腹部膨満感の原因は?病気の可能性もある?対策方法や解消できない場合の薬を紹介!

空腹なのに、なぜかお腹が張って苦しい……。そんな症状に悩まされている方は必見です。あなたのその謎のお腹の張りの原因は、「腹部膨満感」かもしれません。

そこで今回は、腹部膨満感の詳しい症状や原因、対策法まで詳しくご説明します!

腹部膨満感とは?

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腹部膨満感とは、食事を摂ってお腹いっぱいの満腹感とは違い、お腹が張った感じや圧迫されて苦しい状態をいいます。具体的には、「空腹感がなく、お腹が張った感じがする」「少量しか食事を摂っていないのにお腹が満腹」「お腹にガスが溜まっている感じがする」「ゲップをすると少し楽になる」といった特徴的な症状があります。

腹部膨満感は何らかが原因となり、消化機能が低下していて食べたものが十二指腸に送られず、長時間胃の中に留まってしまうことや、飲食の際に空気を一緒に吸い込んでしまうことが原因と考えられています。他にも、膨満感を発症する疾患もあるため、病気が隠れているケースもあります。

日常を送るにあたって不快感や倦怠感を招きますが、お腹が張ったり圧迫感を感じる程度の症状のためそのまま放置してしまう人も少なくありません。しかし、大きな病気を患っているサインかもしれないので、まずは症状や原因、対策をしっかり理解して、できるだけ早く医師の診断を受けることが大切です。

消化管の働き

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腹部膨満感を感じた患者を検査してみると、ほとんどの患者に異常は見られず、心理的な要因で、胃の消化運動機能が低下していることが原因となっているケースが多いといわれています。そもそも、腹部膨満感の症状がない健康体の人の消化運動は、どのような仕組みになっているのでしょうか?

まず人間の体は、食事をすると消化器が規則的に収縮運動を行います。口から摂取した食べ物が胃の中に入ってくると、胃の上半分がゆるんで、入ってきた食べ物を貯蔵する働きをします。その後、胃の真ん中らへんから十二指腸側に向かって1分間に3回程度、ぜん動収縮運動を行います。この収縮運動は、十二指腸側に進めば進むほど強くなり、口から摂取した食べ物を胃液で溶かし、ドロドロに消化します。

そうすることで、胃から十二指腸へと繋がるわずか直径2~3cmの「幽門」といわれる部分を通過することができ、胃の消化運動によって溶けた食べ物は腸へと送り出されるのです。このような胃の消化運動の一連の流れは、胃の中が空っぽになるまで行われ、成人男性が通常の量の食事をした場合は3時間程度続きます。

このような消化運動の過程で、何が問題で、何が原因となって膨満感を引き起こすのでしょうか?次の項目で原因を確認しましょう。

腹部膨満感の原因

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通常の消化運動が行われていれば、膨満感を起こすことは決してありません。では、原因は何なのでしょうか?考えられる要因を、ひとつずつ見ていきましょう。

食べ過ぎ

胃や腸の消化運動を上回るほどの飲食物を過剰に摂取した場合、当然、消化運動に長時間を要します。そうすると、摂取した食べ物が胃の中に長時間とどまり、もたれやむかつき、さらにガスを溜めやすくしてしまいます。よって、暴飲暴食は膨満感を引き起こす原因となります。

早食い

日常で、出勤前の朝食など急いでご飯を食べなくてはいけないシーンも多々ありますが、かき込むように急いで食べると、知らず知らずのうちに空気も一緒に飲み込んでしまいます。多量の空気が胃や腸に溜まると、腹部膨満感になります。

このような、知らず知らずのうちに空気を飲み込んでしまうことを呑気症ともいいます。呑気症は腹部膨満感を招きやすいため、一刻も早く改善が必要です。

しゃべり過ぎ

早食い同様、食事の最中にしゃべり過ぎると、多量の空気を食べ物と一緒に飲み込んでしまいます。また、食事中に関わらず日常的な会話の中でも、しゃべり過ぎることによって呼吸をする回数が増えるため、より多くの空気を胃に取り込んでしまいます。

しゃべり過ぎが膨満感につながるとは想像しがたいですが、実際にしゃべり過ぎが原因で膨満感を引き起こしている患者も大勢います。油断せず、気を付けましょう。

ガスを発生させる食べ物の過剰摂取

胃や腸にガスが溜まってしまうことで引き起こす膨満感。そのため、ガスを発生させやすい食べ物の過剰摂取には要注意です。

例えば、米、パン、さつまいもなどのイモ類やでんぷん質が豊富な食品、豆類、ゴボウやレンコンなどアクが強い野菜、豚肉、炭酸飲料などは、ガスが発生しやすい食べ物といわれています。しかし、食物繊維が豊富な食べ物も多く、便秘解消には必須の食べ物でもあります。全く食べないではなく、1日の摂取量を調整して毎日の食事に上手に取り入れてください。

乳製品が体に合わない人は、これが原因で腹部が張り、膨満感を引き起こすこともあるといわれています。また、空気も溜まりガスも発生しやすい炭酸飲料や、食べる際に空気を飲み込むガムの食べ過ぎにも注意が必要です。

便秘

便秘の状態が長期間にわたると、腸内にガスが溜まり排出されずに留まることで、腹部膨満感を引き起こす原因となります。筋力が弱かったり、食物繊維の不足、ホルモンバランスの乱れなどにより、女性の2~3人に1人は便秘の症状に悩んでいるといわれるほど、便秘症の人はめずらしくありません。

朝や食事の後などゆっくりトイレに行く時間を設けたり、毎日決まった時間にトイレに行くなど習慣づけることも効果的です。便秘にいい食事や規則正しい生活、適度な運動やトイレの習慣づけで、体質改善をするといいでしょう。

ストレス

人間の体は、意外と心とつながっているものです。強いストレスを感じながら暮らしていると、自律神経も大きく乱れ、体調を崩します。自律神経の乱れにより、胃の消化機能が低下し、さらに腸の働きまでも停滞します。

このような状態が長く続けば、食事をしても消化不十分となり、胃や腸に長く食べ物が残ったり便秘を引き起こすことによって、腹部膨満感が発症します。

妊娠

女性が妊娠すると、妊娠ホルモンにより体に様々な異変が起こります。その中に、胃腸の働きが弱くなったり便秘症になるなど、腹部膨満感に大敵といわれる症状があります。

妊娠ホルモンが多く分泌される妊娠初期は、特に症状が強く現れるため、お腹の張りを感じることが多いといわれています。妊娠が原因の場合は、自己判断で薬等に頼ってはいけません。担当の産婦人科医に相談するといいでしょう。

腹部膨満感を引き起こす疾患

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腹部膨満感は、ただお腹の張りを感じるだけではありません。その張りや苦しさの奥に、他の病気が隠れている可能性もあるのです。

あなたのその膨満感も、何かの病気のサインかもしれません。可能性のある疾患を、いくつか挙げてみましょう。

呑気症

呑気症は、唾液を飲み込むときに、一緒に多量の空気も飲み込んでしまうことが原因で、ゲップやおならが出たり、強い腹部膨満感の症状が現れる病気です。呑気症は、病気だと気が付かずに、治療をせず放置してしまう患者も少なくありません。しかし、放置して病気が進行すると、心臓に強い圧迫感を感じ、常に息苦しいといった状態に陥る場合もあるので注意が必要です。

呑気症かどうか見極める特徴的な症状として、無意識に奥歯を強く噛み締める習慣があります。奥歯を噛み締めた状態で唾液を勢いよく飲み込むため、多量の空気も吸い込み、お腹の張りを感じるようになります。緊張しやすい人や日常で強いストレスを感じている人、鬱の人に多い病気です。

腸閉塞

腸閉塞は、ガスや便などが正常に消化されず腸内に溜まり続けてしまい、結果的に腸が捻じれる病気です。腸内に不要物が溜まることで腸内の圧力が亢進すると、血行障害を起こし、腸管が激しく浮腫みます。そうなると、ガスや腸液が吸収されず腸内細菌が異常繁殖を起こし、大量の毒素が作られてしまうのです。このような状態に陥った場合、毒素が腹腔内や血液中に流れ出ることで敗血症を引き起こすこともあり、危険な状態に陥る可能性もあります。

激しい腹痛や腹部の膨満感といった症状が、急激に起こるのが特徴です。激しい痛みが一旦治まったかと思ったら、再び同じ痛みが押し寄せてくる……といった繰り返し症状が現れるのも、この病気特有の症状の現れ方です。人によっては、激しい腹痛の他、嘔吐や顔面蒼白、発熱や冷や汗などの症状も現れます。このような症状が確認できた場合は、一刻も早く医師の診断を受けることをおすすめします。

詳しくは、腸閉塞の症状を紹介!悪化すると死亡することも?を読んでおきましょう。

肝硬変

過度のアルコール摂取により発症する可能性もありますが、多くはB型肝炎やC型肝炎などのウイルス感染で発症する肝硬変。肝臓そのものは高い再生能力があるため、万が一肝硬変を患っても、初期の段階では症状はほとんどありません。

病気が進行して少しずつ出てくる特徴的な症状として、異常な倦怠感と疲労感、食欲不振などがあります。さらに進行すると、胃腸の血の巡りが悪くなるため、胃腸の消化運動が正常に行われず、腹部にガスが蓄積されるようになります。その結果、膨満感を感じるようになり、さらに腹水や浮腫みといった症状も現れます。

詳しくは、肝硬変の余命は?原因や症状、治療方法を紹介!を参考にしてください!

門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)

門脈圧亢進症とは、消化管から肝臓へと走る血管「門脈」の圧力が高くなることで、血液が別の経路を探して流れるようになり、胃や食道の静脈に静脈瘤ができる病気です。放置すると、静脈瘤が腫れ上がり破裂することもあります。

さらに、周辺の組織も通常機能ができなくなり、肝臓の表面などから水が腹部に貯まることによって腹部膨満感を引き起こすようになります。

詳しくは、門脈圧亢進症とは?症状・原因・治療法を知ろう!肝硬変や破水が起きやすくなる恐れがある?を読んでおきましょう。

慢性心不全

心臓から血液を送り出す機能が低下し、全身の血の巡りが滞ることで様々な症状が発症する慢性心不全。

下肢を中心に浮腫みが現われ、体重が増えたり全身がうっ血した状態を「右心不全」といい、肺がうっ血して全身の血液量が極めて少なくなる状態を「左心不全」といいます。左心不全は、止まらないほどの咳や、呼吸困難に陥る場合もあります。

発症すると、睡眠時の呼吸困難やひどい頻尿、腹部膨満感や食欲不振などの症状が現れます。詳しくは、心不全とは?症状や治療方法、予防方法を知っておこう!を読んでおきましょう。

急性腹膜炎

腹膜に炎症を起こすことで腹痛に襲われる急性腹膜炎は、突然痛みが発生して、その痛みはとても強いといわれています。発症直後は腹部の局所的な痛みですが、時間の経過とともに広がり、最終的には腹部全体が痛み、もがくほどの痛みに襲われます。

痛み以外の特徴的な症状としては、嘔吐や発熱、腹部膨満感などです。症状が進行すると、脱水症状を起こしたり、ショック状態に陥ることもあるので注意が必要です。

癌性腹膜炎

腹腔内の癌細胞が散らばるがん性腹膜炎は、呼吸困難や嘔吐、発熱などの症状に加えて、腹水によって腹部に膨満感を感じるようになります。

この他にも、立てないほどの下腹部の痛みや、強い下痢、排尿が困難になるなどの症状も現れ、腸にがん細胞が転移した場合は、腸閉塞を発症するケースもあります。

詳しくは、癌性腹膜炎とは?症状や原因、検査方法と治療方法を紹介!を読んでおきましょう。

卵巣腫瘍

卵巣腫瘍とは卵巣にできる腫瘍で、その8割以上は良性と言われています。腫瘍の大きさは、病気の進行や程度にもよりますが、大きいものだと30㎝程度にも腫れ上がり、妊娠中のような腹部になることもあります。

自覚症状が無いことが多く、検診等で偶然腫瘍が見つかるといったケースもよくあるのですが、症状としては下腹部の鈍痛と腹部膨満感があるといわれています。腫瘍が大きくなると、腹水をはじめ、膀胱や腸が圧迫されるため便秘や排尿障害が現れるでしょう。

例え良性の腫瘍だったとしても、進行して腫瘍が大きくなると非常に厄介な病気です。放置するのは危険と言えるでしょう。

腹部膨満感の予防方法

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病気が原因で症状が現れた場合を除いて、腹部膨満感の原因の大半は生活習慣の問題です。基本的な予防方法は、「正しい食事」「便秘の改善」「運動の習慣」「ストレス解消」の4つです。これであれば、今日から早速始めることができそうですね。詳しい方法を見ていきましょう。

正しい食事の方法

まず、暴飲暴食は絶対にやめましょう。食べ過ぎは、胃の消化機能を低下させ、胃の中に摂取した食べ物が停滞して膨満感の原因となります。食事量は、腹八分目を心がけましょう。

また、食事中も注意が必要です。食べるときにしゃべり過ぎたりすると、大量の空気を食べ物と一緒に飲み込んでしまいます。さらに、早食いは消化が悪くなり、胃腸にガスを溜めやすくしてしまいます。食事中は、口を閉じ、ゆっくりと、たくさん噛んで食べるようにしましょう。

便秘の改善

膨満感にとって便秘は大敵です。便秘にならないように、腸内環境を整える努力をしましょう。便秘解消のポイントは、「善玉菌を増やして悪玉菌を抑える」ことです。ヨーグルトなどの発酵食品をはじめ、食物繊維や水分なども積極的に摂りましょう。

また、トイレの習慣付けも大切です。毎朝決まった時間にお手洗いに行き、排便のリズムを作ることで便秘が解消するケースもあります。トイレの習慣付けと共に、食事も規則正しい時間に毎日3食摂取すると、より効果的です。

運動を習慣にする

加齢によって腹筋が衰えることで腸の動きや働きが弱まり、女性に限らず便秘で悩む人も少なくありません。しかし、普段から運動をすることで腹筋が鍛えられ、さらに全身運動をすれば代謝も上がり、腸のぜん動運動は活発的になります。1~2回程度の運動では筋力や代謝アップは期待できませんが、習慣付けることで日々少しずつ効果は期待でき、腸内環境も整ってきます。

水泳やヨガなどもおすすめですが、まずは気軽に始められるウォーキングから始めてみるといいでしょう。

ストレス解消

ストレスを溜め込むと、自律神経が乱れ、胃や腸の消化機能が衰えます。そうならないためにも、日常生活でストレスを感じた際には解消していかなくてはいけません。

友人に会ったり大笑いしたり、好きなスポーツをしたり睡眠をたっぷりとるなどして、自分に合ったストレス解消法を見つけてみましょう。

腹部膨満感の対処方法

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腹部に強い膨満感を覚えて苦しい……と感じた場合は、予防法を試した後、それでも効果が見られない時は、便秘薬や整腸剤など市販薬を試してみましょう。市販薬を服用する場合、整腸作用や消泡作用のある成分を含んでいる薬がおすすめです。

これらは、腸内の細菌のバランスを整えて不要なガスを取り除く作用があるため、お腹の張りを解消する効果があります。また、「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」という漢方薬も便秘などに効果があるため、即効性は無いですが、穏やかに効き目を感じることができるでしょう。

予防法も市販薬も効果がなく、相変わらず腹部の膨満感が続く場合は、病気の可能性も十分に考えられます。放置すると大病へとつながる可能性も少なくありません。まずは、胃腸科のある病院を一刻も早く受診しましょう。

まとめ

腹部膨満感は、日常生活の乱れから起こるケースと、病気が隠れているケースと2パターンあります。

膨満感だけでなく他の症状が併発した場合は、大きな病を患っている可能性もあるため注意が必要です。いずれにしても、自己判断は危険です。

なかなか症状が良くならない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

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