「上から目線」というとどのようなイメージをもちますか?なぜ「上から目線」の人がいるのでしょう。
実際に「上から目線」で対応されたり言われたりして、嫌な思いをしてしまったことがある方もいるのではないでしょうか。
また逆に人から「上から目線で発言しないで」と言われてしまったことはありますか?自分はそんなつもりではないのにと心外だったり、ちょっと身に覚えがあったりしたという方もいるかもしれませんね。
今は有名人の発言も、「上から目線」ととらえられて記事になることもあります。いずれにしても「上から目線」は相手を不愉快にさせがちです。人間関係にもひびを入れてしまう危険性があります。
「上から目線」とはどういうものなのか、「上から目線」の人の深層心理、特徴などを説明します。またそういった「上から目線」の人にはどのように対応していけばいいのか、自分が「上から目線」の人にならないためにはどうしたらいいのか、などもご紹介しますので参考にしてくださいね。
上から目線とは?
そもそも上から目線とはどういうものなのでしょうか。一緒にみてみましょう。
上から目線の意味
「上から目線」とは言葉の意味としては「上の立場の者が、下の立場の者に対してとる態度や言動」です。しかし今はその意味と、「もともと対等、または自分より立場が下なのに、相手に格が上であるかのような態度や言動をとること」についても、「上から目線」といわれることが多くなっています。
自分より立場が上の人でも対等な人でも、自分に対してあからさまに命令口調で発言し、傲慢で高圧的な態度をとられることはあまりいい気持ちはしません。言われた方は、傷ついたり不快になったりすることがほとんどです。
特に逃げ場のない会社や夫婦間、学生なら部活動などでは言われた方が大変嫌な思いをすることも多くなります。
顔の見えないネット社会でも
現代社会は、特に顔の見えない文字だけのネットでのコミュニケーションにおいて、「上から目線」の発言には敏感になりがちなところもあります。ネット社会においては、どうしても自分の意見を言うのに相手の背景や立場までを考えず発言してしまいがちで、エスカレートすることも多くなります。
顔を合わせて話すと普通なのに、ネットでは「上から目線」になってしまう人も中にはいます。
これはSNSでもメールやLINEのやりとりでも起こりうることです。
上から目線の実例
「上から目線」ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。ちょっと例を挙げてみましょう。同じような経験をしたこと、ありませんか?
仕事で同期に言われた
例えば仕事で、あなたが上手くいったとき同僚に「へえーやればできるんだ」「よくがんばったねえらーい」などといわれるとちょっと「カチン」ときませんか?どことなくバカにしている気持ちが伝わってきます。褒められているようで実は褒められていないですよね。
また、同期や同僚に説明を受けるとき「この資料の作り方は、こちらの手順でね、わかった?できる?」と最後にわかった?できる?と言われるとどことなくばかにされているような、失礼な感じがしませんか?これが何か質問はありませんか?だったらそれほど感じませんよね。
これは立場が同じはずの人に、下に見られていることに対して嫌な気持ちになるのです。
友人の上から目線
また、たまたま知らなかったことなどについて、たとえ友人でも「それって普通みんな知っているよ」とか「えー!こんなことも知らないの?」などといわれると不愉快になりますよね。やはり馬鹿にされた、という気持ちになってしまいます。
このことに対して友だちに怒ると「冗談なのに怒るなんて変だ」「知らないのがそもそも悪い」などと言われがちです。「上から目線」の人はほとんど謝ることはしないというのも特徴でしょう。謝っても「悪い悪い」などふざけた態度をとることが多いようです。
友達だから「上から目線」でもいいのだということは良くないのですが、意外とありがちです。
お店でお客さんに
またお店で、店員さんに対して「自分は客なのだから」と「上から目線」で発言する人がいます。お客さんとお店の関係は平等でもなく、同じでもありませんが、客なら「上から目線」で言っていいというわけではありません。
「早くしろ」「こんなことも知らないで店員をやっているのか」など、ひどい言葉を投げかけたりします。お店側は「相手がお客様だから」という理由でひたすら謝るしかない、という状況になってしまいます。
会社で上司に
「君はこれ本当にわからないの?」とか「俺が新人のころはもっと仕事ができてたぞ」などの発言はモラハラにもつながりかねません。
こういった「上から目線」で話す人は、会社に結構います。自分より下の部下だから、という気持ちで「上から目線」になってしまうのです。また上司に言われると、抗議するわけにもいかず言われた方は謝るしかない、ということが多くなります。
そういう言い方はやめてほしい、ともし伝えてもこちらは教えてあげているのに、アドバイスしているのに、と言われてしまいます。
恋人や夫婦間で
付き合っている恋人同士や夫婦であるにも関わらず、パートナーが何かと「上から目線」というカップルもいます。
何か失敗すれば「バカじゃないの?」「こんなこともできないのか」と感情的に罵ったり、相手が自分の思い通りに行動しないと「何もわからないくせに」などと執拗に責めたりします。夫婦だと特になかなか逃げ場がなく、つらい思いをすることもあります。
本来なら、楽しい会話やお出かけも、なにかのきっかけで「上から目線」の発言や態度を取られるということになります。「上から目線」になるのは男性だけではなくもちろん女性の場合もあるのです。
ネットで
現代社会は、1つのコミュニケーション文化としてSNSが大変発達しています。いろいろな情報のやり取りをしたり、楽しい出来事や風景を共有したりとうまく利用すれば大変有意義なものになります。
しかし顔が見えない分、発信者がそのつもりがなくても尊大になってしまったり誤解を生じてしまったりしがちです。文字だけなので意思疎通がうまく取れないこともあり、「上から目線」の発言をめぐって炎上したりそれが社会現象となってしまったりします。
最近は個人情報を特定される恐れもあり、発言にも注意をする必要があります。
「上から目線」で物を言う人の心理
「上から目線」で発言する人の心理はどのようなものでしょう。「上から目線」で話すことで、本人はどのような気持ちになっているのでそう。
あまり深く考えていない人
実はあまり深く考えず、思いついたことをすぐ言ってしまう心理という場合もあります。自分の言動が他人を傷つけたり嫌な思いにさせている、という自覚がまるっきりない心理状況です。
相手に抗議されてもなぜ怒っているのかがわからないこともあります。この人には言っても無駄、ということで周りからは人が離れていくことが多くなります。「無神経」と他人には言われがちです。
優越感を持っている?
人はもともと「自分は平均より上である、優れている」と思っていることが多いのです。意識はしていなくても自分のことに自信を持ち、漠然とそう思っていることがあります。これは心理学で「優越の錯覚」と言われています。
この「自分が平均より優れていて上にいる」という意識が強すぎる場合が問題です。自分より優れた人物が登場したとき、自分のその地位は脅かされてしまうのです。
またそういった自分より優れた人間が自分の目の前や近くに出現することに、実は恐怖を抱いているのです。
それは会社でも、趣味の世界でも、何かしらの集まりでもありうることです。新人の人がターゲットになりやすくなります。
実は自信がない
本当は自信がないという人が「上から目線」の発言をしがちです。実はこういう人は自分の能力にもともと自信がないのです。そして人に見下されるのをとても嫌がり、恐怖を抱いているのです。
そのため自分に自信がないことを人に悟られないようにします。そしてなにかと「上から目線」で他人にコメントしたり批判したりするのです。
さらに現実からはかけ離れているできる自分を示すことで、見下されまいとするのです。そういった現実からかけ離れた優れた自分のことを「誇大自己」といいます。
「自分は特別な存在である」「自分はものすごくできる人間だ」という誇大自己を持つ人が他人への接し方には尊大になり、「上から目線」で物を言うのです。
こういう心理になる人は自己愛が強いと言われています。
「上から目線」の人への対処法
「上から目線」の人へはどのように対処したらいいのでしょうか。自分でできそうな、そして相手に合った解決案を考えてみましょう。
なぜ不愉快に思うのか
なぜ「上から目線」の言動に対して不愉快になってしまうのでしょうか。「上から目線」について考察してみましょう。
これは相手が「上から目線」で価値観を押し付けてくるからなのです。相手を下に見ているからこそ、自分の価値観を押し付けてくるのですね。自分の価値観が他人を評価する基準になっているのです。
相手が先輩や上司なら本来は目上の人なので、それほど気にならないはずですがとてもいやな思いをすることがありますよね。
または友人や同期、部下など自分と同じ立場や後輩から「上から目線」で言われたときも嫌な気持ちになりカチンとくるのではないでしょうか。
どちらも相手の価値観を押し付けられている、と感じるからなのです。そして、相手のプライドや自己愛を保つための道具にされた感があるため不愉快になってしまうのです。
また、「上から目線」の態度をとられたときにとっさに腹がたってしまうときは、自分自身に余裕がない場合もあります。
相手を持ち上げる
上から目線の発言をされたら誰しも嫌な気持ちになるもの。相手の発言や態度に一言いいたくなりますよね。しかしここはあえて褒めて持ち上げてしまうのです。
相手が上司や先輩なら心から褒めて、そして礼をいうのです。友人や同僚、後輩なら「そうなんだよー」と笑って答えてしまいましょう。その態度に相手は驚き、戸惑うかもしれません。
そのうちこの人には「上から目線」でいろいろ言っても堪えないということがわかり、あまり言ってこなくなる可能性が高くなります。そうこうしているうちに、「上から目線」で対応する違う人を探しに行くのではないでしょうか。
自分に余裕をもってスルーする
話すと不愉快になる相手とは、付き合いをやめてしまうのが一番の対処方法ですが、なかなかそうもいきません。会社の同僚や学校の同級生など、付き合いを一切断つことのできない相手であることがほとんどです。
また、付き合いをその人とやめたとしても、人生においていろいろなシーンで「上から目線」の人はどうしても登場します。
ですから、何を言われても「そうですか」とスルーしてしまうのも手です。傷ついたような表情も見せず、笑うこともせず、無反応でやりすごしましょう。反応のないあなたの姿をみればだんだん面白くなくなって、上から目線発言をしてこなくなります。
そして自分自身に余裕があれば、上から目線の人に対しても大して腹も立たなくなります。
この場合も、おそらく次の相手(ターゲット)を探すでしょう。
自分自身が変わることも必要
「上から目線」で人にいろいろと言われやすい人は「言い返さない」「物静か」「優柔不断なところがある」など、優しい感じの人が多くなります。決してご自分が悪いわけではないのですが、言い返してこないしおとなしいし、とターゲットになってしまうのです。
それでいて仕事ができたり、成功したりすると相手の気持ちを刺激してしまうのです。
スルーするのもいいですが、上から目線の発言をしてくるのが同期や同僚、友人なら「そういう言い方は上から目線で不愉快なのでやめてほしい」とはっきり伝えるのも手です。
冗談なのに何をムキになっているんだ、といわれるかもしれませんが「不愉快なものは不愉快なんだ」ときっぱり伝えましょう。
上から目線の人は、自分がずばり言われるとたじろいでしまうことが多いのです。そのことで友情に亀裂が入ってしまったら、それまでの人間関係であったのだと割り切ることも必要です。
何でもかんでも上から目線ではない
上から目線ということに敏感になりすぎるのも問題です。言われたことに対して何でもかんでも上から目線だ!見下された!と反発してしまうのです。
日本では特にこういった、「人から見下された、評価された」ということを重視しがちだと言われています。
上司や先輩から「上から目線で言われた」と怒る前に、アドバイスであり助言であると受け止めて素直に聞く耳を持つことも大切です。
「上から目線」の人にならないために
自分が上から目線になっているかもしれない、ということも時々振り返ることが必要です。上から目線の人にならないのはどうすればいいのでしょういか。
言動を見直す
やはり日頃の発言は大切です。
友達や同僚に対して、気の緩みからバカにした発言をしていないか、後輩につい先輩風を吹かせてひどいことをいっていないか見直してみましょう。誰かに、「キツイなあ」とか「上から目線ですね」などといわれた場合は特に注意が必要です。
一度口にしてしまった言葉は、飲み込んで元に戻すことはできないということを心にとめておきましょう。
何か発言するときは、すぐに言い返さないで「一呼吸置くこと」です。SNSでも、すぐに切り替えしてやろうと思わずに「こんな言い方は上から目線の人ではないか?」と一度立ち止まって考えることです。
立ち居振る舞いを見直す
気づかないうちに、他人にも家族にも尊大すぎる態度や行動をとっていないか思い返してみましょう。例えば、人と話すときに指やペンで指したりしていませんか?
これは相手には不快感を与える行動です。「お前はさー」などといいつつ指を指すような態度は、人を見下していると思われても仕方ありません。
また、人と話すときに胸を組んでいたり、背中をのけぞらせていたりと偉そうな態度をとっていませんか?たとえ親しみを持っている相手でも、不愉快なことには変わりありません。知らないうちにやってしまっているかもしれません。時々自分で見直してみましょう。
自分に自信がない、という時は
どうも自分に自信がもてない、それでいて人に認めてもらいたいという時は誰にでもあるものです。こういう時は、意外と「上から目線の人」になってしまいがちなのです。
何か頑張っていることがあるけれど、どうもなかなか評価されない、結果がでなくて満たされていないという時は要注意です。
自分よりその頑張っていることができてしまう人が登場したとき、自分の努力が身を結ばないのではないか、自分の居場所がなくなるのではないかという「危機的状況」になってしまいます。その焦りを人に悟られたくなくて、「上から目線の人」になってしまう恐れがあるのです。
自分、そして相手を認める
なかなか難しいと思うかもしれませんが、まずはここまで頑張っている自分を認めることです。また悔しいけれど、上を行っている相手のことも認めること、これが「上から目線」の人にならないポイントです。そして自分がこれから、どうしたらよいのかということをポジティブにとらえることが大切です。
まとめ
「上から目線」という言葉がよく使われるようになったのはここ何年かです。そして今「上から目線」の若者が増えていると言います。しかしどの世代にも「上から目線」に人はいます。
上から目線発言には、いちいち敏感にならずスルーすることが大切です。自分が見下されたと思っても気にしない心の余裕を持ちたいもの。そして、時にはきっぱりと相手に抗議する姿勢も大切なのです。
人を見下す「上から目線」は人を不快にさせるだけでなく、自分自身の評価も下げてしまいます。自分自身が「上から目線」の人になっていないか時々たちどまって見直すことも大切なのです。
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