ヘルペスとは「水ぶくれ」という意味です。ヘルペスの原因はヘルペスウィルスです。ヒトに感染するヘルペスウィルスは、現在8種類判明しています。
ヘルペスウィルスで起きる病気には、水疱瘡(みずぼうそう)や帯状疱疹、口唇ヘルペス、性器ヘルペスが知られています。
水ふくれの中にはウィルスがいっぱい入っているので、ヘルペスは接触感染しやすいといいます。中には再発しやすいヘルペスもあります。
ヘルペスの原因となるウィルス、帯状疱疹・口唇ヘルペス・性器ヘルペスの感染経路・症状・治療法についてお伝えしますね。
ヘルペスとは?
ヘルペスとは「疱疹」、「皮膚や粘膜に小さなみずぶくれが集まってできている状態」です。ヘルペスウィルスが皮膚や粘膜に感染して起きる感染症です。ヘルペスウィルスは一般的なウィルスで、発症しなくても、感染している人は多いといいます。
「ヘルペス」という病名は、単純ヘルペスウィルスによる感染症に使われます。
ヒトに感染するヘルペスウィルスは、現在8種類が判明しています。ヘルペスウィルスの種類により、発症する疾患が異なります。
[ヘルペスウィルスの種類と感染症]
ヘルペスウィルスは、次のようなものが知られています。東京慈恵会医科大学皮膚科客員教授の本田まり子先生の著作「帯状疱疹・単純ヘルペスがわかる本」によります。
①水痘・帯状疱疹ウィルス
水疱瘡や帯状疱疹の原因となるウィルスです。
②単純ヘルペスウィルスⅠ型
口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルペス性角膜炎、カポジ水痘様発疹症、性器ヘルペス、ヘルペス性脳炎などの原因となります。
③単純ヘルペスウィルスⅡ型
性器ヘルペス、臀部ヘルペス、ヘルペス性髄膜炎などを発症させます。
④エプスタインバーウィルス
伝染性単核球症の原因となります。
(伝染性単核球症)
俗に言う「キス病」です。キスや飲み物の回し飲みなど唾液の経口感染でうつります。小児は感染しても発症しないことが多いようです。思春期以降に感染すると、50%が発症します。
全身の倦怠感・38℃以上の発熱・喉の痛み・肝臓と脾臓の腫れ・肝機能の低下・首のリンパ節の腫れ・湿疹などの症状が出ます。
4~6週間で自然に症状が消えます。6ヶ月以上症状が続く時は、重症化している可能性があります。
⑤サイトメガロウィルス
肺炎(間質性肺炎)や網膜炎を発症させます。
妊娠中に感染すると、流産・死産・新生児死亡を起こす可能性があります。胎内で胎児に感染すると、生まれてから深刻な障害が発生する可能性があります。聴覚神経系の障害・小頭症・水頭症などです。
⑥ヒトヘルペス6
突発性発疹や脳炎などを発症させます。
(突発性発疹)
突発性発疹は0~3歳の子供に多く発症します。38~39℃の高熱が3~4 日続き、熱が下がる頃から、胸や腹など体幹を中心に発疹が生じ、全身に広がります。感染力は比較的弱く、自然に治ることが多いようです。しかし、脳炎・脳症・劇症肝炎など重篤な疾患を併発する可能性もあるので、注意が必要です。
咳やクシャミによる飛沫感染・唾液による経口感染・皮膚や粘膜からの直接的または間接的接触感染によりうつります。
⑦ヒトヘルペス7
突発性発疹を起こします。
ヒトヘルペス6に感染して抗体ができても、ヒトヘルペス7は別のウイルスなので、感染すると、再度、突発性発疹が発症します。
⑧ヒトヘルペス8
カポジ肉腫を発生させます。
[ヘルペスウィルスの特徴]
ヘルペスウィルスは一般的なウィルスです。感染しても必ず発症するとは限りません。知らないうちに感染して、抗体ができていることが少なくありません。
ヘルペスウィルスは神経細胞に潜む
ヘルペスウィルスは感染しても発症せず、潜伏していることがあります。あるいは、発症して治った後も、神経細胞に潜んで生き延びます。
病気や過労ストレス過多、加齢などで免疫力が低下すると、潜伏していたヘルペスウィルスが暴れ出します。
ヘルペスウィルスは乾燥と熱に弱い
ヘルペスウイルスは、一般に熱や乾燥に弱く、通常の環境では安定して存在することができません。感染力はありますが、消毒用エタノールなどで死滅させることができます。
[ヘルペスの治療は病院で]
ヘルペスウィルスによる感染症は自然治癒することが多いのですが、再発したり、重篤化したりする可能性があります。
できるだけ早期に病院で治療を受けると、回復を早め、再発しにくくなります。
水疱瘡と帯状疱疹
水疱瘡と帯状疱疹は、同じ水痘・帯状疱疹ウィルスが原因です。初感染で発症するのが水疱瘡、年月を経て再発するのが、帯状疱疹です。
[水疱瘡から帯状疱疹へ]
10歳以下の子供の90%が水疱瘡にかかります。1週間程度で治りますが、水痘・帯状疱疹ウィルスが死滅したわけではありません。ウィルスは、神経節に留まって休眠状態になります。
休眠していたウィルスは、病気や過労、ストレス過多、加齢などで免疫機能が低下すると、活性化して暴れ出し、帯状疱疹が発症します。
[水疱瘡]
水疱瘡(みずぼうそう)は水痘(すいとう)ともいいます。中に透明な水を含む疱疹ができます。
症状と経過
初めは虫刺されのような赤いポツポツが1~2個でき、数時間内に、水疱ができます。1日かけて全身に広がります。
大人は38℃以上の熱が出ますが、子供は発熱しないこともあります。
水疱は自然に潰れてカサブタになります。1週間程度もすれば、全部の水疱がカサブタになります。カサブタがとれると、痕もすぐに消えます。大人は、数ヶ月から数年、痕が残ります。
感染経路
水痘・帯状疱疹ウィルスは、唾液や鼻水の飛沫感染、感染者との直接的および関節的な接触感染、空気感染します。潜伏期間は2~3週間です
空気感染は、患者と同じ室内にいるだけでうつるので、感染力が強くなります。
治療と予防
子供が発症した場合は小児科、大人が発症した場合は皮膚科を受診します。
水疱瘡の特効薬は抗ウィルス薬です。発疹には亜鉛華軟膏、痒みには抗ヒスタミン薬が処方されます。
市販薬のピリン系薬(アスピリンなど)は、急性脳症を起こす危険性があるので、要注意です。
予防ワクチン
「水痘生ワクチン」は副作用も少なく、生後12ヶ月から接種でき、予防効果があります。
[帯状疱疹]
神経節に潜んで休眠している水痘・帯状疱疹ウィルスは、免疫力が低下すると、活性化して暴れ出します。神経に沿って身体の右か左、どちらかの側に帯状に疱疹ができます。
胸や腹など胸髄神経節領域と、顔面の三叉神経の領域に疱疹ができやすいようです。
帯状疱疹は日本人の10~20%に発症します。高齢者になるほど発症率が高くなります。発症するのは一生に1回ですが、2回発症する人もいます。
帯状疱疹の経過
体の左右どちらかの側に、ヒリヒリと焼けつくような強い痛みが生じます。激痛が数日から1週間続きます。痛みが生じた後に、赤い虫刺されのような発疹が出ます。
赤い発疹の上に、中央にくぼみのある水ぶくれができ、化膿して黄色い膿を持ちます。1週間程度で膿疱が破れ、皮膚がただれます。発症後2週間もすると、自然にカサブタができます。約3週間で治ります。
帯状疱疹の危険性
帯状疱疹が顔面に生ずると、重篤化する可能性が高くなります。
眼の周囲に疱疹ができると視力障害、耳の周りに生じると聴力障害を起こしやすくなります。顔が歪んで、「四谷怪談」のお岩さんのようになることもあります。
(帯状疱疹後神経痛)
帯状疱疹は自然に治る病気ですが、帯状疱疹ウィルスが増殖しすぎると、神経を傷めます。帯状疱疹が治った後も、激痛や感覚鈍麻(触感や温度感覚が鈍くなる)に悩まされます。神経痛は免疫力の低い人や高齢者に発症しやすくなります。
(帯状疱疹を何度も再発するのは、他に病気がある)
帯状疱疹を発症するのは、一生のうち1~2回程度です。何度も再発する場合は、膠原病や糖尿病、悪性腫瘍など、免疫機能に悪影響を与える疾患を抱えている可能性があります。
帯状疱疹の治療
帯状疱疹は皮膚科を受診します。帯状疱疹後神経痛の場合はペインクリニックを受診します。
治療薬は抗ウィルス薬です。できるだけ早期に抗ウィルス薬を全身投与します。発症から3日以内に抗ウイルス薬を投与すると、神経痛の発症を抑えられます。
重症の場合、入院して抗ウィルス薬を点滴静注します。対処法として、神経ブロックを行うこともあります。
帯状疱疹はうつるの?
帯状疱疹は、水疱瘡にかかったことのある人にはうつりません。ウィルスの抗体が体内にできているためです。
水疱瘡にかかったことのない、水痘ウィルスの抗体の無い人にはうつります。帯状疱疹がうつると、水疱瘡を発症します。飛沫感染・接触感染・空気感染します。
口唇ヘルペス
単純ヘルペスウィルスが原因となって発症します。単純ヘルペスに初感染した時は、全身のどこにでも疱疹が発症します。しかし、再発する時は、単純ヘルペスウィルスⅠ型とⅡ型では、発症部位が分かれます。
単純ヘルペスウィルスⅠ型は、顔の三叉神経節に潜むため、顔や口唇など上半身に発症します。Ⅱ型は腰仙骨神経節に潜むため、下半身、性器や臀部に発症します。
口唇ヘルペスは皮膚科医院や総合病院の皮膚科で治療します。
[口唇ヘルペスの症状]
口唇ヘルペスの症状は、年齢・体質・体調などにより異なります。約2週間で、自然に治ります。
初感染
小児の初感染の場合は、ほとんど症状が出ないので、気づかないこともあります。口唇ではなく口内炎が起きることが多いようです。
大人の場合は症状が強く出ます。唇や口の周囲のチクチク・ピリピリという違和感が生じます。次に赤く腫れた水ぶくれができます。発熱・頭痛・喉の痛み・首のリンパ節の腫れ・倦怠感などの全身症状が出ます。1週間前後でカサブタができ、数日もすれば治ります。
再発
大人の場合、初期感染の症状が一番強く、再発するたびに軽症になり、水疱も小さくなるのが普通です。しかし、再発して重症化する人もいます。
唇や口の周囲の皮膚に、チクチク・ピリピリした痛みが生じます。ムズムズかゆくなったり、唇がほてったりします。これが前兆です。続いて、唇が赤く腫れます。1~3日で、赤く腫れたところに体液が溜まります。1週間程度でカサブタができて、数日後には治ります。
(注意点)
水ぶくれ(水疱)の中には、単純ヘルペスウィルスがいっぱい入っています。うっかり潰したり、無理に潰したりすると、ウィルスが手に付着し、他人への感染リスクが高くなります。
潰れた傷口から細菌が侵入して二次感染を引き起こす可能性があります。
アトピー性皮膚炎の人は重症化しやすい
アトピー性皮膚炎の患者さんは皮膚のバリア機能が弱いので、ウィルスが侵入しやすくなっています。そのため、感染リスクも高く、重症化する傾向があります。「カポジ水痘様発疹症」を起こし、口周辺の皮膚に広範囲の水疱ができてただれ、高熱を発したり、リンパ節が腫れたりします。
[口唇ヘルペスは再発を繰り返す]
単純ヘルペスウィルスは、神経細胞の中に潜みます。免疫機能はウィルスを破滅させようとします。しかし、他の細胞ならば再生できるので、思い切った攻撃ができますが、神経細胞は再生できないので、免疫は攻撃することができません。神経細胞からウィルスが出て来て活性化するのを抑制するだけです。
過労やストレス過多、疾患、加齢などで、抵抗力・免疫力が低下すると、ウィルスは神経細胞から出て、活動を始め、皮膚や粘膜に病変を生じさせます。こうして、口唇ヘルペスと性器ヘルペスは再発を繰り返すのです。
[口唇ヘルペスの感染経路]
単純ヘルペスウィルスは接触感染します。水疱の中にはウィルスが沢山入っていますから、感染力は強いと言えます。
患者が患部に触れた手で他の人に触れたり、患者が患部に触れた手でタオルやグラスなど器物に触れ、それに他のひとが触ったり、患者とキスしたり、頬すりしたりすると、感染します。皮膚に傷や湿疹があったり、皮膚炎が起きていたり、免疫力が落ちたりしていると、感染しやすくなります。
ウィルスが休眠中は感染しない
ウィルスが神経細胞の中で休眠している感染者と接触しても、うつることはありません。うつるのは、口唇ヘルペスを発症している患者と直接的・間接的に接触した時だけです。
[口唇ヘルペスの治療法]
口唇ヘルペスは、患部を清潔にし、触れないように注意していれば、2週間程度で自然治癒します。
しかし、初感染などで重症化したり、再発を何度も繰り返したりする場合は、病院の皮膚科で治療する必要があります。再発を繰り返すと、痕が残ることがあります。
抗ウィルス薬の服用
治療薬として、抗ウィルス薬を服用・点滴・外用します。ヘルペスウィルスは神経細胞内でも増殖しているので、外用薬で皮膚の病変を治療するだけでなく、内服薬を併用します。チクチク・ピリピリの前兆を感じた段階で抗ウィルス薬を服用すると、回復が早くなります。神経細胞に戻るウィルス量も減少し、再発しにくくなります。
アトピー性皮膚炎の患者さんが「カポジ水痘様発疹症」を合併した時は、点滴静注します。
[口唇ヘルペスの予防と再発防止]
口唇ヘルペスの感染は、家族間・恋人間で起こることが多くなります。家族や恋人への感染は、日常生活に少し気をつければ、予防できます。
口唇ヘルペスの予防方法
家族や恋人への感染予防は次の通りです。
- 患者は患部に触れないようにし、患部に触った時は必ず手を洗う。
- 感染者はタオルを家族らと共用しない。グラスなど食器も共用しない。
- 発症している時は、キスやオーラルセックスはしない。
- 発症している時は、新生児に触れないようにし、授乳も控えることがある。
- 発症している時は、乳幼児に頬すりしたり、キスしたりしない。赤ちゃんのいる家庭では、常に手の消毒を心がける。
再発を防ぐ方法
感染してしまったら、再発しないように、免疫力の低下に注意します。日常生活習慣を改善して、抵抗力をつけます。
- 過労・ストレス過多・睡眠不足にならないようにする。
- 栄養バランスの良い食事を1日3回規則正しくとる。免疫力を上げるビタミンA・B1・B6・Cを積極的に摂る。
- 風邪をひかないようにする。風邪をひいたら、早めに休んで治す。
- 強い紫外線を避けるために、紫外線対策をしっかりする。
性器ヘルペス
単純ヘルペスウィルスⅡ型に感染して発症することが多いのですが、現代はセックスの仕方が多様化しているので、Ⅰ型ウィルスに感染して発症するケースもあります。
性器ヘルペスは性感染症(性病・STD)の一つです。
[性器ヘルペスの感染原因]
性器ヘルペスの感染原因は、あらゆる性行為・性的接触です。ヘルペスの病変部と直接接触することで感染します。オーラルセックスで、喉や口内に単純ヘルペスウィルスⅡ型のよるヘルペスを発症することがあります。
口唇ヘルペスを発症しているパートナーとオーラルセックスをすると、単純ヘルペスウィルスⅠ型に感染して性器ヘルペスを発症することがあります。口唇ヘルペスを発症している人は、オーラルセックスは避けた方が無難です。
発症していない時でも感染する
単純ヘルペスウィルスⅡ型は、1度感染すると、腰仙骨神経節の神経細胞に潜んで生き続けます。ヘルペスを発症していない時も、感染者の性器の皮膚や粘膜にⅡ型ウィルスが出てきて、感染します。口唇ヘルペスとは違います。
自覚していない感染者が多い
日本の性器ヘルペスの患者は、20代以降の性的活動が活発になる年代に多く、男性よりも女性の感染率が高くなっています。女性の感染者の約60%は、何らかの症状があっても性器ヘルペスと気づかなかったり、自覚症状がなかったりします。
感染者に性器ヘルペスの自覚がないと、無警戒に性行為・性的接触をしますから、パートナーの感染リスクは高くなります。
新生児の母子感染
母親が性器ヘルペスに感染したことがあると、赤ちゃんが産道を通る時に感染し、新生児ヘルペスを発症するリスクが高くなります。新生児ヘルペスは重篤化する傾向があり、新生児ヘルペス脳炎を発症する可能性もあります。
母子感染を避けるために、性器ヘルペスの病変がある場合は、産科医は帝王切開を勧めます。
性行為以外の感染源
性行為以外にも性器ヘルペスの感染源があります。
口唇ヘルペスを発症している人が、患部に触れた手で性器に触れて、単純ヘルペスⅠ型による性器ヘルペスが発症することがあります。
ヘルペスは、臀部(おしり)や太もも、外陰部に病変が起きますから、洋式トイレの便座から感染することもあります。
ただし、お風呂でうつる心配は、ほとんどありません。
[性器ヘルペスの症状]
性器感染に初感染した場合、性行為をしてから4~10日の潜伏期間の後、発症します。症状は男女により異なります。
初感染では強い症状が出ますが、男性より女性の方が重いようです。
男性の症状
最初は、患部の表面にひりひりした痛みやむず痒さを感じます。2~10日経つと、痒みのある1~2㎜の赤いブツブツと水疱ができます。水疱が破れて潰瘍(ただれ)になります。強い痛みや発熱を伴うことがあります。太もものリンパ節が腫れて痛むこともあります。
病変部は、亀頭や陰茎本体、太もも、臀部、肛門周囲、直腸粘膜に生じます。
女性の症状
患部に水ぶくれや潰瘍ができます。強い痛みで排尿することもできなくなります。発熱することもあります。太もものリンパ節が腫れて痛みます。
病変部は、外陰部・膣の入口・臀部が多いのですが、感染が子宮頚管・膀胱にまで及ぶことがあります。まれにウィルスが髄膜まで侵入し、髄膜炎を引き起こすことがあります。髄膜炎になると、激しい頭痛が生じ、便秘することもあります。
再発
男女とも、1年以内に80%の確率で再発します。再発の原因は、過労・ストレス過多による免疫力の低下、セックスによる摩擦、局部の損傷などです。アルコールの大量摂取や強力な紫外線を浴びることも要注意です。女性は生理前にも気をつける必要があります。
再発の症状は、一般に初感染よりも軽くなります。
再発を繰り返すと、男女ともに症状が軽くなります。小さな水ぶくれ(水疱)と潰瘍が生じる程度です。回復に要する期間も短くなります。
再発する時には、前兆として、神経痛のような症状が出たり、局所がムズムズするような違和感を感じたりします。
[性器ヘルペスの治療]
性器ヘルペスは、2~3週間で自然に治癒しますが、何か症状がある時は、病院で治療を受けることをオススメします。性器ヘルペスはパートナーに与える影響が大きいので、必ずパートナーと二人で受診し、再発を防ぐようにします。
病院を選ぶ
性器ヘルペスで病院へ行くのは、なかなか気が進まないものです。ですが、神奈川県立汐見台病院の早乙女智子先生や、プライベートケアクリニック東京の尾上康彦院長先生のように、患者さんの気恥ずかしさや不快な思いを第一に考えてくれる医師がいます。安心して受診できます。
女性ならば、婦人科(産婦人科)、男性ならば、泌尿器科を受診します。もちろん、性感染症内科、性病科ならば、男女ともにオススメできます。泌尿器科と皮膚科の両方を掲げている医院は、性感染症もよく診てくれます。性感染症専門のクリニックもあります。
薬物治療
検査を受けて、性器ヘルペスと診断されれば、できるだけ早期に抗ウィルス薬の内服を開始します。外用薬と併用すると効果的です。
重症の場合は、抗ウィルス薬の点滴静注を行います。
再発を繰り返す患者さんには、ウィルス増量を抑制する再発治療薬もあります。
[性器ヘルペスの予防]
性器ヘルペスの予防は、パートナーや家族への思いやりでもあります。
性器ヘルペスの病変部はコンドームに覆われる部分以外にも生じますから、他の性感染症のようにコンドームで完全に感染を防ぐことはできません。しかし、日常生活のちょっとした注意で予防することも、再発をしにくくすることもできます。乳幼児に接する時は、特に気を付ける必要があります。
性器ヘルペスの予防方法
- 性器ヘルペスの症状の出ている人とは性行為をしない。口唇ヘルペスの症状が出ている人とも、性的接触をしない。
- 性器ヘルペスの症状が消えても、1週間は性交渉をしない。
- 不特定多数の人と性行為をしない。不特定多数の人と性行為するパートナーは要注意。
- 患部には手を触れない。病変部に触れた時は、よく手を消毒する。
- 洋式トイレの便座は消毒用エタノールで拭いて使う。トイレのタオルは共用しない。
- 赤ちゃんに触れる前には、よく手を消毒する。特に、皮膚炎や傷のある場合は要注意。
性器ヘルペスの再発を防ぐ方法
ヘルペスの再発は、免疫力・抵抗力が低下した時に起きます。性器ヘルペスの再発を防ぐ方法は、前述の口唇ヘルペスの再発を防ぐ方法と同じです。
まとめ ヘルペスは早期の治療開始が大事
ヘルペスとは、ヘルペスウィルスに感染して、皮膚や粘膜に小さな水疱が集まってできた状態です。ヒトに感染するヘルペスウィルスは、現在8種類判明しています。水疱瘡や帯状疱疹は、ヘルペスウィルスの1種によって起きます。「ヘルペス」という病名は、単純ヘルペスウィルスの感染症に使用します。
ヘルペスウィルスは一般的なウィルスで、感染しても発症するとは限りません。知らない間に感染して、抗体ができている人が多いといいます。
ヘルペスウィルスの特色は、神経細胞に潜んで生き延びることです。一度感染して発症すると、症状が消えても、ウィルスは死滅しません。感染者の免疫力が低下すると、神経細胞から出て活性化します。そのため、再発することが多くなります。
ヘルペスウィルスの感染症は、帯状疱疹も口唇ヘルペスも性器ヘルペスも2~3週間で自然に治ります。しかし、病院で抗ウイルス薬による治療を受けると、回復も早く、重症化を防ぐことができます。発症してすぐ抗ウィルス薬を投与すると、神経細胞に逃げ込むウィルス量が減少し、再発しにくくなります。
水疱瘡や帯状疱疹は空気感染しますが、口唇ヘルペスと性器ヘルペスは接触感染が主です。日常生活に注意することで感染を防ぐことができます。ヘルペスウィルスは、熱や乾燥に弱く、通常の環境では安定できません。神経質になる必要はありません。
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