると、「急に電車の中で気分が悪くなって休んでいた」などとウソをつくことがよくありますよね。
自分の正当性を主張するために、その場しのぎの嘘をつきます。自己防衛のためのうそです。
子どもは、親に叱られるのが怖くて嘘をつきます。子どもが失敗した時にあまり厳しく叱ると、ウソをついて逃げるのが習慣になる可能性があります。
②自分を実際より大きく見せて相手の優位に立つため
見栄を張るための嘘です。知合いでもないのに「有名人と親しい」、全然モテないのに「異性にモテて困る」などと言ったりして自分を大きく見せます。よく知りもしない事を知ったかぶりして偉そうに見せます。常に相手より優位に立とうとします。自尊心が強く、「グループのボスになりたい」「人を支配したい」という欲望があります。
学歴詐称・経歴詐称・収入詐称をする可能性があります。
③願望が結果としてウソになってしまう
始まりは「こうなればいいなあ」という願望を口にしているだけなので、ウソとはいえません。しかし、結果的にウソになってしまうことがよくあります。「今年の夏は賞与で沖縄へ行こう」と言うのはウソではありません。ところが、賞与が予想よりもずっと少なくて旅行に行く余裕がなくなれば、結果として嘘をついたことになります。
善意の嘘ですから、責めることはできません。
④話を合わせて相手に良く思われるため
会社の仲間と会話している時に、みんなと話を合わせるためにウソをつくことがあります。話を合わせて相手に好感を持ってもらうのです。みんなでスイーツの話をしている時に「わたし、甘い物は嫌いなの」というと、その場がしらけてしまいます。ウソでも興味のあるふりをするのが、人間関係を良くします。
おせじを言うのも善意のウソです。本当は「ブサイクな犬!」と思っても「ユニークで可愛い犬だね」と言う方が、人間関係に波風を立てないで済みます。まさに「嘘も方便」です。
依存心が強いと、ウソをついて相手の気をひく
依存心の強い人は相手から嫌われたり見捨てられたりすることを恐れています。相手に良く思われようと、気を遣います。相手に良く思われようとして、ウソをつくことがあります。
⑤その場を盛り上げて相手を楽しませるため
話を本当よりも大きくふくらませて話すと、聞いている人たちが面白がってくれます。事実に尾ひれをつけて飾り立てたり、ウソを混ぜたりして話を脚色します。他人の経験を自分の体験のように話すこともあります。ウソがばれても、気にしません。その場の雰囲気が楽しくなればいいのです。
相手の気を引くためにウソをつくこともあります。悪意はありません。
⑥相手を護るため
相手の気持ちを傷つけないために、本当のことを言わずウソを言うことがあります。
末期ガンの患者さんに真実を告知せず、「手術すればガンは治る」などと言うのは善意のウソです。患者さんが最後まで希望を失わず生きることができれば、ウソも役に立ちます。
子どもが幼い頃に両親が離婚すると、「お父さんは遠い所でお仕事している」などとウソをつくことがよくあります。子どもに「親から捨てられた」という感じを持たせないためです。この場合、真実を告げるタイミングが難しくなります。
⑦悪意から相手を傷つけるため
相手を傷つけるためにウソをつきます。ウソの悪い噂を言い触らしたりします。相手が傷つき立場が悪くなると、喜びます。悪意に満ち、詐欺同様に許せないウソです。
[病的な嘘]
どうしてもウソをつかずにはいられない心の病気を抱えた人がいます。
パーソナリティ障害の人は、罪悪感を感じることなく平気でウソをつきます。虚言癖のある人は、自分の言っていることが本当か嘘か区別がつきません。
アルコール依存・ギャンブル依存・買い物依存など依存症の人も平気でウソをつきます。
虚偽性障害では、ウソをついて病気のふりをします。
まとめ 嘘を見抜くためには嘘のサインを見逃さない
人間はだれでも嘘をつきます。ウソをつかない人は1人もいません。相手を護るため・自己防衛のため・人間関係を良くするために、善意のウソをつきます。相手を傷つけたりだましたりする悪意のウソもあります。
人間はいろいろな理由でうそをつきますが、ウソをつく時は緊張してストレスがかかります。そのため、顔の表情や仕草、ボディランゲージにウソをついているサインが現れます。ウソをついている時は、無意識に鼻や髪を頻繁に触ったり、目が笑っていない不自然な笑顔になったりします。話す言葉や口調にも嘘のサインが現れます。話のテンポが乱れたり、あいまいな表現が多くなったりします。話に矛盾があります。
こうしたサインを見逃さず質問方法を工夫すれば、ある程度はウソを見抜くことができます。しかし、詐欺師など犯罪者は相手の目を見つめてゆっくり丁寧に話し、いかにも誠実そうに見せかけるので要注意です。
実際に向かい合って話せばウソを見抜くこともできますが、インターネットでは全く相手が見えないので、ウソを見抜くことが困難です。そのため、情報弱者はインターネットのウソにだまされやすく、ネット詐欺の被害が増えています。
インターネットやTVの情報を100%正しいと思い込まず、自分自身で判断することが大事です。
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