レジオネラ菌に感染した時の症状は?レジオネラ症の対策方法と治療法を知ろう!

温泉は気持ちいいですね。熱いお湯につかると、身も心もゆったりして、日頃の疲れもストレスも消えてしまうように思います。1日の終わりに、お風呂に入るだけで、心身ともにリラックスできます。

でも、温泉やスーパー銭湯、お風呂には、レジオネラ菌という悪玉菌が住み着いていることがあります。レジオネラ菌に感染すると、在郷軍人病やポンティアック熱を発症します。在郷軍人病は死亡率30%という怖い病気です。

レジオネラ菌とはどのような細菌か?その感染経路と感染症状、治療法や対策についてお伝えしますね。

レジオネラ菌とは、どのような細菌なの?

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レジオネラ菌は、レジオネラ属に属する真正細菌の総称です。グラム陰性桿菌で、通性細胞内寄生性菌という特性を持っています。

50種近くあり、その中に「在郷軍人病(レジオネラ肺炎)」や「ポンティアック熱」などのレジオネラ症を引き起こすものがあります

[レジオネラ菌はどこにいる?]

レジオネラ属菌は、土壌や河川、湖沼など自然界に常在しています。「通性細胞内寄生性菌」なので、アメーバなどの原生生物や他の生物の細胞内に寄生します。酸に強い菌です。

レジオネラ属菌は溜まっている大量の水の中で繁殖します。ヒトとの関わりでは、空調設備や入浴施設(温泉や公衆浴場など)の循環水の中で繁殖します。

一般に細菌は31℃程度で増殖し始めますが、レジオネラ属菌は、停滞している水が39℃になると、急激に繁殖し始め、60℃を越えると、徐々に死滅していき、70℃以上で死滅します。

空調設備の冷却塔水

1976年アメリカ合衆国ペンシルバニア州で開催された在郷軍人会で、参加者および周辺住民221人が原因不明の肺炎にかかりました。従来の抗生剤が効かず、34人が死亡しました。この病原となった新種の細菌は、在郷軍人(legionnaire)にちなみ、legionella pneumophiia と名付けられました。日本名はレジオネラ菌(正しくはレジオネラ属菌)です。

この時、レジオネラ菌は、在郷軍人大会が開催された建物近くの空調設備の冷却塔内で繁殖し、エアロゾル(非常に細かい水滴・微小水滴)となって会場に飛散したのです。

レジオネラ属菌は、ビル空調や地域冷暖房設備の冷却塔に使用する循環水の中で繁殖します。

温泉など入浴施設

温泉やスーパー銭湯、銭湯などの公衆浴場はレジオネラ菌の温床と言えます。循環式浴槽水の中で、レジオネラ菌が繁殖します。自宅のお風呂でも、「24時間風呂」と呼ばれる循環式浴槽も、適正な管理をしないと、浴槽水の中で、レジオネラ属菌や他の細菌類が繁殖しやすくなります。

初夏から夏にかけて、レジオネラ菌は繁殖する

日本の夏は高温多湿で、レジオネラ菌が繁殖するのに最適です。初夏になると、冷房機を使用し始めますから、冷却水が循環し、レジオネラ菌が増殖しやすくなります。

自宅で入浴する際も、シャワーを浴びることが多くなり、循環式浴槽でない普通の浴槽でも、霧状の水を浴びて、レジオネラ菌に感染する可能性が高くなります。

もっとも、温泉やスーパー銭湯は、年間通してレジオネラ属菌が繁殖しやすい環境です。

[なぜレジオネラ菌は温泉で増殖するの?]

レジオネラ属菌は、温泉やスーパー銭湯など、循環式入浴施設で繁殖しやすくなります。循環式ということで、自宅の二十四時間風呂も同じことです。

循環する水は、一見流れているようですが、停滞水・貯蔵水と同じなのです。流水のように細菌を洗い流してしまうことはありません。

➀レジオネラ菌属は39℃になると急激に増殖する

温泉でもスーパー銭湯でも、入浴施設のほとんどが、お湯の温度を38~42℃に設定しています。レジオネラ菌属は39℃あたりで急激に増殖を始めますから、入浴温度はまさに増殖に最適なのです。

レジオネラ属菌は25~45℃の、ぬるめの貯蔵水・停滞水が大好きです。でも、50~55℃でも20分程度は生きていられます。

②人間の汗がレジオネラ菌の養分になる

お風呂へ入ると、汗をかきますよね。汗の成分はアンモニア(NH3)や尿素という窒素化合物です。この窒素がレジオネラ属菌他の細菌の栄養分になります。ヒトは入浴すると、平均600ccの汗を出すそうですから、レジオネラ属菌や細菌のエサはたっぷりあります。

また、殺菌剤となる塩素には、遊離塩素と結合塩素があります。殺菌力があるのは、遊離塩素ですが、塩素は汗や尿酸など窒素化合物と結合しやすいのです。結合した塩素は殺菌力がないばかりか、レジオネラ属菌に塩素の耐性をつけてしまいます。

③濾過装置(ろかそうち)にバイオフィルムができる

温泉やスーパー銭湯などの循環式入浴施設には、必ず循環式濾過装置が設置されています。循環する水の衛生管理をするためなのですが、この濾過装置が細菌の温床になります。

(バイオフィルム・生物膜)

温泉や銭湯など公衆浴場の施設の配管内、循環式濾過装置内には、レジオネラ属菌他の細菌が付着します。付着した段階で、殺菌剤の塩素が十分に効力を発揮すれば、たいていの細菌は死滅して、問題はなくなります。ただし、レジオネラ属菌は塩素に対する抵抗力が強く、水道水の基準である遊離残留塩素が0.1mg/1ℓでは死滅しません。

死ななかったレジオネラ属菌他の細菌は、配管内や濾過装置内に付着し、細胞外多糖(EPS)を分泌して保護膜をつくります。この保護膜を「バイオフィルム」とか「生物膜」と言います。保護膜を形成することを「シスト化する」「生物膜化する」と言います。

生物膜ができてしまうと、塩素剤や二酸化塩素剤など強力な殺菌剤を使用しても、生物膜の中までは効き目が届きません。生物膜の中で、レジオネラ属菌他の細菌は生存し続けます。

レジオネラ属菌他はさらに生物膜を厚くし、浴槽水中の窒素化合物をエサにして増殖し、コロニーを形成します。やがて、コロニーは過密状態になり、破裂して浴槽水中に一気にレジオネラ属菌他が放出されます。しかも、生物膜内で増殖したレジオネラ属菌は塩素に対する耐性を獲得しているので、殺菌剤が効きません。

これがくり返されて、浴槽水はレジオネラ属菌でいっぱいになってしまいます。中には、コロニーのまま水中を浮遊するものもありますが、生物膜で保護されているので、殺菌剤が効きません。

このバイオフィルム(生物膜)は、浴槽内のヌメヌメした部分です。入浴した時、浴槽内にヌメヌメ・ヌルヌルした感じがあれば、要注意です。バイオフィルムが形成されていて、その中にレジオネラ属菌他の細菌がウヨウヨしています。

次の「感染経路」のところでくわしく述べますが、レジオネラ属菌の多い浴槽水を間違って飲み込んでも、感染することはありません。レジオネラ属菌は、エアロゾル(霧のような状態)となって、ヒトの体内に吸い込まれ、肺に感染します。

④ジャグジー・打たせ湯・滝・シャワーで感染する

温泉やスーパー銭湯などには、ジャグジーや打たせ湯、湯の滝、シャワーなどの設備があることが多く、人気の的です。でも、この打たせ湯やシャワーはお湯をエアロゾルの状態にするので、レジオネラ属菌が呼吸とともに取り込まれ、肺に感染しやすくなります。

⑤日本の温泉は弱アルカリ性が多い

日本の温泉は、一般的な「単純温泉」の場合、ナトリウムやカルシウムを含む弱アルカリ性の水質が多いようです。PHが7の後半程度です。

塩素系殺菌剤はアルカリ性の浴槽水中では効力が低下してしまいます。遊離塩素は、アルカリ域では殺菌力が大幅に低下してしまうのです。

レジオネラ菌の感染と症状

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レジオネラ属菌の多い浴槽水や温泉水を飲んでも、レジオネラ菌に感染することはありません。レジオネラ菌はミスト(霧)のようなエアロゾルの状態で、呼吸ととともにヒトの体内に入り込み、肺で感染を起こします。

感染源は、空調設備の冷却塔や公衆浴場施設ですが、日本の場合は、循環式の温泉施設・スーパー銭湯や、24時間風呂(循環式浴槽)が圧倒的に多くなります。

レジオネラ属菌の感染症を「レジオネラ症」といいます。

[レジオネラ菌の感染経路]

レジオネラ属菌は、繁殖している水(湯)が、ミスト(霧)のようなエアロゾル(微小水滴)の状態で、鼻や口から呼吸とともに吸い込まれることで、ヒトの体内に侵入します。気道を通り、肺胞に到達して感染を引き起こします。

レジオネラ属菌に汚染された湯水を飲んでも、感染症は起きません。風邪やインフルエンザのようにヒトからヒトへ接触感染(飛沫感染)することもありません。

肺胞内に到達したレジオネラ属菌はマクロファージ(大食細胞)に捕えられ、食べられてしまいます。マクロファージは白血球の仲間で、免疫システムを担っています。たいていの細菌やウィルスなどは、マクロファージが捕食して、消化・分解(殺す)してしまいます。

ところが、レジオネラ属菌には「通性細胞内寄生性」という特性があります。アメーバなど他の細胞に寄生して生存・繁殖します。マクロファージはアメーバ状の細胞です。レジオネラ属菌はマクロファージに捕食されると、巧みに消化・分解を逃れて、マクロファージの中に住み着いてしまいます。マクロファージの中で生き延びるばかりか、増殖するのです。

たちまち、レジオネラ属菌はマクロファージ内で増殖し、マクロファージを破壊して、肺胞から肺全体にはびこってしまいます。肺がレジオネラ属菌に感染し、炎症を起こします。

加湿器は危険?給湯器も?

冬など乾燥した季節には加湿器が大活躍します。風邪やインフルエンザの予防・治療にも大いに役立ちますし、肌が乾燥しやすい人には欠かせませんね。

ところが、レジオネラ属菌は停滞している貯蔵水、特に30~50℃くらいのぬるま湯が大好きです。加湿器は、水を沸騰させて蒸気を放出するのではなく、超音波で水を微細に砕いて噴霧するタイプが人気です。超音波式や回転霧化遠心噴霧式の加湿器は、水を加熱しませんから、レジオネラ属菌他の細菌が死滅しません。

加湿器の内部にバイオフィルム(生物膜)が形成されると、加湿器内の水はレジオネラ属菌他の細菌で汚染されます。これを噴霧すれば、当然、呼吸とともにレジオネラ属菌が気道から肺に侵入することになります。

病院内で超音波式加湿器を使用したため、入院中の患者さんがレジオネラ属菌に感染したことがあります。

加湿器は健康維持に有効です。レジオネラ属菌も他の細菌も、高温で加熱すると死滅させることができます。できれば、加熱式の加湿器を使用することをオススメします。超音波式など非加熱の加湿器は、バイオフィルムを取り除くなど、常に清潔に管理する必要があります。

給湯設備にもヌメヌメしたバイオフィルムが形成されます。ここから出て来るぬるま湯には、レジオネラ属菌が多いと考えられます。徹底的な洗浄・清掃を怠らず、常に清潔に維持することが大事です。

人工の滝や噴水も感染源

停滞水・貯蔵水がミスト状のエアロゾルを噴霧することで、レジオネラ属菌に感染するのですから、人工の滝や噴水のしぶきを浴びるのも要注意ですね。

普通の健康な人なら、ほとんど問題ありませんが、免疫力の低い高齢者や病人、持病のある人、乳幼児は、ちょっと気をつける方が無難です。

[レジオネラ菌はだれでも感染するの?]

レジオネラ属菌は、塩素剤の耐性が強く、マクロファージという免疫細胞にも負けずに生き延びて増殖する恐ろしい菌です。

でも、レジオネラ属菌を含むエアロゾルを吸入した人がだれでも感染して、レジオネラ症を発症するわけではありません。たいていの健康な成人男女は感染しません。感染しやすいのは、免疫力が低下している高齢者や病人、免疫機能が未熟な乳幼児です。レジオネラ属菌の感染者の平均年齢は60.8歳ですから、比較的高齢者が多いことがわかります。

糖尿病・慢性呼吸器疾患・免疫不全などの持病がある人やアルコール中毒や喫煙習慣のある人は、レジオネラ菌に感染しやすく、しかも、発症すると、急速に進行する傾向があります。

レジオネラ属菌の感染者の比率は、男性80%女性20%で、圧倒的に男性が多いようです。つまり、糖尿病など持病のある中高年の男性は、レジオネラ属菌に感染しやすいようです。循環式の温泉施設やスーパー銭湯など公衆浴場に行く時は、打たせ湯・シャワー・気泡風呂などには要注意です。

[レジオネラ症の症状]

レジオネラ属菌に感染するレジオネラ症には、比較的軽症のポンティアック熱と、重症のレジオネラ肺炎(在郷軍人病)があります。

ポンティアック熱

軽症の場合は、「風邪かな?」と思っていうちに、自然に治ってしまうこともあります。

潜伏期間は1~2日です。全身に疲労感・倦怠感(だるさ)が生じます。悪寒がして震えがきます。発熱し、筋肉痛があります。めまい・吐き気・嘔吐を生じます。

肺炎にはなりません。肺炎を発症しないインフルエンザのような症状です。治療にもよりますが、発症してから1週間程度で回復します。

レジオネラ肺炎(在郷軍人病)

レジオネラ菌が初めて発見された「在郷軍人大会」における発症に由来して、「在郷軍人病」と呼びます。

レジオネラ属菌を含むエアロゾルを吸い込んでから、2~10日で発症すると考えられます。悪寒と震えが生じ、発熱します。全身の疲労感と倦怠感が強く感じられます。頭痛と筋肉痛が生じます。

肺炎を発症するので、乾いた咳と少し粘調性の痰が出ます。胸が痛み、呼吸困難など呼吸器系症状が現れます。

抵抗力・免疫力の低い高齢者・病人・乳幼児は重篤になることが多いようです。また、糖尿病や慢性呼吸器疾患、免疫不全などの持病がある場合や、アルコール中毒や喫煙習慣のある場合は、病状が急激に進行し、重症化します。在郷軍人病の平均死亡率は30%です。

[レジオネラ症の治療方法]

レジオネラ肺炎には、肺炎の特効薬であるペニシリン剤やセフェム剤(βラクタム剤)は効きません。検査で、レジオネラ菌感染を確かめる必要があります。

悪寒や発熱があった時点で、すぐに内科医に行くことをオススメします。手遅れになると、重症化します。内科医には、温泉や銭湯に行ったこと、自宅の風呂が循環式浴槽であることなどを、くわしく話すようにします。

検査

培養検査・遺伝子検査・抗体検査・尿中抗原検査を行って、レジオネラ属菌を確認します。

投薬

マクロライド剤・ニューキノロン剤が効きます。

レジオネラ菌の対策は?

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レジオネラ属菌は、加熱する以外の方法では、なかなか死滅しない強い常在菌です。しかし、60℃を越えると死滅し始め、70℃を越えると死滅してしまいます。

また、20℃より低い温度になると、活動が低下します。これを利用して、レジオネラ属菌による汚染を抑制・予防することができます。

[塩素系殺菌剤による殺菌は難しい]

塩素系殺菌剤というと、「次亜塩素酸ナトリウム」です。塩素はレジオネラ属菌には効きにくく、しかも人体に害を与え、浴場施設を損傷します。

塩素はレジオネラ属菌に効きにくい

レジオネラ属菌は、もともと塩素に抵抗性があります。その上、生物膜を形成して、その中で繁殖すると、塩素耐性を獲得してしまいます。

レジオネラ属菌他の細菌は、濾過装置などの中で生物膜(バイオフィルム)を形成してします。生物膜を形成すると、強力な塩素系殺菌剤でも効き目が中まで届かなくなります。

塩素は遊離塩素でなければ殺菌力がないのに、浴槽内のお湯に含まれる窒素化合物と結合し、殺菌力が低下してしまいます。お風呂に入ると、汗をたくさんかきます。汗の成分は、アンモニアや尿素などの窒素化合物です。

温泉やスーパー銭湯では、多くの入浴者が浴槽内に入って汗をかきますから、お湯の中には窒素化合物がいっぱいです。遊離塩素はこれらの窒素化合物と結合しますから、たちまち遊離残留塩素濃度は低下してしまい、塩素系殺菌剤は、効き目がなくなってしまいます。

塩素系殺菌剤はアルカリ域では効果が低下します。日本の温泉は弱アルカリ性温泉が多いので、塩素系殺菌剤が効きにくいのです。

[塩素系殺菌剤は人体に害がある]

レジオネラ属菌を殺菌するには、遊離残留塩素濃度の高い殺菌剤を使用する必要があります。公衆浴場法では、浴槽内のお湯の遊離残留塩素濃度を0.4mg/1ℓ以上になるように規制しています。遊離残留塩素濃度が0.6mg/1ℓ以上になれば、かなり殺菌効果があります。

しかし、塩素濃度があまり高くなると、人体に害を及ぼします。人体だけでなく、浴場施設を損傷します。

塩素には、毒性と腐食性があります。その毒性のために、消毒剤として利用するのです。

塩素臭が不快

塩素の臭いが強いのは、温泉や銭湯のお客さんには不評です。

目・喉・皮膚を刺激する

塩素臭が浴室に充満すると、目や喉、皮膚の粘膜を刺激します。

頭痛・めまい・咳が生じる

高濃度の塩素系殺菌剤を吸い込むと。頭痛やめまい、咳が生じます。

さらに高濃度の塩素を吸入すると、肺水腫や呼吸困難を起こすことがあります。

[殺菌よりも洗浄]

遊離残留塩素濃度を高くしても、レジオネラ属菌がバイオフィルム(生物膜)を形成してしまうと、塩素消毒は効き目が届かなくなります。

殺菌よりも、浴場施設の配管内や濾過装置内、浴槽の、清掃・洗浄が大事です。つまり、浴場設備の配管洗浄・濾過装置の洗浄やフィルター交換・浴槽・水路系などの洗浄を徹底して、施設内に形成される生物膜を分解・除去するのです。

分解・除去する方法には、過酸化水素による洗浄と高圧洗浄があります。

[公衆浴場の衛生管理]

温泉やスーパー銭湯などで、1度でもレジオネラ菌感染が発生すれば、営業停止に追い込まれます。営業を再開しても、客足が激減しますから死活問題になります。

ですから、温泉やスーパー銭湯、温泉旅館など循環式入浴施設を持つところは、循環湯を清潔に維持管理するために、いろいろな方法を行っています。

公衆浴場で行う水質検査では「レジオネラ属菌は、検出されないこと」と定められています。

[家庭で行うレジオネラ菌対策]

家庭でもレジオネラ菌が繁殖して感染症を引き起こすことがあります。特に、循環式浴槽(24時間風呂・フルタイム風呂)と加湿器、給湯設備に注意が必要です。

循環式浴槽の衛生管理

  • ➀できるだけ短時間で水を換えるようにします。
  • ②濾過装置のフィルターをこまめに洗浄します。
  • ③紫外線やオゾンを使用する殺菌装置の稼働時間を、できる限り長くなるように設定します。
  • ④浴槽水をシャワーに使用しないようにします。
  • ⑤浴槽内で気泡発生装置(バブルジェット)を使用しないようにします。

加湿器の使用

加湿器は、できるだけ加熱式を使用します。抵抗力・免疫力の低い高齢者や乳幼児の部屋で使用する時は、特に注意が必要です。

加湿器内の洗浄をこまめに行い、生物膜ができないようにします。

給湯設備や浴槽の洗浄

給湯設備の内部にも生物膜ができないように清掃を心がけます。また、普通の浴槽や水廻りでも、生物膜が形成されないように、こまめに洗浄する必要があります。

まとめ レジオネラ菌は予防できる

レジオネラ属菌は、土壌にも河川にも常在する菌です。酸に強く、消毒剤の塩素にも抵抗性があります。ぬるめの停滞水が大好きで、空調機の冷却水や循環式温泉施設や浴場施設の循環水の中で棲息・繁殖します。循環する水は、流水と違い、停滞水・貯蔵水と同じなのです。

温泉やスーパー銭湯など循環式入浴施設では、循環水の温度は38~42℃です。レジオネラ属菌には最適の温度で、39℃を越えると急速に増殖します。70℃を越えると、死滅します。

レジオネラ属菌は生物膜を形成して、塩素系殺菌剤の効力を寄せ付けません。温泉水や浴槽水が霧のようなエアロゾルの状態になり、口や鼻から吸入されるのに乗って、レジオネラ属菌も、気道から肺胞に侵入します。たいていの細菌やウィルスは、免疫細胞のマクロアァージに捕食されて分解されてしまうのですが、レジオネラ属菌は通性細胞内寄生性菌なので、マクロファージ内に寄生して繁殖します。

しかし、健康な人がレジオネラ菌に感染することは、ほとんどありません。免疫力・抵抗力の低い高齢者・病人・持病のある人・乳幼児は、レジオネラ菌に感染しやすく、ポンティアック熱や在郷軍人病(レジオネラ肺炎)を発症します。レジオネラ肺炎の死亡率は30%です。

日本では、温泉やスーパー銭湯など公衆浴場がレジオネラ菌の感染源になることが多いようです。しかし、温泉や銭湯など広い浴槽にゆったりつかることは、ストレス解消や疲労回復、腰痛や外傷の治療など、さまざまな利点があります。入浴は手軽で有効な健康法です。

日頃から免疫力・抵抗力を強くしておけば、レジオネラ属菌など恐れることはありません。糖尿病や慢性呼吸器系疾患など持病のある人は、持病の治療に努めるとともに、打たせ湯や湯の滝、気泡風呂には注意します。水質の管理や施設の清掃を徹底している温泉やスーパー銭湯を選ぶようにすれば、安全に入浴を楽しめます。

家庭の循環式浴槽も適正な管理を行えば、いつでも入浴できて便利です。加湿器も加熱式を使用すれば、レジオネラ菌感染を防ぐことができます。

温泉旅行から帰って来た高齢者や、スーパー銭湯に連れて行った子供が、悪寒や発熱を訴えた時は、すぐに内科医を受診して、レジオネラ菌の検査を受けることをオススメします。

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