虚言癖の特徴を知ろう!その原因や種類を知って付き合い方を考えよう!

日常生活に嘘(うそ)はつきものです。ミスや遅刻をした時などの言い訳に使うこともあります。子供は宿題を忘れたり、テストの点が悪かったりすると、知恵をしぼって嘘をつきます。自分の身を護るために、ついつい嘘をついてしまうのです、。

嘘がすべて悪いとは限りません。人間関係を円滑にするために、嘘をつくこともあります。手料理をごちそうになる時、正直に「まずい!」などとは言えませんよね。「嘘も方便」と言うくらいで、嘘が社会の潤滑油になるのです。

でも、「虚言癖」は困ります。「虚言癖」があると、嘘をつかずにはいられないのです。人を傷つけようと、周囲に迷惑をかけようと、おかまいなしに嘘をついてしまいます。自分の嘘で自分の身を危険にさらすこともあります。

虚言癖のある人とは、どんな人なのか?どうして嘘をつくのか?虚言癖のある人には、どのように対応したらいいのか?・・・気になることを、お伝えしますね。

虚言癖とは・・・

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「虚言癖」は病名ではありません。「どうしても嘘をつかずにはいられない」という性格を表す言葉です。

病的な虚言癖は、「虚偽性障害」「パーソナリティ障害」と言います。また、統合失調症(精神分裂病)・双極性障害(躁うつ病)・認知症などでも虚言癖が発現します。

[虚言癖のある人の特徴]

虚言癖の特徴は、「嘘をつかずにはいられない」「嘘と現実の区別がつかない」ことです。虚言癖は、どちらかというと、女性に多いようです。

1嘘をついているという自覚がない

虚言癖のある人は、「嘘をついている」という自覚がありません。話し始めた時には、多少「嘘をついている」という意識があったとしても、話を進めるうちに、自分でも「本当のことを話している」と思い込んでしまいます。

「嘘でしょ」「嘘をついている」と指摘されると、感情的になり、キレることがあります。感情的には不安定な人が多いようです。

だれでも、嘘をつきます。ミスを隠したり、言い訳したり、必要に迫られて嘘をつくのですが、心の底に「嘘をつくのは悪い」という思いがあります。ですから、目がきょときょと落ち着きなく動いたり、まばたきが多くなったり、手で鼻や口を触ったりなどという、「嘘をついている」ことが行動に現れます。

2話に矛盾があっても平気

虚言癖のある人は、その場の思いつきで嘘をつきます。行き当たりばったりで、嘘と現実をごちゃ混ぜにして話します。ですから、話に矛盾が出てきますが、当人は全く気にしません。

「この前の話と違う」「それでは、話のつじつまが合わない」と言われても、虚言癖の人は「そんなことを言った覚えはない」「そんなこと言っていない」と言い張ります。あまりにも平然と言い張るので、聞いている人達は「そうだったかな・・・」と考えるようになります。

3一見魅力的な八方美人

虚言癖のある人は、周囲の注目を浴びるのが大好きです。ですから、外見を整えて、魅力的に見えるようにします。周囲の人にかまってほしいので、だれにでも愛想よくふるまいます。だれにでも受けるように、嘘をつきます。

聞いている人達が面白がるように事実を大げさに話したり、作り話しをしたりします。他人の体験を自分のことのように話します。話上手で、聞き手を退屈させません。

4他人を傷つける嘘をついても平気

虚言癖のある人は、自分が傷つくのを嫌います。自己愛が強く、自分を正当かするためには、どんな嘘でもつきます。わざと他人を傷つけるつもりはないのですが、自分の失敗や間違いを隠すために、他人に罪を着せようと嘘をつきます。自分の嘘で、他人が傷ついたり、迷惑したりしても、全く気にしません。

5罪の意識がないから反省もしないし、虚言癖を治そうとしない

虚言癖の人は、嘘をついている自覚がありません。嘘と現実が入り混じってしまい、自分は「本当のことを話している」と信じ込んでいます。ですから、「嘘をついて悪いことをした」とは、全く考えません。

他人から「嘘ばかり言うのは良くない」と注意されても、反省するどころか、「わたしは、嘘なんか言わない」と、怒ります。ですから、大人の虚言癖は治りにくいのです。

[虚言癖の原因]

虚言癖は、その人の性格に由来します。虚言癖は、自己愛と顕示欲から生まれます。子供の頃から発現することもあります。

劣等感が強いのに、プライドが高すぎる

虚言癖は、劣等感の強い人に多いようです。劣等感が強いくせに、プライドが高く、自分の弱みを他人に見せようとしません。虚栄心が強く、自分を人より優れているように見せます。

劣等感が強いので、本当の自分に自信が持てません。ありのままの自分を受け入れることができないのです。それなのに、劣等感や弱点を克服しようと努力することは、嫌います。

プライドが高いので、自分が他人より劣っていることに我慢できません。他人から、ミスを指摘されたり、叱られたりすることに耐えられません。他人が自分より幸福だったり、良い生活を送っていたり、ブランド品を持っていたりするのが、我慢できないのです。

そのため、理想的な自分を想像の中で創り上げてしまいます。想像の中の自分を本当の自分と思い込んでしまうので、嘘と現実の区別がつきません。

自己防衛力が強く、自分を正当化したがる

虚言癖のある人は、自分が傷つくことを徹底的に避けます。とても自己防衛力が強いのです。常に自分が正しくなければ、我慢できません。「自分が悪かったのだ」「失敗したのは、自分の力不足だ」と認めることができないのです。

そこで、自分を正当化するために、「あの人が、あんなことをしなければ・・・」「こんな事故が起きなければ・・・」などと、いろいろな場面を想像して、それを現実と思い込みます。自分を正当化するために、他人を悪者にしてしまうのですが、それが「自分のつくりごと」とは思わないのです。

周囲の注目を浴びるのが、最高の幸せ

虚言癖の人は、「周囲の人達から注目されて、かまってもらいたい」という強い願望を持っています。周囲の人達に愛想をふりまくのはもちろん、注目を浴びるために、会話を面白く盛り上げようとして、嘘を混ぜたり、大げさに言ったりします。他人の体験を自分に起きたことのように話したりします。

自分に注目を集めるために、空想と現実が入り混じってしまうのです。

女性は男性の注目を浴びるために、必要以上に媚びて見せたり、「金持ちのお嬢様」「芸能人やモデル」のようにふるまったりします。

注目を浴びるために、「不幸な私」「かわいそうな私」をつくり上げることもあります。虚弱体質である・慢性病に苦しんでいる・両親が早く死んだので独りぼっち・・・など、想像が広がります。本人にとっては、嘘ではありません。現実と思い込んでいるのです。

子供は空想の世界に逃避する

虚言癖は子供にも多く見られます。

親の愛情が足りないと感じると、親の注意をひくために、嘘をつきます。親が驚いて関心を見せると、子供はさらに想像力を広げて、親の喜びそうな話を創り上げます。

親の期待が強すぎる場合、プレッシャーに耐えられない子供は、空想世界に逃避します。そこで、親の期待に応える自分になりきり、それを親に話して満足させようとします。

親の虐待・子供同士のイジメ・教師の無理解など、子供は自分の力で対応しきれない時に、空想の世界に逃げ込み、そこでヒーローになったり、力強い味方を得たりします。

空想の世界に逃げ込む子供は、嘘と現実の区別がつかなくなります。空想世界が現実と信じ込むようになります。虚言癖のある子供の嘘は、子供のSOSが多いようです。嘘をついたことを叱ったり、問い詰めたりしないで、子供の話をよく聞いてください。子供が逃避しなければならなかった原因を理解すれば、子供の虚言癖は改善できます。

病的な虚言癖

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虚言癖が強くなると、精神疾患になります。虚偽性障害とパーソナリティ障害です。

統合失調症(精神分裂病)や双極性障害(躁うつ病)、認知症でも虚言癖が見られます。また、脳腫瘍など脳疾患の場合も、虚言癖が発現することがあります。

[虚偽性障害]

「詐病」とも言います。重篤な身体症状を訴える場合は、「ミュンヒハウゼン症候群」と言います。

「周囲の人々の注意をひきたい」「同情されたい」「みんなにかまってほしい」という願望が強すぎるために、病気をよそおいます。精神的な外傷による症状を訴えることもありますが、身体的症状を訴えることが多いようです。

医学的知識が豊富で、医学用語を駆使して身体的な症状を訴えます。医者や看護師の興味をひくように劇的な話をします。時には、体温計をこすって発熱しているように見せたり、尿に砂糖や卵白を混ぜて糖尿病や腎臓病をよそおったりします。自分で同じ場所を傷つけて、傷がなかなか治らないようにすることもあります。薬を飲んで、精神疾患の症状を出すこともあります。

しかし、問診や検査で、「詐病(嘘の病気)」とわかると、すぐに病院を逃げ出して、他の病院へ移ります。「ドクターショッピング」をくり返し、次から次へと新しい身体症状をつくり上げて訴え続けます。

ミュンヒハウゼン症候群

「ミュンヒハウゼン症候群」では、慢性的で重篤な身体症状を訴え続け、入退院を繰り返します。症状の訴え方が上手で、しつこいと、手術を受けることもあります。最悪の場合、腎臓摘出なども起こります。身体に手術痕や自傷痕が残ります。

ドイツの「ほら吹き男爵」ミュンヒハウゼン男爵に由来する病名です。

女性ばかりでなく、男性にも多い精神疾患です。

代理ミュンヒハウゼン症候群

虚偽性障害が、子供や配偶者に害を与えることがあります。自分が身体症状をつくり出す場合は、本人が害を受けるのですから、自業自得です。しかし、周囲の人々の関心をかうために、自分の子供や配偶者(夫である場合が多い)を、薬を使用したり、傷つけたりして病人に仕立て上げることがあります。これを「代理ミュンヒハウゼン症候群」と言います。

被害者が幼児だと、取り返しのつかないことになり、命を落とすことになります。平成20年度の虐待死した児童の4.5%が代理ミュンヒハウゼン症候群の犠牲者です。犠牲者となる子供を「サイレント・パートナー」と呼びます。

本人には悪意がありません。病気にさせた子供や配偶者の看病に誠心誠意努めます。それで、周囲の人々から褒められたり、同情されたりするのが嬉しいだけなのです。

[パーソナリティ障害]

昔は「人格障害」と言いました。パーソナリティ障害には、いくつかパターンがありますが、虚言癖が強く見られるのは、「妄想性パーソナリティ障害」「自己愛性パーソナリティ障害」「演技性パーソナリティ障害」です。

妄想性パーソナリティ障害

猜疑心が強くなり、周囲の人々に不信感を抱きます。そのために、「悪口を言いふらしている」とか「仕事の妨害をする」「嫌がらせをする」などと嘘をつきます。本人は、事実と思い込んでいるので、いくら弁解しても、聞く耳を持ちません。

自己愛性パーソナリティ障害

自分の評価や正当性に強くこだわります。評価を高め、自分を正当化するために、嘘をつきます。嘘と現実の区別がつかず、傲慢で尊大な態度をとります。

詳しくは、自己愛性人格障害の特徴とは?向き合うために必要なことを知ろう!を参考にしてください。

演技性パーソナリティ障害

患者の90%が女性です。人々の注目を集め、評価を高め、魅力的だと思わせるために、嘘だけでなく、派手な服装や目立つ仕草など、あらゆる手段をとります。男性に媚びを売り、性的なふるまいをするなど、目に余る行動に出るようになります。

詳しくは、演技性パーソナリティ障害とは?症状や治療方法を紹介!を参考にしてください。

[ストーカー]

何でもない言葉や動作に特別な意味を持たせ、相手が「自分を愛している」と思い込みます。自分に自信がなく、常に愛情に飢えているために、空想の世界に逃げ込み、嘘の自分をつりく上げます。これも虚言癖の1種です。空想の世界で、「自分を愛している」と思い込んだ相手と虚偽の恋愛関係を築きます。

空想の恋愛を現実と思い込み、相手をつけ廻し、拒否されると、「裏切られた」と腹を立てます。そのため、傷害や殺人に発展することがあります。

男でも女でもストーカーになります。

虚言癖の人との付き合い方

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虚言癖のある人は、口が達者です。嘘がばれても、「本当だ」と言い張ったり、上手にごまかしたり、言いくるめたりします。ですから、虚言癖のある人の傍にいると、悪者にされてしまうことが、よくあります。虚言癖のある人と付き合うには、注意が必要です

虚言癖のある人とは、一定の距離を置く

信頼して付き合っていた友達や先輩、上司に、虚言癖があると、いつの間にか、自分が不利な立場に立たされることがあります。虚言癖のある人は、自分を護ることが上手ですから、他人に責任転嫁することが、よくあります。

私が信頼していた上司は、すぐに「○○さんが言っていたが・・・」と、自分の意見や希望を他人のせいにします。そのため、「○○さんが余計なことを言うから、面倒なことが増える」と、みんなから悪く思われます。私も、同僚や先輩から、「あなたが余計なことを言うから、困るのよ」とか「あなたが△△さんの悪口を言いふらしたのね」などと言われて、びっくりしたことがあります。全く覚えのないことだったのですが、なかなか信じてもらえませんでした。同じような被害を受けた人が続出して、上司の虚言癖がわかりました。

虚言癖のある人とは一定の距離をおき、個人的な情報(職場や恋愛の悩みなど)をもらしたり、自分の意見を率直に述べたりしないようにします。できれば、完全に縁を切るのがベストですが、いろいろな事情で難しいこともあるでしょう。虚言癖のある人と話す時は、用心することをオススメします。

虚言癖のある人とは、常に複数で対応する

虚言癖のある人は、無意識に嘘をつきます。「この前、こう言ったでしょ」と追い詰めても、「そんなこと言わない」と言い張ります。虚言癖のある人と大事な話をする時は、独りでなく、2人か3人に同席してもらいます。証人を用意しておくのです。虚言癖の人がシラを切り通しても、証人がいれば、不利な立場に立つことは避けられます。

虚言癖は治らないと覚悟する

虚言癖は投薬やカウンセリングで簡単に治せるものではありません。当人に嘘をついているという自覚がなく、嘘と現実の区別がつかないのですから、「治そう」という気も起こりません。

「虚言癖は治らない」と覚悟して、付き合う必要があります。

まとめ

虚言癖のある人は、自己愛が強く、自分が傷つくことが大嫌いです。また、常に注目の的になっていないと満足できません。そのために、想像の世界で理想とする自分をつくり上げるのです。空想と現実がごちゃ混ぜになり、区別がつきません。だから、嘘をついている自覚がありません。

虚言癖のある人は、自分を正当化したり、周囲の注目を集めたりするためには、どんなことでもします。嘘をつかないではいられないのです。嘘をつく罪の意識は全くなく、人を傷つけたり、不利な立場に追い込んだりしても平気です。

虚言癖が高じると、虚偽性障害やパーソナリティ障害という精神疾患になります。虚偽性障害では、自分だけではなく、子供や配偶者を危険な目に遭わせることもあります。パーソナリティ障害にかかると、社会生活に支障が生じます。

虚言癖はなかなか治りません。本人が虚言癖であることを自覚して、辛抱強くカウンセリングなどを受けても、治るまでにはかなり長時間かかります。

虚言癖のある人とは、虚言癖の特徴や原因をよく理解して、一定の距離を置いて付き合うことをオススメします。

  
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