花粉は「鼻づまり・くしゃみ・鼻水・目のかゆみ」が主な症状ですが、「喉の痛み」が生じることがあります。くしゃみ・鼻水に喉の痛みが加わると、風邪の症状と見分けがつきにくくなります。
花粉症はアレルギー疾患の一つです。今花粉症でない人も、いつ花粉症を発症するかわかりません。「風邪がなかなか治らない」と思っていたら、花粉症だったということもあります。
花粉症による喉の痛みの原因と対策、風邪の喉の痛みとの見分け方についてお伝えしますね。
アレルギーと花粉症
毎年2月から5月にかけてスギやヒノキの花粉症に悩まされる人が少なくありません。夏から秋にかけてはイネ科の植物やブタクサ、11月頃になるとアキノキリンソウ(セイタカアワダチソウ)の花粉に悩まされる人もいます。
花粉症はアレルギー疾患の一つです。花粉に免疫システムが過剰反応して、不愉快な症状が起きるのです。
[アレルギーとは]
生物は自分の身体を細菌・ウィルス・異形細胞などから護るために「免疫」という防衛システムを持っています。免疫には生まれつき持っている自然免疫と、外部から刺激を受けて抗体のできる獲得免疫があります。
細菌やウィルスが体内に侵入すると抗体(免疫体・免疫グロブリン)ができ、細菌やウィルスなどの抗原を排除しようとします。これが獲得免疫です。抗体のできる原因となる物質を「抗原」といいます。
アレルギーとは、免疫反応が過剰に起きる
アレルギーとは、特定の抗原に対して免疫反応が過剰に起きることです。免疫反応は、体内に侵入した外来の異物を排除する働きです。ヒトをはじめ生物には重要な生理機能です。本来は疫を免れるはずの免疫反応が、身体に有害な反応に変わってしまうのがアレルギーです。
アレルギーは、細菌やウィルスなど有害な物質が抗原となるのではありません。食物のタンパク質やダニ、花粉など本来は無害な物質が抗原となります。アレルギー反応を起こす抗原をアレルゲンといいます。
アレルゲンもアレルギー反応も個人によって異なる
何がアレルゲンになるかは、個人や年齢によって異なります。生じるアレルギー反応も、人によって違います。食物アレルギーは、成長してアレルゲンを腸が処理して受け入れるようになる(寛容)と、起こらなくなることが多いようです。
アナフィラキシー・ショック
全身性の激しいアレルギー反応を「アナフィラキシー」といいます。急激な血圧低下が起きてショック状態になることを「アナフィラキシー・ショック」といいます。
アレルギー疾患
アレルギー反応の結果として引き起こされる病気を、アレルギー疾患といいます。
アレルギー疾患には、アトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・じんましんなどがあります。ダニやハウスダストがアレルゲンとなって、喘息が起こります。花粉症はアレルギー疾患の1つです。
[花粉症とは?]
「花粉症」は、スギやヒノキなどさまざまな植物の花粉がアレルゲンとなって引き起こされるアレルギー疾患です。「季節性アレルギー性鼻炎」ともいいます。
花粉症は、いつ発症するかわからない
花粉が体内に侵入すると、免疫グロブリンの1種であるIGEができます。IGEは毎年体内に蓄積されていき、ある年突然、目や鼻にアレルギー反応が生じます。ですから、現在は花粉症にかかっていない人でも、いつ発症するかわからないのです。
IGEを作りやすい体質をアレルギー体質といいますが、遺伝が関係しているようです。花粉が大量に飛散する環境で生活している人は、IGEが蓄積されやすく花粉症になりやすいといいます。
花粉症の症状
IGEというタイプの免疫グロブリンが肥満細胞や白血球と結びつき、さらに抗原と結合するとこれらの細胞がヒスタミンやセロトニンなどの生理活性物質が放出します。この生理活性物質によって、さまざまな症状が生じます。
花粉症の症状は、目と鼻に生じることが多いようですが、喉にも起きます。
目の症状
- 目がかゆい
- 目が充血する
- 涙が出る
- まぶたが腫れる
鼻の症状
- 鼻水が多く出る
- 鼻が詰まる
- クシャミが頻発する
喉の症状
- 喉が痛い
- 喉がイガイガする
- 咳が出る
- 口の中がピリピリして、しびれる
花粉症のアレルゲン
花粉症のアレルゲンとしてよく知られているのは、スギの花粉です。スギの花粉は冬の終わりの2月頃から5月のゴールデンウィーク頃まで飛びます。しかし、11月頃に飛ぶこともあるので、花粉症と風邪・インフルエンザの初期症状と見分けがつきにくくなります。
ヒノキの花粉は3~5月、シラカバ(シラカンバ)は4~6月、イネ科植物の花粉は5~9月に飛びます。ブタクサやヨモギ属の花粉は9月に飛びます。10~11月になると、アキノキリンソウ(セイタカアワダチソウ)の花粉が飛びます。季節によってアレルゲンが異なります。
花粉症は春先だけに発症するものではありません。1年を通じてアレルゲンとなる花粉が飛んでいます。人によっては1年の半分以上を花粉に悩まされる可能性があります。
花粉症による喉の痛み
花粉症の症状として喉に痛みが生じることがあります。花粉症の喉の症状は、痛みとかゆみと咳が主となります。喉のかゆみとは、喉のイガイガする感じです。花粉症の喉の痛みも酷くなると、唾を呑み込んだり食べ物を食べたりしても痛みを感じます。
喉の症状は、スギ花粉よりもヒノキ花粉の方が生じやすいという人もいます。しかし、アレルギー症状は個人差が大きいので、一概には言えません。
[なぜ花粉症で喉が痛くなるの?]
花粉症によって喉が痛くなる原因は、4つあります。
①アレルゲンとなる花粉が喉についてアレルギー反応を起こす
アレルゲンとなる花粉が喉の粘膜につくと、アレルギー反応が起きます。喉がイガイガしたり炎症が起きて痛みが生じたりします。炎症がひどくなると、咳が出ます。咳をすることで、喉の粘膜についた異物(花粉)を排出しようとします。
特に症状がなくても、普段から喉に炎症が起きている人がいます。その場合は、花粉によって炎症が悪化する可能性があります。喉の痛みや咳が生じます。
②鼻づまりで口呼吸するため、口の中が乾燥する
花粉症の主な症状はクシャミ・鼻水・鼻詰まりです。鼻づまりが原因で、鼻呼吸ができなくなります。口呼吸するようになり、乾燥した空気が口や喉の粘膜を直撃します。喉の粘膜が乾燥して破壊され、炎症が起きやすくなります。炎症が起きると、咳も出やすくなります。
口の中の粘膜も乾燥するので、口の中がピリピリします。
③鼻水が通るので、喉を傷める
花粉症では鼻水が多くなります。鼻水が鼻から喉に流れるため、喉の粘膜が傷みやすくなり痛みが生じます。
④花粉症の薬が唾液の分泌を抑える
花粉症の治療薬である抗アレルギー薬は、神経細胞の放出するアセチルコリンの作用を遮断します。アセチルコリンは神経信号を伝達する化学伝達物質です。アセチルコリンの作用が遮断されるため、唾液の分泌が減少します。抗アレルギー薬の副作用と言えます。
唾液には抗菌作用があります。唾液の分泌が減少すると、口や喉の粘膜が乾燥して繊毛(せんもう)の働きが低下します。繊毛は細菌やウィルスなどの侵入を防ぐ作用があります。風邪やインフルエンザなどの細菌・ウィルスに感染しやすくなり、喉に炎症が起きやすくなります。
[風邪と花粉症の喉の痛みの違い]
「喉が痛くて、咳が出る。風邪をひいたと思っていたが、なかなか治らない」という時は、花粉症による喉の痛みの可能性があります。
風邪やインフルエンザ初期の喉の痛みと花粉症の喉の痛みをきちんと見分けて対処します。対処法を間違えると、症状が悪化することがあります。
見分ける方法の注意点は8つです。
①花粉症はシーズン中続く・風邪は1週間から10日
花粉症の喉の痛みは、花粉が飛散する季節の間続きます。風邪の喉の痛みは1週間から10日程度で治ります。インフルエンザの場合は、関節が痛み高熱を発します。
②花粉症は発熱しない。風邪は発熱することがある
風邪の場合は、微熱が出ます。高熱を発することもあります。喉が痛くて高熱を発したらインフルエンザの可能性があります。すぐに病院で内科の診察を受ける必要があります。
花粉症の場合は、基本的には発熱しません。スギやヒノキの花粉症で喉がかなり痛くなっても、発熱することはありません。ただし、ブタクサなど秋の花粉症では、微熱が出ることがあります。
③花粉症は目のかゆみが生じる
花粉症の特徴の1つに「目のかゆみ」があります。風邪や初期のインフルエンザで喉が痛くなっても、目がかゆくなることはありません。目のかゆみを伴う喉の痛みは、花粉症です。
④花粉症の鼻水はサラサラして水っぽい
花粉症の鼻水はサラサラして水のようです。鼻を下に向けると、鼻孔から鼻水が垂れます。
風邪の鼻水はネバネバして膿のような緑色または黄色です。
⑤黄色または緑がかった黄色の痰は危険信号
痰とは、気管支や肺などの呼吸器系でつくられる粘液の1種です。呼吸器系に有害な物質(塵・ホコリ・細菌・ウィルス・アレルゲンなど)をからめとって、体の外に排出する役割があります。
風邪をひいた時に咳とともに出る痰は、黄色か緑がかった黄色です。細菌と白血球が戦った残りカスが含まれているためです。黄色または緑がかった黄色の痰は感染症の可能性を示しています。
花粉症でも喉の痛みや咳とともに黄色の痰が出ることがあります。しかし、黄色の痰は気管支炎など感染症を起こしている可能性があるので、すぐ病院の耳鼻科か内科を受診します。
⑥鼻づまりは風邪よりひどい
花粉症は両方の鼻が鼻詰まりを起こして、鼻で呼吸するのが難しくなります。風邪の時も鼻づまりが起きますが、花粉症の鼻づまりの方がひどくなります。
⑦花粉症はくしゃみを連発する
風邪やインフルエンザでも咳やくしゃみが出ます。花粉症では花粉を排出しようとして、くしゃみを連発します。風邪よりもくしゃみの頻度が高くなります。
⑧風邪やインフルエンザは頭痛が起きる
喉が痛くて頭痛がしたら、風邪か初期のインフルエンザの可能性が大です。花粉症は喉が痛くて鬱陶しい気分になりますが、めったに頭痛は起こりません。
花粉症の喉の痛みの対策
花粉症の喉の痛みの対策は、自分で行う方法と医師に治療してもらう方法があります。
[自分でできる花粉症の喉の痛みの対策]
自分でできる対策方法でもかなり効果があります。
①うがいをする
外から帰った時・食事をする前・喉が痛む時など、こまめにうがいをします。うがいをすると、喉についたホコリや花粉を取り除くことができます。うがいの習慣は、花粉症の喉の痛みの緩和だけでなく、風邪やインフルエンザの予防にも効果があります。
うがいは水でOKです。冷ましたお茶は口当たりも良く、抗菌作用もあります。「うがい薬は強すぎて喉の粘膜を傷める可能性がある」という医者もいますから、あまりオススメしません。水か冷ましたお茶でのうがいを習慣にすることが大事です。
胃薬のムコスタ(レパミピド)でうがいすることをススメル人もいます。
②加湿器などで部屋の湿度を保つ
部屋の空気が乾燥していると、花粉が飛びやすくなります。鼻・喉・口中の粘膜が乾きやすくなります。加湿器などで加湿して、部屋の湿度を適度に保つようにします。花粉の飛散を抑え、喉の粘膜が乾燥するのを防ぎます。
湿度が適度に保たれていると、鼻づまりも多少緩和されます。鼻呼吸しやすくなり、口呼吸による喉粘膜の乾燥を軽減します。呼吸は鼻呼吸にする方が、健康に効果があります。
乾燥対策は風邪やインフルエンザの予防にも効果ががあります。
③マスクをする
マスクをすることで、花粉を喉や鼻に吸い込むのを防ぎます。マスクは保湿効果もあるので、喉の乾燥を防ぐ乾燥対策にもなります。
④飴をなめる・緑茶やハチミツを飲む
飴をなめると唾液の分泌が促され、喉が潤います。飴は喉飴でも普通の飴でもかまいません。浅田飴などは咳止めの効果もあるようです。ミントの入った飴は、鼻の通りを良くして鼻詰まりを緩和します。
緑茶のカテキンやハチミツには殺菌作用があるので、喉に炎症が起きている時に飲むと効果があります。緑茶などを頻繁に飲むと、喉が潤い痛みが和らぎます。
ハチミツを飲んで喉の痛みを緩和する
ハチミツはお湯や紅茶に溶いてレモンやショウガを加えると、身体も温まりさらに効果が上がります。ハチミツの成分のビタミンB2は粘膜を正常にするので、喉の粘膜の炎症を改善して傷みを緩和します。ハチミツをヨーグルトに入れて食べると喉越しも良く、整腸作用もあります。
⑤喉を刺激する食べ物は摂らない
花粉症で喉が痛い間は、喉の粘膜を刺激する食べ物は避けます。辛い・酸っぱい・塩辛い・熱い食べ物は喉の粘膜を刺激します。
アイスクリーム・ゼリー・スープ・ヨーグルトは喉の通りが良く、喉を刺激しません。オススメはペパーミントのアイスクリームです。冷たさと清涼感が喉の痛みを和らげます。風邪の喉の痛みにも効きますよ。
⑥栄養バランスの良い食事と良質な睡眠で免疫力をアップする
栄養バランスの良い食事を規則正しく腹八分目に摂るようにします。良質な睡眠を十分に取ります。免疫力がアップして免疫システムが正常に働きます。細菌やウィルスの感染を防ぎます。
⑦花粉を家に持ち込まない
アレルギー対策の基本はアレルゲンを避けることです。
外から家の中に入る時は、衣服や髪を軽く叩いて花粉をはらうようにします。できるだけ家の中に花粉を持ち込まないようにします。外に干した洗濯物を取り込む時も要注意です。
花粉のひどい時は、窓を閉めたり空気清浄機を使用したりします。外出する時は、マスクや眼鏡を着用します。花粉の飛散する日中の外出を控えるのも1つの方法です。
外出から帰ったら、手洗い・洗顔・うがいを習慣にして花粉を吸い込まないようにします。
⑧花粉症対策グッズを利用する
立体マスク・ノーズマスクピット・眼鏡・加湿器・空気清浄機などで花粉を吸い込まないようにします。鼻の中に塗って花粉の吸収をブロックする類医薬品もあります。ミストを鼻孔に噴霧して花粉を洗い流す「鼻洗浄」もあります。
自分に合う商品を選んで利用します。ただ、花粉症対策グッズは季節性があります。スギやヒノキの花粉が飛ぶシーズンには、いろいろな対策グッズが出揃います。
[薬による花粉症対策]
花粉症の対策方法の1つは、耳鼻咽喉科の医師に相談することです。耳鼻咽喉科の治療は薬による薬物療法が主となります。アレルギー薬など医薬品を処方してくれます。
アレルゲンによってアレルギー反応が起きると、血管や神経を刺激するヒスタミンが放出されます。花粉症の薬は、ヒスタミンの働きを抑えたり直接炎症を改善したりします。
①抗アレルギー薬
抗アレルギー薬はヒスタミンの発生と放出を抑えます。ヒスタミンの発生と放出を抑制して、花粉症の症状を緩和します。
ヒスタミンの発生を抑えるので予防効果もあります。花粉症が発症する2週間ほど前から服用し始め、発症中も服用し続けます。副作用の心配はあまりありません。
②抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンの働きを抑制する薬です。くしゃみ・鼻水・目のかゆみ・喉の痛みなどの症状の改善に即効性があります。すでに発生している症状を改善する効果があります。抗アレルギー薬より力が強いと言えます。眠くなりやすい副作用があります。
ほとんどの花粉症の市販薬(第2類医薬品)には、抗ヒスタミン薬が成分として含まれています。風邪薬にも抗ヒスタミン薬が成分として配合されています。
③第二世代抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン効果のある抗アレルギー薬を「第二世代抗ヒスタミン薬」または塩基性抗アレルギー薬」といいます。花粉症の予防効果と即効的な症状改善効果の両方があります。
病院で処方されるのは、第二世代抗ヒスタミン薬のアレグラ・アレジオン・アレロックが多いようです。眠気が起きることがないといいます。
④ステロイド剤(ステロイド薬)
ステロイド剤(ステロイド薬)とは副腎皮質で分泌されるホルモンを人工的につくり出した薬剤で、「副腎皮質ホルモン薬(剤)」と呼ばれます。
鼻や喉の粘膜・目の結膜の炎症を鎮めます。免疫系組織(免疫システム)の反応性を低下させて、アレルギー反応を抑制します。花粉症の他にもアトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患にも処方される、効果の高い薬剤です。ただし、医師の処方に従って使用しないと、副作用が起きる可能性があります。
花粉症のステロイド剤には、点眼薬や点鼻薬(鼻噴霧用薬)があります。喉の痛みなど炎症がひどい場合は、抗ヒスタミン薬とステロイド薬を配合したセレスタミンを内服することもあります。
ステロイド薬の注射
点眼薬や点鼻薬はステロイド剤を使用する部分が限られているので、医師の指示に従っていれば副作用の心配は、あまりありません。内服薬は全身に影響を及ぼすので、深刻な副作用が起きる可能性を否定できません。医師とよく相談して、医師の指示に従って内服します。副作用が起きたら、すぐに服用を中止して医師に報告します。
最近、「1回の注射で花粉症の症状を抑えられる」というステロイドの注射が注目されています。デポ注射といって、筋肉に直接注射します。ステロイドが筋肉内に留まって少しずつ放出されるので、効果が長い間持続します。しかし、副作用が起きた時に、どうすることもできません。効果が持続するように、副作用も持続します。
静脈注射のように血管内に薬を注入する場合は、薬の廻りも代謝も早くなります。
ステロイド剤の注射は、よく医師と相談する必要があります。副作用が心配な人は、セカンドオピニオンを求めることをオススメします。
⑤抗ロイコトリエン薬
ロイコトリエンは免疫系の細胞から放出される化学物質です。鼻粘膜の浮腫が起き、鼻閉になります。鼻づまりがひどい状態です。抗ロイコトリエン薬はロイコトリエンを抑制します。
鼻閉が起きて口呼吸になっている時は、抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)に加えて抗ロイコトリエン薬が処方されます。
⑥花粉症の市販薬
1,内服薬
市販の内服薬はほとんどが第2類医薬品です。主成分は抗ヒスタミン剤です。カプセルと錠剤があります。カプセルは効果が12時間ほど持続するので、1日2回服用します。錠剤は1日3回服用します。「眠くなる」という副作用があるので、自動車の運転などは要注意です。
最近、第二世代抗ヒスタミン薬の1部が「スイッチOTC」という第2類医薬品として薬局で処方箋なしで買えるようになりました。アレグラやアレジオンなどです。眠気が生じないので、便利です。
風邪薬と併用には注意
市販の花粉症の薬と風邪薬を一緒に服用すると、ある種の成分が摂取過剰になり思いがけない副作用が起きる可能性があります。
どんな薬剤も併用には注意が必要です。医師に処方してもらった薬を服用している時は、市販薬やサプリメントを服用する前に医師に相談します。
2, 点鼻薬・点眼薬
市販の点鼻薬・点眼薬にはいろいろな成分が含まれていますが、主成分は抗ヒスタミン薬です。即効性がありますが、使用を続けていると効かなくなる傾向があります。
気をつけたいのは、市販の点鼻薬や点眼薬には血管収縮剤が配合されていることです。特に点鼻薬には必ず含まれています。血管収縮剤が配合された点鼻薬を使用すると、初めのうちは鼻づまりがスッキリします。しかし、使用を続けるとリバウンドが起き、鼻詰まりがひどくなります。点眼薬にも注意が必要です。
3,喉スプレー
花粉症の喉の痛みには喉スプレーが効きます。喉スプレーには、殺菌作用のあるヨード系と粘膜を修復するアズレン系の2種類があります。花粉症の喉スプレーは、荒れた粘膜を修復する水溶性アズレン系が効果的です。
花粉症で喉の痛みがある時は、ヨード系の喉スプレーを噴霧すると刺激が強すぎて逆効果です。水溶性アズレン系が成分になっているものをスプレーして、喉の腫れや痛みを鎮めます。
[耳鼻科で花粉症を治療する]
耳鼻科で花粉症を治療する場合、薬物療法が主となります。前述した薬を処方したり、耳鼻科の医師が鼻の奥や喉の奥に薬を塗布したりします。吸入機で吸入を行うこともあります。
薬物療法の他に、手術や免疫療法があります。
免疫療法
免疫システムの仕組みを利用した花粉症の治療法です。「免疫療法」「減感作療法」といいます。
体がアレルゲンに反応することを「感作」といいます。微量のアレルゲンを繰り返し注射して体内に入れ、アレルギー反応を起こさない状態にします。週1から2回の注射から始めて、最終的には1~2ヶ月に1回の注射になります。注射する期間は3~5年間です。
最近では、「舌下免疫療法」という舌下にアレルゲンを投与する方法にも健康保険が適用されるようになりました。
手術
薬物療法で治療の効果が出ない時は、鼻の腫れた粘膜を除去して鼻の空気の通りを良くしたり、鼻水を出す神経をブロックしたりする手術を行うことがあります。
まとめ 花粉症と風邪の喉の痛みは対処法が異なる
花粉症でも風邪でも喉に炎症が起きて痛みが生じます。唾を呑み込んでも痛く、食事をするのも辛くなります。喉の痛みはインフルエンザの初期症状の1つでもあります。症状は同じ喉の痛みですが、対処法は花粉症・風邪・インフルエンザでは異なります。これらは全く違う原因で起こる病気ですから、対処法を誤ると症状が悪化する可能性があります。
花粉症は、スギ・ヒノキ・イネ・ブタクサなどのアレルゲンによってアレルギー反応が起きた結果病気になるアレルギー疾患です。花粉が目・鼻・喉に付着してアレルギー反応を引き起こします。目がかゆくなったり、充血したりします。鼻水が多量に出て、くしゃみを連発します。鼻づまりを起こします。喉が痛み、咳や痰が出ます。
風邪の喉の痛みは1週間から10日程度で治りますが、花粉症の喉の痛みは花粉のシーズン中続きます。目のかゆみがあり、サラサラした鼻水が出るようなら、花粉症です。発熱・頭痛・黄色い膿のような鼻水を伴う喉の痛みは風邪です。
花粉症で喉が痛む時、咳と一緒に黄色または緑がかった黄色の痰が出たら要注意です。気管支炎など感染症を併発している可能性があります。
花粉症でも風邪でも素人判断で市販薬を使用するより、病院の耳鼻科や内科の医師に相談する方が無難です。早期に治療を始めることが大事です。
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